Loading...

MENU

投資の知恵袋>

小規模宅地の特例とはどのような場合に活用できますか?

回答受付中

0

2025/07/31 08:17


男性

60代

question

両親が住んでいた自宅を相続することになったのですが、相続税が高額になるのではと心配しています。調べたところ「小規模宅地等の特例」という制度があるようですが、どのような場合に使えるのか、また使えない条件も含めて教えていただけますか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

小規模宅地等の特例とは、被相続人(亡くなった方)が使っていた自宅や事業用の土地について、一定の条件を満たすと相続税評価額を大幅に減額できる制度です。具体的には、最大で80%(賃貸用地は50%)の減額が認められ、相続税の負担を大きく軽減できます。たとえば、評価額が1億円の土地でも、特例により2,000万円として評価されるケースもあります。

この特例が使える土地にはいくつかの種類があります。たとえば、被相続人の自宅である「特定居住用宅地」では、330㎡まで80%の評価減が適用されます。また、自営業などで使っていた土地(特定事業用宅地)や、同族会社が利用していた土地(同族会社事業用宅地)も、それぞれ400㎡まで80%減が可能です。不動産賃貸に使っていた土地(貸付事業用宅地)は200㎡までで、減額率は50%となります。これらは合計で730㎡を上限に、組み合わせて適用できます。

ただし、特例を受けるにはいくつかの要件があります。自宅の場合、相続開始時点で被相続人が住んでいたことが前提であり、相続人が配偶者か同居親族である必要があります。また、「家なき子」といって、自宅を持たず賃貸などに住んでいた別居の親族も、一定条件を満たせば対象になります。相続人は相続税の申告期限(相続開始から10か月以内)までに居住や事業の継続をしなければならず、その後も原則として3年間は土地の利用を継続する必要があります。

注意点として、次のような場合には特例が適用されません。たとえば、遺産分割協議が期限までにまとまらなかった場合や、土地を売却・賃貸してしまい継続利用の要件を満たさなくなった場合です。また、二世帯住宅で建物が区分登記されている場合や、被相続人と相続人の住居が実質的に別と判断されるケースも、要件を満たさない可能性があります。

特例を活用するには、早い段階での準備が重要です。遺産分割がまとまらないと特例が使えなくなるリスクがあるため、相続開始後すぐに分割方針を固めることが望ましいです。また、特例を使った場合と使わなかった場合の相続税額の比較シミュレーションを税理士などの専門家と行い、どのように分割・申告するのが最も有利かを検討する必要があります。さらに、適用後も用途変更などをすると特例が取り消され、追加課税される可能性があるため注意が必要です。

小規模宅地等の特例は、土地を相続した人の生活や事業の継続を前提に設けられた制度であり、相続税対策として非常に効果的です。ただし、要件が細かく複雑なため、早めに専門家と相談しながら、遺産の分け方や申告の準備を進めることが大切です。特に土地を複数人で共有する場合や、将来的に売却予定がある場合は、制度の活用に支障が出ることもあるため、事前の確認と計画が不可欠です。

佐々木 辰さんに相談する
コンシェルジュ編集部に相談CTA

関連記事

不動産投資はなぜ相続税対策になる?評価額を圧縮する仕組みと失敗しないための注意点を徹底解説

不動産投資はなぜ相続税対策になる?評価額を圧縮する仕組みと失敗しないための注意点を徹底解説

2025.08.04

難易度:

不動産投資相続タックスプランニング

関連する専門用語

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、相続が発生した際に、被相続人が居住や事業に使用していた土地について、一定の条件を満たせば、その土地の相続税評価額を大幅に減額できる制度です。主な目的は、相続税負担によって自宅や事業用不動産を手放すことを防ぎ、円滑な資産承継を支援することにあります。 たとえば、亡くなった方の自宅に配偶者や同居していた親族が引き続き居住する場合、その宅地の評価額を最大で80%まで減額できる可能性があります。事業用地や貸付事業に用いられていた土地についても、50%〜80%の減額が認められるケースがあります。この減額によって相続税の課税対象となる財産の価額が抑えられるため、納税資金の負担が軽減され、不動産を売却せずに相続を完了できる事例も多く見られます。 ただし、この特例の適用には、居住や事業の継続に関する要件、土地の面積制限(最大330㎡まで)など、細かな条件を満たす必要があります。また、相続税申告期限内に適用を受ける旨を申告することが必須であり、準備不足や誤解によって適用を逃すケースもあるため注意が必要です。 自宅や事業用不動産を含む資産を次世代に円滑に引き継ぐ上で、この特例は極めて重要な制度のひとつです。早めに対策を講じ、制度の内容を正しく理解したうえで、税理士など専門家のサポートを受けながら計画的に進めることが求められます。

相続税

相続税とは、人が亡くなった際に、その人の財産を配偶者や子どもなどの相続人が受け継いだときに課される税金です。対象となる財産には、預貯金や不動産、株式、貴金属、事業用資産などが含まれ、相続財産の合計額が一定の基準額を超えると課税対象となります。 相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除があり、この範囲内であれば原則として税金はかかりません。しかし、資産規模が大きい場合や相続人の数が少ない場合には、課税対象となり、10%〜55%の累進税率が適用されます。 さらに、相続税にはさまざまな非課税枠や控除制度が設けられており、これらを適切に活用することで税負担を抑えることが可能です。代表的な制度には以下のようなものがあります。 - 生命保険金の非課税枠:法定相続人1人あたり500万円まで非課税 - 死亡退職金の非課税枠:生命保険と同様に1人あたり500万円まで非課税 - 債務控除:被相続人に借入金などの債務があった場合、その金額を控除可能 - 葬式費用の控除:通夜・葬儀などにかかった費用は、相続財産から差し引くことができる また、配偶者には配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分まで非課税)が認められており、適切に遺産分割を行えば、税額を大幅に減らすことができます。 相続税は、財産の種類や分割の仕方、受け取る人の立場によって税額が大きく変動するため、生前からの対策が非常に重要です。生命保険や不動産の活用、資産の組み替えなどを通じて、相続税評価額をコントロールすることが、家族への負担を減らし、スムーズな資産承継を実現するための鍵となります。

被相続人

被相続人とは、亡くなったことにより、その人の財産や権利義務が他の人に引き継がれる対象となる人のことです。つまり、相続が発生したときに、その資産の元々の持ち主だった人を指します。たとえば、父親が亡くなって子どもたちが財産を受け継ぐ場合、その父親が「被相続人」となります。相続は被相続人の死亡と同時に始まり、相続人は法律や遺言の内容にしたがって財産を引き継ぎます。資産運用や相続対策を考える際、この「被相続人」という概念はすべての出発点となる重要な言葉です。

遺産分割協議

遺産分割協議とは、相続人が複数いる場合に、誰がどの財産をどのように受け取るかを話し合って決める手続きのことです。預貯金や不動産、有価証券などすべての遺産が対象になります。原則として相続人全員の合意が必要で、話し合いの結果を「遺産分割協議書」という文書にまとめて、全員が署名・押印します。遺言書がない場合や、遺言があっても一部の財産について分け方が指定されていないときに行われます。もし話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所での調停手続きに進むことになります。

無料で相談してみる

専門家に相談してみませんか?

無料で相談してみる

投資の知恵袋では、あなたの投資や資産に関する疑問や悩みを専門のアドバイザーに気軽に相談することが可能です。
ぜひご利用ください。

専門家に質問してみる

関連記事

不動産投資はなぜ相続税対策になる?評価額を圧縮する仕組みと失敗しないための注意点を徹底解説

不動産投資はなぜ相続税対策になる?評価額を圧縮する仕組みと失敗しないための注意点を徹底解説

2025.08.04

難易度:

不動産投資相続タックスプランニング
相続税の控除と非課税枠とは?基礎控除や配偶者控除などの計算方法も徹底解説

相続税の控除と非課税枠とは?基礎控除や配偶者控除などの計算方法も徹底解説

2025.06.27

難易度:

遺産分割協議書とは?2024年相続登記義務化に対応した作成方法と必要書類・注意点を徹底解説

遺産分割協議書とは?2024年相続登記義務化に対応した作成方法と必要書類・注意点を徹底解説

2025.07.11

難易度:

相続

資産運用に役立つ情報をいち早くGET!

無料LINE登録

資産運用について気軽にご相談したい方

プロへ相談する

当メディアで提供するコンテンツは、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。 また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

投資のコンシェルジュ

運営会社: 株式会社MONO Investment

Email:

運営会社利用規約各種お問い合わせプライバシーポリシーコンテンツの二次利用について

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.