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【早見表付き】在職老齢年金制度とは?支給停止になる人・ならない人の事例や最新情報をわかりやすく解説

【早見表付き】在職老齢年金制度とは?支給停止になる人・ならない人の事例や最新情報をわかりやすく解説

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執筆者:

公開:

2025.09.17

更新:

2025.09.17

公的年金

60歳以降も働きながら年金を受け取ることができる「在職老齢年金」。しかし、収入が一定額を超えると年金が減額される仕組みがあることをご存知でしょうか。

2025年度は支給停止調整額が51万円/月に引き上げられ、より多くの方が年金を受け取りやすくなりました。2026年度には支給停止調整額が62万円/月まで引き上げられる予定となっており、制度は大きな転換期を迎えています。

60歳以降の働き方を考えている方、すでに働きながら年金を受給している方は、ぜひ参考にしてください。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むことで、在職老齢年金の仕組みと支給停止の条件を実例で理解でき、自分の給与水準や年金額に応じた最適な働き方をシミュレーションできるようになります。2025年度は基準額が51万円、2026年度には62万円に引き上げられるため、働き方を調整すれば年金を満額受給しながら収入を確保する道も開けます。繰下げ受給や高年齢雇用継続給付との関係も整理されており、読了後には老後資金の不安を軽減し、より前向きに働き続ける選択肢を検討できるようになります。

目次

在職老齢年金の基本的な仕組み

在職老齢年金とは何か

対象となる人の条件

支給停止の基準額

在職老齢年金として受け取れる年金額早見表

支給停止額の計算方法を事例で解説

年金10万円・給与45万円の場合

年金15万円・給与38万円の場合

在職老齢年金で年金が減額されない例

基本月額+総報酬月額相当額が51万以下に収まるケース

個人事業主として働くケース

老齢厚生年金を繰下げ受給するときの注意点

2026年度に予定されている制度改正

基準額62万円への引き上げ

制度見直しによる影響と対策

在職老齢年金は廃止される?

在職老齢年金の基本的な仕組み

在職老齢年金とは、60歳以上の方が厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受け取る制度のことです。ただし、給与と年金の合計額が一定の基準を超えると、年金の一部または全額が支給停止となります。

この制度は「一定以上の収入がある高齢者には、年金制度を支える側にも回ってもらう」という考えに基づいて設計されています。2025年度現在、月額51万円を超える収入がある場合に調整の対象となります。

在職老齢年金とは何か

在職老齢年金は、正確には「在職中に受け取る老齢厚生年金」のことを指します。会社員として働きながら年金を受給する60歳以上の方が対象となる制度です。

重要なポイントは、減額の対象となるのは老齢厚生年金(報酬比例部分)のみという点です。老齢基礎年金(国民年金部分)は減額されることなく、満額を受け取ることができます。

たとえば、年金月額20万円(うち老齢基礎年金6万円、老齢厚生年金14万円)を受給している方の場合、調整の対象となるのは14万円の部分のみとなります。

  1. 老齢基礎年金→減額の対象外
  2. 老齢厚生年金→減額の対象

対象となる人の条件

在職老齢年金の対象となるのは、以下の条件を満たす方です。

  • 60歳以上で老齢厚生年金を受給している
  • 厚生年金保険の被保険者として働いている

70歳以降は厚生年金の被保険者にはなりませんが、同等の条件で働く場合は引き続き在職老齢年金の対象となるため注意が必要です。

一方、個人事業主やフリーランスとして働く場合は、厚生年金に加入しないため在職老齢年金の対象外となります。

支給停止の基準額

2025年度の支給停止調整額は51万円/月に設定されています。これは、基本月額(老齢厚生年金の月額)と総報酬月額相当額(給与と賞与の月額換算)の合計額に対する基準です。

基準額を超えた場合、超過分の2分の1が年金から減額されます。たとえば、合計額が55万円の場合、51万円を4万円超過しているため、2万円(4万円÷2)が年金から減額される計算となります。

基本月額の求め方

基本月額とは、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年額を12で割った金額のことです。重要なのは、老齢基礎年金と加給年金は含まないという点です。

たとえば、年金の年額が240万円で、その内訳が老齢基礎年金80万円、老齢厚生年金160万円の場合、基本月額は160万円÷12=約13.3万円となります。老齢基礎年金の80万円は計算に含めません。

加給年金とは、厚生年金に20年以上加入した方が、65歳到達時に配偶者や子どもを扶養している場合に加算される年金です。配偶者の加給年金は年額約40万円ですが、これも基本月額の計算からは除外されます。

年金額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。ただし、これらに記載されている金額は年金総額のため、老齢厚生年金の部分だけを抜き出して計算する必要があります。

加給年金については、こちらの記事で解説しています。あわせてご覧ください。

総報酬月額相当額とは

総報酬月額相当額は、「(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12」で計算します。簡単にいえば、月給と賞与を合わせた平均月収となります。

標準報酬月額は、基本給だけでなく残業代や各種手当も含めた総支給額を、一定の等級に当てはめたものです。賞与については、支給された月の標準賞与額(1,000円未満切り捨て)として計算されます。年2回、各60万円の賞与を受け取った場合、120万円÷12=10万円が月額換算されます。

在職老齢年金として受け取れる年金額早見表

働きながら年金を受け取る際、実際にいくら受給できるのかを把握することは、老後の生活設計において非常に重要です。

以下の表は、年金月額と総報酬月額相当額の組み合わせによる、実際に受け取れる年金額を示したものです。()内の数値は支給停止額を表しています。

総報酬月額\年金月額5万円10万円15万円
30万円5万円(0)10万円(0)15万円(0)
35万円5万円(0)10万円(0)15万円(0)
40万円5万円(0)10万円(0)13万円(2万円)
45万円5万円(0)8万円(2万円)10.5万円(4.5万円)
50万円3万円(2万円)5.5万円(4.5万円)8万円(7万円)

たとえば、年金月額が15万円で総報酬月額が40万円の場合、合計55万円となり基準額を4万円超過します。そのため2万円が減額され、実際の年金受給額は13万円となります。

年金月額が少ない方ほど、高い給与を得ても年金が減額されにくい傾向があります。これは、合計額が51万円に達するまでに余裕があるためです。

なお、日本年金機構の統計によると、65歳以上の在職者のうち約16%が支給停止の対象となっています。

支給停止額の計算方法を事例で解説

在職老齢年金の支給停止額を正確に計算することは、老後の収支計画を立てるうえで欠かせません。計算式自体はシンプルですが、基本月額と総報酬月額相当額の求め方を正しく理解する必要があります。

ここでは、それぞれの要素の詳しい計算方法と、実際の事例を用いた具体的な計算例を示していきます。自分の状況に当てはめて計算することで、働き方の調整や将来設計の参考にしてください。

年金10万円・給与45万円の場合

基本月額10万円、総報酬月額相当額45万円のケースを計算してみます。

条件

  1. 基本月額:10万円
  2. 総報酬月額相当額:45万円
  3. 合計額:10万円+45万円=55万円
  4. 支給停止調整額:55万円-51万円=4万円
  5. 支給停止額:4万円÷2=2万円
  6. 受け取れる年金:10万円-2万円=8万円

したがって、実際に受け取れる年金額は「10万円-2万円=8万円」となり、年間では24万円の減額となります。

年金15万円・給与38万円の場合

基本月額15万円、総報酬月額相当額38万円のケースで考えてみましょう。

条件

  1. 基本月額:15万円
  2. 総報酬月額相当額:38万円
  3. 合計額:15万円+38万円=53万円
  4. 支給停止調整額:55万円-53万円=2万円
  5. 支給停止額:2万円÷2=1万円
  6. 受け取れる年金:15万円-1万円=14万円。

支給停止調整額51万円を2万円超過するため、支給停止額は2万円÷2=1万円です。実際の年金受給額は15万円-1万円=14万円となります。

在職老齢年金で年金が減額されない例

在職老齢年金制度があっても、工夫次第で年金を満額受給しながら働くことは可能です。実際に多くの方が、さまざまな方法で減額を回避しています。

ここでは、基準額以下に収まる具体的なケースや、実際に働き方を調整して成功した事例、そして減額を回避するための実践的な方法を詳しく解説していきます。

基本月額+総報酬月額相当額が51万以下に収まるケース

基本月額と総報酬月額相当額の合計が51万円以下に収まれば、年金は一切減額されません。たとえば、年金月額が10万円の方の場合、総報酬月額が41万円まで働いても満額受給できます。

年金月額が15万円とやや多めの方でも、総報酬月額36万円までなら減額はありません。これは年収にすると約430万円(賞与なしの場合)に相当し、多くの再雇用制度の給与水準と合致します。

特に、パートタイムで働く場合は基準額を超えることはほとんどありません。時給1,500円で週30時間働いた場合、月収は約18万円となり、年金と合わせても基準額を大きく下回ります。

個人事業主として働くケース

在職老齢年金の対象となるのは、「厚生年金保険の被保険者」です。厚生年金保険に加入しない個人事業主やフリーランスは、いくら収入を得ても年金の減額は受けません。

具体的には、雇用契約ではなく業務委託契約を締結している場合、厚生年金保険に加入しません。

老齢厚生年金を繰下げ受給するときの注意点

老齢厚生年金の繰下げ受給は、年金額を大幅に増やせる魅力的な制度ですが、在職老齢年金制度との関係で重要な注意点があります。最も重要なポイントは、繰下げによる増額の対象となるのは、在職老齢年金制度で支給停止された部分を除いた金額だけという点です。つまり、本来支給停止となる部分については、繰下げても増額されません。

たとえば、65歳時点で老齢厚生年金が月額20万円、総報酬月額が40万円の方を考えてみましょう。合計60万円となり、基準額51万円を9万円超過するため、月4.5万円が支給停止となります。この場合、繰下げ受給を選択しても、増額対象となるのは15.5万円(20万円-4.5万円)のみです。

70歳から受給開始した場合、「15.5万円×1.42=約22万円」となります。もし在職老齢年金の影響がなければ「20万円×1.42=28.4万円」となるはずでしたが、実際は6.4万円も少なくなってしまうのです。

特に注意が必要なのは、報酬が非常に高く、年金が全額支給停止となるケースです。この場合、繰下げ期間中の増額恩恵をまったく受けられません。せっかく受給を遅らせても、増額効果がゼロとなってしまいます。

一方で、老齢基礎年金は在職老齢年金の影響を受けないため、全額が繰下げ増額の対象となります。老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に繰下げることも可能なので、老齢基礎年金のみを繰下げる選択肢も検討しましょう。

公的年金の繰上げ・繰下げに関してはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

2026年度に予定されている制度改正

2026年4月から、在職老齢年金制度は大きな転換点を迎えます。支給停止調整額が現在の50万円(2024年度価格)から62万円へと大幅に引き上げられることが決定しています。

この改正は、2024年6月に成立した「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」に基づくものです。高齢者の就労促進と、働いても年金が減らない仕組みづくりを目指した重要な改正となります。

基準額62万円への引き上げ

2026年4月から、適用される支給停止調整額が62万円になる予定です。

厚生労働省の試算によると、この改正により新たに約20万人が年金を全額受給できるようになります。現在、65歳以上の在職者のうち約16%が支給停止の対象ですが、この割合が大幅に減少する見込みです。

具体的な影響を見てみましょう。年金月額10万円、総報酬月額50万円の方の場合、現行制度では月4.5万円が減額されます。しかし、改正後は合計60万円となり基準額以下のため、年金を満額受給できるようになります。年間では54万円の増収となる計算です。

制度見直しによる影響と対策

この改正により、60歳以降の働き方に大きな変化が生まれると予想されます。多くの企業で、高齢者雇用のあり方を見直す動きが出てくるでしょう。

まず、労働時間を調整していた方々への影響です。現在、年金減額を避けるために労働時間を制限している方は、改正後はフルタイムで働いても年金への影響が少なくなります。企業にとっても、経験豊富な人材をより活用できるメリットがあります。

給与体系への影響も考えられます。現在は在職老齢年金を考慮して給与を抑えめに設定している企業もありますが、改正後は本来の能力に見合った給与設定が可能となります。これにより、高齢者の労働意欲が向上するでしょう。

企業側も、高齢者雇用制度の見直しを検討しています。日本商工会議所の調査では、約7割の企業が70歳までの就業機会確保に前向きな姿勢を示しています。改正を機に、より柔軟な雇用制度の導入が進むと予想されます。

公的年金と税金に関しては、こちらの記事でも解説しています。あわせてご覧ください。

在職老齢年金は廃止される?

在職老齢年金に関しては、かねてより「高齢者の就労意欲を削ぐ制度」として批判がされてきました。

在職老齢年金制度の廃止や抜本的な見直しについて、近年さまざまな議論が行われています。2026年度の基準額引き上げは決定していますが、それ以降の制度のあり方については、現在も検討が続いています。

在職老齢年金制度の見直しが議論される背景には、深刻な人手不足と高齢者の就労意欲の問題があります。内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、60~64歳の就業率は男性84.4%、女性61.1%と非常に高い水準です。

しかし、厚生労働省の調査では、65~69歳の約3割が「年金額が減らないよう労働時間を調整している」と回答しています。つまり、制度が高齢者の働く意欲を阻害している実態があるのです。

経済界からも見直しの声が上がっています。日本経済団体連合会は、高齢者の活躍促進の観点から、在職老齢年金制度の廃止を含めた抜本的な見直しを提言しています。企業にとっても、優秀な人材が年金を理由に労働時間を制限することは大きな損失となっています。

一方で、制度廃止には慎重な意見もあります。年金財政への影響を懸念する声や、高所得者優遇になるという批判もあり、議論は複雑化しています。

「厚生年金保険料はいつまで納めるの?」という疑問をお持ちの方は、こちらのQ&Aをご覧ください。

この記事のまとめ

在職老齢年金制度は、60歳以降も働きながら年金を受け取る方にとって、必ず理解しておくべき重要な制度です。2025年度の支給停止調整額は51万円となり、基本月額と総報酬月額相当額の合計がこの額を超えると、超過分の2分の1が年金から減額されます。

制度を正しく理解することで、年金の減額を避けながら働くことも可能です。労働時間の調整、働き方の変更、繰下げ受給の活用など、自分の状況に合わせて最適な選択をすることが大切です。

年金は老後生活を支えてくれる貴重な収入である以上、専門家と相談しながらシミュレーションをしましょう。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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老齢厚生年金

老齢厚生年金とは、会社員や公務員などが厚生年金保険に加入していた期間に応じて、原則65歳から受け取ることができる公的年金です。この年金は、基礎年金である「老齢基礎年金」に上乗せされる形で支給され、収入に比例して金額が決まる仕組みになっています。つまり、働いていたときの給与が高く、加入期間が長いほど受け取れる年金額も多くなります。また、一定の要件を満たせば、配偶者などに加算される「加給年金」も含まれることがあります。老後の生活をより安定させるための重要な柱となる年金です。

在職老齢年金

在職老齢年金とは、年金を受け取る年齢に達していても、働いて一定以上の収入がある場合に、老齢厚生年金の支給額が調整される制度のことを指します。 具体的には、賃金や年金の合計が一定の基準を超えると、年金の一部が支給停止となる仕組みになっています。 これは、働きながら年金を受け取る人の公平性を保つための制度ですが、収入によっては年金額が減ってしまうため、退職時期や働き方を考える上で重要な要素となります。投資初心者の方にとっても、自分の将来の収入と年金の関係を理解するうえで欠かせない概念です。

老齢基礎年金

老齢基礎年金とは、日本の公的年金制度の一つで、老後の最低限の生活を支えることを目的とした年金です。一定の加入期間を満たした人が、原則として65歳から受給できます。 受給資格を得るためには、国民年金の保険料納付済期間、免除期間、合算対象期間(カラ期間)を合計して10年以上の加入期間が必要です。年金額は、20歳から60歳までの40年間(480月)にわたる国民年金の加入期間に応じて決まり、満額受給には480月分の保険料納付が必要です。納付期間が不足すると、その分減額されます。 また、年金額は毎年の物価や賃金水準に応じて見直しされます。繰上げ受給(60~64歳)を選択すると減額され、繰下げ受給(66~75歳)を選択すると増額される仕組みになっています。 老齢基礎年金は、自営業者、フリーランス、会社員、公務員を問わず、日本国内に住むすべての人が加入する仕組みとなっており、老後の基本的な生活を支える重要な制度の一つです。

支給停止基準額

支給停止基準額とは、年金を受け取りながら働いて収入を得ている人の給与などが一定額を超えた場合に、公的年金の一部または全部の支給が停止される基準となる金額のことを指します。これは「在職老齢年金」という仕組みの中で定められており、高齢者が年金と給与を同時に受け取るときに調整が行われるものです。基準額を超える収入がある場合、年金の支給額が減額または停止されますが、収入が減れば再び受け取れるようになります。 制度の目的は、高齢者の就労意欲を尊重しつつ、公平に年金財政を維持することにあります。投資初心者にとっては、「働きながら年金をもらうとき、収入が多すぎると年金が一時的に減らされる仕組み」と理解するとわかりやすいでしょう。

加給年金

加給年金とは、厚生年金に加入していた人が老齢厚生年金を受け取る際に、一定の条件を満たしていれば上乗せして支給される年金のことです。主に、年金を受け取る人に扶養している配偶者や子どもがいる場合に支給されます。この制度は、家族の生活を支えることを目的としており、会社員などが退職後に受け取る厚生年金にプラスされるかたちで支給されます。 ただし、配偶者や子どもが一定の年齢や収入要件を超えていると対象外になることがあります。つまり、定年後の生活を家族と一緒に支えていく仕組みの一つといえます。

標準報酬月額

標準報酬月額(ひょうじゅんほうしゅうげつがく)とは、日本の社会保険制度において、健康保険や厚生年金保険の保険料や給付額を計算する基準となる月額報酬のことを指します。これは、従業員の給与や賃金を基にして決定されますが、月ごとの変動を考慮して一定の範囲に分類されます。 <計算対象の例> 基本給、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金等、事業所から現金または現物で支給されるもの

繰下げ受給

繰下げ受給とは、本来65歳から支給される公的年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金など)の受け取り開始を自分の希望で後ろ倒しにする制度です。66歳以降、最大75歳まで1か月単位で繰り下げることができ、遅らせた月数に応じて年金額が恒久的に増えます。 増額率は1か月当たり0.7%で、10年(120か月)繰り下げた場合にはおよそ84%の上乗せとなるため、長生きするほどトータルの受取額が増えやすい仕組みです。ただし、繰下げた期間中は年金を受け取れないため、その間の生活資金や健康状態、就労収入の見通しを踏まえて慎重に検討することが大切です。

基本月額

基本月額とは、在職老齢年金の支給額を調整する際の基準となる金額のことです。具体的には、60歳以降も働いて厚生年金に加入しながら年金を受け取る人が対象となる制度で、この「基本月額」はその人が本来もらえる老齢厚生年金の月額を意味します。 調整の仕組みとしては、この基本月額と働いて得る賃金(総報酬月額相当額)との合計が一定の基準を超えると、年金の一部または全部が支給停止になることがあります。つまり、たとえ年金の受給資格があっても、働いて得る収入が多いと支給額が減らされる可能性があるということです。年金と仕事のバランスを考えるうえで、非常に重要な指標となります。

総報酬月額相当額

総報酬月額相当額とは、在職老齢年金において年金支給額を調整する際に使われる、働いて得ている収入を月額換算した金額のことです。この金額には、基本給だけでなく、残業代や通勤手当、各種手当なども含まれます。 具体的には、厚生年金保険の標準報酬月額と標準賞与額から計算され、年金の支給停止の基準となる「基本月額」と合算して判断材料とされます。この合計が一定の金額(例えば月47万円)を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる場合があります。 したがって、働きながら年金を受け取る人にとっては、収入の多寡が年金に直接影響するため、この金額がどのように決まるかを理解しておくことが重要です。

在職定時改定制度

在職定時改定制度とは、年金を受け取りながら厚生年金に加入して働いている人の年金額を、毎年自動的に見直して増額する仕組みのことです。2022年4月から導入されたこの制度は、働く高齢者の年金制度をより公平で柔軟なものにすることを目的としています。 これまで、在職中に支払った保険料による年金額の増加は退職後まで反映されませんでしたが、この制度により、在職中でも年に1回(原則として10月支給分から)年金額が改定されるようになりました。改定の際は、前年度に追加で納めた厚生年金保険料に基づいて年金額が加算されるため、長く働き続けることに対してメリットが生まれます。将来の生活設計を考えるうえで、非常に重要な制度です。

高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付とは、60歳以降も働き続ける人が、60歳以降に賃金が下がった場合に、その減少分の一部を補うために支給される給付金です。これは雇用保険の制度のひとつで、60歳から65歳までの間に、現役時代よりも賃金が大幅に減少した場合に、一定の条件を満たすと、国から「賃金の補填」として毎月支給されます。 給付の対象となるには、雇用保険に継続して加入していることや、支給対象月に一定の勤務実績があることなどが必要です。年金とは別の制度ですが、老齢厚生年金との関係も深く、受給状況によっては調整が入る場合もあります。高年齢者の就業を支援することで、安心して長く働ける環境をつくるための重要な制度です。

高年齢再就職給付金

高年齢再就職給付金とは、60歳以上65歳未満の人が失業後に再就職し、かつ再就職先での賃金が離職前より大きく下がった場合に、雇用保険からその差額の一部を補うために支給される給付金です。 これは、再就職のハードルが高くなりやすい高年齢者の就業を後押しすることを目的とした制度です。給付を受けるには、雇用保険の基本手当の受給資格を持っていて、基本手当の支給残日数が一定以上ある段階で再就職し、賃金が75%未満に低下しているなどの条件を満たす必要があります。 給付は原則として最長2年間支給され、賃金が一定水準以上に回復すると打ち切られる仕組みです。なお、2025年度末(令和6年度末)をもってこの制度は廃止される予定であり、現在は新規の支給対象者が限られています。

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