Loading...

MENU

投資の知恵袋>

金を買うなら現物が良いですか?それとも金ETFや投資信託がいいですか?

回答受付中

0

2025/08/02 08:50

コモディティ
コモディティ

男性

30代

question

最近、インフレ対策や資産の分散目的で金への投資を検討していますが、現物の金(地金やコイン)を買うべきか、金ETFや金を投資対象とする投資信託のほうが良いのかで迷っています。長期保有する場合、どちらがおすすめですか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

金への投資には「現物(金地金・金貨など)」と「金ETFや金を投資対象とする投資信託」といった手段があります。それぞれ特徴が異なり、目的や使いやすさ、コストなどに応じて向き・不向きが分かれます。初心者が長期保有を前提とする場合は、これらの違いをよく理解して選ぶことが大切です。

まず現物の金を買う場合、最大のメリットは実物を手元や保管庫に持つことによって、金融機関などの信用リスクから切り離された資産として保持できる点です。災害や金融危機のような非常時でも物理的に保有している金には価値があり、安心材料となります。一方で、現物取引は購入時にプレミアム(上乗せ金額)、売却時にディスカウント(値引き)がかかり、相場価格そのままで取引できるわけではありません。また、自宅保管には盗難・火災などのリスクがあるため、貸金庫や専門保管業者を利用すると、年率0.1〜0.5%ほどの保管料が発生します。さらに、売却益が出た場合は「譲渡所得」として申告が必要になり、税務処理もやや複雑です。

金ETFは、証券口座を通じて株式と同様に売買でき、スマートフォンなどで手軽に購入・売却が可能です。たとえば米国の「SPDR Gold Shares(GLD)」は年0.40%の信託報酬で運用されており、信託報酬の中に保管や保険料が含まれているため、追加費用は原則発生しません。国内上場のETFもあり、NISAや特定口座に対応しているため、税務処理も自動化されており初心者にとっては扱いやすい手段といえます。ただし、ETFにも信託会社や受託銀行、保管会社などの信用リスクがあり、また金価格との乖離(トラッキングエラー)が発生する可能性もあります。

金を投資対象とする投資信託は、積立や分配再投資などの機能がある点で利便性が高い一方、コストはETFより高めであることが一般的です。また、運用手法によっては金価格そのものではなく金鉱株や先物などを組み込むケースもあり、価格変動リスクが大きくなる可能性もあります。したがって、「純粋に金価格の値動きに連動した投資」を目指すならETFのほうが明確かつ低コストです。

税制面でも大きな違いがあります。現物の金は譲渡所得として扱われ、年間50万円の特別控除後の所得が総合課税の対象になりますが、損益通算はできません。一方、ETFや投資信託は株式と同様に申告分離課税(税率約20%)となり、損益通算や繰越控除が可能で、確定申告も簡単です。相続時の評価や保管コストの扱いについても、ETFのほうがシンプルに処理できます。

初心者にはまず、金ETFによる投資が勧められます。少額から購入でき、売買や税務手続きも簡単だからです。非常時用の備えとして現物の金を一部保有する選択肢もありますが、資産全体の5〜10%程度に抑え、保管環境やスプレッドにも注意が必要です。長期的には金だけでなく、インカムを生まない金の特性も踏まえて、株式や債券とのバランスをとった資産配分を考えることが大切です。

まとめると、手軽さや管理のしやすさでは金ETFが優れていますが、実物資産としての安心感を求める場合には現物保有も検討の余地があります。投資信託は積立や自動運用がしやすい一方、コスト面ではETFより不利になることもあります。それぞれの特性を理解し、自分の目的や運用スタイルに合わせて選ぶことが、失敗しない金投資の第一歩です。

佐々木 辰さんに相談する
資産を自動で見える化CTAバナー

関連記事

金(ゴールド)ETF・金投資信託とは?代表的な銘柄を例に解説

金(ゴールド)ETF・金投資信託とは?代表的な銘柄を例に解説

2025.08.01

難易度:

投資信託・ETFコモディティ

関連する専門用語

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。

キャピタルゲイン(売却益/譲渡所得)

キャピタルゲインとは、株式や不動産、投資信託などの資産を購入した価格よりも高く売却したことによって得られる利益のことです。一般的な経済用語としては「売却益」と呼ばれ、資産運用における収益のひとつとして広く使われています。日本の税法においては、このキャピタルゲインは「譲渡所得」として分類され、確定申告などで所得として扱われます。つまり、経済的な意味ではキャピタルゲインと譲渡所得は同様の概念を指しますが、前者が広義の利益、後者が課税対象としての所得という違いがあります。投資の成果を判断したり、税金を計算したりするうえで、両者の使われ方を正しく理解することが大切です。

申告分離課税

申告分離課税とは、特定の所得について他の所得と分離して税額を計算し、確定申告を通じて納税する方式です。 主な対象となる所得は以下の通りです: - 譲渡所得: 土地や建物、株式などの譲渡による所得。 - 山林所得: 山林の伐採や譲渡による所得。 - 先物取引による所得: FXや商品先物取引による所得。 例えば、株式の譲渡所得については、他の所得と合算せずに分離して課税されます。また、上場株式等の配当所得についても、申告分離課税を選択することができます。

トラッキングエラー

トラッキングエラーとは、主にインデックスファンドなどの運用成績が、目標とする指数(たとえば日経平均株価やS&P500など)とどれくらいズレているかを示す指標です。ファンドは基本的に指数に連動するように運用されますが、運用コストや売買のタイミングの違いなどにより、実際の成績が指数と完全に一致することはまれです。 この差が大きいほど、運用が指数とずれていると評価されます。トラッキングエラーが小さいほど、より正確に指数に連動しているとされ、インデックス投資においては重要な確認ポイントとなります。

無料で相談してみる

専門家に相談してみませんか?

無料で相談してみる

投資の知恵袋では、あなたの投資や資産に関する疑問や悩みを専門のアドバイザーに気軽に相談することが可能です。
ぜひご利用ください。

専門家に質問してみる

関連記事

金(ゴールド)ETF・金投資信託とは?代表的な銘柄を例に解説

金(ゴールド)ETF・金投資信託とは?代表的な銘柄を例に解説

2025.08.01

難易度:

投資信託・ETFコモディティ
金投資や純金積立はやめとけ?おすすめしないと 言われる理由や活用法を解説

金投資や純金積立はやめとけ?おすすめしない理由や投資信託の事例も解説

2025.05.22

難易度:

基礎知識オルタナティブ投資ポートフォリオ運用コモディティ
国内で買えるコモディティETF・投資信託を徹底比較|金・原油・農産物の注目銘柄と選び方【2025年版】

国内で買えるコモディティETF・投資信託を徹底比較|金・原油・農産物の注目銘柄と選び方【2025年版】

2025.07.01

難易度:

コモディティオルタナティブ投資インフレ対策

資産運用に役立つ情報をいち早くGET!

無料LINE登録

資産運用について気軽にご相談したい方

プロへ相談する

当メディアで提供するコンテンツは、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。 また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

投資のコンシェルジュ

運営会社: 株式会社MONO Investment

Email:

運営会社利用規約各種お問い合わせプライバシーポリシーコンテンツの二次利用について

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.