
アクティブ運用とパッシブ運用の違いとは?投資信託の運用方式と活用法を徹底解説
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公開:
2025.06.14
更新:
2025.06.14
新NISA開始で投資信託の選択肢が広がる今、低コストで市場平均を獲得するパッシブが脚光を浴びる一方、ファンドマネージャーの裁量で収益を狙うアクティブも根強い支持を集めています。しかし過去10年で指数に勝った国内アクティブは2割未満というデータが示すように、コストに見合う成果が得られるか、下落局面でどう機能するかという盲点が潜みます。本稿では最新SPIVA統計を交え、リターン・コスト・リスク許容度の三軸で両スタイルを比較し、資産形成を左右する判断軸を提示します。早期に基準を持つかが長期成果を分けます。
サクッとわかる!簡単要約
パッシブを軸に低コストで市場成長を取り込みつつ、アクティブで狙う超過収益の現実的な勝率とコスト負担を最新SPIVAデータで確認できます。信託報酬差1.4%を埋める難易度、トラッキング誤差0.1〜0.3%の意味、コスト・リスク・運用時間という三つの判断軸を踏まえたコアサテライト比率の設計手順まで整理されているため、初心者でも自分に合った投資スタイルがすぐ描けます。低ボラティリティ型アクティブの活用余地や新NISAでの積立設計にも触れるため、長期運用に安心感を持って一歩を踏み出せます。さらに資産配分の維持方法も学べます。
目次
投資信託の運用方式、アクティブ運用とパッシブ運用の違いとは?
アクティブ運用とは?:ファンドマネージャーの手腕で「市場平均超え」を目指す
過去10年の“勝率”データ早見表:アクティブ運用でパッシブ運用の市場平均に勝てたのは何%?
後悔しないファンド選びの第一歩:アクティブ運用とパッシブ運用、それぞれの「役割」を理解する
利益を求める攻め(アルファ)のアクティブ、資産を安定させる守り(ベータ)のパッシブ
あなたに最適なのはアクティブ運用・パッシブ運用どっち?3つの判断軸で運用スタイルを選ぶ
アクティブ運用とパッシブ運用は組み合わせると効果的!コア・サテライト戦略とは?
コア(守りの資産)70~90%:低コストのパッシブ運用で土台を固める
投資信託の運用方式、アクティブ運用とパッシブ運用の違いとは?
投資信託を選ぶ上で、必ず知っておきたいのが「アクティブ運用」と「パッシブ運用」という2つの運用スタイルです。どちらを選ぶかによって、期待できるリターンや負担するコストが大きく変わるため、それぞれの特徴を正しく理解することが、資産形成の第一歩となります。
アクティブ運用とパッシブ運用の比較
比較項目 | アクティブ運用 | パッシブ運用 |
---|---|---|
運用目的 | 市場平均を上回るリターン | 市場平均と同程度のリターン |
運用手法 | プロの調査に基づき投資先を選定 | 市場に連動するよう自動構成 |
信託報酬 | 高め(調査・人件費がかかる) | 低め(ルールベース運用) |
主なリスク | コスト負担が重くなる可能性 | 超過収益は期待しにくい |
このように、両者は目的も手法も対照的です。投資家は、これらの特徴を理解した上で、ご自身の投資方針に合ったスタイルを選択することが重要です。以下で、それぞれの特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。
アクティブ運用とは?:ファンドマネージャーの手腕で「市場平均超え」を目指す
アクティブ運用とは、運用の専門家であるファンドマネージャーが、経済動向や個別企業の業績などを深く分析し、その知見に基づいて投資先や売買のタイミングを判断する運用スタイルです。
目的は、日経平均株価やTOPIXといった市場平均(ベンチマーク)を上回るリターン、すなわち「超過収益」を獲得することにあります。
これは例えるなら、腕利きのシェフが独自のレシピと目利きで食材を選び、手間ひまかけて作るコース料理のようなものです。シェフの手腕次第では、定番料理を大きく超える素晴らしい一皿に出会えるかもしれません。
ただし、その分コストは高くなる傾向があります。専門家による調査費用や人件費などが信託報酬(ファンドを保有している間、継続的にかかる手数料)に反映されるためです。期待通りの成果が出なければ、高いコストを払ったにもかかわらず、市場平均を下回る結果になる可能性も内包しています。
パッシブ運用とは?:低コストで「市場の平均点」を狙う
パッシブ運用は、特定の市場指数(インデックス)の動きに連動した運用成果を目指す、シンプルで分かりやすい運用スタイルです。「インデックス運用」とも呼ばれます。
例えば、TOPIXに連動するファンドであれば、TOPIXを構成する銘柄群とほぼ同じ銘柄・比率でポートフォリオを組み、指数の動きに沿ったリターンを追求します。
これは、誰が作っても同じ味になるよう、分量まですべて書かれた「レシピ」通りに作る料理に例えられます。ファンドマネージャーの裁量がほとんど介在せず、機械的に運用されるため、アクティブ運用に比べて調査費用などを大幅に抑えることができ、信託報酬が低いのが最大の魅力です。
その目的は、短期的な値動きを追うのではなく、長期的に市場全体の成長の恩恵を受けること、つまり「市場の平均点」を着実に得ることです。そのため、市場平均を大きく上回るリターンは期待できませんが、逆に「プロに任せたのに市場平均に負けた」という事態も避けられます。
ただし、指数に完全に一致するわけではなく、信託報酬や現金留保などの要因により、年間0.1〜0.3%程度のトラッキングエラー(誤差)が生じる点にご留意ください。
過去10年の“勝率”データ早見表:アクティブ運用でパッシブ運用の市場平均に勝てたのは何%?
「高いコストを払ってプロに任せた結果、市場平均を超えることができたのか?」を示す“勝率”データを見てみましょう。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社の調査(SPIVA® 日本スコアカード)によると、衝撃的な事実が分かります。
過去10年間のアクティブファンドの勝率(対ベンチマーク)
投資対象 | 市場平均に勝ったアクティブファンドの割合 |
---|---|
日本大型株 | 約15% |
米国大型株 | 約13% |
(※2023年末時点のデータを基に作成)
これは、日本の大型株アクティブファンドの約85%(100%-15%)が、過去10年間で市場平均(インデックスファンド)に負けていることを意味します。「コストは高い」「しかし、市場平均に勝てる確率は低い」。これがアクティブ運用の厳しい現実です。
この事実を踏まえた上で、「では、どうすればアクティブ運用を有効に活用できるのか?」「自分はどのような戦略を取るべきなのか?」を考えることが、賢い投資家への第一歩です。
後悔しないファンド選びの第一歩:アクティブ運用とパッシブ運用、それぞれの「役割」を理解する
アクティブ運用とパッシブ運用、どちらが優れているかを考える前に、まず両者の「役割」と「利益の源泉」が根本的に違うことを理解する必要があります。これが、あなたに合ったファンドを選ぶための本質的な第一歩です。
利益を求める攻め(アルファ)のアクティブ、資産を安定させる守り(ベータ)のパッシブ
投資の成果は、市場全体の成長から得られるリターン(ベータ:β)と、市場平均を上回る超過収益(アルファ:α)に分解できます。
パッシブ運用のインデックスファンドは、日経平均株価やS&P500といった市場指数(ベンチマーク)に連動することで、市場全体の成長(β)を低コストで着実に獲得することに徹します。市場平均に勝つことは目指しません。
一方、アクティブ運用のアクティブファンドは、ファンドマネージャーが独自の調査分析に基づき銘柄を選ぶことで、ベンチマークを上回る超過収益(α)を生み出すことが最大の目的です。そのための調査費用や人件費がかかるため、コストは高くなる傾向にあります。
長期的にはパッシブ運用の方が有利のため、基本はパッシブ運用
実証的なデータを見ると、一般にパッシブ運用の方が長期的に有利と示唆されています。S&Pダウ・ジョーンズ社の「SPIVA」スコアカードによれば、日本のアクティブファンドの約8割は、どの期間(1年〜10年)で見てもベンチマークに負けています。
これは、高いコストを払いながらα(超過収益)を生み出し続けることの難しさを物語っています。この事実から、「まずはパッシブ運用を基本に考えるのが堅実」というスタンスが導き出されます。
あなたに最適なのはアクティブ運用・パッシブ運用どっち?3つの判断軸で運用スタイルを選ぶ
具体的に自分に合った運用スタイルをどう選べばよいのでしょうか。ここでは「コスト許容度」「リスク許容度」「運用リソース」という3つの軸で、ご自身の状況に合った選択肢を考えてみましょう。
1.コスト軸:手数料が将来の利益をどれだけ削る?
信託報酬(手数料)の違いは、長期的なリターンに決定的な差を生みます。例えば、信託報酬が年1.5%のアクティブファンドと0.1%のインデックスファンドでは、コスト差は1.4%。この差を埋めるだけの超過リターンを毎年出し続けるのは容易ではありません。
米モーニングスター社の調査では、米国大型株アクティブファンドの中で、コストが最も低いグループの勝率(17.5%)は、最も高いグループ(4.0%)の4倍以上だったと報告されています。長期になるほどこの差は無視できなくなり、「アクティブを選ぶにしても、コストは徹底的に吟味すべき」というのが鉄則です。
2.リスク軸:どれくらいの値下がりまで耐えられる?
自分が許容できる価格変動の範囲(リスク許容度)も重要な判断軸です。
パッシブファンド(インデックスファンド)は市場全体を広くカバーするため、良くも悪くも「平均点」に収まりやすく、極端な成績になりにくい安定志向の方向けです。
アクティブファンドは特定のテーマ(例:AI関連)やスタイル(例:グロース株)に集中するファンドですが、市場が好調な時は指数を大きく上回る一方、不調時には大負けする可能性もあります。ハイリスク・ハイリターンを許容できる方向けと言えます。
なお、市場平均よりも値動きを抑えることを目的とした「低ボラティリティ型」など守備的なアクティブファンドも存在するため、アクティブ=常にハイリスクとは限りません。そのため、投資対象のファンドがどのようなものかを調べることは重要です。
自身のメンタル耐性と、目標達成のためにどれだけのリスクを取る必要があるかを天秤にかける必要があります。
3.運用リソース軸:投資の勉強に、どれだけ時間を使える?
投資に割ける時間や知識も、運用スタイルを決める上で重要です。
パッシブ運用は基本的に「市場全体を買って待つ」スタイルなので、一度設定すれば頻繁なメンテナンスは不要です。忙しくて投資に時間を割けない方に最適です。
アクティブ運用は優れたファンドを見極めるための情報収集、定期的な運用報告のチェック、乗り換えの判断など、ある程度の時間と労力が求められます。投資の研究自体を楽しめる方向けです。
迷ったらパッシブ運用のファンドを選ぶのが安定
以上の3軸で考えると、多くの方は「迷ったらパッシブ、明確な目的と十分なリサーチができるなら、一部アクティブ」という形に収束するでしょう。
アクティブ運用とパッシブ運用は組み合わせると効果的!コア・サテライト戦略とは?
ここまでの話を踏まえると、最も現実的で効果的な戦略は、アクティブとパッシブの「いいとこ取り」をするコア・サテライト戦略です。これは、資産を安定重視の「コア(中核)」と、リターン追求の「サテライト(衛星)」に分けて運用する考え方です。
コア(守りの資産)70~90%:低コストのパッシブ運用で土台を固める
ポートフォリオの大部分(70〜90%)を占めるコア資産は、長期的な安定成長を目指します。全世界株式(オルカン)やS&P500などに連動する、低コストのインデックスファンドが最適です。ここで市場全体の平均リターン(β)をしっかりと確保し、資産全体の土台を盤石にします。
サテライト(攻めの資産)10~30%:アクティブ運用や個別株でプラスアルファを狙う
残りの10〜30%のサテライト資産で、プラスアルファのリターン(α)を狙います。ここがアクティブ運用の出番です。自分が将来有望だと考える特定のテーマ(AI、ヘルスケア等)のアクティブファンドや、成長が期待できる個別株などを組み入れます。たとえサテライト部分が不調でも、資産全体への影響は限定的。逆にうまくいけば、ポートフォリオ全体の成績を大きく引き上げることができます。
比率を変えるとどうなる?リスクとリターンの最適バランス
コアとサテライトの比率(例:90:10、80:20)によって、期待リターンとリスク(価格変動の大きさ)は変わります。サテライトの比率を高めるほどハイリスク・ハイリターンになります。重要なのは、統計上の最適解(シャープレシオ最適化)だけでなく、自分が精神的に安心して続けられる比率(メンタル最適化)を見つけることです。
この記事のまとめ
アクティブは高コストを受け入れてαを狙い、パッシブは指数連動でβを確保するという役割分担が核心です。本稿で整理した勝率・信託報酬差・トラッキング誤差に加え、純資産残高や売買高といった流動性指標も必ず確認し、換金性リスクを抑えることが要点となります。他資産との相関を踏まえてコアサテライト比率を調整すれば、目標リターンに対しボラティリティを抑えた運用が可能です。最終的にはコスト負担、リスク許容度、投資に充てられる時間を見極め、自分に合ったファンドと配分を選びましょう。必要に応じて専門家に相談するのも選択肢です。

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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アクティブ運用
アクティブ運用は、日経平均やNASDAQなどの市場指標(ベンチマーク)を上回る運用成績を目指す投資手法です。この手法では、ファンドマネージャーが特定の銘柄やセクターを積極的に選別して投資を行います。 運用手法には主に2つのアプローチがあります。トップダウンアプローチは市場全体を俯瞰して投資環境を予測し、そこから投資対象を決定します。一方、ボトムアップアプローチは、個別企業への調査や訪問を通じて投資対象を選定していきます。 アクティブ運用は、パッシブ運用と比べて高いリターンが期待できる反面、運用コストが高くなり、リスクも増大する傾向があります。また、運用成績はファンドマネージャーの運用能力に大きく依存するという特徴があります。
パッシブ運用
パッシブ運用とは、投資信託を選ぶ際の運用手法の一つ(対義語:アクティブ運用)。比較のために用いる指標であるベンチマーク(日経平均やNASDAQなど)と同様の動きを目標とする運用手法で、組み入れ銘柄数は多くなる傾向がある。パッシブ運用はアクティブ運用に比べて販売手数料や信託報酬などのコストは安くて済むが、リスクが分散される分、リターンも小さくなるという特徴がある。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
インデックス運用
インデックス運用は、市場全体の動きを示す指標(インデックス)に連動するように設計された運用手法です。例えば、日経平均株価やS&P500などのインデックスに基づき、同様の構成比率で資産を運用します。 市場全体に投資するためリスク分散が図りやすく、運用コストが低いのが特徴です。一方で、大きな利益を狙うというよりも、市場平均と同程度のリターンを目指す保守的な運用スタイルです。
ベンチマーク
ベンチマークとは、特定の目標や標準として用いる指標のことを指し、ビジネス、金融、技術など様々な分野で利用されます。この指標を用いて、パフォーマンスの測定や戦略の効果を評価し、改善点を見つけることができます。特に投資分野においては、ベンチマークはポートフォリオのパフォーマンスを評価するための基準点として活用され、特定の市場指数や同業他社の成績などが用いられます。 たとえば、投資ファンドの管理者は、自身のファンドのパフォーマンスをS&P 500やナスダックなどの市場指数と比較して評価することが多いです。この比較によって、ファンドの戦略が市場全体と比べてどの程度効果的であるか、またはリスクが適切に管理されているかを判断します。 ベンチマークは、透明性と目標設定を促進し、継続的な改善を目指すための重要なツールです。しかし、ベンチマークを選定する際には、その適切性や関連性を慎重に評価する必要があります。適切でないベンチマークを選ぶと、誤った方向性を示すことがあり、結果的にパフォーマンスの誤解を招くことになるためです。したがって、目標とする成果と密接に関連する、かつ実現可能なベンチマークを設定することが極めて重要です。
ファンドマネージャー
ファンドマネージャーは、投資ファンドの運用を担当する専門家です。彼らは投資家から集めた資金を管理し、株式、債券、不動産など様々な資産に投資してリターンを生み出す責任を持っています。ファンドマネージャーの主な役割は、市場の分析、投資戦略の立案、資産の選定と配置、リスク管理、そしてファンドの全体的なパフォーマンスの最適化です。 ファンドマネージャーは、経済情勢、業界動向、企業の財務健全性など幅広い知識が要求されるため、金融市場に関する深い理解と分析能力が必要です。彼らの投資判断は、ファンドの成績に直接的な影響を及ぼすため、投資家からの信頼を獲得することが非常に重要です。 また、ファンドマネージャーは投資家とのコミュニケーションも担当し、投資戦略の説明、成績報告、市場の見通しの提供などを行います。投資ファンドの成功は、ファンドマネージャーのスキルと経験に大きく依存しており、そのため彼らは投資業界において中心的な役割を果たしています。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
超過リターン(超過収益/エクセスリターン)
超過リターン(エクセスリターン)とは、投資の成果が基準となる指標(ベンチマーク)をどれだけ上回ったかを示すものです。 たとえば、株式市場全体の動きを表す指標である「日経平均株価」や「S&P500」が年間5%上昇したとします。このとき、あなたが投資している商品が7%のリターンを得た場合、その差の2%が超過リターンです。この指標は、投資の「成果が良かったかどうか」を客観的に判断する基準になります。特にアクティブ運用(市場平均を上回ることを目指す投資)の成果を評価する際に重要です。ただし、超過リターンを得るためにはリスクを取る必要がある場合が多いので、投資初心者は自分のリスク許容度をよく考えることが大切です。
トラッキングエラー
トラッキングエラーとは、主にインデックスファンドなどの運用成績が、目標とする指数(たとえば日経平均株価やS&P500など)とどれくらいズレているかを示す指標です。ファンドは基本的に指数に連動するように運用されますが、運用コストや売買のタイミングの違いなどにより、実際の成績が指数と完全に一致することはまれです。 この差が大きいほど、運用が指数とずれていると評価されます。トラッキングエラーが小さいほど、より正確に指数に連動しているとされ、インデックス投資においては重要な確認ポイントとなります。
α(アルファ)
α(アルファ)とは、投資において期待収益率と実際の収益率の差を示す指標で、運用成果が市場平均(ベンチマーク)をどれだけ上回ったかを測るものです。具体的には、CAPM(資本資産評価モデル)に基づき、以下のように計算されます。  αの値がプラスであれば、市場全体の動きに対して超過リターンを得たことを意味し、逆にマイナスであれば、市場平均を下回るパフォーマンスだったことを示します。市場平均(ベンチマーク)には、米国株式市場のS&P500や、日本市場のTOPIXなどが用いられます。 αは、ファンドマネージャーやアクティブ運用の投資戦略がどれだけ市場を上回る成果を出しているかを評価する際に使われます。高いαを持つファンドは、単なる市場の上昇ではなく、独自の運用戦略によって優れたリターンを生み出していると考えられます。ただし、αが高いからといって常に良い投資先とは限りません。短期間で高いリスクを取ることでαが生まれているケースもあり、リスク調整後のリターン(シャープレシオやインフォメーションレシオ)と合わせて評価することが重要です。 また、αは主にアクティブ運用の評価指標として使われ、インデックスファンドなどのパッシブ運用ではαは基本的にゼロに近くなります。そのため、アクティブ運用を選択する際には、αの継続性や一貫性にも注目し、過去の高いαが将来のリターンを保証するものではない点に注意が必要です。
β(ベータ)
βとは、ベンチマークとの連動性を示す数値のことで、ポートフォリオ運用を考える際にもよく用いられる。 β=個別証券のリターン÷ベンチマークのリターン。この指標が高いほど値動きが激しくなる。例えば、ある銘柄のβ値が1.5ということは、ベンチマークが10%上昇するとその銘柄は15%上昇し、逆にベンチマークが10%下落するとその銘柄は15%下落することを意味する。
リスク許容度
リスク許容度とは、自分の資産運用において、どれくらいの損失までなら精神的にも経済的にも受け入れられるかという度合いを表す考え方です。 投資には必ずリスクが伴い、時には資産が目減りすることもあります。そのときに、どのくらいの下落まで冷静に対応できるか、また生活に支障が出ないかという観点で、自分のリスク許容度を見極めることが大切です。 年齢、収入、資産の状況、投資経験、投資の目的などによって人それぞれ異なり、リスク許容度が高い人は価格変動の大きい商品にも挑戦できますが、低い人は安定性の高い商品を選ぶほうが安心です。自分のリスク許容度を正しく理解することで、無理のない投資計画を立てることができます。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
コア・サテライト戦略
コア・サテライト戦略とは、資産運用において「コア資産」と「サテライト資産」を組み合わせることで、リスクとリターンのバランスを最適化する投資手法のことを指す。ポートフォリオの大部分を安定したコア資産で構成し、長期的な市場の成長に連動するリターンを確保する一方で、残りの一部をサテライト資産として運用し、高いリターンの可能性を追求する。これにより、安定性を維持しながら市場環境の変化に柔軟に対応し、資産の成長を図ることができる。
シャープレシオ
金融商品の運用成績を測るための指標のひとつで、単純なリターンではなく、そのリターンを得るためにどのくらいのリスクを取っているかを計測したもの。 月次リターンのバラつきを示す標準偏差をリスク尺度として、負担したリスク1単位あたりの収益効率性をみるための指標。 数値の大きい方が効率よく運用されていることを示す。 ポートフォリオのリターン、標準偏差、無リスク資産の収益率で計算、具体的に以下の計算式で求められる。 (ファンドの平均リターン-安全資産利子率)÷標準偏差
ボラティリティ
ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。