債券のクーポンやクーポンレートとは何ですか?
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2024/11/29 00:38
男性
60代
債券投資を検討しています。債券にはクーポンやクーポンレートというものがあると聞きました。クーポンやクーポンレートとはなんなのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
債券の「クーポン」は、投資家が定期的に受け取る利息を指します。紙の債券に利札(クーポン)が付いており、支払日に切り離して利息と引き換えた時代の名残で、現在も利息そのものをこう呼びます。
「クーポンレート(表面利率)」は、その利息が額面金額に対して年率で何%かを示す固定の数値です。たとえば額面1,000円・クーポンレート5%の債券であれば、年間の利息は50円(多くは半年ごとに25円ずつ)になります。クーポンレートは発行時に決まり、途中で変わりません。
一方、実際の投資収益を考えるうえでは、市場価格に基づく「利回り(イールド)」を併せて確認することが不可欠です。クーポンレートが高くても、購入価格が額面を大きく上回れば利回りは低下しますし、逆にディスカウントで購入すれば利回りは上昇します。ゼロクーポン債のようにクーポンがない債券もあり、その場合は償還差益だけで利回りを得る仕組みです。
債券投資の魅力は、償還差益や売買益に加えて、クーポンによる安定的なインカムゲインを得られる点です。運用を検討する際は、クーポンレートを入口に、購入価格・残存期間・信用リスクを踏まえて総合利回りを試算し、ポートフォリオ全体とのバランスを確認しましょう。不明点があれば、債券に精通した専門家に相談すると安心です。
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金利(利率)
金利(利率)とは、お金を貸したり預けたりしたときに発生する利息の割合を表す言葉です。たとえば、銀行にお金を預けると一定の利息がもらえますが、そのときの利息の割合を金利または利率と呼びます。一般的には「金利」が金融機関との貸し借りに使われることが多く、 「利率」は投資商品の収益率などに使われる傾向がありますが、日常的にはほぼ同じ意味で使われています。資産運用の場面では、金利の動きが預金、ローン、債券などの価格や収益に影響を与えるため、金利や利率に注目することはとても大切です。特に経済状況や中央銀行の政策によって金利は変動するため、それを理解しておくことでより良い投資判断につながります。
利付債
定期的に利息(クーポン)が支払われる債券。利付債には、償還までの利率が発行時に決まっている「固定利付債」と償還までに利率が変動する「変動利付債」の2種類が存在。
利払い日
利払い日とは、債券の保有者に対して発行体が利息(クーポン)を支払う日を指します。債券を購入すると、発行体はあらかじめ決められたスケジュールに従って、一定の利息を定期的に支払う義務を負います。 多くの場合、年2回、半年ごとに支払われるのが一般的ですが、年1回など、債券の種類によって異なる場合もあります。利払い日は債券の条件として発行時に明記されており、投資家はその日まで債券を保有していれば利息を受け取ることができます。資産運用の計画を立てるうえで、利払い日は安定した収入のタイミングとして重要な要素となります。
インカムゲイン(インカム)
インカムゲイン(インカム)とは、株式や債券、不動産などの資産を保有していることで定期的または継続的に得られる収益のことを指します。具体的には、株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などが代表的な例です。一方で、資産の売買差益から生まれるキャピタルゲインとは異なり、保有し続けることで一定のペースで収入を得る点が特徴です。 インカムゲインを重視する投資では、安定したキャッシュフローを得られることが大きな魅力となります。例えば、株式の配当金は企業の利益から支払われますが、企業の業績や配当方針に応じて増減があるため、定期的なチェックが必要です。債券の利息は発行体の信用力や金利情勢に大きく左右され、金利が上昇すると既存債券の価格が下落するリスクがあります。不動産投資では家賃収入がインカムゲインとなりますが、空室が続いたり修繕費がかさんだりするリスクがあるほか、売却時の価格も景気や立地に左右されるため、投資額の回収が遅れる可能性があります。 これらのリスクを考慮する一方で、インカムゲインには安定性というメリットがあります。資産を保有しているだけでも定期的に資金が手に入り、再投資や生活費に回すことで資産形成を円滑に進めやすい面があります。また、いざ急に資金が必要になった場合には、すぐに売却しなくても配当金や利息で一定の収入を得られる可能性があるため、心理的な安心感につながることもあります。 ただし、インカムゲインを得ようとするあまり、高配当や高利回りをうたう投資商品ばかりに偏ると、発行体の信用リスクや価格変動リスクが高まるケースも考えられます。特に、株式の配当は企業の業績が悪化すれば減配や無配となる恐れがあり、債券の場合でも発行体の破綻リスクや金利上昇リスクが存在します。不動産投資では物件管理の手間や費用が大きく、地方物件などでは買い手が少なく流動性リスクも高くなるため、分散投資の観点で他の資産とバランス良く組み合わせるのが望ましいでしょう。 総じて、インカムゲインは、投資から生まれる継続的な収益を得るための有力なアプローチです。特に、キャピタルゲインだけに頼らず、配当や利息、家賃収入などの定期的な収入源を得ることでリスクを分散しながら安定した資産運用を目指すことができます。ただし、投資対象の選定やリスク管理は欠かせないポイントであり、投資する資金やライフプラン、リスク許容度に応じて最適なバランスを見極める必要があります。
円貨建て債券
円貨建て債券とは、日本円で元本や利息が支払われる債券のことをいいます。日本国内の企業や政府が発行するだけでなく、海外の発行体が日本円で発行する場合も含まれます。投資家にとっては、為替変動の影響を受けにくいため、リスクを抑えた運用がしやすいというメリットがあります。一方、発行体にとっては、日本市場から円建てで資金を調達できる手段のひとつです。円貨建て債券は、特に日本国内の投資家にとって、通貨の変動リスクを避けながら安定的な収益を期待できる商品として利用されています。
社債
社債とは、企業が事業資金を調達するために発行する「借金の証書」のようなものです。投資家は社債を購入することで企業にお金を貸し、その見返りとして、あらかじめ決められた利息(クーポン)を一定期間ごとに受け取ることができます。満期が来れば、企業は投資家に元本を返済します。 銀行からの融資とは異なり、社債は不特定多数の投資家から直接資金を集める方法であり、企業にとっては柔軟かつ効率的な資金調達手段です。 投資家にとって社債の魅力は、株式に比べて価格の変動が小さく、定期的な利息収入が得られる点にあります。一方で、発行体である企業が経営破綻した場合、元本が戻らないリスクがあるため、信用格付けや業績などを十分に確認することが重要です。 安定的な収益を目指しつつ、リスク管理も重視する投資家にとって、社債はポートフォリオの中核を担いうる資産クラスのひとつです。