自動移換状態になってしまった企業型DCの資産を運用再開するには?
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2025/01/24 23:39
男性
30代
転職後に企業型DCの手続きを忘れてしまい、資産が自動移換状態になっている可能性があります。この場合、再度運用を開始するにはどのような手順を踏めば良いでしょうか?具体的な流れや必要な書類について教えてください。また、運用が停止していた期間の資産への影響も気になります。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
企業型DCの資産が自動移換(国民年金基金連合会の特定管理口座)に入った場合は、次の手順で早急に運用を再開しましょう。
****1. 管理先と加入者番号を確認
- 退職後に届く「自動移換のお知らせ」またはJIS&Tからの通知で管理機関と加入者番号を確認します。
- 書類が手元にない場合はJIS&T(0570-011-345)に氏名・生年月日で照会可能です。
2. iDeCo口座を開設
- 希望する金融機関に加入申込書(第2号様式 を請求し提出します。
- 個人番号確認書類を添付。
- 在職中なら事業主証明も必要です。
- 受付から1〜2か月で口座が開設されます。
3. 自動移換資産の移換申請
- iDeCo開設後、同封の資産移換依頼書(第4号様式)に自動移換番号を記入して金融機関へ提出します。
- 通常2〜3か月で資産がiDeCo口座に振り替えられます。
4. 商品配分を指定し運用を再開
- 振替えられた資産は定期預金のままなので、希望ファンドへの配分変更/スイッチングを忘れずに指示します。
自動移換期間中のデメリット
自動移換期間中は、「資産が寝かされるうえに手数料で削られる」という二重の不利益が生じます。まず、資産は国民年金基金連合会の特定管理口座でほぼ金利ゼロの定期預金として保管されるため、本来なら市場で得られたはずのリターンが丸ごと失われます。たとえば年4%で運用できる環境なら、100万円を1年間放置しただけで約4万円の機会損失です。さらに、この期間中も年1,700円超の管理手数料(国基連・事務委託先への支払い)が資産から自動で差し引かれるため、運用益どころか元本が目減りします。この状態を放置すると複利効果が働くはずの時間軸が短縮され、老後資金の最終到達額に大きな差がつきかねません。結果として「増えない」「減る」「取り戻す手続きが煩雑になる」という三重苦を避けるためにも、管理先を特定し、iDeCoへ速やかに移換して運用を再開することが不可欠です。
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iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
確定拠出年金
確定拠出年金は、毎月いくら掛金を拠出するかをあらかじめ決め、その掛金を自分で運用して増やし、将来の受取額が運用成績によって変わる年金制度です。会社が導入する企業型と、自分で加入する個人型(iDeCo)の二つがあり、掛金は所得控除の対象になるため節税効果があります。 運用対象は投資信託や定期預金などから選べ、運用益も非課税で再投資される仕組みです。60歳以降に年金や一時金として受け取れますが、途中で自由に引き出せない点に注意が必要です。老後資金を自ら準備し、運用の成果を自分の年金額として受け取る「自助努力型」の代表的な制度となっています。
国民年金基金連合会
国民年金基金連合会は、国民年金法に基づき設立された公的な年金制度であり、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして、自営業者など国民年金の第1号被保険者の老後の所得保障の役割を担うものです。 国民年金基金連合会は、転居や転職により基金の加入員資格を喪失した中途脱退者に対して、年金や遺族一時金の支給を行っています。また、平成14年からは確定拠出年金の個人型年金の実施主体として、規約の作成や掛け金の収納業務なども行っています。 退職等により加入していた企業型DCを脱退し、6ヶ月以上移管の手続きを行わなかった場合、国民年金基金連合会に自動的に移管されます。その場合、現金で保管されるため追加の積立や運用指図を行うことができず、さらに移管時と保管時に手数料がかかります。