国内MMFとは、どのような金融商品ですか?
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2025/10/30 09:14
男性
60代
国内MMFについてニュースなどで見聞きしますが、具体的にどのような仕組みの金融商品なのかがよくわかりません。銀行預金や投資信託との違いや、リスクや利回りの特徴、安全性などを初心者にもわかるように教えてください。また、どのような目的で活用される商品なのかも知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
国内MMF(マネー・マネジメント・ファンド)は、短期で安全性の高い債券などに投資し、安定的な運用を目指す投資信託の一種です。もともとは円建ての国内MMFもありましたが、2016年の日銀のマイナス金利政策以降、元本を維持しながら運用することが難しくなり、すべて償還されました。
2025年、9年ぶりにMMFが復活しましたが、現在「MMF」として取引されているのは主に外貨建てMMFです。円資金の待機場所としては、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)が実質的な代替手段となっています。
MMFは銀行預金とは異なり、預金保険の対象ではなく元本保証もありません。運用対象は国債や政府短期証券、コマーシャルペーパー(CP)などの高格付け債券が中心で、価格変動は小さく抑えられています。
毎日決算が行われ、月末に再投資される仕組みのため、実質的には短期間での複利運用となります。換金は原則いつでも可能ですが、30日未満で解約する場合に信託財産留保額が差し引かれる商品もあります。
銀行預金との最大の違いは、元本保証の有無と利回りの変動性です。銀行預金は安全性が高い一方で金利は低く、MMFはリスクを抑えつつも市場金利の動向によって利回りが変動します。外貨建てMMFの場合は、為替変動が加わるため円換算での元本割れリスクもあります。
2025年10月時点では、米ドル建てMMFで年率3%台の利回りが見られますが、これは日々の市場金利に応じて変動する参考値に過ぎません。
安全性という点では、MMFは高格付けの短期債券を中心に運用されており、リスクは低めです。また、投資信託として受託銀行が顧客資産を分別管理しているため、販売会社が破綻しても原則として資産は保全されます。ただし預金保険のような制度で元本が保証されるわけではありません。リスクとしては、金利上昇時の債券価格下落、発行体の信用悪化、為替変動などが挙げられます。
税制面では、分配金や譲渡益に対して20.315%の申告分離課税が適用され、特定口座(源泉徴収あり)で保有していれば確定申告は不要です。株式や他の投資信託と損益通算も可能になっていますが、NISA口座では多くの金融機関が外貨建てMMFを対象外としています。
MMFの主な活用目的は、外貨の短期運用や次の投資までの一時的な資金置き場です。たとえば米ドル建て資産の配当金や売却代金を一時的に運用しつつ流動性を保つといった使い方が一般的です。外貨運用の初心者が為替リスクを抑えながら外貨資産に慣れる目的でも利用されています。円資金の一時保管には、証券口座で自動的に運用されるMRFが使われるのが一般的です。
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CP(コマーシャルペーパー)
CP(コマーシャルペーパー)とは、企業が短期間の資金を調達するために発行する無担保の約束手形のことです。通常、期間は数日から1年未満とされ、満期日には元本が一括で返済されます。 企業は銀行からの借り入れではなく、市場を通じて直接投資家から資金を集めることで、比較的低い金利で柔軟に資金調達を行うことができます。信用力の高い大企業が多く利用しており、企業側にとっては資金調達手段のひとつであり、投資家側にとっては短期運用の商品として活用されます。資産運用の観点では、低リスク・短期の商品として、リスクを抑えながら運用先を分散したい投資家に利用されることがあります。
MMF
MMF(マネー・マーケット・ファンド)は、短期の金融商品を中心に運用される投資信託の一種で、安全性と流動性を重視した資産運用手段です。主な投資対象は、国債や社債、コマーシャルペーパー(CP)などの信用度の高い短期証券で、銀行預金よりも高い利回りを目指しつつ、価格変動リスクを抑える設計になっています。MMFは通常、出資後すぐに換金可能で、短期的な資金管理に適しています。日本では、かつて円建てのMMFが提供されていましたが、低金利環境や元本割れのリスクから、2017年までに各運用会社が償還を決定し、現在では提供されていません。一方、外貨建てのMMFは引き続き販売されており、2025年1月末時点での残高は約2.7兆円と報告されています。
信託財産留保額
信託財産留保額とは、投資信託を解約(売却)する際に、投資家が支払うことになる費用の一つで、解約代金から差し引かれてファンド内に留め置かれるお金のことです。 このお金は、運用している信託財産の中に残され、他の投資家に不利益が出ないようにするための調整の役割を持ちます。たとえば、大量の解約が発生すると、ファンドは保有資産を売却して現金化しなければならず、その際に売却コストが発生します。このコストをすべての投資家に負担させると不公平になるため、解約者に信託財産留保額という形で部分的に負担してもらうのです。つまり、長くファンドを保有する投資家の利益を守る仕組みとして設定されています。
MRF
MRFとは、証券会社が提供する短期運用型の投資信託で、顧客の余剰資金を運用しながらいつでも出し入れできる金融商品です。安全性が高く、主に公社債や短期金融商品で運用されるため、銀行の普通預金に近い感覚で利用できます。ただし、元本保証はなく、運用成績によっては元本割れのリスクもあるため注意が必要です。
申告分離課税
申告分離課税とは、特定の所得について他の所得と分離して税額を計算し、確定申告を通じて納税する方式です。 主な対象となる所得は以下の通りです: - 譲渡所得: 土地や建物、株式などの譲渡による所得。 - 山林所得: 山林の伐採や譲渡による所得。 - 先物取引による所得: FXや商品先物取引による所得。 例えば、株式の譲渡所得については、他の所得と合算せずに分離して課税されます。また、上場株式等の配当所得についても、申告分離課税を選択することができます。
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外貨建てMMFとは、主に米ドルや豪ドルなどの外貨で運用される投資信託の一種で、正式には「マネー・マーケット・ファンド(MMF)」と呼ばれます。このファンドは、安全性の高い短期の国債や政府機関債などに投資することで、比較的安定した利回りを目指す商品です。 日本円ではなく外貨で運用されるため、為替レートの変動によって元本や収益が増減するリスクがありますが、円預金では得られない金利収入を期待できる点が魅力です。資産運用の初心者にとっては、外貨投資の入り口として使いやすい商品ですが、為替リスクがあることを十分に理解しておくことが大切です。





