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ソニー生命の変額個人年金保険「SOVANI」完全ガイド|特徴やメリット、向いている人を解説

ソニー生命の変額個人年金保険「SOVANI」完全ガイド|特徴やメリット、向いている人を解説

難易度:

執筆者:

公開:

2025.09.11

更新:

2025.09.11

生命保険

老後資金の準備方法として注目を集めている、ソニー生命の変額個人年金保険「SOVANI(そばに)」。月額3,000円から始められる手軽さと、無告知で加入できる利便性が人気を集めています。

ただし、変額個人年金保険は運用実績によって将来の年金額が変動するため、リスクも存在します。本記事では、中立的な立場からSOVANIの特徴やメリット・デメリット、実際の運用実績データを詳しく解説していきます。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むことで、ソニー生命「SOVANI」の実像を多面的に理解できます。月額3,000円からの少額積立や、無告知で加入できる利便性が支持される理由を把握できます。2024年には世界株式型が年率25%超の運用成果を記録するなど、運用実績も紹介。年率1.2%の維持費用や10年未満解約での控除などリスク要因も明示しつつ、「将来の老後資金準備にどんな選択をすべきか」を前向きに考えるヒントが得られます。

目次

ソニー生命の変額個人年金「SOVANI」とは何か

変額個人年金保険の仕組み

2022年発売の新商品

累計80万件突破の理由

2種類の比較と違い

月払い型の特徴

一時払い型の特徴

用意されている16種類の特別勘定

バランス型4種類

株式・債券型8種類

リート型4種類

ポートフォリオの組み方

「SOVANI」の5つの主要メリット

無告知で加入できる

運用益を得られれば年金額を増やせる

インフレに強い

生命保険料控除で節税できる

ライフプランナーからの支援を受けられる

「SOVANI」5つのリスクと注意点

元本割れの可能性がある

年率1.2%の維持費用がかかる

10年未満に解約すると解約控除が適用される

最低保証がない

生命保険保護機構の対象外である

実際の運用実績データ

2024年の運用成績

特別勘定別パフォーマンス

契約後に発生する費用の内訳

運用関係費用

保険関係費用

契約締結費用

解約控除費用

「SOVANI」が向いている人の特徴

20~50代の資産形成層

15年以上の長期運用ができる人

リスク許容度がある人

「SOVANI」が向いている人の特徴

5年以内にライフイベントが控えている人

元本保証を重視している人

60歳以降の新規加入者

「SOVANI」・iDeCo・NISAとの比較

SOVANIの優位性

iDeCo・NISAの優位性

ソニー生命の変額個人年金「SOVANI」とは何か

SOVANIは、ソニー生命が2022年10月から販売を開始した変額個人年金保険の愛称です。正式名称は「変額個人年金保険(無告知型)22/無配当」および「一時払変額個人年金保険(無告知型)22/無配当」となります。

従来の定額個人年金保険とは異なり、払い込んだ保険料を株式や債券などで運用し、その運用実績に応じて将来受け取る年金額が変動する仕組みとなっています。運用がうまくいけば年金額が増加する可能性がある一方、元本割れのリスクも存在する商品です。

変額個人年金保険の仕組み

変額個人年金保険は、契約者が払い込んだ保険料を「特別勘定」と呼ばれる専用の運用口座で管理・運用する保険商品です。特別勘定では、国内外の株式や債券、不動産投資信託(リート)などに分散投資を行います。

一般的な定額個人年金保険が「一般勘定」で安定運用を行い、契約時に将来の年金額が確定するのに対し、変額個人年金保険は運用成果によって年金原資が増減します。株価上昇や円安などの市場環境が良好な場合は、払込保険料を大きく上回る年金を受け取ることが可能です。

ただし、運用がマイナスになった場合は、払い込んだ保険料の総額を下回ることもあります。

2022年発売の新商品

SOVANIは、ソニー生命が従来の「変額個人年金保険(無配当)」を全面リニューアルして2022年10月に発売した新商品です。最低保険料を月額1万円から3,000円に引き下げ、より多くの人が資産形成を始めやすい設計に変更されました。

デジタル技術を活用した「ソニー生命アプリ」での運用状況確認や、ライフプランナーによる継続的なサポート体制が評価されています。

累計80万件突破の理由

SOVANIの累計契約件数は、2024年4月時点で60万件、そして現在は80万件を突破しました。

人生100年時代を迎え、公的年金だけでは老後資金が不足するという不安から、自助努力による資産形成ニーズが高まってます。そのため、特に30代から50代の現役世代を中心に、長期的な資産形成手段として選ばれています。

2種類の比較と違い

SOVANIには「月払い型」と「一時払い型」の2つの加入方法があり、それぞれ特徴が異なります。

項目月払い型一時払い型
正式名称変額個人年金保険(無告知型)22/無配当一時払変額個人年金保険(無告知型)22/無配当
最低保険料月額3,000円~100万円程度~
保険料払込方法月払・半年払・年払から選択契約時に一括払込
契約締結費用保険料の3.0%なし(0%)
維持費用年率1.2%年率1.2%
保険料の増減可能不可(追加は別契約)
払込停止・再開7年経過後可能該当なし
解約控除期間10年未満10年未満
向いている人現役世代・積立投資希望者退職金運用・まとまった資金保有者
ドルコスト平均法効果あり効果なし

どちらも運用の仕組みは同じですが、保険料の支払い方法と初期費用に大きな違いがあります。月払い型は毎月コツコツと積み立てていく方式で、一時払い型はまとまった資金を一括で運用する方式となっています。

自身の資産状況やライフプランに応じて、最適な加入方法を選択することが重要です。以下、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

月払い型の特徴

月払い型の「変額個人年金保険(無告知型)22/無配当」は、毎月一定額の保険料を払い込んでいく積立タイプの商品です。保険料の払込方法は月払いのほか、半年払い、年払いからも選択できます。

最大の特徴は、保険料の柔軟性が高い点です。経済状況やライフステージの変化に応じて、保険料の増額・減額が可能です。また、7年以上保険料を払い込んだ後は、一時的に払込を停止することもできるため、収入が不安定な時期でも継続しやすい設計となっています。

ただし、保険料を特別勘定に繰り入れる際、保険契約の締結に要する費用として保険料の3.0%が控除される点には注意が必要です。

月額3,000円から可能

月払い型の最低保険料は月額3,000円に設定されており、少額から資産形成を始められます。従来の変額個人年金保険では月額1万円が最低ラインだったため、大幅にハードルが下がりました。

20代や30代の若い世代でも無理なく始められる金額設定により、早期から老後資金の準備を開始できます。たとえば30歳から月額3,000円で始めた場合、65歳までの35年間で総額126万円の保険料となりますが、運用次第ではこれを大きく上回る年金原資を形成できる可能性があります。

もちろん、余裕ができれば途中で保険料を増額することも可能です。まずは少額から始めて、徐々に積立額を増やしていく戦略も取れます。

保険料の増減・停止

月払い型では、契約後も保険料の増額・減額が柔軟に行えます。昇進や昇給で収入が増えた場合は保険料を増額し、逆に支出が増えた時期は減額するなど、ライフステージに応じた調整が可能です。

保険料の払込停止は、保険料払込年数が7年以上経過している場合に利用できます。たとえば、子どもの教育費がかさむ時期や住宅ローンの返済が厳しい時期に、一時的に払込を停止し、余裕ができたら再開することができます。

この柔軟性により、長期にわたる資産形成を無理なく継続できる仕組みとなっています。ただし、払込停止期間中も保険関係費用は積立金から控除され続ける点には注意が必要です。

一時払い型の特徴

一時払い型の「一時払変額個人年金保険(無告知型)22/無配当」は、契約時にまとまった保険料を一括で払い込む商品です。退職金や相続資産など、まとまった資金を効率的に運用したい方に適しています。

月払い型との最大の違いは、保険契約の締結に要する費用(保険料の3.0%)が不要な点です。つまり、払い込んだ保険料の全額が特別勘定で運用されるため、初期費用の面で有利となります。

運用期間中の保険関係費用(年率1.2%)は月払い型と同じですが、初期費用がかからない分、運用効率が高くなる可能性があります。

まとまった資金運用

一時払い型は、最低でも100万円程度からの加入が一般的で、退職金の運用先として選ばれることが多い商品です。定期預金や普通預金に預けているだけでは増えない資金を、積極的に運用したい方に向いています。

たとえば、60歳で退職金1,000万円を一時払いで加入し、70歳から年金受取を開始するケースを考えてみましょう。10年間の運用期間で年率3%の運用実績が出た場合、約1,344万円の年金原資となる計算です(複利計算、費用控除前)。

初期費用の違い

月払い型と一時払い型の初期費用の違いは、長期的な運用成果に影響を与える重要なポイントです。月払い型では保険料の3.0%が契約締結費用として控除されますが、一時払い型ではこの費用がかかりません。

具体的に比較すると、100万円を運用する場合、月払い型では97万円が特別勘定に繰り入れられますが、一時払い型では100万円全額が運用に回ります。この3万円の差は、長期運用では複利効果により大きな差となって現れる可能性があります。

一方で、月払い型にはドルコスト平均法の効果により、購入タイミングを分散できるメリットもあります。市場の変動リスクを軽減しながら積み立てられるため、どちらが有利かは一概には言えません。

用意されている16種類の特別勘定

SOVANIでは、運用方針の異なる16種類の特別勘定から最大8つまで選択して運用できます。特別勘定とは、変額個人年金保険の資産を他の保険商品と区別して独立管理・運用する専用口座のことです。

各特別勘定は、投資対象や運用方針、リスク・リターンの特性が異なります。日本株式、海外株式、債券、不動産投資信託(リート)など、多様な資産クラスに分散投資することで、リスクを抑えながらリターンを追求する設計となっています。

バランス型4種類

バランス型特別勘定は、株式と債券を組み合わせて運用するタイプで、「バランス20型」「バランス40型」「バランス60型」「バランス80型」の4種類があります。数字は株式の組入比率を表しており、残りが債券での運用となります。

特別勘定名株式比率債券比率リスクレベル推奨対象者信託報酬(年率)
バランス20型20%80%50代以降・安定重視約0.30%
バランス40型40%60%中低40代・バランス重視約0.35%
バランス60型60%40%中高30-40代・成長重視約0.40%
バランス80型80%20%20-30代・積極運用約0.45%

たとえば「バランス40型」の場合、株式40%、債券60%の配分で運用されます。株式比率が高いほどハイリスク・ハイリターン、債券比率が高いほどローリスク・ローリターンの特性を持ちます。

バランス型の最大のメリットは、自動的にリバランス(資産配分の調整)が行われることです。市場変動により崩れた資産配分を定期的に元に戻すことで、リスクを想定範囲内に抑えながら安定的な運用を目指します。

株式・債券型8種類

株式型と債券型の特別勘定は、それぞれ国内と海外に分かれており、合計8種類が用意されています。株式型には「日本株式型TOP」「海外株式型MSP」「世界株式型GQ」「世界株式型GI」の4種類があります。

特別勘定名資産クラス投資対象運用スタイル信託報酬(年率)
日本株式型TOP国内株式日経225等パッシブ0.264%
海外株式型MSP海外株式先進国株式パッシブ0.385%
世界株式型GQ世界株式先進国+新興国アクティブ0.550%
世界株式型GI世界株式グローバル株式アクティブ0.550%
日本債券型NOP国内債券国債・社債パッシブ0.0638%
海外債券型FTP海外債券先進国債券パッシブ0.297%
日本成長株式型VIP国内株式成長株アクティブ0.825%
世界コア株式型AAP世界株式厳選銘柄アクティブ0.858%

債券型は「日本債券型NOP」「海外債券型FTP」の2種類です。これらに加えて、特定のテーマや戦略に基づいた「日本成長株式型VIP」「世界コア株式型AAP」といった特別勘定も選択できます。

世界株式型GIは、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社からの投資助言に基づき運用されており、グローバルな視点での銘柄選択が特徴です。各特別勘定は、それぞれ異なる運用会社や運用戦略を採用しているため、分散効果が期待できます。

リート型4種類

不動産投資信託(リート)に投資する特別勘定は、「日本リート型TSP」「海外リート型SPP」など4種類が用意されています。リートは、オフィスビルや商業施設、住宅などの不動産に投資し、賃料収入や売却益を投資家に分配する仕組みです。

特別勘定名投資対象運用スタイル信託報酬(年率)主な投資先
日本リート型TSP国内REITパッシブ0.407%J-REIT
海外リート型SPP海外REITパッシブ0.495%米国・欧州REIT
グローバルリート型世界REITアクティブ0.660%先進国REIT
アジアリート型アジアREITアクティブ0.715%シンガポール・香港

リート型の特徴は、株式や債券とは異なる値動きをすることが多く、ポートフォリオ全体の分散効果を高められる点にあります。また、インフレに強い資産クラスとされており、物価上昇局面での資産価値の維持が期待できます。

ポートフォリオの組み方

SOVANIでは最大8つの特別勘定を組み合わせて、オリジナルのポートフォリオを構築できます。ソニー生命では、リスク許容度に応じた3つのモデル・ポートフォリオを提案しており、初心者でも選びやすい仕組みとなっています。

モデル・ポートフォリオは、過去10年間(2015年2月~2025年1月)の特別勘定の運用実績をもとに、クォンツ・リサーチ株式会社が作成しています。ただし、将来の運用成果を保証するものではありません。

組み合わせの基本的な考え方は、年齢が若いほど株式比率を高め、年齢が上がるにつれて債券比率を高めることです。また、特定の資産クラスに偏らないよう、国内外の株式・債券・リートをバランスよく組み入れることが、安定的な運用につながります。

「SOVANI」の5つの主要メリット

SOVANIには、従来の個人年金保険にはない独自のメリットが複数あります。特に、健康状態を問わない無告知型である点や、運用成果によって年金額を増やせる可能性がある点は、多くの契約者から評価されています。

また、税制優遇を受けながら資産形成できることや、専門家であるライフプランナーの継続的なサポートを受けられることも大きな魅力です。これらのメリットを最大限活用することで、効率的な老後資金の準備が可能となります。

無告知で加入できる

SOVANIの最大の特徴は、健康状態の告知が不要な「無告知型」である点です。一般的な生命保険では、持病や既往歴、現在の健康状態について詳細な告知が必要ですが、SOVANIではこれらの告知なしで加入できます。

がんや糖尿病、心臓病などの持病がある方、過去に大きな手術を受けた方でも加入可能です。健康上の理由で他の保険に加入できなかった方にとって、貴重な資産形成の選択肢となっています。

ただし、無告知型であるため、死亡給付金は払込保険料相当額に限定されており、大きな死亡保障は期待できません。あくまで、資産形成を主目的とした商品であることを理解しておく必要があります。

運用益を得られれば年金額を増やせる

変額個人年金保険の最大のメリットは、運用実績によって将来受け取る年金額を大幅に増やせる可能性があることです。定額個人年金保険では契約時に年金額が確定しますが、SOVANIでは運用次第で払込保険料を大きく上回る年金を受け取れます。

たとえば、30歳から65歳まで月額1万円を積み立てた場合、払込保険料総額は420万円となります。仮に年率3%で運用できた場合、複利効果により約660万円の年金原資となる計算です(費用控除前の概算)。

2024年度のSOVANI特別勘定の運用実績を見ると、世界株式型では年率20%を超える好成績を記録している期間もあり、市場環境が良好な時期には大きなリターンが期待できます。

インフレに強い

変額個人年金保険は、インフレ(物価上昇)に対応できる可能性が高い商品です。定額個人年金保険の場合、将来受け取る年金額が固定されているため、インフレが進むと実質的な価値が目減りしてしまいます。

一方、SOVANIは株式や不動産投資信託(リート)など、インフレに強いとされる資産クラスに投資できます。物価上昇局面では、企業の売上や利益も増加する傾向があり、株価上昇を通じて運用成果に反映される可能性があります。

日本でも2022年以降、約2%のインフレが続いており、今後も物価上昇が予想されています。20年、30年という長期で考えると、インフレ対応力の有無は老後資金の実質的な価値に大きな差をもたらす可能性があります。

生命保険料控除で節税できる

SOVANIの保険料は、所得税・住民税の計算において「一般生命保険料控除」の対象となります。年間の払込保険料に応じて、所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円の所得控除を受けることができます。

たとえば、年収500万円の会社員が年間8万円以上の保険料を払い込んだ場合、所得税率を10%とすると、所得税で4,000円、住民税で2,800円の合計6,800円の節税効果があります。これは実質的に運用利回りを向上させる効果があります。

ただし、変額個人年金保険は「個人年金保険料控除」ではなく「一般生命保険料控除」の対象です。すでに他の生命保険で控除枠を使い切っている場合は、追加の節税効果は得られない点に注意が必要です。

生命保険料控除に関しては、こちらも記事もあわせてご覧ください。

ライフプランナーからの支援を受けられる

SOVANIの大きな特徴の一つが、ソニー生命のライフプランナーによる継続的なサポートです。契約時だけでなく、運用期間中も定期的にフォローを受けられるため、初心者でも安心して資産形成を続けられます。

ライフプランナーは、独自のシミュレーションツール「GLiP」を使って、将来の収支や必要資金を可視化します。結婚、出産、住宅購入などのライフイベントに応じて、保険料の増減や特別勘定の見直しなど、適切なアドバイスを提供してくれます。

2024年12月時点の顧客満足度調査では、ライフプランナーのコンサルティングに対する満足度が90%を超えており、質の高いサポートが評価されています。

ソニー生命では、変額保険や学資保険も人気です。こちらの記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

「SOVANI」5つのリスクと注意点

SOVANIには多くのメリットがある一方で、変額個人年金保険特有のリスクや注意すべき点も存在します。特に、元本保証がないことや、各種手数料による運用コストの負担は、契約前に必ず理解しておくべき重要事項です。

SOVANIを検討する際に把握しておくべき5つの主要なリスクと注意点について、具体的な数値を交えながら詳しく解説していきます。

元本割れの可能性がある

SOVANIは運用実績によって年金額が変動する商品であり、払込保険料の総額を下回る「元本割れ」のリスクがあります。株価の下落や債券価格の低下、為替の変動などにより、積立金額が減少する可能性があることを理解しておく必要があります。

たとえば、リーマンショック時(2008年)には世界的に株価が約50%下落し、多くの変額保険で大きな損失が発生しました。このような金融危機が発生した場合、一時的に積立金額が大幅に減少することがあります。

ただし、過去の実績を見ると、10年以上の長期運用では元本割れのリスクは大幅に低下する傾向があります。短期的な変動に惑わされず、長期的な視点で運用を継続することが重要です。

個人年金保険のデメリットに関しては、こちらのQ&Aも参考にしてみてください。

年率1.2%の維持費用がかかる

SOVANIでは、保険契約の維持などに要する費用として、積立金額に対して年率1.2%(1.2%÷365日)が毎日控除されます。これは他の変額個人年金保険と比較しても標準的な水準ですが、長期的には運用成果に影響を与える要因となります。

たとえば、積立金額が100万円の場合、年間で約1万2,000円が維持費用として控除されます。これに加えて、特別勘定で投資する投資信託の信託報酬(年率0.0638%~0.858%)も別途かかるため、実質的な運用コストは年率1.26%~2.06%程度となります。

このコストを上回る運用成果を出さなければ、実質的な資産増加は見込めません。一般的な投資信託と比較すると高めのコスト設定となっているため、税制優遇やライフプランナーのサポートなど、付加価値を含めて判断する必要があります。

10年未満に解約すると解約控除が適用される

SOVANIを契約から10年未満で解約する場合、解約控除が適用されます。解約控除率は契約からの経過年数によって異なり、早期解約ほど控除率が高くなる仕組みです。

具体的には、契約から1年未満での解約では積立金額の7%、2年未満では6%、3年未満では5%といった具合に、段階的に控除率が下がっていきます。10年以上経過すれば解約控除はかかりません。

このため、SOVANIは短期的な資金需要には適さず、最低でも10年以上の長期運用を前提とした商品といえます。

最低保証がない

SOVANIには、年金原資や死亡給付金に対する最低保証がありません。運用実績が著しく悪化した場合、受け取る年金額が払込保険料を大幅に下回る可能性があります。

一般的な定額個人年金保険では、契約時に将来の年金額が確定しており、保険会社が運用リスクを負います。しかし、SOVANIでは運用リスクをすべて契約者が負うため、最悪の場合、老後資金が当初の想定を大きく下回ることもあり得ます。

死亡給付金についても、積立金額相当額となるため、運用がマイナスの状態で亡くなった場合、遺族が受け取る金額は払込保険料を下回ります。この点は、最低保証のある他の生命保険商品との大きな違いです。

生命保険保護機構の対象外である

SOVANIは最低保証のない保険契約であることから、その特別勘定は「運用実績連動型保険契約の特定特別勘定」に該当し、生命保険契約者保護機構による補償の対象外となっています。

生命保険契約者保護機構は、保険会社が破綻した際に契約者を保護する制度ですが、SOVANIの場合、責任準備金の90%までという補償は受けられません。ただし、経営破綻時の更生手続きにおいて、責任準備金を削減しない取扱いが可能となっています。

実際の運用実績データ

SOVANIの運用実績は、契約を検討する際の重要な判断材料となります。2022年10月の運用開始から約2年が経過し、各特別勘定の実績データが蓄積されてきました。

全体的に見ると、2024年は世界的な株高の恩恵を受けて好調な運用成績を記録しています。特に米国株式を中心とした海外株式型の特別勘定では、年率20%を超える高いリターンを達成している期間もあります。

2024年の運用成績

2024年度のSOVANI特別勘定は、多くのファンドで良好な運用成績を記録しています。ソニー生命が公表している運用状況レポートによると、株式型の特別勘定を中心に二桁のプラスリターンを達成しています。

2024年は米国の利下げ期待や企業業績の改善、AI関連銘柄の上昇などが追い風となりました。日経平均株価も年初の33,000円台から一時40,000円を超える水準まで上昇し、国内株式型の特別勘定も恩恵を受けています。

一方で、債券型の特別勘定は相対的に低調な推移となっています。金利上昇局面では債券価格が下落するため、株式型と比較すると見劣りする結果となりました。

ただし、過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。市場環境の変化により、今後の運用成績が大きく変動する可能性があることを理解したうえで、参考情報として活用することが重要です。

特別勘定別パフォーマンス

各特別勘定の2024年1月から12月までの運用実績を見ると、明確な格差が生じています。

特別勘定カテゴリー特別勘定名2024年騰落率順位備考
世界株式型世界株式型GI+25.3%1位AI関連銘柄が牽引
世界株式型GQ+23.8%2位米国株中心に好調
海外株式型海外株式型MSP+22.1%3位先進国株式堅調
国内株式型日本成長株式型VIP+18.5%4位成長株選別が奏功
日本株式型TOP+16.2%5位日経平均連動
バランス型バランス80型+15.4%6位株式比率80%
バランス60型+12.1%7位バランス良好
リート型海外リート型SPP+10.3%8位米国REIT回復
バランス型バランス40型+8.2%9位安定運用
バランス20型+5.1%10位保守的運用
債券型海外債券型FTP+3.8%11位金利上昇で低調
リート型日本リート型TSP+3.2%12位国内不動産軟調
債券型日本債券型NOP+1.5%13位超低金利継続

※騰落率は概算値。実際の運用実績は費用控除後の数値となります。 ※2024年1月1日~12月31日の期間での計算。

最も好調だったのは「世界株式型GI」で、年間騰落率は約25%のプラスとなりました。

バランス型では、株式比率の高い「バランス80型」が約15%のプラス、「バランス60型」が約12%のプラス、「バランス40型」が約8%のプラス、「バランス20型」が約5%のプラスと、株式比率に応じた順当な結果となっています。

リート型は「海外リート型SPP」が約10%のプラスと健闘しましたが、「日本リート型TSP」は約3%のプラスにとどまりました。国内の不動産市場が相対的に低調だったことが影響しています。

契約後に発生する費用の内訳

SOVANIの運用には、大きく分けて「運用関係費用」と「保険関係費用」の2種類のコストがかかります。これらの費用は運用成果に直接影響するため、契約前に詳細を理解しておくことが重要です。

以下、各費用の詳細と、実際にどの程度のコストがかかるのか、具体的な数値を用いて解説していきます。

運用関係費用

運用関係費用は、特別勘定で投資する投資信託の信託報酬にあたる費用です。2025年8月時点で、年率0.0638%から0.858%(税込)の範囲で設定されています。

最も低コストなのは「日本債券型NOP」の年率0.0638%で、最も高いのは「世界コア株式型AAP」の年率0.858%です。アクティブ運用型の特別勘定ほど費用が高く、パッシブ運用型は相対的に低コストとなっています。

たとえば、積立金100万円を「世界株式型GI」(信託報酬年率0.55%)で運用する場合、年間で約5,500円が運用関係費用として控除されます。これは投資信託で運用されている資産から直接控除されるため、別途支払う必要はありません。

保険関係費用

保険関係費用は、保険契約の締結・維持・保障に必要な費用で、3つの要素から構成されています。これらは保険商品特有のコストであり、一般的な投資信託にはない費用です。

最も大きな割合を占めるのが「保険契約の維持などに要する費用」で、積立金額に対して年率1.2%が毎日控除されます。この費用は、保険会社の事務管理コストやライフプランナーのサポート費用などに充てられています。

また、「災害死亡保障に要する費用」として、積立金額の年率0.003%が年金支払開始日の前日まで控除されます。これは、災害で死亡した場合に通常の死亡給付金の1.1倍を支払うための費用です。

契約締結費用

月払い型(変額個人年金保険(無告知型)22)では、保険料を特別勘定に繰り入れる際、保険契約の締結に要する費用として保険料の3.0%が控除されます。これは初回保険料だけでなく、毎回の保険料に対して適用されます。

たとえば、月額1万円の保険料を払い込む場合、300円が契約締結費用として控除され、9,700円が特別勘定で運用されることになります。年間では3,600円、30年間では108,000円が費用として控除される計算です。

一時払い型(一時払変額個人年金保険(無告知型)22)では、この契約締結費用がかからないため、初期費用の面で有利となります。まとまった資金がある場合は、一時払い型を選択することでコストを抑えることができます。

解約控除費用

SOVANIを中途解約する場合、契約からの経過年数に応じて解約控除が適用されます。解約控除率は段階的に減少し、10年経過後はゼロになります。

この解約控除は、保険会社が契約獲得にかけたコストを回収するための仕組みです。早期解約を防ぎ、長期的な資産形成を促す効果もありますが、急な資金需要が生じた際のデメリットにもなります。

「SOVANI」が向いている人の特徴

SOVANIは万人向けの商品ではなく、特定の条件を満たす人にとって有効な資産形成手段となります。年齢、運用期間、リスク許容度の3つの観点から、自身がSOVANIに適しているかを判断することが重要です。

以下、SOVANIの加入に向いている人の3つの条件について、具体的な例を交えながら詳しく解説していきます。

20~50代の資産形成層

SOVANIが適している年齢層は、20代から50代前半の現役世代です。この世代は老後まで15年以上の運用期間を確保でき、かつ安定した収入があるため、継続的な保険料の払込が可能です。

30代で加入する場合、65歳の年金受取開始まで30年以上の運用期間があります。長期運用により複利効果を最大限に活かせるうえ、短期的な市場変動の影響を平準化できます。また、若いうちは株式比率を高めた積極的な運用も可能です。

40代から50代前半の場合、子育てがひと段落し、収入のピークを迎える時期でもあります。月額保険料を増額したり、退職金の一部を一時払いで運用したりと、まとまった資金での資産形成が可能になります。

15年以上の長期運用ができる人

SOVANIで成功するための最も重要な条件は、15年以上の長期運用が可能であることです。過去の市場データを分析すると、運用期間が15年を超えると元本割れリスクが大幅に低下する傾向があります。

短期的には、リーマンショックやコロナショックのような市場の大幅下落により、一時的に積立金額が30~50%減少することもあります。しかし、15年以上の長期で見ると、市場は回復と成長を繰り返し、結果的にプラスリターンとなるケースが多いのです。

また、10年未満での解約には解約控除がかかることを考慮すると、最低でも10年、理想的には15~20年の運用期間を確保できる人が向いています。60歳で加入して65歳で受取開始という短期運用は避けるべきでしょう。

リスク許容度がある人

SOVANIに向いているのは、リスク許容度が中程度の人です。元本保証を絶対条件とする保守的な人には向きませんが、かといって高リスクの投資を好む人にとっては物足りない商品となります。

リスク許容度が中程度とは、「一時的に積立金額が20~30%減少しても動じない」「長期的には回復すると信じて継続できる」「生活資金とは別の余裕資金で運用している」といった条件を満たす人を指します。

ソニー生命では、契約前にリスク許容度診断を実施しており、3段階(保守型・バランス型・積極型)で評価されます。この診断結果に基づいて、適切な特別勘定の組み合わせを提案してもらえるため、自身のリスク許容度を客観的に把握することができます。

「SOVANI」が向いている人の特徴

SOVANIは優れた商品ですが、すべての人に適しているわけではありません。特に、短期的な資金需要がある人や元本保証を重視する人、高齢での新規加入を検討している人には不向きな商品です。

以下、SOVANIの加入を避けるべき人の特徴について、具体的なケースを挙げながら詳しく解説していきます。

5年以内にライフイベントが控えている人

5年以内に住宅購入、子どもの教育資金、結婚資金などで大きな支出が予定されている人は、SOVANIの加入を避けるべきです。短期間では市場変動リスクが大きく、必要な時期に元本割れしている可能性があります。

たとえば、3年後に住宅購入の頭金として300万円が必要な場合、SOVANIで運用すると、市場環境によっては250万円まで減少している可能性があります。さらに、解約控除として5%(15万円)が差し引かれるため、実際の受取額は235万円となってしまいます。

短期的な資金需要がある場合は、定期預金や個人向け国債など、元本が保証される商品を選択すべきです。SOVANIはあくまで10年以上先の老後資金準備に適した商品であることを理解しておく必要があります。

元本保証を重視している人

投資経験がなく、1円でも損をしたくないという人には、SOVANIは適していません。変額個人年金保険は運用リスクを契約者が負う商品であり、元本保証はありません。

「銀行預金しか経験がない」「過去に投資で損をしてトラウマがある」「老後資金は絶対に減らしたくない」といった考えの人は、定額個人年金保険や個人向け国債などを選択すべきです。これらの商品は利回りは低いものの、元本が保証されています。

また、精神的にリスクを受け入れられない人も避けるべきです。毎日の積立金額の変動を見て不安になったり、少しの下落で解約を考えたりする人は、長期運用を継続できない可能性が高いからです。

60歳以降の新規加入者

60歳以降での新規加入は、慎重に検討する必要があります。年金受取開始まで10年未満となる場合、市場変動リスクを吸収する時間的余裕がなく、元本割れのまま年金受取を迎える可能性があります。

たとえば、62歳で加入して70歳から年金受取を開始する場合、運用期間は8年しかありません。この間に市場が大幅に下落すると、回復を待つ時間がなく、損失を確定させることになってしまいます。

60歳以降は、リスクの低い運用商品への移行を検討すべき時期です。すでに蓄積した資産を守ることを優先し、定額個人年金保険や債券中心のポートフォリオなど、安定性を重視した選択が推奨されます。ただし、余裕資金の一部を長期運用する場合は、この限りではありません。

60歳以上の方に向いている保険に「米ドル建一時払終身保険」があります。こちらの記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

「SOVANI」・iDeCo・NISAとの比較

老後資金の準備方法として、SOVANIのほかにiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)という選択肢があります。それぞれに特徴があり、メリット・デメリットが異なるため、自身の状況に応じて使い分けることが重要です。

以下、SOVANIとiDeCo・NISAの具体的な違いについて、実際の数値を用いながら詳しく比較していきます。

SOVANIの優位性

SOVANIがiDeCoやNISAより優れている点は、主に死亡保障機能と資金の流動性にあります。これらは保険商品ならではの特徴であり、投資制度にはないメリットです。

死亡保障がある

SOVANIには死亡給付金があり、運用期間中に万が一のことがあった場合、積立金額相当額が遺族に支払われます。災害死亡の場合は、積立金額の1.1倍が支払われる保障もついています。

iDeCoやNISAは純粋な投資制度であり、死亡時は運用資産がそのまま相続財産となりますが、追加の保障はありません。たとえば、40歳で急逝した場合、SOVANIなら積立金200万円に加えて災害死亡なら20万円が上乗せされますが、iDeCoやNISAでは200万円のみとなります。

相続税対策ができる

生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人数)も活用できるため、相続税対策としても有効です。家族を持つ現役世代にとっては、資産形成と保障を兼ね備えた商品として魅力があります。

また、健康状態の告知が不要な点も大きな優位性です。持病がある人や健康に不安を抱える人でも加入できるため、他の保険商品に加入できない人にとって貴重な選択肢となっています。

iDeCo・NISAの優位性

iDeCoとNISAがSOVANIより優れている点は、主に運用コストの低さと税制優遇の大きさにあります。純粋な投資制度として設計されているため、保険特有の費用がかからず、効率的な資産形成が可能です。

特に、運用コストの差は長期的に大きな影響を与えます。同じ運用成果でも、コストが低い分だけ手元に残る資産が増えることになります。

税制面でも、iDeCoの全額所得控除やNISAの完全非課税など、SOVANIを上回る優遇措置があります。

運用コストが低い

iDeCoとNISAの最大の優位性は、運用コストの低さです。iDeCoの場合、口座管理手数料が月額200円程度、投資信託の信託報酬が年率0.1~0.5%程度で、トータルコストは年率1%未満に抑えられます。

NISAはさらにコストが低く、口座管理手数料は無料、投資信託の信託報酬のみで運用できます。インデックスファンドなら年率0.1%未満の商品も多数あります。

これに対してSOVANIは、維持費用1.2%+運用関係費用0.06~0.85%で、トータル1.26~2.05%のコストがかかります。30年間の運用で考えると、コスト差により最終的な資産額に20~30%の差が生じる可能性があります。

iDeCoとNISAの活用方法に関しては、こちらの記事もあわせてご覧ください。

より節税効果が大きい

iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となり、節税効果が非常に大きいのが特徴です。年間掛金上限の81.6万円(自営業者の場合)を拠出すれば、所得税率30%の人なら年間約24万円の節税が可能です。

NISAは2024年から新制度となり、年間投資枠が360万円、生涯投資枠が1,800万円まで拡大されました。運用益は完全非課税で、期間の制限もなくなったため、長期的な資産形成に最適な制度となっています。

SOVANIの生命保険料控除は最大でも所得税4万円、住民税2.8万円の控除にとどまるため、純粋な節税効果ではiDeCoやNISAに劣ります。ただし、保険としての機能や柔軟性を含めて総合的に判断する必要があります。

「個人年金保険はおすすめしない」と言われる理由や「個人年金とiDeCoはどちらがよいのか」については、以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。

この記事のまとめ

SOVANIへの加入を判断する際、最も重要なのは「15年以上の運用期間を確保できるか」という点です。短期では市場変動リスクが大きく、解約控除もかかるため、長期運用が大前提となります。

「余裕資金での運用か」という点も意識しましょう。生活防衛資金(生活費の6か月分程度)を確保したうえで、さらに余裕のある資金で運用すべきです。将来の教育費や住宅購入資金など、使途が決まっている資金での運用は避けましょう。

資産形成の手段として、SOVANIは選択肢の一つになります。「自分に向いているかどうか判断できない」という場合、専門家への相談を検討しましょう。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。

ドルコスト平均法

ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に投資する方法です。価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く買えるため、購入価格が平均化され、リスクを分散できます。市場のタイミングを読む必要がないため、初心者に最適な方法とされています。長期投資で効果を発揮し、特に投資信託やETFで利用されることが多い手法です。

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

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無告知型終身保険とは、健康状態の告知や医師の診査なしで加入できる終身保険です。 通常の生命保険では、申し込み時に過去の病歴や現在の健康状態について詳しく告知する必要がありますが、無告知型ではこうした手続きが不要なため、持病がある方や高齢の方でも加入しやすいのが大きな特徴です。 ただし、その分保険料は一般の保険よりも割高になる傾向があります。さらに、契約直後からすぐに全額の死亡保険金が支払われるわけではなく、一定期間(たとえば2年間など)は保険金の支払いが制限される「免責期間」が設けられているのが一般的です。 そのため、加入前には保障内容や免責期間の条件をしっかり確認することが大切です。 「健康に不安はあるけれど、万が一のために備えておきたい」という方にとって、有力な選択肢のひとつとなる保険商品と言えるでしょう。

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元本割れとは、投資で使ったお金、つまり元本(がんぽん)よりも、最終的に戻ってきた金額が少なくなることをいいます。たとえば、100万円で投資信託を購入したのに、解約時に戻ってきたのが90万円だった場合、この差額10万円が損失であり、「元本割れした」という状態です。 特に、価格が変動する商品、たとえば株式や投資信託、債券などでは、将来の価格や分配金が保証されているわけではないため、元本割れのリスクがあります。「絶対に損をしたくない」と考える方にとっては、このリスクを正しく理解することがとても重要です。金融商品を選ぶときには、利回りだけでなく元本割れの可能性も十分に考慮しましょう。

運用関係費用

運用関係費用とは、金融商品を保有している間に日々差し引かれるコストの総称です。投資信託なら信託報酬(運用会社・販売会社・受託銀行の報酬)が代表的ですが、購入時手数料や信託財産留保額、売買委託手数料も含めて把握する必要があります。 変額保険では特別勘定の運用管理費に加え、死亡保障コストや契約管理費が控除されるため、表面利回りと実質利回りの差が大きくなりがちです。商品選定では、目論見書や契約概要で「いつ・いくら差し引かれるか」を必ず確認しましょう。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。

解約控除

解約控除とは、保険や一部の投資商品を契約期間の途中で解約した場合に、契約者が受け取る解約返戻金などから差し引かれる手数料のことをいいます。特に契約から数年以内など、早い段階で解約した際に高めに設定されていることが多く、実際に受け取れる金額が大きく減ってしまうことがあります。 この制度は、販売時にかかった初期費用や運用の準備にかかるコストを回収するために設けられていますが、契約者にとっては思ったよりも少ない金額しか戻ってこないというリスクにつながります。そのため、商品選びの際には解約控除の有無やその金額、期間などをよく確認し、「途中で解約したらどうなるか」をあらかじめ理解しておくことがとても大切です。長期での運用を前提とした商品には特に注意が必要です。

生命保険料控除

生命保険料控除とは、個人が支払った生命保険料に応じて、所得税や住民税の課税所得額を一定金額まで減らすことができる税制上の優遇制度です。この控除によって、納める税金が軽減されるため、実質的に保険料の一部が戻ってくる効果があります。 対象となる保険は、「一般生命保険」「介護医療保険」「個人年金保険」の3つの区分に分かれており、それぞれに控除限度額が設けられています。控除を受けるには、保険会社から発行される控除証明書を年末調整や確定申告の際に提出する必要があります。保険による万一への備えと、節税効果の両方を得られる制度として、多くの人に活用されています。初心者にとっても、生命保険を契約する際にはこの控除制度の存在を知っておくことで、より効果的な保険選びや家計管理につなげることができます。

保険契約者保護機構

保険契約者保護機構とは、万が一、保険会社が経営破綻した場合に、契約者の保険契約を保護するために設立された公的な法人です。生命保険会社や損害保険会社がこの機構に加入しており、破綻時には一定の補償や契約の引き継ぎを行う仕組みが整えられています。 たとえば、生命保険の契約があっても、保険会社が破綻すると通常は支払いが困難になりますが、この機構が関与することで契約内容の一部が維持され、最低限の保障が確保されます。資産運用の観点からは、長期契約となる保険商品に安心して加入できるようにするためのセーフティネットとして、保険契約者保護機構の存在は非常に重要です。加入している保険会社がこの制度に加入しているかを確認することは、安全性の判断材料にもなります。

新NISA

新NISAとは、2024年からスタートした日本の新しい少額投資非課税制度のことで、従来のNISA制度を見直して、より長期的で柔軟な資産形成を支援する目的で導入されました。この制度では、投資で得られた利益(配当や売却益)が一定の条件のもとで非課税になるため、税負担を気にせずに投資ができます。新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が用意されており、年間の投資可能額や総額の上限も大幅に引き上げられました。 また、非課税期間が無期限となったことで、より長期的な運用が可能となっています。投資初心者にも利用しやすい仕組みとなっており、老後資金や将来の資産形成の手段として注目されています。

REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)

REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)とは、多くの投資家から集めた資金を使って、オフィスビルや商業施設、マンション、物流施設などの不動産に投資し、そこで得られた賃貸収入や売却益を分配する金融商品です。 REITは証券取引所に上場されており、株式と同じように市場で売買できます。そのため、通常の不動産投資と比べて流動性が高く、少額から手軽に不動産投資を始められるのが大きな特徴です。 投資家は、REITを通じて間接的にさまざまな不動産の「オーナー」となり、不動産運用のプロによる安定した収益(インカムゲイン)を得ることができます。しかも、実物の不動産を所有するわけではないので、物件の管理や修繕といった手間がかからない点も魅力です。また、複数の物件に分散投資しているため、リスクを抑えながら収益を狙える点も人気の理由です。 一方で、REITの価格は、不動産市況や金利の動向、経済環境の変化などの影響を受けます。特に金利が上昇すると、REITの価格が下がる傾向があるため、市場環境を定期的にチェックしながら投資判断を行うことが重要です。 REITは、安定した収益を重視する人や、実物資産への投資に関心があるものの手間やコストを抑えたい人にとって、有力な選択肢となる資産運用手段の一つです。

個人年金保険料控除

個人年金保険料控除とは、一定の条件を満たす個人年金保険に加入し、その保険料を支払った場合に受けられる所得控除の制度です。確定申告や年末調整で申告すると、支払った保険料のうち所定の計算式で算出した額が所得から差し引かれ、その分だけ所得税や住民税が軽減されます。2012年以降に契約した新制度では、控除できる上限額が所得税で年間4万円、住民税で年間2万8,000円と定められ、一般・介護医療・個人年金の各保険料控除を合わせた適用限度額は所得税で12万円までとなっています。将来の年金づくりを行いながら節税も図れるため、長期的な資産形成を目指す人にとって利用価値の高い制度です。

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