田中貴金属で金を売った場合、税金はどうなりますか?
回答受付中
0
2025/10/10 09:59
女性
30代
田中貴金属で購入した金を保有しています。この金を売却した場合、どのような税金がかかるのでしょうか?詳しく知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
田中貴金属で金を売却した場合、得た利益は原則として「譲渡所得(総合課税)」に分類されます。年間の譲渡益には50万円の特別控除があり、同一年内に他の総合課税の譲渡所得があっても、合計で50万円を超えない範囲までは非課税です。5年以上保有した金を売ると長期譲渡扱いとなり、課税対象の利益をさらに1/2にできます。一方、5年以内の売却は短期譲渡として控除の対象になりません。
課税額の計算は「売却額-(取得費+譲渡費用)」で行います。取得費は購入時の金額や手数料、譲渡費用は売却時の手数料や送料などが含まれます。購入時の領収書がない場合は、やむを得ず売却額の5%を概算取得費として使うことが認められています。記録を残しておくほど、税金を正確に計算できます。
確定申告の必要性は利益の額と所得状況で変わります。給与所得者で、給与以外の所得が20万円以下の場合は所得税の申告が不要な場合がありますが、住民税の申告が必要なケースもあります。譲渡益が50万円以下なら課税は発生しませんが、超える場合は確定申告が必要です。
金の売却は「生活用動産」には該当せず、1個あたりの金額が少なくても課税対象です。ただし、日用品や家具など日常生活で使う動産は非課税です。金地金は投資資産として扱われるため、利益が出れば少額でも課税対象になります。
損益通算には注意が必要で、金地金の損失は他の所得と相殺できません。同年中の他の譲渡益との相殺は可能ですが、損失の繰越控除はできません。つまり、損が出ても給与所得などとは通算できないということです。
1回の売却額が200万円を超えると、買取業者は税務署へ「支払調書」を提出する義務があります。この際、本人確認書類とマイナンバーの提示が求められます。これは税金の支払いとは関係なく、取引内容を税務署に報告する制度です。
相続や贈与で受け取った金を売る場合は、前の所有者の取得時期と取得費を引き継ぎます。相続財産を売却した場合、条件によっては「相続税の取得費加算の特例」が使えることもあります。
よくある誤解として、50万円以下の利益なら「申告不要」と思われがちですが、正確には「50万円の特別控除がある」というだけで、他の譲渡益と合算して判断します。また、200万円以下の取引でも利益が出れば申告義務が生じる場合があります。さらに、頻繁に売買を行うと営利目的と見なされ、「雑所得」として課税される可能性があります。
例えば、6年前に60万円で購入した金を100万円で売り、1万円の費用がかかった場合、譲渡益は39万円で、50万円の控除により課税はありません。一方、3年前に80万円で買った金を150万円で売り、1万円の費用がかかった場合、譲渡益は69万円となり、短期譲渡のため19万円が課税対象になります。給与以外の所得が20万円以下なら所得税の申告は不要ですが、住民税の申告は必要になることがあります。
このように、金の売却時の税金は「保有期間」「取得費」「他の譲渡益」といった要素で大きく変わります。領収書や取引記録を必ず保存し、200万円を超える売却時は本人確認書類を準備しておくと安心です。判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談するのが確実です。
関連記事
関連する専門用語
キャピタルゲイン(売却益/譲渡所得)
キャピタルゲインとは、株式や不動産、投資信託などの資産を購入した価格よりも高く売却したことによって得られる利益のことです。一般的な経済用語としては「売却益」と呼ばれ、資産運用における収益のひとつとして広く使われています。日本の税法においては、このキャピタルゲインは「譲渡所得」として分類され、確定申告などで所得として扱われます。つまり、経済的な意味ではキャピタルゲインと譲渡所得は同様の概念を指しますが、前者が広義の利益、後者が課税対象としての所得という違いがあります。投資の成果を判断したり、税金を計算したりするうえで、両者の使われ方を正しく理解することが大切です。
総合課税
総合課税は、給与や年金、事業収入、不動産収入、利子、配当など、1年間に得たさまざまな所得を合算し、その合計額に累進税率を適用して所得税を計算する方式です。 所得が増えるほど税率が高くなるため、高所得者ほど税負担が大きくなる点が特徴です。一方、金融所得には総合課税以外の課税方法を選択できる場合があります。 たとえば、株式譲渡益や先物取引益などは「申告分離課税」を選ぶことで、ほかの所得と区分して一律20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)で申告できます。 また、預貯金利息や一部の公社債利子などは、支払元が税金を源泉徴収する「源泉分離課税」となり、原則として確定申告は不要です。配当や利子のように課税方式を選択できるケースでは、ご自身の所得水準や控除の有無、損益通算の可能性を踏まえ、総合課税・申告分離課税・源泉分離課税のどれを採用するかを検討することが、最終的な税負担を抑えるうえで重要になります。
特別控除
特別控除とは、一定の条件を満たした場合に特別に認められる所得控除のことを指す。例えば、不動産譲渡所得に対する3,000万円特別控除や、住宅ローン控除などが含まれる。通常の控除とは異なり、特定の政策目的のために設けられており、適用を受けるには条件を満たす必要がある。
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。
相続税の取得費加算の特例
相続税の取得費加算の特例とは、相続によって取得した土地や株式などの資産を一定期間内に売却した場合に、支払った相続税の一部をその資産の取得費に加えることができる制度です。この特例を使うことで、譲渡所得の計算上の利益が少なくなり、結果として譲渡所得税(売却益に対する税)の負担を軽減することができます。 対象となるのは、相続開始の日の翌日から3年10か月以内に売却した資産で、実際に相続税を支払っていることが条件です。相続と資産売却が関わる場面では、税金を抑えるために非常に有効な制度であるため、早めの手続きや専門家への相談が重要です。