投資用マンションを購入した場合の節税効果はどうなりますか?
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2025/08/06 08:16
男性
30代
投資用マンションを購入すると節税になると聞いたのですが、実際にはどのような仕組みで税金が軽減されるのでしょうか?減価償却やローンの利息、管理費などが経費になると聞いたことがありますが、それがどのくらい所得税や住民税に影響するのかがよく分かりません。また、給与所得との損益通算や、赤字の場合の注意点、将来の売却時の税金とのバランスも気になります。初心者でもわかるように、節税効果の仕組みやリスクを教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
投資用マンションの節税効果は、主に「不動産所得の経費計上」と「損益通算」という二つの仕組みで現れます。家賃収入から減価償却費、ローン利息、固定資産税、管理委託料、修繕費などを差し引くと、不動産所得が計算されます。建物部分の減価償却は法定耐用年数に基づいて毎年経費化でき、築年数が古い物件ほど償却期間が短くなるため初年度から大きく経費を計上しやすい点が特徴です。
不動産所得が赤字になると、給与所得や事業所得と損益通算できるため、納めるべき所得税・住民税を減らせます。たとえば課税所得が年700万円の会社員が、マンション投資で年間100万円の赤字を計上できれば、所得税・住民税あわせて約30万円前後の税負担が軽減されるケースもあります。
ただし赤字による節税はあくまで「繰り延べ」であり、将来の売却時にはこれまで計上した減価償却費が取得費から控除されるため、譲渡所得税が増える点に注意が必要です。5年超保有の長期譲渡でも所得税15.315%+住民税5%が課税され、短期譲渡なら税率は倍近くに跳ね上がります。
REISM[リズム]の不動産投資
さらに、実質的な収支が大幅マイナスで節税だけを目的とするスキームは、税務調査で経費性を否認されるリスクがあります。金利上昇や空室でキャッシュフローが悪化すると、手元資金を圧迫しかねません。節税効果だけで判断せず、家賃利回り・空室率・将来の修繕費・金利変動などを踏まえ、長期的に黒字化できるかを試算することが不可欠です。
まとめると、投資用マンションの節税は「減価償却+損益通算」で当面の所得税・住民税を抑えられる一方、売却時の税負担増や資金繰りリスクも背負います。節税を目的に購入する場合でも、物件の収益性と出口戦略を合わせて検討し、税理士など専門家にシミュレーションを依頼してから判断するのが安全です。
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関連する専門用語
減価償却
減価償却とは、固定資産の購入価格をその使用可能年数にわたって経済的に分配する会計処理の方法です。企業が機械や建物、車両などの固定資産を購入した際に、これらの資産は使用することで徐々に価値を失います。減価償却を行うことで、資産のコストをその寿命にわたって費用として計上し、その結果として企業の財務報告が実態に即したものになることを目指します。 減価償却には様々な方法がありますが、一般的なものに直線法、定率法、数字和法があります。直線法はもっとも単純で、資産の耐用年数にわたって均等に費用を計上します。定率法は残存価値を基に毎年一定の割合で費用を計上し、数字和法では耐用年数の初年度に最も多くの費用を計上し、年数が経過するにつれてその額を減らしていきます。 減価償却は税務上も重要で、企業は減価償却費を経費として計上することで課税所得を減少させることができます。このため、適切な減価償却方法の選択と計算は、企業の税負担の管理にも直接関連しています。
固定資産税
固定資産税は、土地や建物、償却資産(事業用設備など)を所有している人が、その資産の所在する市区町村に納める地方税です。この税金は、毎年1月1日時点の固定資産の所有者に課されます。課税額は、資産の「課税標準額」に基づき、標準税率1.4%を乗じて算出されますが、市区町村によっては条例で異なる場合もあります。また、土地や住宅には負担軽減措置が設けられることがあり、課税額が抑えられるケースもあります。固定資産税は、その地域のインフラや公共サービスの維持・運営を支える重要な財源となっており、納税通知書は通常、毎年4~6月頃に送付されます。不動産を所有する際には、この税金を考慮して資産計画を立てることが重要です。
修繕費
修繕費は、建物や設備の維持・修理にかかる費用を指します。資産価値の維持や収益性の確保に重要な役割を果たし、通常は経費として計上されます。
不動産所得
不動産所得とは、アパートやマンション、駐車場、土地などの不動産を人に貸すことで得られる収入のことをいいます。たとえば、持っているマンションの一室を他の人に貸して家賃を受け取ると、その家賃収入が不動産所得になります。ただし、収入から固定資産税や修繕費、管理費などの必要経費を差し引いた後の利益部分が実際の「所得」として計算されます。この不動産所得は、確定申告の際に他の所得と合わせて税金の対象になりますので、正しく計算して申告することが大切です。
法定耐用年数
法定耐用年数とは、税法上で資産の「使用可能な期間」として定められた年数のことです。これに基づいて、資産の購入費用を分割して経費として計上する「減価償却」を行います。たとえば、不動産や設備、車両などが対象となります。 資産ごとに耐用年数は異なり、建物なら数十年、機械や車両なら数年程度が一般的です。この法定耐用年数は税務上のルールであり、実際の使用期間や資産の寿命とは必ずしも一致しません。投資家として不動産や設備に投資する際、この耐用年数を理解しておくことで、減価償却を活用した節税や資産の収益性の計算に役立てることができます。
損益通算
投資で発生した利益と損失を相殺することで、課税対象となる利益を減らす仕組みのことです。たとえば、株式投資で50万円の利益が出た一方、別の取引で30万円の損失が発生した場合、損益通算を行うことで、課税対象となる利益は50万円から30万円を引いた20万円になります。この仕組みにより、納める税金を減らすことが可能です。 損益通算が適用されるのは、同じ「所得区分」の中でのみです。たとえば、株式や投資信託の譲渡損益や配当金などは「株式等の譲渡所得等」に分類され、この範囲内で損益通算が可能です。ただし、不動産所得や給与所得など、異なる所得区分間では基本的に通算できません。 さらに、株式投資の損失は、損益通算後も控除しきれない場合、翌年以降最長3年間繰り越して他の利益と相殺できます。これを「繰越控除」と呼び、投資初心者にとっても節税に役立つ重要なポイントです。