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相続放棄の手続きは?必要書類や申述書、できない場合の注意点を徹底解説
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執筆者:
公開:
2025.07.25
更新:
2026.02.20
相続が発生したとき、「借金があるかもしれない」「不動産の維持が難しい」と気づいても、相続放棄は期限や手続きの誤解で失敗しやすい制度です。特に、3か月の熟慮期間を過ぎたり、預金の払戻し等で財産に触れると放棄できないおそれがあります。この記事では、相続放棄の判断材料から、申述の流れ・必要書類・費用、NG行為、期限が迫る場合の対処まで具体的に解説します。
相続放棄で失敗しない3原則
相続放棄とは、亡くなった方(被相続人)の財産や借金を一切受け継がないと家庭裁判所に申し出る手続きです。
この手続きが認められると、その人は初めから相続人ではなかったと扱われます。つまり、預貯金や不動産といったプラスの財産を相続できなくなる代わりに、借金などのマイナスの財産を引き継ぐ義務もなくなります。
相続放棄は「期限」「単純承認」「延長策」の3点を最初に押さえるだけで、失敗リスクを大きく減らせます。まずは結論として、次の3原則で判断と行動の順番を固定しましょう。
相続放棄で失敗しない3原則
- 原則3か月(起算点に注意)
- 財産に触らない(単純承認リスク)
- 迷うなら「期間伸長」も選択肢
相続方法を決める上で、最も重要なのが「3か月ルール」です。これは、自分が相続人であることを知った時から3か月以内に、相続方法を決めなければならないという法律上の期限です。
- この3か月間は「熟慮期間」と呼ばれ、遺産を調査し、相続するか放棄するかをじっくり考えるための期間とされています。もし、この期間を過ぎてしまうと、原則として相続放棄は認められません。何もしないでいると、すべての財産と借金を相続する「単純承認」を選んだと自動的にみなされるので注意が必要です。
預金の払戻しや遺産の処分など相続財産に手を付けると、単純承認とみなされ放棄できなくなるおそれがあるため、判断が固まるまでは触れないのが安全です。債務の有無が不明で調査に時間がかかるなら、期限前に家庭裁判所へ期間伸長を申し立て、判断時間を確保しましょう。
相続放棄・単純承認・限定承認を比較|あなたに最適な選択肢は?
相続の方法には、相続放棄の他に「単純承認」と「限定承認」があります。ご自身の状況に合わせて、最適なものを選ぶ必要があります。
| 項目 | 相続放棄 | 単純承認 | 限定承認 |
|---|---|---|---|
| 意味 | 相続する権利を完全に放棄する | プラス・マイナスの財産をすべて引き継ぐ | プラスの財産の範囲内でのみマイナスを引き継ぐ |
| プラスの財産(資産) | 受け取れない | 受け取れる | 受け取れる(ただし債務返済に充当) |
| マイナスの財産(借金・債務) | 一切引き継がない | すべて引き継ぐ(自腹になる可能性あり) | プラスの財産を超える分は支払わなくてよい |
| 手続き方法 | 家庭裁判所に申述 | 特に手続き不要(何もしなければ自動的に) | 家庭裁判所に申述(相続人全員で行う) |
| 期限 | 相続を知った日から3ヶ月以内 | 期限なし(3ヶ月以内に何もしなければ自動成立) | 相続を知った日から3ヶ月以内 |
| こんな時に選ぶ | 借金が多い・関わりたくない | 財産が明らかにプラスの場合 | 財産の内容が不明で損をしたくない場合 |
| 撤回 | 原則できない | 原則できない | 原則できない |
| 注意点 | 相続順位が次の人に移る | 後から多額の借金が発覚しても返済義務あり | 手続きが複雑・費用がかかる場合あり |
要するに、「単純承認」はすべてを受け継ぐ、「限定承認」はプラスの財産の範囲で返済する、「相続放棄」はすべて手放す、という違いがあります。
負債・不要な不動産があるなら相続放棄も選択肢
相続放棄を検討する際は、まず亡くなった方の遺産内容を正確に調査することが不可欠です。どのようなプラスの財産があり、どれくらいのマイナスの財産(負債)があるのかを把握しましょう。
調査結果をもとに財産の一覧表を作り、プラスとマイナスを比較します。明らかに負債が多い場合や、管理が難しい不動産だけが残されているような場合は、相続放棄が有力な選択肢となるでしょう。
判断の前に必須|借金の総額を正確に調べる方法
具体的には、以下の資料をもとにプラスの財産とマイナスの財産を洗い出しましょう。
把握すべき財産
- 現金・預貯金の確認:金庫やタンス預金の有無、故人名義のすべての銀行通帳を確認し、残高証明書を取り寄せる
- 有価証券や保険の確認:株式や投資信託の取引報告書、生命保険の保険証券などを探し、資産価値を評価する
- 不動産の確認:固定資産税の納税通知書や名寄帳(なよせちょう)を取り寄せ、所有する不動産とその評価額を調べる
- 負債の確認:ローン契約書や返済予定表、クレジットカードの利用明細、消費者金融からの郵便物などを確認し、借金の総額を把握する。見落としを防ぐために信用情報機関(JICC・CICなど)への開示請求もおすすめ
繰り返しになりますが、相続放棄は一度きりの手続きで、撤回はできません。遺産の調査を丁寧に行い、家族ともよく話し合った上で、慎重に判断することが何よりも重要です。調査に時間がかかり、3か月の期限に間に合いそうにない場合は、家庭裁判所に期間の延長を申し立てることも可能です。
相続放棄ができなくなるため要注意!手続き前に知るべき3つのNG行為
相続放棄を考えているなら、手続きが完了するまで故人の財産には一切手を付けないのが原則です。もし特定の行為をしてしまうと、法律上、財産も借金もすべて相続する「単純承認」を選んだとみなされ、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
特に注意すべき3つのNG行為を確認しておきましょう。
NG行為1:預貯金の引き出しや形見分けなど、相続財産を処分する
相続放棄を検討している期間中に、故人の財産に手を付けることは極めて危険です。一定の行為を行うと、法律上「相続を承認した(単純承認)」とみなされ、放棄が認められなくなる可能性があります(民法第921条1号)。
以下のような行為は、「相続する意思がある」と判断されやすい典型例です。
単純承認とみなされる行為
- 故人の預金口座から現金を引き出して使用する
- 故人名義の不動産や自動車を売却したり、名義変更を行う
- 上場株式・投資信託などの金融資産を解約・換金する
- 骨董品・宝石・高価な遺品を「形見分け」として自分で持ち帰る
これらはいずれも、財産処分行為に該当するため、家庭裁判所に放棄申述をしても受理されないリスクがあります。
ただし例外的に、社会通念上相当とされる範囲での「葬儀費用の支払い」については、処分行為には当たらないとされています(民法第921条ただし書)。具体的には、故人の預金から葬儀費用や火葬料、死亡届提出などにかかる費用を支払うことは原則許容されます。
とはいえ、この例外の「相当性」の判断は事案ごとに異なるため、領収書や支出記録を保管することが重要です。判断に迷う場合や不安がある場合は、財産には極力触れず、事前に専門家(弁護士・司法書士)に相談することが確実な対応となります。
NG行為2:故人の借金や未払いの税金を一部でも返済する
債権者から支払いの督促が来ても、安易に対応してはいけません。故人の借金を相続財産から一部でも返済してしまうと、債務の存在を認めて相続したとみなされる可能性があります。
督促を受けた場合は、「現在、相続放棄を検討中です」と伝え、支払いを保留するようにしましょう。
NG行為3:相続放棄申述書を期限(3か月)までに提出しない
相続放棄の手続きは、自分が相続人だと知った時から3か月以内に、家庭裁判所で完了させる必要があります。
ここで重要なのは、「3か月以内に書類を発送する」のではなく、「3か月以内に裁判所に書類が到着し、受理される」ことが求められる点です。郵送にかかる日数も考慮し、期限ギリギリではなく、余裕を持って手続きを進めましょう。
相続放棄を自分で行う場合の手続きを5ステップで徹底解説
相続放棄の手続きは、大きく5つのステップで進めます。それぞれの段階でやるべきことを、順を追って確認していきましょう。
Step1.必要書類を漏れなく集める|戸籍謄本などの取得先リスト
まず、手続きに欠かせない書類を集めるところから始めます。書類には全員共通で必要なものと、ご自身の立場に応じて追加で必要になるものがあります。
| 立場 | 基本書類(全員共通) | 追加書類 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 全員共通 | ・被相続人の住民票除票 または 戸籍附票・申述人の戸籍謄本 | ― | |
| 配偶者 | 同上 | 被相続人の死亡記載がある戸籍謄本 | |
| 子 | 同上 | 被相続人の死亡記載がある戸籍謄本 | |
| 孫(代襲相続人) | 同上 | 被相続人の死亡記載がある戸籍謄本 | + 親(被相続人の子)の死亡記載がある戸籍謄本も必要 |
| 親・祖父母(第2順位) | 同上 | 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本類 | すでに亡くなっている子がいる場合、その子の出生から死亡までの戸籍謄本類も必要 |
| 兄弟姉妹(第3順位) | 同上 | 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本類+ 上位相続人(子・親など)が不在であることを証明する戸籍謄本類 | |
| 甥・姪(第3順位・代襲相続人) | 同上 | 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本類+ 上位相続人が不在であることを証明する戸籍謄本類 | + 親(被相続人の兄弟姉妹)の死亡記載がある戸籍謄本も必要 |
これらの戸籍類は、本籍地の市区町村役場で取得できます。郵送で請求すると時間がかかるため、早めに手配しましょう。
Step2.相続放棄申述書を作成する|裁判所から用紙を入手
次に、家庭裁判所に提出する正式な書類「相続放棄申述書(そうぞくほうきしんじゅつしょ)」を用意します。申述書は、相続放棄をする1人につき1通ずつ作成します。
申述書の用紙は、裁判所の公式サイトからダウンロードするか、家庭裁判所の窓口で直接入手できます。故人の情報、ご自身の情報、相続放棄をする理由などを記入し、署名押印します。
未成年者が手続きする場合、親などの法定代理人が代行します。ただし、その法定代理人も共に相続人であるなど、利害が対立する関係にある場合は、家庭裁判所で「特別代理人」を選任する必要があります。
Step3.家庭裁判所に提出する|管轄の調べ方と郵送・窓口での手順
書類の準備が整ったら、管轄の家庭裁判所に一式を提出します。提出先は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。裁判所のウェブサイトで管轄を確認しましょう。
提出方法は、郵送または窓口への直接持参のいずれかです。郵送の場合は、配達記録が残る書留郵便などを利用すると安心です。
手続きにかかる費用の目安
- 収入印紙代:800円(申述人1人あたり)
- 連絡用の郵便切手代:数百円〜1,000円程度(金額は裁判所ごとに異なります)
- 書類の取得費用:戸籍謄本1通450円など、取得する通数分の実費
Step4.裁判所からの照会書に回答する|失敗しないための記入ポイント
申立てをすると、後日、家庭裁判所から「照会書」という書類が郵送されてきます。これは、本当にご自身の意思で相続放棄をしようとしているのか、といった点を確認するためのアンケートのようなものです。
質問事項に沿って「回答書」に記入し、速やかに返送します。通常、返送期限は7日〜10日程度と短いため、届いたらすぐに中身を確認し、対応しましょう。
Step5.受理通知書が届けば完了|債権者や金融機関への連絡方法
回答書を返送し、内容に問題がなければ、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送られてきます。この通知書を受け取った時点で、相続放棄の手続きは正式に完了です。
この受理通知書は、あなたが相続放棄したことを証明する非常に重要な書類です。将来、債権者などから支払い請求をされた際に提示する必要があるため、大切に保管してください。
また、必要であれば、公的な証明書として「相続放棄申述受理証明書」を発行してもらうことも可能です。金融機関での手続きなどで提出を求められた際に利用できます。
相続放棄の期限(3か月)を過ぎたら?諦める前に試せる3つの救済策
「相続放棄の3か月期限が過ぎてしまった…」と気づいた時、もう手遅れだと諦めてしまうかもしれません。しかし、まだ打てる手は残されています。
何よりもまず、自己判断で諦めずに、すぐに弁護士や司法書士といった専門家へ事情を相談することが重要です。その上で、以下のような対策が取れないか検討しましょう。
救済策1.期限後でも放棄が認められる特別な事情を主張する
すでに相続放棄の申述期限(相続開始を知った日から3か月)を過ぎてしまった場合でも、一定の例外的事情が認められれば、相続放棄が受理される可能性があります。
代表的なケースとしては、「被相続人には借金が一切ないと信じており、かつ、そのように信じるに足る相当な理由があった」にもかかわらず、後から多額の債務が発覚した場合が挙げられます。
たとえば以下のような状況が該当する可能性があります。
- 被相続人と長年疎遠で、遺産の実情が不明だった
- 通帳・借用書など債務の証拠が残っていなかった
- 死後に突然、連帯保証債務の履行請求が届いた
このような「特別の事情」が家庭裁判所に認められれば、借金の存在を知った日を起算点として、あらためて3か月以内であれば相続放棄を申し立てることが可能です。
この判断については、最高裁昭和59年4月27日判決も「相続人が重大な負債の存在を知らなかったことに正当な理由がある場合には、熟慮期間は負債を知った時から起算される」との立場を明示しています(最判昭59・4・27民集38巻6号698頁)。
- ただし、こうした判断は家庭裁判所の裁量に委ねられるため、借金の存在を知った時期や信じていた理由の証拠(郵便物・相談記録・信用情報開示など)を客観的に整理した上で、速やかに弁護士や司法書士に相談することが不可欠です。
救済策2.家庭裁判所に認められなかった場合の「即時抗告」
仮に、期限後の相続放棄の申立てが家庭裁判所に認められなかった(不受理となった)場合でも、まだ方法はあります。
「即時抗告(そくじこうこく)」という不服申立てを行えば、高等裁判所でもう一度、相続放棄を認めるべきか審理してもらうことができます。
救済策3.期限前なら「期間伸長の申立て」が可能
これは期限後に気づいた場合の対策ではありませんが、「期限が迫っているが、財産調査が終わらない」という状況で使える手続きです。
まだ3か月の熟慮期間内であれば、家庭裁判所に「期間伸長の申立て」を行うことで、相続方法を決める期間を数か月延長してもらえる可能性があります。期限ギリギリで焦っている場合は、まずこの手続きを検討しましょう。
相続放棄は自分でできる?専門家に頼むべきケースと費用相場
相続放棄は自分一人で手続きすることも可能ですが、不安な場合は専門家である司法書士や弁護士に依頼することもできます。どちらが良いか判断するために、まずは費用の違いと、専門家の役割分担について見ていきましょう。
自分で行う場合と専門家に依頼する場合の費用の違い
相続放棄の手続きは、自力でも専門家に依頼しても進められます。選択肢を判断するうえでの費用の目安と、それぞれに向いているケースを確認しておきましょう。
自分で手続きする場合の費用
自力で進める場合にかかるのは、以下のような実費のみです。
- 収入印紙代(申述人1名あたり):800円
- 戸籍謄本や住民票などの取得費用:通数により数百円〜数千円
- 裁判所指定の郵便切手代:数百円〜1,000円程度
これらを合計して、概ね3,000円〜5,000円程度で手続きが完了するのが一般的です。時間に余裕があり、書類作成や役所での取得が苦にならない方には、自力での対応も現実的な選択肢となります。
専門家に依頼する場合の費用相場
専門家に依頼する場合の報酬は次のとおりです。
- 司法書士に依頼:1名あたり3万円〜5万円程度
- 弁護士に依頼:1名あたり5万円〜10万円程度(+着手金や実費が加算される場合あり)
司法書士については、日本司法書士会連合会の報酬基準により「裁判外書類作成業務」の上限は11万円(税込)とされていますが、実務では5万円以下で収まることが大半です。
司法書士と弁護士、どちらを選ぶべきか
専門家に依頼する際は、状況に応じて適切な専門職を選ぶことが重要です。それぞれの特性を以下に整理します。
| 専門職 | 向いているケース(典型) | 依頼できる主な範囲 | 向いている理由(狙えるメリット) | 注意点(限界) |
|---|---|---|---|---|
| 司法書士 | ・争いのない相続(相続人が1人、または協力的な親族のみ) ・書類不備を避けつつ費用を抑えたい ・基本の流れは把握しており、代理交渉までは不要 | ・家庭裁判所への申述書の作成・添付書類の作成支援・提出代行(手続サポート中心) | ・書類作成の実務に強く、手続ミスを減らせる ・弁護士に比べ費用を抑えやすい | ・他の相続人との代理交渉や紛争対応(トラブル案件)には不向き |
| 弁護士 | ・他の相続人との交渉や裁判所対応まで一括で任せたい ・遺産分割トラブルが予想されるなど、争いがある ・借金の存在をめぐる認識違いがある ・期限後の相続放棄を主張する必要がある ・費用より安全性 ・専門性を重視したい | ・書類作成・代理交渉 ・裁判所とのやりとり ・紛争化した場合の包括的代理対応 | ・交渉・紛争対応まで含めてリスクを下げられる ・争点整理や主張立証を含めた総合対応が可能 | ・司法書士より費用が高くなりやすい(安全性・専門性の対価) |
専門家を選ぶ際は、費用だけでなく、以下の3つの点を確認することをおすすめします。
- 相続案件の実績と専門性:その事務所や担当者が、相続放棄の手続きに精通しているかを確認しましょう。
- 明確な料金体系:どこまでの業務にいくらかかるのか、追加費用が発生する可能性はあるのか、事前に見積もりを取って明確に説明してもらいましょう。
- 担当者との相性や丁寧な対応:質問に対して親身に、分かりやすく答えてくれるかなど、信頼して任せられる相手かを見極めることも大切です。
また、費用面で不安な方は、まずお住まいの市区町村が設けている無料法律相談や、法テラス(日本司法支援センター)に相談してみるのも良い方法です。法テラスでは、収入などの条件を満たせば、無料相談や費用の立替制度を利用できる場合があります。
相続放棄しても受け取れる遺産
生命保険金:原則受け取れる(受取人次第で例外)
死亡保険金は、契約で指定された保険金受取人の固有財産です。そのため、相続放棄をしても「受取人として」受け取れるケースが多いです。
一方で、次のような場合は扱いが変わり得るため、受取前に契約関係を確認します。
- 受取人が亡くなった人本人になっている給付金(入院給付金等)
- 亡くなった人が契約者で、解約返戻金など「契約上の権利」が問題になる場合
- 受取人の指定が曖昧/契約内容が特殊な場合(約款・指定方法による)
実務では「契約者・被保険者・受取人」をセットで見て、「どのお金が受取人固有で、どれが相続財産側に寄るのか」を切り分けるのが安全です。
死亡退職金:規程次第で判断が割れ得る
死亡退職金は、会社の退職金規程等で受給者(順位・範囲)が定められているかで性質が変わります。規程があり「遺族が自己固有の権利として取得する」と判断できる場合、相続放棄と切り分けて扱われることがあります。
ただし、規程が不明確/受給者の定めがない等では、相続財産に準じた扱いが問題になり得ます。
- まず確認するもの:退職金規程(受給者の定義・順位)/支給決定通知/会社の案内文
- 注意点:受給者が「相続人」など相続資格に結びつく形だと、放棄の影響が出る余地があります(条文・運用の確認が必要)
迷う場合は、受領・手続を進める前に、会社(人事・総務)へ「受給権者の根拠(規程条項)」を確認した上で進めるのが無難です。
この記事のまとめ
相続放棄は、期限内(原則3か月)に資産・負債を十分調査し、家庭裁判所への申述を経て成立します。ただし預金を引き出す、遺産を処分するなどの行為をすると放棄が無効になるため要注意です。期限を過ぎてしまった場合でも、特別な事情を裁判所に説明することで救済措置が適用される可能性があります。手続きを自分で進めるか専門家に依頼するか迷ったときは、費用面と手間を比較しつつ、まずは司法書士や弁護士などの専門家に相談してみましょう。負債を背負うリスクを避けるためにも、早めの行動が大切です。

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
関連する専門用語
相続放棄
相続放棄とは、亡くなった人の財産を一切受け取らないという意思を家庭裁判所に申し立てて、正式に相続人の立場を放棄する手続きのことです。相続には、プラスの財産(預貯金や不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借金や未払い金など)も含まれるため、全体を見て相続すると損になると判断した場合に選ばれることがあります。 相続放棄をすると、その人は最初から相続人でなかったものとみなされるため、借金の返済義務も一切負わなくて済みます。ただし、相続があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があり、その期限を過ぎると原則として相続を受け入れたとみなされてしまいます。したがって、放棄を検討する場合は早めの判断と手続きが重要です。
被相続人
被相続人とは、亡くなったことにより、その人の財産や権利義務が他の人に引き継がれる対象となる人のことです。つまり、相続が発生したときに、その資産の元々の持ち主だった人を指します。たとえば、父親が亡くなって子どもたちが財産を受け継ぐ場合、その父親が「被相続人」となります。相続は被相続人の死亡と同時に始まり、相続人は法律や遺言の内容にしたがって財産を引き継ぎます。資産運用や相続対策を考える際、この「被相続人」という概念はすべての出発点となる重要な言葉です。
単純承認
単純承認とは、相続が発生した際に、被相続人(亡くなった方)の財産をそのまま全て受け継ぐと決める手続きのことをいいます。この場合、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産もすべて引き継ぐことになります。単純承認は特別な手続きをしなくても、相続人が財産を使ったり処分したりすると自動的に成立することが多いため、慎重な判断が必要です。 たとえば、被相続人に多額の借金があった場合、それも自分が返済する責任を負うことになりますので、相続を受ける前には、財産の内容をよく調べることが大切です。
限定承認
限定承認とは、相続人が引き継ぐ財産について、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産(借金など)を支払うことを条件に、相続を受ける方法のことです。つまり、相続によって得られる資産が借金を上回っている場合にはその差額を受け取ることができますが、もし借金が多くても、自分の財産を使ってまで返済する必要はありません。 この方法を使えば、相続することで損をするリスクを減らすことができます。ただし、限定承認を行うには、相続の開始を知ってから原則として3か月以内に、他の相続人全員と一緒に家庭裁判所に申立てをする必要があるため、手続きがやや複雑です。
相続放棄申述書
相続放棄申述書とは、相続人が「相続を放棄します」という意思を正式に表すために、家庭裁判所に提出する書類のことです。この書類を提出することで、相続人は被相続人の財産や負債を一切引き継がないという選択を法的に行うことができます。相続放棄をするには、被相続人が亡くなったことを知ってから3か月以内に、この申述書を家庭裁判所へ提出しなければなりません。 申述書には、放棄する理由や自分が相続人であることの確認情報などを記載します。借金などのマイナスの財産を抱えたくない場合に用いられる重要な書類ですので、記入ミスや提出期限に注意する必要があります。
申述人(しんじゅつにん)
申述人とは、裁判所などに対して正式な申し立て(申述)を行う人のことを指します。資産運用や相続の場面では、たとえば相続放棄や限定承認などの手続きを家庭裁判所に申し立てる人が申述人となります。申述人は、相続人や利害関係人など、法的にその手続きに関わる正当な立場の人に限られます。 申述人が提出する書類には、自身の氏名、住所、申述の理由などが記載されており、手続きの正当性を裏付ける重要な役割を果たします。申述人という言葉は日常ではあまり使われませんが、法的な手続きを進めるうえで中心的な存在です。







