ストップ安になった株が買えないのはなぜですか?
ストップ安になった株が買えないのはなぜですか?
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2025/08/12 10:49
男性
30代
株価がストップ安になった銘柄を買いたいと思って注文を出しても、なぜか約定しないことがあります。売り注文が多くて買えないと聞いたのですが、具体的にどういう仕組みで取引が成立しないのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
株式市場では、1日に動ける株価の幅(値幅制限)があらかじめ決められており、その下限に達した状態を「ストップ安」と呼びます。これは株価の急落を抑えるための安全装置のようなもので、これ以上下がらないように制限されています。
取引所では、売りたい人と買いたい人の注文を照らし合わせて取引を成立させる「オークション方式」が採用されています。基本的には「安く売りたい人」「高く買いたい人」の価格が一致すれば取引が成立します。しかし、ストップ安では売りたい人全員が最安値で並んでしまうため、価格ではなく「先に出した注文」が優先される“時間優先”のルールになります。
ストップ安になると、売りたい注文が圧倒的に多く、買いたい人の数が少ないという状態が発生します。たとえば、売り注文が10万株に対して、買い注文が500株しかなければ、オークションが成立せず、「売り気配」と呼ばれる状態が続きます。このようなときは、株価が一日中ストップ安のまま動かず、取引が成立しないことも珍しくありません。
また、取引所ではこうした不均衡を調整するために「特別気配」という仕組みを使います。これは、極端な売り買いの差があるときに、通常の板寄せを一時停止して、価格形成を調整するための措置です。しかし、これも需給バランスが取れなければ、結局は取引不成立のまま終了します。
一部のケースでは、終値をつけるために「比例配分」という方法がとられます。これは、買い注文が限られた数しかない場合に、その分だけ売り注文を抽選で約定させる仕組みです。つまり、買い注文はすべて成立しますが、売り側の中で誰が売れるかは抽選になります。このため、買い注文を出しても必ずしも成立するとは限りません。
結局のところ、ストップ安になった株が買えないのは、「売りが多すぎて取引が成立する条件が整わない」からです。株価は下がっているのに買えないのは、オークションが成立しないほど売りが殺到しており、買いの数がまったく足りていないからです。売り注文が減るか、買い注文が大幅に増えるまで、取引は成立しません。
また、ストップ安では成行注文が出せず、指値注文(ストップ安価格で指定)しか受け付けられない点にも注意が必要です。さらに、仮に朝早くに注文を出したとしても、既に板に大量の売り注文が並んでいる場合、順番が回ってくることはほとんどありません。
このように、ストップ安で株が買えないのは、「取引所のルールに基づくオークション方式」と「極端な需給バランスの崩れ」によって、あなたの注文が処理されないことが原因です。これは仕組み上避けがたいものであり、翌日以降、状況が落ち着いてくるのを待つ必要があります。
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ストップ安
ストップ安とは、株式市場で一日に下がることのできる最大限の価格まで株価が下落し、それ以上は取引ができなくなる状態のことです。これは、株価の急激な下落による混乱を防ぐために、取引所があらかじめ決めている制度です。株価が大きく下がり続けると投資家の不安が広がり、市場がパニックに陥る可能性があります。そのような極端な変動を一時的に食い止めることで、冷静な判断ができるように時間を確保する役割を果たしています。ストップ安になると、その銘柄の売買は可能ですが、価格はそれ以上下がらず、買い注文が非常に少ない場合は売りたい人がいても売れないことがあります。特に企業の業績悪化や不祥事、経済の悪材料などが原因で発生することが多いです。
値幅制限
値幅制限とは、株式などの金融商品が一日に変動できる価格の幅をあらかじめ定めておく制度のことです。この制度によって、ある銘柄の価格が急激に上がったり下がったりすることを防ぎ、市場の混乱やパニックを抑える役割を果たします。たとえば、ある株が前日に1,000円で終わった場合、値幅制限によってその翌日に取引できる範囲は上限1,100円、下限900円といったように決まります。 この上限まで株価が上がると「ストップ高」、下限まで下がると「ストップ安」と呼ばれます。値幅制限の幅は、株価の水準や市場の状況、特別な材料があるかどうかなどによって異なり、東証などの取引所がルールとして細かく定めています。
オークション方式
オークション方式とは、証券取引所や市場で売買価格を決定する際に、買いたい価格と売りたい価格を参加者が提示し、その条件が合致したところで取引を成立させる方法のことです。 株式市場では、特に取引開始時や終了時にこの方式が使われ、すべての注文を集めたうえで最も多くの取引が成立する価格が選ばれます。これにより、公平で透明性の高い価格形成が可能となり、一部の投資家だけが有利になることを防ぎます。初心者にとっては、特定の時間帯に価格が大きく動く理由を理解する上で大切な仕組みです。
特別気配
特別気配とは、株式市場で通常の取引が成立しないほど注文が一方に偏っているときに表示される特別な価格情報のことです。たとえば、買い注文が非常に多くて売り注文が少ない、またはその逆の状態になると、取引所は「特別気配」としてその銘柄の板情報に目立つ形で表示します。 この制度は、急激な値動きが起きないように投資家に状況を知らせ、冷静に注文を出す時間を与えるために導入されています。特別気配が出ると、その間は取引が一時停止され、注文が整理されるまで売買が成立しません。市場の需給バランスが崩れた際によく見られる現象で、上場廃止や業績修正、経営統合のニュースなどが原因になることがあります。
売り気配
売り気配とは、市場で「この価格なら売りたい」という売り注文が多く出ており、その価格帯で売却希望が優勢になっている状態のことです。証券会社の取引画面や板情報で確認でき、表示されている価格は売り手が提示している最低売却希望価格を示します。 売り気配が強い場合は、供給が需要を上回っているため、株価や商品の価格が下がりやすくなる傾向があります。初心者にとっては、自分が買い注文を出したときに成立しやすいかや、価格が下落する可能性を見極める参考になります。


