特定親族特別控除を受けるための条件を教えてください。
特定親族特別控除を受けるための条件を教えてください。
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2025/11/05 09:26
男性
学生時代や扶養の関係で所得控除について調べているうちに「特定親族特別控除」という言葉を見かけましたが、どのような人が対象になるのかがよく分かりません。控除を受けるための具体的な条件や、申告の際に必要な手続きについても教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
「特定親族特別控除」とは、正式には2025年から導入された「特定扶養親族特別控除」を指し、19歳以上23歳未満の子どもを扶養している親などが対象となります。学生アルバイトなどで収入が増えても、親の扶養控除が急にゼロにならないように段階的に控除を維持できる制度です。子どもの合計所得が58万円以下(給与収入123万円以下)であれば従来どおり控除額は63万円、85万円以下(150万円以下)でもそのまま維持されます。85万円超から123万円以下(188万円以下)は控除額が段階的に縮小し、123万円を超えると対象外になります。
控除を受けるには、配偶者以外の親族であること、生計を一にしていること、合計所得が基準内であること、事業専従者でないことなど、従来の扶養控除と同様の条件を満たす必要があります。給与所得者の場合、年末調整の際に会社へ提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に該当する子を記載し、収入見込みなどを申告します。マイナンバーや本人確認書類の提示が必要で、別居している場合は仕送りなど生計を共にしていることを示す資料が求められる場合があります。確定申告を行う場合は、扶養控除欄で同様の情報を記載します。
注意点として、税法上の扶養と社会保険上の扶養は基準が異なるため、税では控除対象でも健康保険では扶養から外れる可能性があります。また、学生本人には本人の税金を軽減する「勤労学生控除」もあり、親の特定扶養親族控除とは別制度です。
なお、「特定親族特別控除」という呼称は誤りで、正しくは「特定扶養親族特別控除」です。似た名称の「配偶者特別控除」とは内容が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
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特定扶養親族特別控除
特定扶養親族特別控除とは、所得税や住民税の計算において、特定の年齢層の扶養親族を養っている場合に適用される追加の控除制度です。具体的には、16歳以上23歳未満の子どもなどが対象となり、通常の扶養控除に加えて、特別に一定額が所得から差し引かれます。この制度は、進学や就職前の子どもを持つ家庭は教育費などの負担が大きいという社会的背景を考慮して設けられています。そのため、子どもが高校や大学に通っている家庭では、この控除を活用することで税金の負担を軽減することができます。
扶養控除
扶養控除とは、所得税や住民税を計算する際に、扶養している家族がいる場合にその人数や年齢に応じて課税対象となる所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。これにより、税金の負担が軽くなります。対象となるのは、16歳以上の子どもや親などで、生計を共にしており、年間の所得が一定額以下であることが条件です。 子どもが16歳未満の場合は扶養控除の対象にはなりませんが、別途「児童手当」などの支援があります。控除額は扶養親族の年齢や学生かどうかなどによって異なり、たとえば「特定扶養親族(19歳以上23歳未満の子ども)」はより大きな控除額が認められています。税負担を軽減し、家族を支える世帯への配慮を目的とした制度です。
扶養控除等申告書
扶養控除等申告書とは、会社員やパート・アルバイトなどが勤務先に提出する書類で、自分に扶養する家族がいるかどうかを申告するためのものです。この書類を提出することで、扶養控除や配偶者控除などの税制上の優遇が受けられ、源泉徴収される所得税の額が少なくなります。通常は年の初めに勤務先へ提出し、提出していない場合は高めの税額が天引きされてしまうため注意が必要です。投資や資産運用を行ううえでも、可処分所得を増やすために税負担を軽減することは大切であり、この申告書はその第一歩となる基本的な手続きです。
年末調整
年末調整とは、会社員や公務員などの給与所得者が1年間に納めるべき所得税の額を、年末に雇用主が計算し直して精算する手続きのことです。通常、毎月の給与からあらかじめ見込みで所得税が源泉徴収されていますが、年末に実際の収入や各種控除(配偶者控除、扶養控除、保険料控除など)を反映させて正確な税額を算出し、過不足を調整します。 税金を払いすぎていた場合には還付され、足りなかった場合は追加で徴収されることがあります。年末調整によって、多くの給与所得者は確定申告をしなくても納税が完結する仕組みになっており、手間の軽減と課税の公平性を両立させる重要な制度です。ただし、自営業者や副業収入がある人、医療費控除や住宅ローン控除を受けたい人などは、年末調整だけでは対応できず、別途確定申告が必要になります。
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。
勤労学生控除
勤労学生控除とは、学生がアルバイトやパートで収入を得ている場合に、一定の条件を満たすと所得税や住民税の負担を軽減できる制度です。学業と仕事を両立する学生を支援する目的で設けられています。 通常、学生でも所得が一定額を超えると税金が発生します。目安は以下の通りです。 - 所得税:給与収入が103万円を超えると課税対象 - 住民税:おおむね100万円を超えると課税対象 勤労学生控除を適用すると、これらの課税ラインが上がり、年収120万円前後までなら所得税・住民税がかからないケースもあります。 控除額は所得税で27万円、住民税で26万円です。課税所得からこの金額を差し引いて税額を計算します。たとえば給与収入が120万円の場合でも、基礎控除と勤労学生控除を合わせることで課税所得がゼロとなり、税金がかからないことがあります。 この控除を受けるには、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。 - 合計所得金額が75万円以下であること(給与収入で130万円以下相当) - 給与所得以外の所得が10万円以下であること - 学校教育法に定める学校の学生・生徒であること(大学・短大・高校・専修学校など) 控除の適用は、年末調整または確定申告で申告することで受けられます。 なお、勤労学生控除は扶養控除と同一人物に対して併用できません。勤労学生控除を受けるほどの所得(給与収入103万円超)になると、所得基準上すでに親の扶養控除の対象外となります。一方で、勤労学生控除を受けている本人が自分の子どもなどを扶養している場合には、その子に対して扶養控除を適用することは可能です。 学業と両立しながら働く学生にとって、課税のしくみを理解し、勤労学生控除で非課税枠を広げることが、手取りを最大化する第一歩といえるでしょう。




