預金と貯金にはどんな違いがありますか?
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2025/07/24 09:34
男性
60代
銀行や郵便局にお金を預けようと思っていますが、「預金」と「貯金」の違いがよくわかりません。それぞれ、どう違うのか教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
「預金」と「貯金」の主な違いは、どの金融機関にお金を預けるかによる呼び方の区別です。銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫の場合は「預金」、ゆうちょ銀行・JAバンク(農協)・JFマリンバンク(漁協)の場合は「貯金」と呼びます。ただし、どちらも普通預金(貯金)や定期預金(貯金)など同様の種類があり、預金保険制度や農水産業協同組合貯金保険制度によって、万が一金融機関が破綻した場合でも、原則1金融機関あたり1,000万円とその利息まで保護されています。
預金と貯金で利便性や金利に若干の違いはあります。都市銀行やネット銀行の預金は全国どこからでも利用できることが多く、オンラインサービスなどの利便性が高い傾向にあります。一方、JAバンクなど地域性の高い機関は金利が若干高めですが、地域・職業による利用資格制限がある場合があります。
実務的には、生活費など流動性が必要な資金を普通預金に預け、余裕資金は利率の高いネット銀行などを選ぶのが一般的です。インフレ対策としては投資信託などを組み合わせると効果的です。
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預金保険制度
預金保険制度とは、金融機関が破綻した場合に、預金者の資産を一定額まで保護する制度のことである。日本では、預金保険機構がこの制度を運営しており、銀行や信用金庫などの金融機関が加入している。通常、元本1,000万円とその利息までが保護対象となるが、決済性預金(利息の付かない当座預金など)は全額保証される。この仕組みにより、金融システムの安定性が維持され、預金者の信用が確保される。一方で、投資信託や外貨預金などは預金保険の対象外であるため、資産運用においてはリスク管理が求められる。安全性を重視した資産運用を考える際に、預金保険の適用範囲を理解することが重要である
普通預金
普通預金とは、銀行や信用金庫などの金融機関に預け入れる預金の中で、いつでも自由に出し入れができる最も基本的な預金口座のことです。預けたお金には利息が付きますが、金利は非常に低めに設定されているのが一般的です。その代わり、利便性と安全性が高く、給与の受け取り、公共料金の引き落とし、ATMでの入出金など、日常生活に欠かせない金融機能を担っています。 また、元本1,000万円とその利息までは預金保険制度によって保護されているため、安全性も高いといえます。資産運用というよりは、生活資金や短期的な支出に備えるための管理手段として使われる預金形態です。投資を始める前の資金待機場所や、緊急時に備える資金の置き場としても活用されます。
信用金庫
信用金庫とは、地域の中小企業や住民を主な会員・取引対象とする地域密着型の金融機関です。銀行と同様に預金や融資、為替などの金融サービスを提供していますが、運営の目的や仕組みが異なります。 信用金庫は「非営利の協同組織」として設立されており、利益を株主ではなく地域社会に還元することを目的としています。そのため、地元企業への事業資金融資や、住民の生活資金に関する相談など、地域経済の活性化に寄与する役割が大きいのが特徴です。 また、預金は預金保険制度の対象であり、1,000万円とその利息までが保護されます。銀行に比べて地域限定の営業活動になりますが、顔の見える関係を重視したきめ細かいサービスが魅力で、特に中小企業経営者や個人事業主にとって重要な金融パートナーとなっています。
ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行とは、日本郵政グループに属する金融機関で、もともとは郵便局の貯金業務を担っていた「郵便貯金」から発展した全国規模の銀行です。日本全国に広がる郵便局ネットワークを通じて、都市部から地方まで誰でも利用しやすい金融サービスを提供しているのが大きな特徴です。 主なサービスには、普通貯金・定額貯金・定期貯金などの預金業務や、振込・ATM・投資信託・保険・住宅ローン(限定的)などがあります。 ゆうちょ銀行は、全国どこでも同一口座番号で利用できる利便性や、高齢者や投資初心者にやさしい窓口対応・サービス設計が評価されています。預金は預金保険制度の対象であり、1,000万円とその利息までが元本保証されます。郵便局と一体となった金融インフラとして、日本国内の金融アクセス格差を解消する役割も果たしています。
ネット銀行
ネット銀行とは、実店舗を持たず、インターネットを通じて銀行サービスを提供する形態の銀行です。口座開設、振込、残高照会、定期預金、ローンの申込みなど、従来は窓口で行っていた手続きがすべてスマートフォンやパソコンで完結できる点が最大の特徴です。近年ではセキュリティや本人確認の技術も進化し、非対面での金融取引がより安心して行えるようになっています。 ネット銀行は店舗や人件費などの固定コストが少ない分、運営効率が高く、他の銀行と比べて預金金利が高めに設定されていたり、振込手数料が低廉だったりするケースが多く見られます。また、証券会社との口座連携や、電子マネー・QR決済との連動、ポイント還元などのサービスを通じて、日常の資金管理と資産運用をシームレスにつなげる設計も進んでいます。 さらに、近年注目されているのが「ネオバンク」と呼ばれる新しい金融サービスの形です。ネオバンクは銀行免許を持たず、既存の銀行と提携してその代理業者としてサービスを提供するもので、スマートフォンを中心としたユーザー体験に特化した設計が特徴です。2023年の銀行代理業制度の見直しによって、IT企業やフィンテック企業が柔軟に銀行機能を組み込めるようになり、資金移動や決済、預金残高の管理にとどまらず、投資信託や保険などの金融商品との連携も加速しています。 代表的なネオバンクには、住信SBIネット銀行と連携する「PayPay銀行」や、「GMOあおぞらネット銀行」をパートナーとするさまざまなアプリ内バンキング機能が挙げられます。これらのサービスでは、スマホ内で日々の収支を見える化し、余剰資金を自動的に貯蓄や投資に回す設計がされていることもあり、「家計管理と資産形成の起点」として新しい役割を担い始めています。 一方で、ネット銀行やネオバンクは、窓口での相談や大口の現金取引には向いておらず、一定のデジタルリテラシーが求められる側面もあります。ただし、非課税制度を活用した長期投資や、スマホから完結するつみたてNISA・iDeCoの口座開設が普及する中で、こうしたサービスは投資初心者にとってもアクセスしやすく、今後ますます資産形成との親和性が高まっていくと考えられます。 このように、ネット銀行やネオバンクは、単なる利便性の高い決済手段にとどまらず、将来的には「投資を始める入り口」としての機能を果たす存在へと進化しています。投資の入り口でつまずかないためにも、自分に合った金融インフラを選ぶことが、これからの時代の資産運用において重要な第一歩となるでしょう。