短期債券ETFとはどのような特徴がありますか?活用法や有名銘柄もあればおしえてください。
短期債券ETFとはどのような特徴がありますか?活用法や有名銘柄もあればおしえてください。
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2025/09/09 09:01
男性
60代
最近「短期債券ETF」というETFの存在を知りました。しかし、どんな特徴があるものかが分かりません。値動きの安定性やリスクはどの程度なのか、また投資初心者が資産の一部として組み入れる場合にどのように活用できるのかを知りたいです。さらに、代表的な銘柄や実際に使われている有名なETFの例があれば具体的に教えていただけると助かります。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
短期債券ETFとは、償還期限が比較的短い国債や社債を組み入れたETF(上場投資信託)のことです。一般的には1年未満から数年程度の債券を対象とし、金利変動の影響を受けにくく、価格が安定しやすいという特徴があります。そのため、大きな値上がり益は期待しにくい一方で、元本を大きく減らすリスクを抑えたい投資家に向いた商品です。
活用方法としては、株式など値動きの大きい資産に比べて安定しているため、ポートフォリオ全体のリスクを下げる「守りの資産」として役立ちます。また、現金のままよりもわずかに利回りを確保できるため、短期間の資金置き場として利用されることもあります。特に金利が上昇している局面では、長期債券ETFよりも価格下落の影響を受けにくい点がメリットです。
代表的な銘柄として、米国市場では「iShares Short Treasury Bond ETF(SHV)」や「SPDR Bloomberg 1-3 Month T-Bill ETF(BIL)」、社債を対象とする「iShares 1-5 Year Investment Grade Corporate Bond ETF(IGSB)」があります。これらは日本の主要ネット証券を通じて「米国株式(海外ETF)」として購入できます。
一方、日本市場にも円建てで取引できる選択肢があります。例えば「iシェアーズ 米国債0-3ヶ月 ETF(2012)」や「グローバルX 超短期米国債 ETF(133A)」は、米国の短期国債に連動するETFです。東証上場銘柄なので、米ドルへの両替や米国課税の手続きが不要で、少額から投資できる点が魅力です。ただし「上場インデックスファンド外国債券(2511)」は米国短期国債ではなく、世界国債(除く日本)を対象とするETFであるため性質が異なります。
まとめると、短期債券ETFは「大きな利益を狙う商品ではなく、安全性や資金の一時的な運用を重視する投資家向けのツール」です。米国ETFを通じて幅広い選択肢にアクセスする方法もあれば、円建ての日本ETFでシンプルに投資する方法もあり、投資家のニーズに応じて使い分けることが可能です。資産運用初心者にとっても、リスクを抑えつつ市場に触れる第一歩として適した選択肢といえるでしょう。
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金利変動リスク
金利変動リスクとは、市場金利の上昇・下降に伴い保有資産の価格や収益が変わる可能性を指します。固定金利債券の場合、金利が上がれば新発債の利息が高くなり既存債券の魅力が薄れるため価格は下落し、逆に金利が下がれば既存債券の利息が相対的に高く映るため価格は上昇しやすくなります。価格の振れ幅は「デュレーション」と呼ばれる指標で測定でき、残存期間が長いほど同じ1%の金利変化でも値動きが大きくなる点が特徴です。短期債は影響が小さく、長期債は大きいという感覚を持つとリスク把握が容易になります。 金利を動かす主因は中央銀行の政策金利変更や景気の強弱、インフレ期待であり、これらのニュースを追うことで金利の方向性をある程度予測できます。ただし金利の動向は株式や不動産投資信託(REIT)にも波及し、企業の資金調達コストや配当余力、賃料収入見通しを通じて価格変動をもたらすため、債券以外にも広く目配りが必要です。さらに変動金利債券や変動金利住宅ローンのように、金利上昇局面で利息が増えるものも存在する一方、支払利息が膨らむ負の側面もある点には注意が求められます。 リスクを抑えながらリターンを狙うには複数の打ち手があります。償還時期の異なる債券を階段状に保有して高金利局面で再投資しやすくするラダー戦略、金利上昇期にはデュレーションを短くして価格下落を抑え、低下期には長くして値上がり益を取りにいく期間調整、株式やREIT、金利ヘッジETFなど異なる値動きを示す資産を組み合わせる分散投資、さらにはポートフォリオの一部を変動金利商品に振り替えて上昇メリットを享受する方法が代表的です。金利変動リスクを定量的に測り、運用計画を経済情勢に合わせて定期的に見直すことで、長期投資でも過度な値下がりを抑えつつ安定的な収益を目指せます。
利回り
利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。
米国債ETF
米国債ETFとは、アメリカ政府が発行する国債に投資するETF(上場投資信託)のことを指します。ETFは株式と同じように証券取引所で売買できる投資商品であり、米国債ETFを購入することで、個人投資家でも手軽に米国債へ分散投資ができます。 米国債は世界で最も信用度の高い債券の一つとされており、安定的な利息収入と安全性が魅力です。また、ETFを通じて短期国債や長期国債など、さまざまな年限の米国債に投資できる商品が用意されています。資産運用の観点では、株式よりもリスクが低い資産としてポートフォリオの安定 化に役立ち、為替変動の影響を考慮しながら運用する必要があります。投資初心者にとっては、「アメリカの国債をまとめて買える投資信託が、株のように売買できる商品」と理解するとわかりやすいでしょう。
外国株式型ETF
外国株式型ETFは、海外の株式市場に上場している企業の株価に連動する上場投資信託(ETF)です。国内の証券取引所で取引できるものと、海外市場に直接上場しているものがあります。 これにより、投資家は日本国内からでもアメリカやヨーロッパ、新興国市場の株式に分散投資することが可能です。 外国株式型ETFの魅力は、少額で幅広い銘柄に投資できる点と、リアルタイムで売買できる流動性の高さにあります。 また、為替リスクが伴うため、円安・円高の影響を受ける点には注意が必要です。 代表的な銘柄としては、米国の「S&P500」や「NASDAQ100」に連動するETF、新興国市場の指数に連動するETFなどがあり、投資対象は多岐にわたります。




