円安の今、ドル建て保険に入るべきでしょうか?
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2025/09/03 08:42
女性
40代
円安が進む今、受取の円換算額は増えるため、ドル建て保険の加入が有利と聞きました。ドル建て保険に今入るべきか、何を基準に判断すべきでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
結論として「今だから入る」という判断が正しいかどうかは、目的と資金余力、運用期間で決まります。
確かに、円安下は円払いの保険料負担が重くなりますが、受取の円換算額は増えます。死亡保険金が10万米ドルの場合、1ドル100円なら1,000万円、1ドル150円なら1,500万円となるためです。
ただし、保険金を受け取るタイミングの為替がどうなっているかは、誰にもわかりません。将来円高に振れると、想定よりも保険金や解約返戻金が少ない可能性もあります。
さらに、為替手数料(1ドル0.25〜1.00円)や保険関係費用、早期解約の解約控除が実質利回りを押し下げます。低解約払戻金型では、払込中の返戻金が約70%に抑制されるため、損失の発生につながります。
ドル建て保険に加入する際には、まず加入目的を明確にすることが重要です。純粋な保障確保が目的なのか、資産分散としての外貨建て資産確保が目的なのか、あるいは将来の海外での資金需要に備えるためなのかによって、検討の方向性が変わってきます。
為替リスクについても十分な理解が必要です。現在の円安が今後も続くとは限らず、円高に転じた場合には為替差損が生じる可能性があります。逆に、さらなる円安進行時には為替差益が期待できますが、これらの予測は非常に困難です。
ドル建て保険は保険機能と投資機能を併せ持つ複合商品であることを理解し、家計全体における外貨建て資産のバランスや、あなたのリスク許容度を十分考慮した上で判断することが重要です。
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