65歳以上でも、障害年金の請求はできますか?
65歳以上でも、障害年金の請求はできますか?
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2025/12/24 09:59
男性
60代
加齢に伴う体力低下や持病の悪化が進む中で、65歳を過ぎても障害年金を新たに請求できますか?老齢年金との兼ね合いで注意すべき点も教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
原則として、65歳を過ぎてから初めて発症し、医師の診療を受けた病気やけがについては、障害年金を請求することはできません。障害年金は「高齢による障害」を補償する制度ではなく、現役期に発症した病気やけがによって生活や就労に制約が生じた場合を対象とする制度であるため、初診日が65歳以降の傷病は原則として対象外となります。
ただし例外として、いま問題となっている病気やけがについて、初めて医師の診療を受けた日(初診日)が65歳より前であり、その時点で国民年金または厚生年金に加入していて、かつ保険料納付要件も満たしている場合には、65歳以降に障害の程度が重くなった段階で「事後重症請求」などを行うことが制度上認められています。
この場合でも、請求の可否を左右するのは初診日の特定と、当時の年金加入状況、保険料納付状況です。加えて、実際の審査では主治医が作成する診断書の内容が極めて重要になります。単なる検査数値だけでなく、日常生活のどの場面で支障が生じているのか、就労がどの程度制限されているのかといった実態が具体的に記載されている必要があります。そのため、生活実態や治療経過をあらかじめ医師と共有しておくことが、実情に沿った判断につながります。
さらに、65歳以降は老齢基礎年金・老齢厚生年金との関係にも注意が必要です。公的年金は原則として「1人1つの年金を選ぶ」仕組みになっており、老齢年金と障害年金を同時に満額で受け取ることはできません。
そのため、老齢年金を受け取るのか、障害年金を選択するのか、あるいは制度上認められている範囲で一部を組み合わせて受給するのかを比較し、金額や税金、将来の見通しを踏まえて調整する必要があります。特に、障害年金は非課税である一方、老齢年金は課税対象となるため、額面だけでなく手取り額での比較が重要になります。
65歳以降の障害年金は、初診日の考え方や年金の選択関係が複雑で、自己判断が難しい分野です。最適な年金の受け取り方や老後資産全体のシミュレーションについて検討したい場合は、投資のコンシェルジュの無料相談を活用すると、制度面と資産面の両方を整理しながら判断しやすくなります。
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関連する専門用語
障害年金
障害年金とは、病気やケガによって日常生活や就労に支障がある状態となった場合に、一定の条件を満たすと受け取ることができる公的年金の一種です。これは、老後に受け取る老齢年金とは異なり、まだ働き盛りの年齢であっても、障害の状態に応じて生活を支えるために支給されるものです。 受け取るためには、初診日の時点で年金制度に加入していたことや、一定の保険料納付要件を満たしていること、そして障害の程度が法律で定められた等級に該当することが必要です。障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、どの年金制度に加入していたかによって対象や支給額が異なります。これは障害を抱えながらも暮らしていく人の経済的な支えとなる大切な制度です。
初診日
初診日とは、公的年金制度において、障害年金や遺族年金を請求する際の基準となる「最初にその病気やけがで医師の診療を受けた日」のことをいいます。この日付は、年金の支給要件や保険料納付要件、障害認定日などを判断するうえで非常に重要です。たとえば、障害年金を請求する場合は、初診日に年金制度に加入していたかどうかが支給の可否を左右します。 また、初診日から1年6か月を経過した日(または治った日)が障害認定日とされ、そこから障害の程度が等級に該当しているかが判断されます。初診日を証明するためには、当時診療を受けた医療機関に「受診状況等証明書」を発行してもらう必要があります。正確な初診日の特定は、年金請求の成否に関わる極めて重要なポイントです。
事後重症
事後重症とは、一定の時点では要件を満たしていなかった障害の状態が、その後の経過によって重度と評価される水準に達したことを、制度上区別して表す概念です。 この用語は、主に公的年金や障害に関する給付制度を理解する文脈で登場します。障害に基づく給付は、原則として「いつ」「どの程度の状態であったか」という時点評価が重視されますが、実際の障害は時間の経過とともに悪化することもあります。事後重症という言葉は、当初の評価時点では対象外であったものが、後になって制度上の基準に該当する状態に変化した場合を整理するために用いられます。 誤解されやすい点として、事後重症が「後からでも同じ条件で遡って認められる仕組み」だと理解されることがあります。しかし、この概念は過去の状態を書き換えるものではなく、あくまで状態が変化した後の評価を区別するための考え方です。初期の時点で満たしていなかった要件が、後日になって満たされる場合でも、その取り扱いは制度上明確に分けて整理されます。この違いを理解しないと、給付の時期や位置づけについて誤った期待を持ちやすくなります。 また、事後重症という言葉から「急激な悪化」や「突発的な重症化」を連想されることもありますが、実際には徐々に状態が進行した結果として用いられる場合も含まれます。重要なのは悪化の速度ではなく、制度が定める評価基準にいつ到達したかという点です。この点を混同すると、医学的な重症度と制度上の判断を同一視してしまうおそれがあります。 事後重症は、障害の状態を時間軸で捉え、制度判断を整理するための概念です。この用語に触れたときは、「どの時点の状態を基準にした話なのか」「制度上、どの評価局面を指しているのか」という視点で捉えることが、制度理解の出発点になります。
保険料納付要件
保険料納付要件とは、公的年金を受け取るために必要な条件の一つで、一定期間以上、年金保険料をきちんと納めているかどうかを確認するための基準です。たとえば、障害年金や遺族年金を受け取るには、初診日や死亡日の前日時点で、保険料を「原則として加入期間の3分の2以上」納付または免除されている必要があります。 例外的に、直近1年間に未納がなければ受け取れる特例もあります。これは、制度を公平に維持するための仕組みで、必要な保険料をきちんと負担していた人に対して給付が行われることを目的としています。保険料を納め忘れていた期間が長いと、せっかくの給付が受けられないこともあるため、日頃からの納付状況の確認が大切です。
老齢基礎年金
老齢基礎年金とは、日本の公的年金制度の一つで、老後の最低限の生活を支えることを目的とした年金です。一定の加入期間を満たした人が、原則として65歳から受給できます。 受給資格を得るためには、国民年金の保険料納付済期間、免除期間、合算対象期間(カラ期間)を合計して10年以上の加入期間が必要です。年金額は、20歳から60歳までの40年間(480月)にわたる国民年金の加入期間に応じて決まり、満額受給には480月分の保険料納付が必要です。納付期間が不足すると、その分減額されます。 また、年金額は毎年の物価や賃金水準に応じて見直しされます。繰上げ受給(60~64歳)を選択すると減額され、繰下げ受給(66~75歳)を選択すると増額される仕組みになっています。 老齢基礎年金は、自営業者、フリーランス、会社員、公務員を問わず、日本国内に住むすべての人が加入する仕組みとなっており、老後の基本的な生活を支える重要な制度の一つです。
老齢厚生年金
老齢厚生年金とは、会社員や公務員などが厚生年金保険に加入していた期間に応じて、原則65歳から受け取ることができる公的年金です。この年金は、基礎年金である「老齢基礎年金」に上乗せされる形で支給され、収入に比例して金額が決まる仕組みになっています。つまり、働いていたときの給与が高く、加入期間が長いほど受け取れる年金額も多くなります。また、一定の要件を満たせば、配偶者などに加算される「加給年金」も含まれることがあります。老後の生活をより安定させるための重要な柱となる年金です。




