投資信託のファンドオブファンドとマザーファンド・ベビーファンド方式の違いを教えてください
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2025/08/20 09:03
男性
50代
投資信託には『ファンド・オブ・ファンズ(FoF)』方式と『マザーファンド・ベビーファンド』方式の2つの仕組みがあると聞きました。両者は投資の流れやコストのかかり方が異なるそうですが、投資家にとって具体的にどのような違いがあるのでしょうか?また、それぞれどのようなタイプの投資信託に採用されることが多いのかも教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
投資信託の仕組みには、大きく分けて「ファンド・オブ・ファンズ(FoF)」と「マザーファンド・ベビーファンド方式」の二つがあります。それぞれの特徴を整理すると次のとおりです。
まず、ファンド・オブ・ファンズ(FoF)は、投資家から集めた資金を複数の既存投資信託に振り分けて投資する仕組みです。1本のファンドで世界の株式・債券・REITなど幅広い資産に分散できるのが大きなメリットです。ただし、投資先ファンドの信託報酬に加えてFoF自体の信託報酬もかかるため、二重のコスト負担が発生しやすい点には注意が必要です。そのため、主に国際分散投資型やバランス型ファンドに多く採用されています。
一方、マザーファンド・ベビーファンド方式は、投資家が購入するのはベビーファンドですが、ベビーファンドはその資金をまとめてマザーファンドに投資し、マザーファンドが株式や債券といった現物資産を直接運用します。複数のベビーファンドが同じマザーファンドを利用できるため、運用効率が高く、信託報酬の二重取りも起こりにくいのが特徴です。日本株や特定テーマ型ファンドなど、同じ運用戦略を基に異なる販売チャネルや分配方針を持たせたい場合によく使われます。
つまり、FoFは「幅広い分散ができる代わりにコストがやや高め」、マザーベビー方式は「効率的な直接運用でコストを抑えやすい」という違いがあります。投資家にとっては、自分が求める投資の幅とコストのバランスを意識することが、両者を理解するうえで大切です。
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投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
ファンド・オブ・ファンズ
ファンド・オブ・ファンズとは、個別の株式や債券には直接投資せず、複数の投資信託やETFをまとめて保有することで分散効果を高める運用手法を取る投資信託です。投資家は一本のファンドを購入するだけで、資産クラスや地域など幅広い投資対象に間接的にアクセスでき、運用の手間や商品選定の負担を軽減できます。 一方で、下位ファンドとファンド・オブ・ファンズの双方で信託報酬が発生するため、コストが高くなりやすい点には注意が必要です。資産配分を専門家に任せながら手軽に国際分散投資を行いたい方に向いた仕組みですが、実質的な手数料水準や運用方針の重複を確認し、コスト対効果を見極めたうえで活用することが大切です。
マザーファンド
マザーファンドは、他のファンドから資金を集めて投資を行う大規模な投資ファンドのことです。この種のファンドは、多数のフィーダーファンド(Feeder Funds)から資金を受け入れ、それらを集約して一つの大きなポートフォリオを形成し、効率的に管理します。マザーファンドは、さまざまな資産に分散投資を行うことでリスクを管理し、フィーダーファンドに対して一元化された専門的な投資運用を提供します。 マザーファンド構造は特に、異なる投資戦略を持つ複数のファンドが同じ資産クラスに投資する場合に有効で、運用コストの削減や運用の効率化を図ることができます。また、投資の規模が大きくなることで、より良い取引条件を得ることが可能になる場合もあります。このシステムは、特に機関投資家や大規模な投資プールに適しており、グローバルな資産運用において重要な役割を果たしています。 マザーファンドは、フィーダーファンドからの資金を管理することに加え、投資戦略の設計、資産選定、リスク管理などの中核的な運用活動を担うため、高度な専門知識と経験が求められます。このため、ファンドの運用成績は、マザーファンドの運用能力に直接的に依存することになります。
ベビーファンド
ベビーファンドとは、投資信託において、実際の運用は別のファンド(マザーファンド)で行い、自身はそのマザーファンドに投資することで間接的に運用を行っているファンドのことを指します。 つまり、ベビーファンド自体は投資家から集めたお金を直接株式や債券に投資するのではなく、運用の本体であるマザーファンドに資金を出している構造です。この仕組みによって、多くのベビーファンドが同じマザーファンドを共有しながら、それぞれ異なる販売チャネルや手数料体系で提供されることが可能になります。 投資信託を選ぶ際には、ベビーファンドの運用実績だけでなく、その背後にあるマザーファンドの内容や実績も確認することが重要です。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。