年収180万円の壁とはなんでしょうか?どのような人に影響するのでしょうか?
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2025/09/04 09:09
男性
30代
年収180万円の壁についてニュースなどで耳にしましたが、実際にどんな人に影響があるのかよく理解できていません。影響する対象の人を教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
「年収180万円の壁」とは、扶養内で働く人が社会保険料の負担に直面する新しい境目を指します。従来は「103万円の壁」や「130万円の壁」が有名でしたが、近年の社会保険制度の拡大により「106万円の壁」や「150万円の壁」とともに、「180万円の壁」も注目されるようになっています。
この壁が生まれた背景には、短時間労働者への社会保険適用範囲の拡大があります。2022年以降、従業員数が101人以上の企業では、週20時間以上勤務し年収が106万円以上ある人は社会保険に加入することが義務化されました。その結果、社会保険料を避けるために労働時間を減らす人が増え、政府は「もっと働きたい人が損をしない仕組み」として補助制度などを導入しました。この調整ラインのひとつが「年収180万円」です。
影響を受けやすいのは、配偶者の扶養内で働くパート・アルバイトの人です。特に、年収が150万円を超えてさらに働きたいと考える人にとって、社会保険料の負担によって手取りが減ってしまうことが問題となります。また、週20時間以上働く短時間労働者で、一定規模以上の企業に勤める人にも関わってきます。
税金については、180万円を超えたからといって急に大きく増える仕組みはありません。所得税は累進課税方式で少しずつ増えるため、壁という表現は適しません。ただし社会保険料については、一定ラインを超えると負担額が大きくなるため、結果的に手取りが減るケースが出てくるのです。
今後については、政府が「年収の壁」対策を進めています。たとえば、事業主が社会保険料の一部を補助する仕組みや、キャリアアップを支援する助成金などがあります。制度は今後も変わる可能性があるため、自分の働き方に合わせて会社や制度の最新情報を確認することが大切です。
まとめると、「年収180万円の壁」とは、扶養内で働く人が社会保険料の負担によって手取りが減る新たな境目であり、特にパートやアルバイトで働く配偶者に大きく影響するラインといえます。
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180万円の壁
180万円の壁とは、配偶者がパートやアルバイトで働く場合に、年収が180万円を超えると「配偶者特別控除」がさらに縮小し、世帯の税負担が増える基準のことを指します。150万円を超えると控除額は段階的に減り始めますが、180万円を超えると控除額は大きく減少し、最終的には201万円を超えると控除がなくなります。 そのため、配偶者の働き方や収入調整を考える家庭にとって、180万円の壁は重要な目安になります。投資や資産運用の観点でも、家計の可処分所得に影響を与えるため、収入ラインと税負担の関係を理解しておくことが大切です。
社会保険料
社会保険料とは、健康保険や厚生年金保険、雇用保険など、社会保険制度を運営するために加入者が負担するお金のことです。会社員の場合は、給与から天引きされ、事業主と従業員が半分ずつ負担する仕組みになっています。 自営業者やフリーランスの場合は、国民健康保険や国民年金の保険料を自分で納めます。社会保険料は、病気やケガ、老後の生活、失業といった生活上のリスクに備えるためのもので、将来の給付を受けるための重要な拠出です。資産運用の観点からは、社会保険料は毎月のキャッシュフローに影響する固定費であり、長期的なライフプラン設計や可処分所得の把握に欠かせない要素です。
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106万円の壁とは、パートやアルバイトなどで働く人が年収106万円を超えると、社会保険(健康保険や厚生年金)に加入しなければならなくなる基準額のことを指します。これは特に扶養内で働きたい人にとって重要なラインです。年収が106万円を超えると、自分で保険料を負担する必要が出てくるため、手取り収入が減る可能性があります。 そのため、106万円を超えないように働き方を調整する人も多くいます。対象となるのは、従業員数が一定以上の企業(通常は51人以上)で働いている場合など、いくつかの条件を満たす人です。この制度は、働く人の社会保障を手厚くすることが目的ですが、手取り重視の人にとっては「壁」と感じられることがあります。
150万円の壁
150万円の壁とは、配偶者がパートやアルバイトで働く際に、年収が150万円を超えると「配偶者特別控除」が徐々に少なくなり、世帯全体の税負担が増える基準のことを指します。150万円以内であれば配偶者特別控除を満額受けられますが、これを超えると控除額が段階的に減っていき、最終的には201万円を超えると控除がなくなります。税金面での負担が増えるため、働き方を調整する目安として「壁」と呼ばれています。投資や資産運用を考える際にも、世帯の可処分所得に影響を与える要素となるため、理解しておくことが大切です。
累進課税
累進課税とは、所得が高くなるほど税率が上がる仕組みのことを指します。この制度は、所得の多い人ほど高い税率で税金を負担し、所得の低い人の負担を軽減することで、公平性を確保することを目的としています。 代表的な累進課税制度には、所得税や相続税があります。所得税は、課税所得に応じて税率が変わり、日本では5%から45%までの7段階の税率が設定されています。例えば、課税所得が195万円以下の場合の税率は5%ですが、4,000万円を超えると税率は45%となります。このように、所得が増えるにつれて税負担も増える仕組みになっています。 相続税も同様に累進課税が適用され、相続財産が多いほど高い税率がかかります。たとえば、相続財産が1,000万円以下の場合の税率は10%ですが、6億円を超えると55%の税率が適用されます。 累進課税は、所得の再分配を促し、経済的格差を是正する効果がある一方で、高所得者層の税負担が大きくなりすぎると、節税対策や海外移住の増加につながる可能性も指摘されています。そのため、税率のバランスを保つことが重要とされています。
所得税
所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課される税金です。給与所得や事業所得、不動産所得、投資による利益などが対象となります。日本では累進課税制度が採用されており、所得が高いほど税率が上がります。給与所得者は源泉徴収により毎月の給与から所得税が差し引かれ、年末調整や確定申告で精算されます。控除制度もあり、基礎控除や扶養控除、医療費控除などを活用することで課税所得を減らし、税負担を軽減できます。