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老後に海外移住する際の注意点にはどんなものがありますか?

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2025/10/28 09:11


男性

60代

question

老後に海外移住を考えていますが、資金面や制度面で注意すべきことが多いと聞きます。移住先の生活費や医療費の違い、年金の受け取り方、日本の健康保険の扱い、税金の取り扱いなど、どのような点に気をつければよいかを知りたいです。移住後の資産管理や為替リスク、永住権やビザの問題なども含めて教えてください。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

老後に海外移住する際に最も注意すべき点は、滞在資格の確認です。多くの国ではリタイアメントビザ取得の条件として、年金や預金額、医療保険加入などを求めます。配偶者同伴や就労の可否、滞在更新の頻度なども国によって異なるため、余裕を持った資金と手続きを計画することが欠かせません。

税金も大きなポイントです。日本を出国して非居住者になると、日本では国内源泉所得のみが課税対象となりますが、出国の時期によっては住民税が課される場合もあります。一方で、移住先の国では滞在日数などで「居住者」と判定されると全世界所得が課税対象になることがあります。

非居住者になると多くの証券会社では新規取引やNISAの利用ができなくなり、iDeCoも拠出が停止されます。移住前にポートフォリオを整理し、長期保有しやすいインデックス投資や為替リスクの方針を決めておくことが現実的です。

日本の公的年金は海外でも受け取れますが、現況届の提出や送金手数料、為替の変動に注意が必要です。社会保障協定がある国であれば、年金加入期間の通算や二重加入の回避が可能な場合もあります。

健康保険は日本の住民票を抜くと資格を失うため、現地の医療保険制度や民間保険の加入条件を確認し、医療費負担や救急時の対応を想定しておくべきです。

住まいに関しては、日本の不動産をどう扱うかが重要です。賃貸に出す場合は、非居住者の不動産所得には源泉徴収が発生することがあり、納税管理人を選任する必要があります。空き家のままにする場合も、維持費や防犯対策を検討し、将来帰国する可能性を踏まえた計画を立てることが大切です。

医療や生活環境は老後の生活の質を左右します。現地の医療水準、介護施設、通訳サービス、治安、気候、生活コスト、言語などを実際に確認し、自分に合った環境を選ぶことが大切です。特に歯科や眼科治療は高額になることが多いため、日本で事前に治療を済ませておくのも有効です。

老後の海外移住では、想定外の事態にも備えることも欠かせません。制度変更や為替の急変、健康悪化、介護や帰国の必要などに対応できるよう、日本への帰国ルートや生活再建の費用を確保しておくと安心です。

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非居住者

非居住者とは、所得税法第2条第1項第5号に基づき、「国内に住所を有さず、かつ1年以上引き続いて居所を有しない個人」を指します。一般には、海外に生活の拠点を移して1年以上継続して滞在している方、特に海外赴任や永住を前提とした移住者などが該当します。 非居住者になると、日本の税制や金融制度上の取扱いが大きく変わります。税務上、日本は非居住者に対して「国内源泉所得」のみ課税権を持ちます。たとえば、日本国内勤務に対応する給与や賞与は国内源泉所得とされ、15.315%の税率で源泉徴収されます。非居住者は住民税や累進課税の対象外であるため、金額にかかわらずこの定率で課税が完結し、原則として確定申告も不要です。 この仕組みを活用すれば、高額報酬を受け取る場合でも、居住者の最大55%課税に比べて大幅に税負担を抑えられる可能性があります。ただし、非居住者として認められるには、住民票の除票だけでなく、生活拠点・勤務実態・業務の指示系統などから総合的に実態が判断されます。租税回避とみなされないよう、恒久的施設(PE)課税や居住国側での課税リスクにも留意が必要です。 一方、海外勤務に対応する給与・賞与は国外源泉所得とされ、日本では非課税です。報酬の支払元や雇用契約の内容によっては判断が分かれるため、租税条約の有無や適用範囲の確認も重要です。 退職金については、従業員の場合は国内勤務に対応する部分が、役員の場合は全額が国内源泉所得とみなされ、20.42%で源泉徴収されます。なお、退職所得の選択課税制度を使えば、居住者と同様に退職所得控除や1/2課税が適用され、還付を受けられることがあります。 金融面では、非居住者になることで日本の銀行口座や証券口座に制限がかかることがあります。多くの銀行では非居住者の口座維持に制限があり、住民票を除票後に届け出を行っていないと口座凍結のリスクもあります。証券口座の特定口座も廃止され、一般口座への移管が必要になります。 NISA口座も非居住者になると原則利用できなくなります。ただし、会社都合による海外赴任で「非課税口座継続適用届出書」を提出すれば、最長5年間は非課税枠を維持可能です。この場合でも、新規買付や積立は停止され、自己都合による移住では口座の廃止が必要です。 また、日本と非居住者の居住国との間に租税条約がある場合、課税が軽減または免除されるケースもあります。たとえば、台湾との間では、国外勤務に対応する退職手当の一部が日本で非課税となる取り扱いがあります。 このように、非居住者となることで税制・金融制度の適用が大きく変わります。とくに高額所得者や国際的な勤務を行う方にとっては、非居住者ステータスの活用が節税につながる一方で、税務リスクや手続き上の注意点も少なくありません。実態に基づいた制度設計と事前の準備が不可欠です。

リタイアメントビザ

リタイアメントビザとは、主に海外での長期滞在や移住を希望する退職者向けに発行されるビザのことです。一定の年齢や収入、資産などの条件を満たすことで取得でき、老後の生活を海外で過ごしたい人が利用します。物価の安い国での生活や、温暖な気候を求めて発行国を選ぶケースが多く、近年はタイ、マレーシア、フィリピンなどが人気の移住先です。 投資や年金収入などで安定した生活が可能であることを示す必要があり、資産運用と生活設計の両面で計画性が求められます。単なる旅行ビザとは異なり、長期滞在を前提とした老後のライフプランに関わる重要な制度です。

社会保障協定

社会保障協定とは、日本と他の国との間で結ばれる取り決めで、海外で働く人や外国から来た人が社会保障制度を重複して負担しなくてもよいようにするための制度です。たとえば、日本人が海外で働くと、その国でも年金保険などの社会保険に加入しなければならない場合があります。 そうすると、日本とその国の両方で保険料を支払うことになり、負担が大きくなります。社会保障協定は、こうした二重の負担を避けるために、どちらか一方の国の制度だけに加入すればよいとするルールを定めています。また、年金の受給資格期間を通算することもできるため、海外で働いた期間も年金受給に必要な期間としてカウントできるようになります。これにより、海外勤務がキャリアに影響することなく、安心して働ける環境が整えられています。

為替リスク

為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。

ポートフォリオ

ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。

納税管理人

納税管理人とは、日本に住所や居所がない非居住者が、日本国内で所得を得る場合に、その納税義務を履行するために選任する代理人のことです。非居住者は原則として日本の税務署からの通知や納税手続きを直接行うことができないため、日本国内で納税関連業務を代行できる者を「納税管理人」として届け出る必要があります。 たとえば、不動産を貸して賃料収入を得ている海外在住者が、日本での所得税を納める場合などに活用されます。納税管理人は税務署との窓口として機能し、確定申告、納税、通知の受領などを行う役割を担います。この制度により、非居住者であっても円滑に納税義務を果たすことが可能となり、税務の透明性と確実性が確保されます。

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