一時払いと平準払いでは、予定利率と返戻率で違いがありますか?
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2025/07/16 08:54
男性
60代
保険の予定利率は契約時点で固定され、返戻率は運用効果で決まると聞きました。一時払いでは保険料全額が直後から運用され、平準払いでは運用開始が遅れると理解していますが、実際に返戻率や元本超過までの期間にどれだけ差が出るのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
予定利率は保険会社が約束する運用利回りで、払い込まれた保険料に日々複利で適用されます。
一時払いでは契約日に保険料全額が預け入れられるため、全額に予定利率が直ちに乗じられ、早期から解約返戻金が元本を上回りやすく内部利回りも高くなります。
平準払いは保険料を分割して払うため、各回の払込直後から部分的にしか運用されません。全額が預け終わるまで予定利率の適用額が限られるため、返戻率の上昇ペースは緩やかで、元本超過にはより長い期間を要します。また、平準払いは途中で払込を止めれば保障が減額または失効し、返戻金も低水準にとどまる点がデメリットです。
逆に一時払いは初期資金を長期固定するため流動性を失い、金利上昇局面では既契約の予定利率が相対的に見劣りするリスクがあります。両者を比較する際は、期待運用期間、将来の金利動向、流動性ニーズを整理し、IRRの試算表を確認した上で選択することが重要です。
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関連する専門用語
予定利率
予定利率は、生命保険会社が保険契約者に対してあらかじめ約束する運用利回りのことです。これは保険会社が保険料を計算する際に用いる重要な指標の一つで、契約者から払い込まれた保険料を運用して得られると予想される運用利回りを表します。 予定利率は保険料の設定に大きな影響を与えます。予定利率が高い場合は保険料が安くなり、低い場合は高くなります。これは、高い予定利率では将来の運用によるリターンを多く見込めるため、保険料を低く抑えることができるからです。 予定利率の決定方法は、まず金融庁が国債の利回りなどを参考に「標準利率」を設定し、その後各保険会社が標準利率を基準に自社の状況を反映して決定します。 予定利率には特徴があり、契約時点の率が適用され、基本的には支払い終了時や更新時まで同率で変わりません。バブル経済期には高い予定利率の保険が多く販売され、これらは「お宝保険」と呼ばれています。近年は低金利環境により、予定利率は低下傾向にあります。 保険料の計算には予定利率以外にも、予定死亡率(性別、年齢別に想定される死亡率)や予定事業費率(保険会社の運営に必要な経費の割合)も影響します。これら3つの要因を合わせて「予定基礎率」と呼びます。
返戻率
返戻率とは、生命保険や学資保険などの貯蓄型保険において、支払った保険料の総額に対して、満期や解約時に受け取れる金額(解約返戻金や満期保険金)がどのくらいの割合で戻ってくるかを示す指標です。たとえば、200万円の保険料を支払って、満期時に220万円を受け取れる場合、返戻率は110%となります。 この数値が100%を上回れば「支払った保険料より多く戻る」、下回れば「元本割れ」ということになります。返戻率は商品選びの際の比較指標としてよく使われ、特に学資保険や個人年金保険など、将来の資金準備を目的とした保険において注目されます。 ただし、返戻率が高い商品は契約条件が厳しかったり、途中解約に弱かったりする場合もあるため、利率だけでなくライフプラン全体を見据えて判断することが大切です。保険を「貯蓄」としても考える初心者にとって、返戻率は理解しておくべき基本的な指標です。
一時払い
一時払いとは、保険や投資商品などの契約時に、まとまった金額を一度だけ支払う方法のことをいいます。毎月少しずつ支払う「分割払い」とは異なり、契約の最初に必要な全額をまとめて支払うのが特徴です。 一時払いの最大のメリットは、その後の追加の支払いが不要になる点です。そのため、資金に余裕がある方や将来の手間を減らしたい方に向いています。また、金融商品によっては、一時払いによって運用効率が高くなる場合もあります。投資信託や保険商品などでよく使われる支払い方法です。
IRR(Internal Rate of Return)
IRRとは、投資によって得られる将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いたとき、その合計が初期投資額と等しくなる割引率のことを指します。日本語では「内部収益率」とも呼ばれ、投資の収益性を評価する代表的な指標の一つです。この指標が高ければ高いほど、その投資案件は高い利回りが見込めるとされます。 たとえば、不動産投資やベンチャーキャピタルなど、長期間にわたるキャッシュフローが見込まれる事業では、IRRを基準に投資判断が行われることがあります。IRRが資本コスト(期待利回り)を上回る場合、その投資は価値があると判断されます。ただし、キャッシュフローの変動が大きいとIRRが複数存在したり、直感に反する結果になることもあるため、NPV(正味現在価値)など他の指標と併用することが望ましいです。