生命保険の入院給付金の日数はどのようにカウントしますか?また確定申告は必要でしょうか?
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2025/09/16 08:44
男性
40代
入院給付金の日数は、実際の入院日数だけでなく、保険会社ごとに数え方に違いがあると聞きました。例えば入退院の日がどう扱われるのかや、長期入院や複数回の入院が続いた場合の通算ルールなど、初心者にはわかりにくい点が多いです。また、入院給付金を受け取った場合に確定申告が必要になるケースなどあるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
入院給付金の日数は、基本的に「入院した日から退院した日までを連続した日数として数える」のが一般的です。たとえば8月1日に入院し、8月10日に退院した場合は、入院日と退院日を含めて10日分となります。また、日帰り入院の場合は1日としてカウントされます。
転院した場合は、医師の管理下で入院が続いているとみなされれば通算されますが、いったん退院して自宅療養を挟む場合には、保険会社の定める通算ルールに従います。多くの保険では、前回退院日の翌日から一定期間(例:180日)以内に同じ病気やけがで再入院した場合は「同一入院」とされ、1入院あたりの支払限度日数(例:60日・120日・180日)の範囲で合算されます。
ただし、同一入院の定義や外泊日の扱い(外泊許可がありベッドを確保している場合は入院日数に含めるなど)は保険会社や約款によって異なります。そのため、契約内容を必ず確認することが大切です。さらに、生涯での通算限度日数(例:1,000日や無制限など)を設けている商品もあるため、長期や繰り返しの入院を想定する際は「1入院の上限」と「通算の上限」の両方を確認する必要があります。
税務面では、入院給付金は原則として所得税がかからず非課税扱いです。そのため、受け取ったこと自体で確定申告をする必要はありません。
ただし、医療費控除を利用する場合には注意が必要です。控除額は「実際に支払った医療費」から「保険金や給付金などで補てんされる金額」を差し引いて計算されます。例えば年間の医療費が50万円で、入院給付金を10万円受け取った場合、控除対象となる医療費は40万円です。ここから10万円(もしくは総所得金額等が200万円未満であればその5%)を差し引いた残りが控除対象となります。
また、高額療養費など健康保険からの給付も同じく補てん額として差し引きます。事業用の契約や保険料の経理処理をしているケースなど例外もあるため、不安があれば給付明細や領収書をそろえて税務署や税理士に相談することをおすすめします。
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生命保険
生命保険とは、契約者が一定の保険料を支払うことで、被保険者が死亡または高度障害になった際に保険金が支払われる仕組みのことです。主に遺族の生活保障を目的とし、定期保険や終身保険などの種類があります。また、貯蓄性を備えた商品もあり、満期時に保険金を受け取れるものもあります。加入時の年齢や健康状態によって保険料が異なり、長期的な資産運用やリスク管理の一環として活用されます。
入院給付金
入院給付金とは、病気やけがで入院した際に、入院日数に応じて保険会社から受け取れる給付金のことです。一般的には「1日あたり○○円」といった日額で設定されており、公的医療保険の自己負担分や差額ベッド代、生活費の補填などに活用できます。多くの保険商品では、支払開始までの免責日数や1回の入院、通算での支払限度日数が定められているため、保障を選ぶ際はこれらの条件を確認することが大切です。
支払限度日数
支払限度日数とは、医療保険において入院給付金などが支払われる上限の日数のことを指します。たとえば「入院1日につき給付金が出るが、1回の入院につき60日まで」といったように、保険会社ごとに定められた日数制限があります。 この上限を超えた入院日数に対しては、原則として給付金は支払われません。そのため、長期入院のリスクに備えるには、支払限度日数が十分に長いか、あるいは延長保障があるかどうかを確認することが大切です。 保険選びの際には、保障内容や保険料と合わせてこの支払限度日数も比較検討することが重要です。
通算支払限度日数
医療保険などで給付金を受け取る際、入院や手術の回数が複数回に分かれていても、契約期間全体で支払われる日数を合計した上限のことを通算支払限度日数といいます。 例えば「通算1,000日」と定められていれば、一生涯で受け取れる入院給付金の対象日数は累計1,000日までとなり、それを超えると同じ契約では給付を受けられません。 毎回の入院ごとに設定される「支払限度日数」とは異なり、総計で管理される点が特徴です。この上限を把握しておくことで、長期的な医療費リスクへの備えや、追加保障の必要性を判断しやすくなります。
医療費控除
医療費控除とは、納税者が1年間に支払った医療費の一部を所得から控除できる税制上の制度を指す。自己や家族のために支払った医療費が一定額を超える場合に適用され、所得税や住民税の負担を軽減できる。対象となる費用には、病院での診療費や処方薬の費用のほか、一定の条件を満たす介護費用なども含まれる。確定申告が必要であり、領収書の保管が重要となる。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、1か月に医療機関で支払った自己負担額が一定の上限を超えた場合、その超過分が払い戻される公的な医療費助成制度です。日本では公的医療保険により治療費の自己負担割合は原則3割(高齢者などは1〜2割)に抑えられていますが、手術や長期入院などで医療費が高額になると家計への影響は大きくなります。こうした経済的負担を軽減するために設けられているのが、この高額療養費制度です。 上限額は、70歳未満と70歳以上で異なり、さらに所得区分(年収の目安)によって細かく設定されています。たとえば、年収約370万〜770万円の方(一般的な所得層)では、1か月あたりの自己負担限度額は「約8万円+(総医療費−26.7万円)×1%」となります。これを超えた分は、後から申請によって保険者から払い戻しを受けることができます。 また、事前に健康保険の窓口で「限度額適用認定証」を取得し、医療機関に提示しておけば、病院の窓口で支払う金額そのものを最初から自己負担限度額までに抑えることも可能です。これにより、退院後の払い戻しを待たずに現金の一時的な負担を軽減できます。 同じ月に複数の医療機関を受診した場合や、同一世帯で同じ医療保険に加入している家族がいる場合には、世帯単位で医療費を合算して上限額を適用することもできます。さらに、直近12か月以内に3回以上この制度を利用して上限を超えた場合、4回目以降は「多数回該当」となり、上限額がさらに引き下げられる仕組みもあります。なお、払い戻し申請から実際の支給までには1〜2か月程度かかるのが一般的です。 資産運用の観点から見ると、この制度によって突発的な医療費リスクの一部を公的にカバーできるため、民間の医療保険や緊急時資金を過剰に積み上げる必要がない場合もあります。医療費リスクへの備えは、公的制度・民間保険・現金準備のバランスで考えることが大切です。特に高所得者や自営業者の場合は、上限額が比較的高めに設定されている点や支給までのタイムラグを踏まえ、制度と現金の両面から備えておくと安心です。