米国短期国債とはどんなものですか?また金利や利回りについても教えて下さい
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2025/09/08 09:09
男性
60代
米国短期国債の存在を最近知りましたが、どういうものか全く分かりません。米国債と聞くと安全性が高そうなイメージがありますが、短期国債はどんな特徴があるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
米国短期国債とは、アメリカ政府が発行する国債のうち、償還期間が1年以内のものを指します。一般的に「T-Bills(ティービル)」と呼ばれ、アメリカ政府が元本と利息の支払いを保証しているため、世界的にも最も安全性の高い金融商品のひとつと考えられています。
短期国債は、通常の債券のように利子を定期的に受け取る仕組みではありません。その代わり「割引方式」で販売されます。たとえば額面1,000ドルの国債を950ドルで購入し、満期時に1,000ドルを受け取ると、その差額50ドルが投資家の利益、つまり利息にあたります。この仕組みによって投資家は利回りを得ます。
金利や利回りは、アメリカの政策金利(フェデラルファンド金利)や市場の需給によって変動します。米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が金利を引き上げれば短期国債の利回りも上がりやすく、逆に利下げすれば利回りは低下する傾向があります。近年はインフレ抑制のため政策金利が高めに設定されており、それに伴って短期国債の利回りも比較的高い水準にあります。
資産運用の観点から見ると、米国短期国債は「元本を大きく減らさず、安全性を確保しながら短期間で運用したい」という人に向いています。日本の普通預金や定期預金と比べると利回りが高いケースが多く、魅力的な選択肢になり得ます。ただし、円で投資する場合は為替変動の影響を受けるため、為替リスクによって利益が減少したり損失が出る可能性もある点には注意が必要です。
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関連する専門用語
米国短期国債
米国短期国債とは、アメリカ政府が資金調達のために発行する満期が1年以内の国債のことを指します。一般的に「T-Bill(ティービル)」と呼ばれ、3か月、6か月、12か月といった短い期間で償還されるのが特徴です。利息は定期的に支払われるのではなく、割引発行方式が用いられ、額面より安く購入し、満期時に額面金額を受け取ることで利息相当分の収益を得ます。 米国債は信用度が非常に高く、短期国債は価格変動リスクが小さいため、安全性の高い投資商品として知られています。資産運用の観点では、余裕資金の一時的な運用先や、株式などリスク資産とのバランスをとるための安定資産として利用されます。投資初心者にとっては、「短い期間で返ってくる、アメリカ政府が発行する安全性の高い債券」と理解するとイメージしやすいでしょう。
割引方式
割引方式とは、債券などを発行する際に、額面金額よりも安い価格で販売し、満期時に額面で償還することで投資家が利息相当の利益を得る仕組みのことを指します。たとえば額面が100万円の債券を95万円で購入した場合、満期に100万円が戻ってきて、その差額5万円が利息にあたります。 この方式では、定期的に利息を受け取る「クーポン型債券」と違い、途中で利払いがなく、満期時に一度に利益が確定します。米国短期国債(T-Bill)などでよく用いられており、シンプルでわかりやすい仕組みです。投資初心者にとっては、「安く買って、満期に額面との差額が利益になる仕組み」と理解するとイメージしやすいでしょう。
Tビル(トレジャリービル/Treasury Bill)
Tビルとは、アメリカ合衆国政府が発行する短期国債、正式には「トレジャリービル(Treasury Bill)」のことを指します。満期は通常1年以内で、利息は支払われず、額面よりも安い価格で発行され、満期時に額面金額が支払われる仕組みになっています。非常に信用度が高く、安全性の高い運用先とされるため、資産運用の中でも現金代替や短期的な資金置き場として活用されることが多いです。金利や金融政策の動向を敏感に反映するため、市場環境を読む上でも重要な指標となります。
利回り
利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。
政策金利
政策金利とは、中央銀行が民間の金融機関に資金を貸し出す際の基準となる金利のことで、金融政策の中核をなすツールです。 中央銀行はこの金利を操作することで、経済全体の金利水準や通貨の流れを調整し、景気や物価の安定を図ります。たとえば、景気が冷え込んでいるときには政策金利を引き下げて(利下げ)お金を借りやすくし、消費や投資を促進します。逆に、インフレが進みすぎているときには政策金利を引き上げて(利上げ)需要を抑え、物価の上昇をコントロールしようとします。 政策金利の変更は、住宅ローンや企業の融資金利、預金金利など、私たちの生活に関わる金利にも波及します。また、株式市場・債券市場・為替市場にも大きな影響を与えるため、投資家にとっては極めて重要な経済指標です。 たとえば、中央銀行が予想以上に利上げを行った場合は、株式市場が下落し、通貨が上昇する可能性があります。逆に利下げが行われれば、株高・通貨安につながることが一般的です。 各国の中央銀行(例:日本銀行、FRB、ECBなど)は、定期的に会合を開き、経済情勢や物価の動向を見ながら政策金利を調整しています。
為替リスク
為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。