ビットコインへの投資は日本ではやめたほうがいいと友人に言われましたがなぜでしょうか?
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2025/09/09 09:01
男性
30代
ビットコイン投資について友人から「日本ではやめた方がいい」と言われましたが、その背景が分かりません。日本では税金や規制が海外と比べて不利だと聞いたことがあります。本当に「日本ではやめたほうがいい」と言えるのか、詳しく知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ビットコイン投資が「日本ではやめたほうがいい」と言われる理由の多くは、現行の税制にあります。日本では売却益や決済で得た利益が「雑所得」として扱われ、給与などと合算されて総合課税の対象となります。そのため所得が高い方では最大55%近い税率が適用され、税負担は株式や投資信託に比べて格段に重くなります。さらに、株やFXで認められている損益通算や損失の繰越控除も使えず、税務上の柔軟性がほとんどない点も大きな不利です。
取引環境については、日本の取引所は金融庁による登録制で安全性や利用者保護は高い反面、そのコストが手数料やスプレッドに反映されやすく、海外と比べて割高になる傾向があります。このため、安心感はあるもののコスト面では不利に感じられるケースが少なくありません。
一方で、近年は環境改善に向けた議論も進んでいます。2026年度の税制改正に向けて、暗号資産を株式と同様に「申告分離課税」に移行し、税率を一律約20%にする案が検討されています。加えて、損失を3年間繰り越せる仕組みも導入される方向性が示されています。これが実現すれば、現行制度で指摘されている不利な点は大幅に緩和され、日本でもビットコイン投資をしやすい環境が整う可能性があります。
したがって現時点では「税制面では確かに不利」というのは事実ですが、「絶対にやめた方がいい」とまでは言えません。むしろ規制の透明性と安全性は海外より優れている部分もあります。現実的なスタンスとしては、投資額を抑え、長期保有を前提としつつ、今後の税制改正の動向を注視することが重要です。制度が変われば、日本におけるビットコイン投資の位置づけは大きく変わっていくでしょう。
このテーマは特に高所得層や既に株式投資をしている方に直結するため、資産全体の戦略の中でどの程度ビットコインを組み込むかを専門家と一緒に考えることをお勧めします。
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関連する専門用語
雑所得
雑所得(ざつしょとく)とは、所得税法において定められた10種類の所得のうち、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得を指します。具体的には、公的年金や副業による収入、仮想通貨の売却益、FXの利益、非営業用貸金の利子などが該当します。 経費を差し引いた金額が課税対象となり、総合課税の対象となります。また、雑所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。
総合課税
総合課税は、給与や年金、事業収入、不動産収入、利子、配当など、1年間に得たさまざまな所得を合算し、その合計額に累進税率を適用して所得税を計算する方式です。 所得が増えるほど税率が高くなるため、高所得者ほど税負担が大きくなる点が特徴です。一方、金融所得には総合課税以外の課税方法を選択できる場合があります。 たとえば、株式譲渡益や先物取引益などは「申告分離課税」を選ぶことで、ほかの所得と区分して一律20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)で申告できます。 また、預貯金利息や一部の公社債利子などは、支払元が税金を源泉徴収する「源泉分離課税」となり、原則として確定申告は不要です。配当や利子のように課税方式を選択できるケースでは、ご自身の所得水準や控除の有無、損益通算の可能性を踏まえ、総合課税・申告分離課税・源泉分離課税のどれを採用するかを検討することが、最終的な税負担を抑えるうえで重要になります。
損益通算
投資で発生した利益と損失を相殺することで、課税対象となる利益を減らす仕組みのことです。たとえば、株式投資で50万円の利益が出た一方、別の取引で30万円の損失が発生した場合、損益通算を行うことで、課税対象となる利益は50万円から30万円を引いた20万円になります。この仕組みにより、納める税金を減らすことが可能です。 損益通算が適用されるのは、同じ「所得区分」の中でのみです。たとえば、株式や投資信託の譲渡損益や配当金などは「株式等の譲渡所得等」に分類され、この範囲内で損益通算が可能です。ただし、不動産所得や給与所得など、異なる所得区分間では基本的に通算できません。 さらに、株式投資の損失は、損益通算後も控除しきれない場合、翌年以降最長3年間繰り越して他の利益と相殺できます。これを「繰越控除」と呼び、投資初心者にとっても節税に役立つ重要なポイントです。
申告分離課税
申告分離課税とは、特定の所得について他の所得と分離して税額を計算し、確定申告を通じて納税する方式です。 主な対象となる所得は以下の通りです: - 譲渡所得: 土地や建物、株式などの譲渡による所得。 - 山林所得: 山林の伐採や譲渡による所得。 - 先物取引による所得: FXや商品先物取引による所得。 例えば、株式の譲渡所得については、他の所得と合算せずに分離して課税されます。また、上場株式等の配当所得についても、申告分離課税を選択することができます。
スプレッド(Spread)
スプレッド(Spread)とは、金融商品の売値(ビッド:Bid)と買値(アスク:Ask)の差のことをいいます。主に外国為替市場や債券市場、株式市場などで使われる用語です。 ビッド(Bid)は投資家がその商品を「売るときに受け取れる価格」、アスク(Ask)は「買うときに支払う価格」を指します。スプレッド(Spread)が広いほど、投資家にとっての取引コストが高くなるため、売買のタイミングには注意が必要です。 一般的に、流動性の低い市場や銘柄ではスプレッドが広がりやすく、反対に、取引が活発な市場ではスプレッドが狭くなる傾向があります。そのため、スプレッドの大きさは、市場の流動性や取引コストを判断する一つの指標となります。
暗号資産(仮想通貨/暗号通貨)
暗号資産とは、インターネット上でやり取りされるデジタルな財産のことで、代表的な例にビットコインやイーサリアムがあります。これらはブロックチェーンという分散型台帳技術を基盤とし、国家や中央銀行といった特定の管理主体を持たずに取引されるのが特徴です。 日本では「暗号資産」という名称が資金決済法上の正式な用語として定義されており、これに該当するトークンは法的に一定の規制下に置かれています。たとえば、暗号資産交換業者には登録制が課され、ユーザー保護やマネーロンダリング防止の観点からの監督も強化されています。 資産としての取り扱いについては、税務上は原則「雑所得」として扱われ、短期売買による利益も総合課税の対象となります。また、会計上は現金や有価証券ではなく、「その他の資産」として分類されるのが一般的です。 現在では、決済手段や資金移動のほか、価格変動を狙った投資対象としての側面が大きく、資産運用の一選択肢として注目を集めています。しかしその一方で、価格の急激な変動、ハッキング、保管の難しさといったリスクも内在しており、法律・税務・セキュリティの観点から十分な知識と準備が求められます。