不動産売却時の短期譲渡と長期譲渡の税率を教えてください。
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2025/01/20 18:49
男性
60代
不動産を売却する際、保有期間によって適用される税率が異なると聞きました。短期譲渡と長期譲渡では具体的にどのような違いがあり、それが投資計画にどう影響するのか教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
不動産の譲渡所得は、取得した翌年1月1日時点の保有期間で「短期(5年以下)」と「長期(5年超)」に分かれ、税率がほぼ倍違います。短期の場合、所得税30%・住民税9%・復興特別所得税0.63%が課され、合計約39.63%。長期なら所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%で約20.315%に下がります。
たとえば1,000万円の譲渡益なら手取りは短期約603万円、長期約797万円と194万円もの差が生じる計算です。売却時期が5年の境目付近なら、売却を1年延ばすだけで税負担を半減できる可能性があります。
ただし、保有期間が延びれば修繕費や空室リスク、金利変動による機会費用も増えます。投資判断では、税引後キャッシュフローを長短両シナリオで試算し、保有コストや市場動向と総合比較して最適な売却タイミングを見極めることが肝要です。
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譲渡益
譲渡益とは、株式や不動産などの資産を売却した際に得られる利益のことを指します。具体的には、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた金額が譲渡益となります。個人が株式を売却して利益を得た場合、通常は譲渡所得として申告分離課税(税率20.315%)の対象になります。不動産の場合、所有期間が5年以下の短期譲渡は税率39.63%、5年超の長期譲渡は20.315%の税率が適用されます。 また、投資信託の売却益も譲渡所得に分類されますが、分配金の一部は配当所得として課税される場合があります。税制上の優遇措置として、NISA(少額投資非課税制度)や居住用不動産の3000万円特別控除などがあり、適用条件を理解することが重要です。 資産運用においては、売却のタイミングや税制の影響を考慮し、適切な税対策を行うことが求められます。
譲渡税
譲渡税は、資産を売却して得た利益(譲渡益)に課される税金で、不動産取引で特によく使われる用語です。不動産の場合、保有期間によって短期譲渡(5年以下)と長期譲渡(5年超)に区分されます。 短期譲渡では約39.63%(所得税30%、住民税9%、復興特別所得税2.1%)、長期譲渡では約20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税2.1%)が課税されます。 また、不動産には3,000万円の特別控除や買い替え特例といった税制上の優遇措置があります。一方、株式や暗号資産などの売却益に課税される場合には「キャピタルゲイン課税」と呼ばれることが一般的です。
不動産売却益
不動産売却益とは、所有していた不動産を売却した際に得られる利益のことを指します。具体的には、売却価格から取得価格や諸経費(仲介手数料、登記費用、リフォーム費用など)を差し引いた金額が売却益となります。不動産市場の価格変動や景気動向によって売却益の大きさは変わり、好景気時には値上がりによって大きな利益を得ることができますが、不動産価格が下落すると損失が発生するリスクもあります。 また、売却益には譲渡所得税がかかりますが、所有期間によって税率が異なります。不動産を5年以上保有すると「長期譲渡所得」となり、税率が低く抑えられるメリットがあります。具体的には、短期譲渡所得(5年以下)の場合は税率が約39%(所得税30%+住民税9%)ですが、長期譲渡所得(5年以上)では約20%(所得税15%+住民税5%)に軽減されます。そのため、不動産を長期保有することで税負担を抑え、売却益をより多く手元に残すことが可能になります。
所得税
所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課される税金です。給与所得や事業所得、不動産所得、投資による利益などが対象となります。日本では累進課税制度が採用されており、所得が高いほど税率が上がります。給与所得者は源泉徴収により毎月の給与から所得税が差し引かれ、年末調整や確定申告で精算されます。控除制度もあり、基礎控除や扶養控除、医療費控除などを活用することで課税所得を減らし、税負担を軽減できます。
住民税
住民税は、居住地の自治体(市区町村および都道府県)に納める地方税で、地域の行政サービスを賄うために使われます。住民税は「所得割」と「均等割」の2つで構成されます。 所得割は、前年の所得に基づき一律の税率(多くの場合10%)で計算されます。一方、均等割は所得に関わらず一律の金額(全国基準では年額5,000円程度)を納める部分です。 住民税は、所得税のような累進課税ではなく比例課税が基本で、納税額は所得や扶養状況などにより異なります。また、住民税は原則として前年の所得に基づき計算されるため、納税は翌年度に行われます。これにより、地域社会の運営を支える重要な財源となっています。
復興特別所得税
復興特別所得税は、2011 年の東日本大震災からの復興財源を確保するために創設された上乗せ課税で、正式名称は「所得税に対する復興特別所得税」です。2013 年1月以降の各年分の所得税額に対し 2.1% を乗じて計算され、課税期間は現行法では 2037 年(令和 19 年)までと定められています。適用対象は給与・事業・年金などの総合課税所得だけでなく、株式譲渡益や配当・利子といった申告分離課税の金融所得も含まれ、源泉徴収時には所得税 15%と合わせて 0.315%(15×2.1%)が控除されるため、住民税 5%と合算した実効税率は 20.315% となります。たとえば所得税額が 10 万円なら復興特別所得税は 2,100 円、金融所得 100 万円であれば 20 万 3,150 円が源泉徴収される計算です。投資の損益計算やキャッシュフローを見積もる際は、この上乗せ分も含めた手取り利回りを把握しておくことが重要です。