遺族年金の受給に所得や収入制限はありますか?
遺族年金の受給に所得や収入制限はありますか?
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2025/10/22 09:04
男性
40代
夫が亡くなった後に遺族年金を受け取れると聞きましたが、所得や収入が一定以上あると支給が止まる、または減額される場合があると聞いたことがあります。自分がパートで働いている場合や、他の年金を受け取っている場合など、どのようなケースで制限がかかるのか知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
現行制度では、遺族年金を受け取るために「前年の収入が850万円未満」または「所得が655万5千円未満」であることが条件とされています。これを超える場合には、生計維持関係が認められず、遺族年金を受け取ることができません。
これはあくまで受給資格を判断する段階での条件であり、受給開始後に収入が増えても支給が停止されたり減額されたりすることはありません。
また、65歳以降に自分の老齢年金を受け取る場合には、「遺族年金」と「老齢年金」の併給調整が行われます。両方を満額で同時に受け取ることはできず、どちらか一方、または一部が支給停止になるケースがありますが、これは就労収入とは別の仕組みです。
遺族年金は税法上「非課税所得」であり、所得税や住民税の課税対象にはなりません。さらに、国民健康保険料や介護保険料の算定においても、原則として遺族年金は所得に含まれません。ただし、各自治体や助成制度によっては「収入」とみなす場合もあるため、個別に確認することが望ましいです。
そして、2028年4月からは厚生労働省の制度改正により、現行の収入・所得要件が撤廃される予定です。これにより、年収850万円を超える方でも、他の要件を満たせば遺族年金を受け取れるようになります。制度改正は、遺族の生活保障をより公平にすることを目的としており、今後の運用方針にも注目が必要です。
まとめると、現行制度では遺族年金の受給資格に収入要件がありますが、受給後に収入が増えても減額されることはありません。2028年4月からはこの収入制限が撤廃され、より多くの遺族が安心して働きながら年金を受け取れるようになります。
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生計維持関係
生計維持関係とは、ある人が日常生活に必要な費用の大部分を他の人の収入や援助に頼って暮らしている状態、またはそのような関係性のことをいいます。たとえば、年金受給者が配偶者や子どもを扶養している場合、その配偶者や子どもが主にその年金で生活していると見なされれば、生計維持関係があると判断されます。 年金制度や税制上では、この関係があるかどうかが、加給年金の支給や扶養控除の対象になるかどうかを判断する重要な要素となります。収入の金額や同居の有無、生活費の援助状況などを総合的に見て、役所などが認定を行います。この認定により、公的な支援や手当の対象になるかが決まるため、非常に重要な概念です。
併給調整
併給調整とは、複数の公的給付(たとえば年金や手当など)を同時に受け取ることができる場合に、内容が重複していたり、性質が似ていたりすることから、一定の制限や調整が行われる仕組みのことを指します。 たとえば、公的年金制度において、遺族年金と老齢年金の両方を受け取る権利がある場合でも、そのまま全額を同時に受け取れるわけではなく、一方の一部が減額されるなどの調整が行われます。これは、同じ趣旨の給付を重ねて受け取ることによる不公平を防ぐために設けられており、給付のバランスや財源の公平性を保つことを目的としています。資産運用や老後設計においては、この併給調整の存在を事前に理解しておくことが重要です。
老齢年金
老齢年金とは、一定の年齢に達した人が、現役時代に納めた年金保険料に基づいて受け取ることができる公的年金のことをいいます。基本的には、日本の年金制度における「老後の生活を支えるための給付」であり、国民年金から支給される老齢基礎年金と、厚生年金から支給される老齢厚生年金の2つがあります。 国民年金に加入していたすべての人が対象となるのが老齢基礎年金で、会社員や公務員など厚生年金に加入していた人は、基礎年金に加えて老齢厚生年金も受け取ることができます。原則として65歳から支給されますが、繰上げや繰下げ制度を利用することで、受け取り開始年齢を60歳から75歳まで調整することも可能です。老齢年金は、長年の働きと保険料の積み重ねに対して支払われる、生活設計の中心となる制度です。
非課税所得
非課税所得とは、所得が発生していても税金がかからないと法律で定められている収入のことをいいます。たとえば、失業保険の給付金や、障害年金、遺族年金、一定額の生活保護費、通勤手当の一部などがこれに該当します。 また、一定額までの奨学金や、死亡保険金のうち法定範囲内の受取額なども非課税とされています。これらの収入は、所得税や住民税の計算の対象から外れるため、確定申告や年末調整において申告する必要がない場合があります。資産運用の場面では、NISA口座で得た利益が非課税になるなど、制度をうまく活用することで税金の負担を軽減できる点が大きなメリットとなります。
所得要件
所得要件とは、特定の給付金や支援制度、税制優遇などを受けるために必要とされる「所得の基準」のことを指します。たとえば、児童手当や福祉サービス、住民税の非課税制度などは、一定以下の所得であることが条件となっており、この基準を満たしているかどうかが判断材料になります。 所得要件には、世帯全体の所得や扶養家族の人数などが加味されることもあります。制度によっては、年収ではなく「所得金額」や「課税所得」など、税務上の特定の指標が使われるため、同じ年収でも制度の対象になるかどうかが異なることがあります。所得要件は公平な支給を実現するための基準であり、制度を利用する際には必ず確認すべき重要なポイントです。
制度改正
制度改正とは、法律や税制、年金、社会保障などの制度の内容が見直され、変更されることを指します。たとえば、年金の支給開始年齢の引き上げ、税金の控除額の変更、給付金の対象範囲の見直しなどが制度改正に含まれます。 これらの改正は、社会の変化や財政の状況、人口構成の変化などを踏まえて、より公平で持続可能な仕組みにすることを目的として行われます。資産運用やライフプランに大きな影響を及ぼすことがあるため、最新の改正内容を把握することが大切です。制度改正は、国会での法律の成立を経て実施されることが多く、施行時期にも注意が必要です。




