定期預金はおすすめしないと言われる5つのデメリットとは?金利やメリット・国債との比較を解説

定期預金はおすすめしないと言われる5つのデメリットとは?金利やメリット・国債との比較を解説
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公開:
2025.03.07
更新:
2025.12.30
定期預金は「元本保証」で安心しやすい一方、金利環境やインフレ次第では“増えない不満”が残り、途中解約や自動継続の条件を見落とすと想定外の差が出ます。この記事では、定期預金を「おすすめしない」と言われる背景を整理したうえで、金利・解約・期間(1年/3年)・口数分割・預け替えの判断軸を具体化し、個人向け国債との違いも比較します。読了後は、生活防衛資金や退職金の置き場を目的別に選べる基準が手に入ります。
サクッとわかる!簡単要約
この記事を読むと、定期預金が「おすすめしない」と言われる理由を、実質利回り(インフレ)・途中解約・元利自動継続や優遇金利終了後の条件から整理できます。さらに、1年/3年の選び方、口数分割や預け替えの判断軸を示し、個人向け国債とも利回り・流動性で比較。読了後は、生活防衛資金や退職金の置き場を目的別に選び、損を避けた預け方を決められるようになります。
定期預金は「おすすめしない」「やめたほうがいいと言われる理由と5つのデメリット
大切な退職金、まずは安全な定期預金に…と考える人も多いでしょう。しかし、「定期預金はやめたほうがいい」という声があるのも事実です。安全だと思っていた定期預金に、一体どんなデメリットがあるのでしょうか? ここでは、そう言われる主な理由である5つのデメリットを、ご自身の状況と照らし合わせながら確認してみましょう。
デメリット1.インフレ負けの可能性:インフレで元本保証が実質“元本割れ”に
定期預金は物価上昇(インフレ)に弱いという弱点があります。物価が上昇すると、お金の価値が相対的に下がります。例えば、物価が年2%上昇している中、金利0.2%の定期預金に預けると、実質的には資産の価値が約1.8%減ってしまいます。元本は減りませんが、購買力が下がるリスクがあります。
定期預金で資産が目減りする仕組みについては、以下質問に対しても解説しています。
デメリット2.金利が低すぎて資産が増えない
定期預金は安全ですが、金利が低いため資産を大きく増やすことは難しい「ローリスク・ローリターン」な金融商品です。
- 例えば、金利0.5%の定期預金に100万円を預けても年間利息は税引き前で5,000円程度です。資産を増やしたい場合、定期預金だけでは十分ではありません。
デメリット3.運用の機会損失が大きい:投資信託と比較
退職金を全額定期預金にすると、より高いリターンを得る機会を逃してしまう可能性があります。
例えば、2,000万円の退職金を以下の2パターンで運用した場合を比較します。
定期預金と投資信託
- ケース①:全額定期預金(年利0.5%)
- ケース②:半分を投資信託(期待利回り5%)、半分を定期預金(年利0.5%)
これらケースの10年後、15年後、20年後の資産の推移は以下表のとおりです。
| ケース① | ケース② | |
|---|---|---|
| 10年後 | 21,022,803円 | 投資信託:16,288,946円 定期預金:10,511,401円 合計:26,800,347円 |
| 15年後 | 21,553,655円 | 投資信託:20,789,282円 定期預金:10,776,827円 合計:31,556,109円 |
| 20年後 | 22,097,912円 | 投資信託:26,532,977円 定期預金:11,048,956円 合計:37,581,933円 |
上表のように、退職金の半分を投資信託の購入に充てた場合と、全額を定期預金に預け入れた場合では20年後に約1,548万円の差がつきました。
ただし、シミュレーションでは「退職金を生活費として取り崩さずに運用し続ける」という前提なので、実際に取り崩しを行うとシミュレーションは異なる結果になります。
投資信託は、運用に寄って価格が日々変化します。価格が下がった結果、元本割れする可能性もあります。
- そのため、必ずしも毎年5%の利回りで運用できるとは限らない点に注意が必要です。価格変動の幅があり、場合によっては元本割れが生じる可能性がある点に注意しましょう。
デメリット4.途中解約ペナルティが重い:途中解約のデメリットと手数料まとめ
定期預金を途中で解約する最大のデメリットは、受け取れる利息が想定より大きく減ることです。定期預金は「満期まで預ける」前提で金利が設計されているため、途中解約すると中途解約利率が適用され、当初の金利で計算されないのが一般的です。その結果、満期まで預けた場合と比べて利息が目減りします。
また、解約後に同じ条件で預け直せるとは限りません。金利環境が変わっていれば、再預入時の金利が下がっている可能性もあり、利回りがさらに悪化することがあります。途中解約を前提にすると、金利変動の影響を受けやすくなります。
デメリット5.投信抱き合わせで手数料がかさむ恐れ
「退職金専用定期預金」など一部の特別プランには通常より高い金利の代わりに、「投資信託を同時に購入する」という条件が付く場合があります。そして、セットで勧められる投資信託は、購入時にかかる手数料(販売手数料)や、保有中にかかる費用(信託報酬)が割高な商品であるケースが少なくありません。
- ひどい例では、定期預金の利息よりも、投資信託の購入手数料の方が高くつき、トータルで損をしてしまうこともあります。高金利という「エサ」に釣られて、不要なコストを負担させられないよう、注意が必要です。
よくあるキャンペーンに関しては、こちらのQ&Aを参考にしてみてください。
高齢者が注意すべき退職金専用定期預金とは?
退職金を受け取った方向けに、銀行が特別なプランとして用意しているのが「退職金専用定期預金」です。通常の定期預金よりも高い金利が設定されていることが多く、魅力的に見えますが、利用するには条件があり、注意すべき点もいくつかあります。
退職金専用定期預金と通常の定期預金の違い
退職金専用定期預金は、通常の定期預金よりも高い金利が適用されます。通常の定期預金金利は0.5%程度が相場ですが、退職金専用定期預金の中には、1.0%を超える金利を設定しているケースがあります(2024年11月時点)。
定期預金は元本割れのリスクがない安全な金融商品なので、リスクを抑えながらも収益性を求めている方にとって、魅力的に映るかもしれません。しかし、退職金専用定期預金は、誰でも、いつでも利用できるわけではありません。通常の定期預金との主な違いをまとめました。
| 項目 | 退職金専用定期預金 | 通常の定期預金 |
|---|---|---|
| 対象者 | 退職金受取後、一定期間内の人のみ (例: 1年以内) 、一人1回限りが多い | 原則誰でも利用可能 |
| 最低預入額 | まとまった金額が必要 (例: 100万円以上) | 1万円程度から可能な場合が多い |
| 預入上限額 | 退職金の範囲内などの制限がある場合あり | 制限がない場合が多い |
| 途中解約 | 可能だが、優遇金利は適用されず、普通預金並みの低金利になる | 可能だが、普通預金並みの低金利になる |
| その他条件 | 投資信託等の同時購入が条件の場合あり | 通常なし |
このように、利用できる人や金額、期間に制限がある特別な商品であることがわかります。
退職金専用定期預金の金利の傾向と預入条件
実際に退職金専用定期預金を取り扱っている金融機関の、具体的な金利を比較してみましょう。
| 金融機関 | 優遇期間 | 優遇金利(税引前) | 優遇終了後の扱い(例) |
|---|---|---|---|
| 西京銀行 | 3ヶ月 | 年3.0%(税引後 年2.390%) | 初回満期まで。以降はスーパー定期3ヶ月の店頭表示金利(現行 年0.225%) |
| みなと銀行 | 3ヶ月 | 投資信託/ファンドラップ等との同時申込で 年5.0% / 年7.0% | 以降は円定期の店頭表示金利に戻る設計が基本(通常の3ヶ月は 年0.250%) |
| みなと銀行 | 3ヶ月 | 最大 年1.7%(条件あり) | 同上(通常の3ヶ月は 年0.250%) |
| 第四北越銀行 | 3ヶ月 | 店頭表示+年1.0%(年金指定等で+年1.3%) | 3ヶ月の店頭表示は 年0.225%(2025/12/15現在) |
| 第四北越銀行 | 3ヶ月 | 店頭表示+年3.0%(年金指定等で+年3.3%) | 同上(店頭表示に戻る前提で要確認) |
| 香川銀行 | ステージ1:3ヶ月 / ステージ2:6ヶ月 | ステージ1:店頭表示+年1.0%、ステージ2:店頭表示 最大+年0.8%(条件で加算 | 店頭表示(例:3ヶ月 年0.205%、6ヶ月 年0.235%/2025/12/16現在) |
| トマト銀行 | 3ヶ月 | 店頭表示に +年0.5% / +年1.0%(条件あり。初回期間のみ適用の旨が明記) | 店頭表示(例:1〜3ヶ月相当 年0.205%) |
多くの退職金専用定期預金は、1.0%~3.0%程度の金利が設定されていることがわかります。また、多くの退職金専用定期預金では、優遇金利が適用される期間は3ヶ月と短期間です。
優遇金利が適用されるのは短期間
退職金専用定期預金の最大の特徴は、預け入れ当初の非常に短い期間(多くは3ヶ月程度)だけ、年3.0%やそれ以上といった、通常では考えられないような高金利が適用されることです。
しかし、この高い金利がずっと続くわけではありません。優遇期間が終わると、金利は大幅に引き下げられ、通常の定期預金と同じか、場合によってはそれ以下の低い金利になってしまうのが一般的です。
以下表に1年目・2年目の利息例を示します。
| 銀行名 | 1年目の税引き前利息 (預入額100万円) | 2年目以降の税引き前利息 (預入額100万円) |
|---|---|---|
| 西京銀行 | 最初の3ヶ月 100万円×3.0%×0.25=7,500円 残りの9ヶ月 100万円×0.125%×0.75=937.5円 1年目の合計利息 =7,500円+937円=8,437円 | 100万円×0.125%=1,250円 |
| みなと銀行 | 最初の3ヶ月 100万円×1.5%×0.25=3,750円 残りの9ヶ月 100万円×0.125%×0.75= 937円 3,750円+937円=4,687円 | 100万円×0.125%=1,250円 |
| 第四北越銀行 | 最初の3ヶ月 100万円×1.3%×0.25=3,250円 残りの9ヶ月 100万円×0.105%×0.75=787円 3,250円+787円= 4,037円 | 100万円×0.105%=1,050円 |
| トマト銀行 | 最初の3ヶ月 100万円×1.105%×0.25=2,762円 残りの9ヶ月 100万円×0.105%×0.75=787円 1年目の合計利息 =2,762円+787円 = 3,549円 | 100万円×0.105%=1,050円 |
| 香川銀行 | 最初の3ヶ月 100万円×1.105%×0.25=2,762円 残りの9ヶ月 100万円×0.105%×0.75=787円 1年目の合計利息 =2,762円+787円 = 3,549円 | 100万円×0.105%=1,050円 |
優遇金利が適用される期間が終了すると、適用金利は下がるのが一般的です。その結果、1年目と2年目では、受け取れる利息に差が出てしまうことがわかります。
退職金専用定期の3つの注意点
退職金専用定期預金を利用する際には、特に以下の3つの点に注意しましょう。
優遇期間終了後は通常金利以下になる低金利化
前述の通り、魅力的な高金利は最初の数ヶ月だけです。問題は、その後の適用金利です。キャンペーン終了後の金利が、その銀行の通常の定期預金金利よりも低いケースすらあります。
- 実際に預け入れる前に、優遇期間終了後の金利がいくらになるのか、必ず確認しましょう。長期的に見ると、他の銀行の通常の定期預金の方が有利だった、ということにもなりかねません。
途中解約すると高金利が一切付かず利息ほぼゼロへ
もし、優遇期間中に急にお金が必要になり、解約せざるを得なくなった場合、当初の高い優遇金利は一切適用されません。解約時点までの利息は、普通預金と同じ程度の極めて低い金利で計算されてしまいます。高金利の恩恵を受けるには、少なくとも優遇期間中は絶対に解約しないことが前提となります。資金計画をしっかり立ててから利用する必要があります。
投資信託抱き合わせ条件の有無を必ず確認
最も注意したいのが、投資信託などの他の金融商品の購入がセットになっている、いわゆる「抱き合わせ販売」です。高金利を提示する代わりに、「同額以上の投資信託を購入してください」といった条件が付いている場合があります。勧められる投資信託は、販売手数料や信託報酬が高く設定されていることが多く、定期預金で得られる利息以上に手数料で損をしてしまうリスクがあります。
- 契約前に、そのような条件が付いていないか、もし付いている場合は、その投資信託が本当に自分に必要なものか、手数料は妥当か、などを冷静に判断する必要があります。「よくわからないけど、お得そうだから」と安易に契約するのは禁物です。
| 金融機関 | コース名・条件 | ファンドラップの手数料 | 優遇金利 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ信託銀行 | ファンドラップコース 預入れ総額の50%以上「MUFGファンドラップ」で運用する | 投資一任運用に係る報酬:0.462%~1.309% 投資信託の運用管理費用(信託報酬) :0.23%~0.565% | 年7.2%(預入期間3ヶ月) |
| 三井住友信託銀行 | 退職金特別プラン「運用50タイプ」 申し込み総額の50%以上の金額で投資信託または三井住友信託ファンドラップを購入する | 投資顧問報酬(固定報酬):最大年率1.760% 投資顧問報酬(成功報酬)運用成果の16.5% ほか、投資信託の信託報酬 | 年7.2%(預入期間3ヶ月) |
上表はあくまでも一例で、ほかにもさまざまな金融機関が退職金専用定期預金の抱き合わせとして、投資信託やファンドラップを販売しています。
ファンドラップについては以下記事をご参照ください
定期預金のメリットと基本的な仕組み
多くのデメリットがある一方、定期預金には元本保証という絶対的な安心感があります。また、金利が固定で計画を立てやすく、手間なく貯蓄できる点も大きな魅力です。ここでは、そんな定期預金の基本的な仕組みと、見過ごされがちな3つのメリットを改めて解説します。
定期預金の仕組みとは?普通預金との違いを解説
定期預金とは、預入期間(数ヶ月〜数年)を定めてお金を預ける金融商品です。満期まで原則引き出せない代わりに、普通預金より高い金利が約束されます。利率は契約時に決まる「固定金利」が一般的ですが、市場に合わせて見直される「変動金利」もあります。満期時には元本と利息をまとめて受け取れる、シンプルな仕組みです。
メリット1:元本保証で資産を守れる絶対的な安全性
定期預金の最大のメリットは、預けた元本が保証される安全性です。投資と違い、マーケットの変動で元本が減ることはありません。さらに、預金保険制度(ペイオフ)により、万が一銀行が破綻した場合でも、預金者1人あたり元本1,000万円とその利息までが保護されます。
メリット2:金利が固定で将来の利息額を計算しやすい
預入時に金利と満期が決まるため、将来受け取れる利息を正確に計算できます。これにより資金計画が立てやすく、相場の変動を気にせず着実に資産を貯めたい場合に最適です。金利は普通預金より高く設定されるのが基本で、金融機関が実施するキャンペーンを狙えば、さらに有利な条件で預けることも可能です。
メリット3:一度預ければ手間なく、強制的に貯蓄できる
一度預け入れれば、満期まで特別な手続きは不要です。投資のように日々値動きを気にする必要がなく、手間をかけずに資産形成ができます。また、簡単には引き出せない性質から「お金に手をつけてしまう」のを防ぎ、強制的に貯蓄する仕組みとしても機能します。自動積立や自動継続サービスを利用すれば、さらに計画的な貯蓄が可能です。
生活防衛資金として定期預金を活用する方法
定期預金には注意点もありますが、「生活防衛資金」を安全に保管する場所としては有効な選択肢です。
生活防衛資金とは、病気や怪我、突然の収入減など、予期せぬ事態が発生した際に、当面の生活を守るためのお金です。一般的に、月々の生活費の6ヶ月分から1年分を目安に、すぐに使える安全な形で準備しておくことが推奨されます。特に収入が変化しやすい退職後は、この備えの重要性が増します。
- もし、ご自身の世帯の1ヶ月の生活費が25万円であれば、生活防衛資金の目安は150万円(6ヶ月分)から300万円(1年分)となります。この金額を定期預金で確保しておくと、いざという時の安心につながります。
生活防衛資金として定期預金を利用する場合、重視すべきは金利の高さよりも以下2点が重要です。
- 必要な時にすぐ使えること(流動性)
- 万が一銀行が破綻しても守られること(安全性:預金保険の範囲内であるかなど)
この2点を優先して、預入期間や預け先を選びましょう。
なお、準備すべき生活防衛資金の目安は個人差があります。詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。
定期預金が向いている人の特徴
定期預金は、資産を「増やす」ことよりも「守る」ことを優先したい人にとって、非常に有効な選択肢です。具体的には、以下のような特徴を持つ人に向いています。
1.とにかく元本割れを避けたい
投資には興味があるけれど元本が減るのは絶対に避けたい、という安全志向の強い人には定期預金が適しています。預金保険制度で元本が保護されるため、退職金のような大切な資金を安全第一で管理したい場合にも向いています。
2. 1〜3年以内に使う予定の資金を安全に保管したい
マイホームの頭金や子どもの学費など、近い将来に使い道が決まっている資金の一時的な置き場所として最適です。また、万が一に備える生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)の保管場所としても有効です。元本割れのリスクなく、必要な時期まで安全にお金を置いておけます。
定期預金が向いていない人の特徴
一方で、資産を積極的に増やしたいと考えている人にとって、定期預金は物足りない選択肢となります。以下のような特徴を持つ人には不向きと言えるでしょう。
1.インフレに負けないよう資産を増やしたい
定期預金はリターンが極めて低いため、資産を大きく増やすことには貢献しません。物価上昇(インフレ)に負けないペースで資産価値を高めたい人や、ある程度のリスクを取ってでも高いリターンを目指したい人は、投資信託や株式など他の金融商品を検討すべきです。
2.1,000万円を超える資金をまとめて預けたい
預金保険制度(ペイオフ)で保護されるのは、1つの金融機関につき1,000万円までです。そのため、1,000万円を超える資金を一つの銀行の定期預金に預けてしまうと、万が一の際に全額が保護されないリスクがあります。このような場合は、複数の銀行に口座を分けるか、国債など他の安全資産との組み合わせを考える必要があります。
定期預金以外にも、さまざまな投資商品があります。詳しくはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。
定期預金と個人向け国債を選ぶならどっち?
元本割れが発生しない安全性が高い金融商品として、個人向け国債があります。リスクを抑えて運用したい場合、定期預金だけでなく個人向け国債も検討すべき選択肢の一つです。
定期預金と個人向け国債のメリット・デメリットを比較
定期預金と個人向け国債の違いをまとめると、以下のとおりです。
| 定期預金 | 個人向け国債 | |
|---|---|---|
| 安全性 | 高い | さらに高い |
| 流動性 | 高い | 高い(購入後1年間は解約できない) |
| 金利 | 0.2%~0.7%程度 | 固定3年:1.10% 固定5年:1.35% 変動10年:1.23% (2025年12月発行分) |
| 適用金利の見直し | × | ○(変動10年のみ。半年に1回) |
| 複利効果(元利継続) | ○ | × |
| 自動購入 | ○(金融機関による) | × |
| 預金保護の対象 | ○ | × |
| iDeCoでの取り扱い | ○ | × |
| 解約時 | 普通預金金利が適用される(金融機関によって取り扱いは異なる) | 直近2回分の利息が差し引かれる |
| メリット | ・いつでも解約できる ・元利継続を選択すれば複利効果を得られる ・定期的な積立購入ができる | ・金融商品の中でも安全性がトップクラスに高い ・変動10年は金利上昇の恩恵を受けられる ・定期預金よりも金利が比較的高い |
| デメリット | ・途中で解約すると普通預金金利が適用される ・インフレーションに対応できない ・金利上昇の恩恵を受けられない | ・購入後1年間は解約できない ・利息は都度受け取る必要があり、複利効果は得られない |
定期預金は銀行にお金を預け入れる金融商品ですが、個人向け国債は政府へお金を貸す金融商品です。銀行と政府を比較した場合、政府のほうが安心してお金を貸せる点を考えると、個人向け国債のほうが安全性は高いといえるでしょう。
流動性の高さは、ほとんど変わりません。個人向け国債は購入後1年間解約できない点を考えると、わずかながら定期預金のほうが優れているといえそうです。
個人向け国債の中でも、変動10年は適用金利が見直されます。今後の金利上昇の恩恵を受けたい場合は、定期預金ではなく個人向け国債の変動10年を購入するとよいでしょう。
定期預金と個人向け国債のどちらがおすすめ?
定期預金と個人向け国債はいずれも、元本を確実に守りたいお金を運用する際に有効活用できます。以下で、個人の財務状況や運用目的に応じて、それぞれおすすめできる人の特徴をまとめました。
| 定期預金がおすすめの人 | 個人向け国債がおすすめの人 |
|---|---|
| ・1年以内に解約する可能性がある人 ・運用期間が比較的短い人(おおむね3年以内) ・手間をかけず自動的・定期的にお金を預け入れたい人 | ・少しでも高い収益性を求める人 ・運用資金が1,000万円を超える人 ・金利上昇の恩恵を受けたい人(変動10年) |
定期預金は預け入れてからいつでも解約できるため、1年以内に解約する可能性がある方や運用期間が短い方に向いています。また、多くの金融機関では自動積立機能のサービスを提供しているため、手間をかけず着実に貯蓄を増やしたい方とも好相性でしょう。
元本保証の金融商品で、少しでも収益性が高い商品を探している方は個人向け国債が向いています。適用される金利が半年に1回見直され、金利上昇の恩恵を受けたいと考えている方は、個人向け国債の変動10年を購入するのがおすすめです。
個人向け国債は定期預金よりも安全性・収益性共に優れている金融商品です。詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
この記事のまとめ
この記事では、定期預金を選ぶ際に見落としがちな「実質利回り(インフレ)」「途中解約の不利」「自動継続・優遇金利終了後の条件」を整理し、定期預金と個人向け国債を利回り・流動性・資金拘束で比較しました。次は、手元資金を①生活防衛資金②中期で使う資金③長期運用資金に分け、預入期間(1年/3年)や口数分割、預け替えの可否をチェックして置き場を決めましょう。迷う場合は投資のコンシェルジュの無料相談で目的別の配分を一緒に整理できます。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
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金利(利率)
金利(利率)とは、お金を貸したり預けたりしたときに発生する利息の割合を表す言葉です。たとえば、銀行にお金を預けると一定の利息がもらえますが、そのときの利息の割合を金利または利率と呼びます。一般的には「金利」が金融機関との貸し借りに使われることが多く、 「利率」は投資商品の収益率などに使われる傾向がありますが、日常的にはほぼ同じ意味で使われています。資産運用の場面では、金利の動きが預金、ローン、債券などの価格や収益に影響を与えるため、金利や利率に注目することはとても大切です。特に経済状況や中央銀行の政策によって金利は変動するため、それを理解しておくことでより良い投資判断につながります。
元本保証
元本保証とは、投資や預金において、満期まで保有すれば最低でも投資した元本が保証される仕組みを指します。銀行預金や一部の保険商品などが該当し、元本が減るリスクを抑えられるため、安全性を重視する人に向いています。しかし、元本保証がある商品は一般的に利回りが低く、インフレによる実質的な購買力の低下を考慮する必要があります。
個人向け国債
個人向け国債とは、日本政府が個人投資家向けに発行する債券で、安全性が高く元本保証が特徴です。最低1万円から購入可能で、3年・5年の固定金利型と10年の変動金利型があります。変動金利型は半年ごとに金利が見直され、市場金利の上昇に伴い受取利息が増加するメリットがあります。 一方、株式投資ほどの高いリターンは期待できず、インフレ時には実質的な資産価値が目減りする可能性があります。また、購入後1年間は中途換金ができず、その後の換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれる点に注意が必要です。銀行預金より高い金利を求めるが、リスクを避けたい投資初心者や安全資産を確保したい方に適した商品です。
複利
複利とは、利息などの運用成果を元本に加え、その合計額を新たな元本として収益拡大を図る効果。利息が利息を生むメリットがあり、運用成果をその都度受け取る単利に比べ、高い収益を期待できるのが特徴。短期間では両者の差は小さいものの、期間が長くなるほどその差は大きくなる。
利回り
利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
ファンドラップ
ファンドラップは、金融機関が顧客から資産運用を一任され、顧客の目標やリスク許容度に応じてポートフォリオを構築・管理するサービスです。顧客の資産を複数の投資信託やETFなどに分散投資し、運用を行います。運用内容や資産配分の調整(リバランス)は専門家が行い、定期的な運用状況の報告も提供されます。 主に、初心者や忙しい投資家が利用することが多く、手数料はファンドラップ・フィーとして一括で支払う形式が一般的です。この手数料には運用管理費やアドバイス料が含まれます。
生活防衛資金
生活防衛資金とは、万が一の病気や失業、災害などで収入が途絶えた場合でも、一定期間は生活を維持できるように、あらかじめ確保しておく現金のことです。投資を始める前にまず準備しておくべきお金で、一般的には生活費の3か月から6か月分を目安にするとされています。 この資金は、株や投資信託のように価格が変動する商品ではなく、すぐに引き出せる預金などで保管するのが望ましいとされています。生活防衛資金がしっかりと確保されていれば、投資のリスクを過度に恐れずに冷静な判断がしやすくなり、精神的な安心感にもつながります。
機会損失
機会損失とは、ある選択をしたことによって、別の選択肢で得られたはずの利益を失うことを指します。例えば、低金利の預金に資金を預けている間に、高利回りの投資商品で運用する機会を逃す場合などが該当します。資産運用においては、慎重になりすぎて投資を見送ることで得られたはずのリターンを逃さないよう、適切なリスク管理を行うことが重要です。
流動性
流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。
預金保険制度
預金保険制度とは、金融機関が破綻した場合に、預金者の資産を一定額まで保護する制度のことである。日本では、預金保険機構がこの制度を運営しており、銀行や信用金庫などの金融機関が加入している。通常、元本1,000万円とその利息までが保護対象となるが、決済性預金(利息の付かない当座預金など)は全額保証される。この仕組みにより、金融システムの安定性が維持され、預金者の信用が確保される。一方で、投資信託や外貨預金などは預金保険の対象外であるため、資産運用においてはリスク管理が求められる。安全性を重視した資産運用を考える際に、預金保険の適用範囲を理解することが重要である
退職金専用定期預金
退職金を受け取った人を対象に、金融機関が特別な金利で提供する定期預金のことを指す。通常の定期預金よりも高い金利が適用されることが多く、一定の預入期間や最低預入額が設定されている。退職金の運用方法として、安全性を重視する人に適した選択肢とされるが、預入期間の途中で解約すると通常の定期預金よりも低い金利が適用される場合がある。
変動金利
変動金利とは、市場の金利動向に応じて一定の期間ごとに金利が見直される仕組みのことを指します。住宅ローンや投資信託の分野でよく使われ、金利が低下すれば支払い負担が軽くなる一方で、金利上昇時には支払額が増加するリスクがあります。短期的な金利低下が見込まれる場合に有利ですが、将来的な金利上昇に備えた資金計画が重要です。
ゼロ金利政策
ゼロ金利政策とは、中央銀行が景気低迷やデフレを食い止めるために、短期の政策金利を実質ゼロ%前後まで引き下げたうえで据え置く金融緩和策です。金利が限りなく低くなると、企業や家計は資金調達コストを気にせず融資や社債発行を行いやすくなり、その資金が設備投資や消費に回ることで経済活動を押し上げる効果が期待されます。日本では1999年に初めて導入され、その後の長期デフレ局面でマイナス金利や長期金利の操作(イールドカーブ・コントロール)へと発展しました。 一方、金利を極端に下げ続けると銀行の利ざやは縮小し、金融機関の収益力が低下します。また、利回りを求めるマネーが株式や不動産に流入しやすくなるため、資産価格が経済実態以上に上昇するバブルの温床にもなりかねません。さらに、内外金利差が拡大すれば自国通貨が下落し、輸入物価を通じてインフレ圧力が高まるリスクもあります。 資産運用の観点では、ゼロ金利環境下では国債など安全資産の利息収入がほぼ期待できない一方、債券価格は金利上昇に弱くなります。そのため、インフレ期待の動きや中央銀行の出口戦略を見極めつつ、株式への比重を上げたり、物価連動債や外貨建て資産、オルタナティブ資産で実質リターンを確保する戦略が重視されます。ゼロ金利政策が採られている背景と、そこからの転換点を読み解くことが、ポートフォリオを守り育てるうえで欠かせない判断材料となります。



