相続放棄の「3か月ルール」とは何ですか?
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2025/07/25 08:31
男性
30代
最近身内が亡くなりました。多額の負債を抱えていたことが判明したため、周囲から、「相続放棄には3か月ルールがある」から気をつけてと言われました。この「3か月ルール」とは、どういったものでしょうか?また、仮にこの期間を過ぎてしまうと、どうなるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
相続放棄をするには、自分が相続人だと知った日(通常は死亡を知った日)から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出し、受理される必要があります。
この期間は法律上「熟慮期間」と呼ばれ、相続財産や借金などの負債を調べ、財産目録を作成して判断するための猶予期間です。期間内に財産調査が難しい場合は、「熟慮期間伸長の申立て」で期間延長も認められます。
期限を過ぎると原則として「単純承認」となり、すべての財産と負債を無条件で相続することになります。
なお、期間経過後でも、予期しない多額の負債が後から判明するなど相当の理由があれば、家庭裁判所への申し立てにより例外的に放棄が認められるケースもあります。いずれにせよ、熟慮期間内の迅速な対応が重要です。
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関連する専門用語
相続放棄
相続放棄とは、亡くなった人の財産を一切受け取らないという意思を家庭裁判所に申し立てて、正式に相続人の立場を放棄する手続きのことです。相続には、プラスの財産(預貯金や不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借金や未払い金など)も含まれるため、全体を見て相続すると損になると判断した場合に選ばれることがあります。 相続放棄をすると、その人は最初から相続人でなかったものとみなされるため、借金の返済義務も一切負わなくて済みます。ただし、相続があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があり、その期限を過ぎると原則として相続を受け入れたとみなされてしまいます。したがって、放棄を検討する場合は早めの判断と手続きが重要です。
熟慮期間
熟慮期間とは、相続人が相続を「する」「しない」を決めるために与えられている法的な猶予期間のことです。具体的には、相続が開始されたことを知った日から3か月以内に、相続するかどうかを決めて家庭裁判所に申し出る必要があります。 この3か月の間に、亡くなった方の財産や借金の状況を確認し、自分にとって相続が得か損かを見極めることが求められます。もし期間内に何も手続きをしなければ、法律上は「相続する」と判断され、自動的にすべての財産と負債を引き継ぐことになります。資産運用の観点からは、負の遺産を回避するための重要な判断期間であり、財産の内容を冷静に分析する時間でもあります。
単純承認
単純承認とは、相続が発生した際に、被相続人(亡くなった方)の財産をそのまま全て受け継ぐと決める手続きのことをいいます。この場合、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産もすべて引き継ぐことになります。単純承認は特別な手続きをしなくても、相続人が財産を使ったり処分したりすると自動的に成立することが多いため、慎重な判断が必要です。 たとえば、被相続人に多額の借金があった場合、それも自分が返済する責任を負うことになりますので、相続を受ける前には、財産の内容をよく調べることが大切です。
相続放棄申述書
相続放棄申述書とは、相続人が「相続を放棄します」という意思を正式に表すために、家庭裁判所に提出する書類のことです。この書類を提出することで、相続人は被相続人の財産や負債を一切引き継がないという選択を法的に行うことができます。相続放棄をするには、被相続人が亡くなったことを知ってから3か月以内に、この申述書を家庭裁判所へ提出しなければなりません。 申述書には、放棄する理由や自分が相続人であることの確認情報などを記載します。借金などのマイナスの財産を抱えたくない場合に用いられる重要な書類ですので、記入ミスや提出期限に注意する必要があります。
熟慮期間伸長の申立て
熟慮期間伸長の申立てとは、相続するかどうかの判断をするために与えられている3か月の熟慮期間を延ばしてもらうよう家庭裁判所に申し出る手続きのことです。相続財産の内容が複雑で調査に時間がかかる場合や、遠方にある財産の確認が必要な場合など、3か月以内に判断を下すのが難しいときに利用されます。 裁判所に正当な理由を説明し、認められれば熟慮期間が延長され、その分だけ相続の可否を慎重に判断する時間が確保されます。資産運用の観点からは、財産の全容が見えにくいときに、負債をうっかり引き継ぐリスクを避けるために重要な手段となります。