夫が亡くなった場合、妻はいつまで遺族年金をもらえるのでしょうか?
夫が亡くなった場合、妻はいつまで遺族年金をもらえるのでしょうか?
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2025/10/22 09:04
男性
60代
夫が亡くなった際に、妻が受け取れる遺族年金には期限があるのか知りたいです。年齢や子どもの有無などによって支給期間が変わると聞いたことがありますが、具体的にどのような条件で、いつまで受け取れるのかを教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
夫が亡くなった場合、妻が遺族年金を受け取れる期間は、子どもの有無や妻の年齢、夫の年金の加入状況によって異なります。基本的には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、条件によって寡婦加算や寡婦年金が上乗せされる場合もあります。
まず、18歳到達年度の末日までの子どもがいる場合、妻は子のある配偶者として遺族基礎年金を受給できます。障害のある子どもであれば20歳未満まで支給が続きます。夫が厚生年金加入者であれば、その間は遺族厚生年金もあわせて受け取ることができます。子が成長して資格を失った後も、妻自身の条件が整えば遺族厚生年金は継続されます。
一方で、子がいない場合や子の資格がなくなった後は、妻の年齢や結婚年数によって支給期間が変わります。遺族厚生年金は原則として終身で受け取れますが、夫の死亡時に30歳未満で子がいない妻は5年間の有期給付に限られます。
さらに、40歳から65歳未満の妻で一定の条件を満たす場合は中高齢寡婦加算がつきますが、この加算は65歳で終了します。昭和31年4月1日以前生まれの妻などは、65歳以降に経過的寡婦加算として一定額が上乗せされるケースもあります。
65歳以降は、自身の老齢年金との併給調整が行われます。老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給できますが、老齢厚生年金と遺族厚生年金は重複分が調整され、どちらか有利な方が支給されます。
また、再婚した場合は遺族年金の受給資格を失います。これは法律婚だけでなく、事実婚に相当する関係でも同様です。一度失権すると、離婚しても復活しません。さらに、遺族基礎年金の場合は、子どもが18歳到達年度末で資格を失えばその時点で支給が終了します。
つまり、子がいる場合はおおむね18歳到達年度末まで、子がいない場合は多くのケースで終身受給となります。ただし、年齢や婚姻状況による例外や加算の期間制限もあるため、個別の条件によって受給期間は異なります。
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寡婦年金は、国民年金第1号被保険者だった夫が亡くなったとき、一定の条件を満たす妻(主に子のいない専業主婦層)が60歳から65歳になる前まで受け取れる「つなぎ給付」です。夫の保険料納付済期間(免除期間を含む)が10年以上あり、妻自身が遺族基礎年金・障害基礎年金を受けられない場合に限って支給されます。妻は生計維持関係(年収850万円未満が目安)を証明する必要があり、再婚すると失権します。 2025年度(令和7年度)の年金額は次のとおりです。 | 項目 | 月額 | 年額 | | --- | --- | --- | | 老齢基礎年金(満額) | 69,308円 | 831,700円 | | 寡婦年金(老齢基礎の4分の3) | 51,981円 | 623,775円 | 支給は妻が60歳になった月の翌月から始まり、65歳になる月分で終了します(以後は自分の老齢基礎年金へ切替)。妻が死亡するか再婚・内縁関係が成立した時点でも打ち切られます。子がいる家庭はまず遺族基礎年金が優先され、子が18歳年度末を迎えた後に条件を満たせば寡婦年金へ移行する仕組みです。厚生年金に加入していた夫の場合、遺族厚生年金との併給は可能ですが、組合せ調整により一方が全額または一部停止されることがあります。 寡婦年金の請求は、死亡日の翌日から5年以内に市区町村役場または年金事務所で行います。戸籍謄本、年金手帳(基礎年金番号通知書)、生計維持・収入証明などを揃えて申請します。5年を過ぎると時効で受給権そのものが消滅しますので注意が必要です。 税務面では、相続税法12条により相続税の課税対象外ですが、受給後は雑所得として所得税・住民税の計算に含まれます。金額が比較的小さいため、老齢基礎年金や遺族厚生年金、退職金、私的年金、預貯金などと合わせたキャッシュフロー設計が不可欠です。具体的な併給試算や受給手続きの確認には、日本年金機構の年金見込額試算サービスや社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーへの相談を活用すると安心でしょう。
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