Loading...

MENU

投資の知恵袋>

金ETFを現物の金と交換することはできますか?

回答受付中

0

2025/08/02 08:50

投資信託・ETFコモディティ
投資信託・ETFコモディティ

男性

40代

question

最近、金価格の高騰を受けて金ETFに興味を持ちました。証券口座でETFを買えば、将来的に現物の金と引き換えられるのか気になっています。たとえば、金の延べ棒や金貨などと交換できる制度があるのでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

金ETFは、信託の中に保管された金地金を裏付けとして価格が動く金融商品です。一部の金ETFでは理論上、現物の金と交換できる制度が設けられていますが、これは必ずしも一般の個人投資家が簡単に利用できるものではありません。

特に海外の代表的な金ETF(たとえば「SPDRゴールド・シェア〈GLD〉」など)は、10万口(約290kg相当)という大口単位でしか現物との交換ができず、しかもその手続きは「認可参加者(Authorized Participant)」と呼ばれる大口取引業者に限られています。つまり、個人投資家が直接現物の金を受け取ることは、実質的にできないのが現実です。

一方で、日本国内で上場されているETFには、もう少しハードルの低い「小口転換制度」があります。たとえば、「金の果実」(証券コード1540)というETFでは、約1,000口程度を保有していれば、1kgの金地金と引き換えることが可能です。2025年7月時点では、およそ1,067口が必要とされています。

ただし、この転換には手数料(5,500円)や地金の送料(1kgあたり21,590円程度)、金を鋳直すための改鋳費用(22,000円程度)などがかかり、消費税10%も上乗せされます。加えて、現物引き換えを行うには、対応する証券会社で口座を持っている必要があり、該当しない場合は口座移管の手続きも必要です。

現物交換の手続きは、おおまかに以下の流れとなります。

まず、受付可能日を確認し、取扱証券会社に申込を行います。必要なETF口数を保有していることを確認したうえで、手続きに進みます。費用の支払いが済んだら、地金商など指定場所で現物の金地金を受け取ることができます。

ただし、地金を自宅で保管する場合は盗難リスクなども発生するため、保管対策を講じる必要があります。また、現物引き換え時には消費税が課税され、後日その金を売却した場合には譲渡益に対して所得税(20.315%)が課せられます。

こうした手間やコストを踏まえると、ETFを現物に交換するよりも、「現物に近い資産を直接保有する」他の方法を検討するのも有効です。たとえば、ネット証券や地金商では、1g単位で金を積立購入し、一定量(500gや1kg)に達した時点で金地金にして送付してくれるサービスもあります。また、金貨(カナダのメイプルリーフ金貨やオーストリアのウィーン金貨など)を購入すれば、20g〜40g程度で分割して保有・換金がしやすくなります。これらは初心者でも比較的利用しやすい方法です。

最後に、資産運用初心者の方には、「金ETFを買えばいつでも現物の金が手に入る」という前提は必ずしも正しくないという点を強調したいと思います。特に、地金を自宅で保有したいという目的がある場合には、ETFでの交換が現実的かどうかをよく考えたうえで選択する必要があります。ETFは価格連動の資産としてシンプルに保有し、必要に応じて現物との組み合わせを検討するのが、初心者にとって現実的で柔軟な選択肢といえるでしょう。

佐々木 辰さんに相談する
資産を自動で見える化CTAバナー

関連記事

金(ゴールド)ETF・金投資信託とは?代表的な銘柄を例に解説

金(ゴールド)ETF・金投資信託とは?代表的な銘柄を例に解説

2025.08.01

難易度:

投資信託・ETFコモディティ

関連する専門用語

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。

信託財産

信託財産とは、信託契約にもとづき委託者が受託者(信託会社や信託銀行など)に預けた現金・株式・不動産といった資産のことです。受託者はこれらの資産を信託目的に沿って管理・運用しますが、信託財産は受託者自身の資産とは厳格に分別管理され、法律上も独立した財産とみなされます。 たとえば投資信託では、投資家から集めた資金が信託財産となり、株式や債券への投資に充てられます。万が一、受託者や販売会社が経営破綻しても、信託財産は分別管理されているため原則として投資家の資産は保護されます。 このように信託財産は、資産を安全に預けて運用を委ねる仕組みの要となる存在であり、信託商品を選択する際には分別管理の仕組みや信託目的を理解しておくことが大切です。

消費税

消費税とは、商品やサービスの購入時に代金に上乗せして支払う間接税で、実際に負担するのは消費者ですが、納税義務を負うのは事業者です。事業者は売上時に受け取った消費税から、仕入れや経費で支払った消費税を差し引いた「差額」を、税務署に申告・納付する仕組みとなっており、これは「仕入税額控除方式」と呼ばれます。 日本では標準税率10%が基本ですが、飲食料品(外食や酒類を除く)や定期購読の新聞には軽減税率8%が適用されるなど、複数税率が併存しています。また、土地の譲渡や住宅の家賃、医療・教育サービスなどは非課税とされ、給与や寄付など対価を伴わないものは不課税です。さらに、輸出取引や国際輸送は税率0%の「輸出免税」として扱われます。 2023年10月からは「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」も導入され、買手が仕入税額控除を受けるには、売手が登録された事業者であること、かつ所定のインボイスを発行・保存する必要があります。この制度により、免税事業者との取引では仕入税額控除ができなくなるなど、取引実務への影響も生じています。 家計管理や投資計画においては、こうした消費税の仕組みや制度改正の動向も踏まえ、支出に含まれる実質的な税負担を適切に見積もることが重要です。特に軽減税率の対象や非課税取引の有無を把握しておくことで、生活コストや運用コストを正確に計算することができます。

小口転換制度

小口転換制度とは、金やプラチナなどの貴金属に投資する上場投資信託(ETF)や上場信託(ETN)の受益権を一定口数以上保有する投資家が、指定された証券会社を通じてその受益権と引き換えに1 kg単位で貴金属の現物地金を受け取れる仕組みです。 従来は数十 kg規模の大口転換しか選択肢がなく個人には敷居が高かったところ、小口転換制度により必要口数が約1 000口程度に抑えられ、個人投資家でも自宅配送で現物を入手できるようになりました。手続きには転換取扱手数料や送料、改鋳費用などがかかり、申込から発送までおおむね2~3週間を要します。ETFの価格が貴金属指標価格に連動するため、転換時に必要な口数は日々変動し、費用総額や課税関係もあわせて確認しておくことが大切です。

改鋳費用(かいちょうひよう)

改鋳費用(かいちょうひよう)とは、金やプラチナなどの現物資産を受け取る際に発生する加工費で、特にETFや積立サービスの「小口転換制度」を利用する場合に必要となります。これは、信託内で保管されている大口サイズの地金(例:400オンスバーなど)を、個人投資家が受け取りやすい1kgバーなどに鋳造し直す工程にかかる費用を指します。単なる取り出しではなく、国際的に認められた精錬業者のブランドや国内流通に適した規格へと加工する必要があるため、その手間やコストが発生します。 改鋳費用は1kgバー1本あたり一定額で設定されており、例えば金の場合は22,000円前後、プラチナではそれ以上となるのが一般的です。これは市場価格とは別にかかる実費であり、受け取り希望者の負担となります。また、改鋳費用のほかに、転換申込に伴う事務手数料(1件あたり5,500円程度)や、現物配送時の運送費・保険料(数千円程度)も必要となり、これらを合算した「総受渡コスト」として把握しておくことが重要です。 一方、信託内で保有されているバーが希望するサイズ・ブランドと一致している場合や、大口(15kg以上)単位でそのまま受け取る場合には、改鋳が不要で費用が発生しないこともあります。ETFごとに転換制度の有無や対象金属・必要コストが異なるため、あらかじめ詳細を確認しておくことが、コスト管理と投資判断の両面で欠かせません。

無料で相談してみる

専門家に相談してみませんか?

無料で相談してみる

投資の知恵袋では、あなたの投資や資産に関する疑問や悩みを専門のアドバイザーに気軽に相談することが可能です。
ぜひご利用ください。

専門家に質問してみる

関連記事

金(ゴールド)ETF・金投資信託とは?代表的な銘柄を例に解説

金(ゴールド)ETF・金投資信託とは?代表的な銘柄を例に解説

2025.08.01

難易度:

投資信託・ETFコモディティ
金投資や純金積立はやめとけ?おすすめしないと 言われる理由や活用法を解説

金投資や純金積立はやめとけ?おすすめしない理由や投資信託の事例も解説

2025.05.22

難易度:

基礎知識オルタナティブ投資ポートフォリオ運用コモディティ

資産運用に役立つ情報をいち早くGET!

無料LINE登録

資産運用について気軽にご相談したい方

プロへ相談する

当メディアで提供するコンテンツは、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。 また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

投資のコンシェルジュ

運営会社: 株式会社MONO Investment

Email:

運営会社利用規約各種お問い合わせプライバシーポリシーコンテンツの二次利用について

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.