新NISAはデメリットしかないと聞きましたが本当ですか?
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2024/12/17 20:00
男性
40代
新NISAで資産運用を始めようと考えています。しかし、知人から新NISAはデメリットしかないからやめたほうがいいと言われました。調べるとNISAはメリットが大きそうな気がします。NISAにデメリットしかない、と思うのはどのようなケースか教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
NISAは「長期・積立・分散」を税負担ゼロで実践できる優れた制度ですが、投資スタイルと合わない場合はデメリットのほうが目立ちます。主に不向きなのは、①短期売買で利益を追求する場合、②多額の資金を一括運用したい場合の二つです。
①短期売買の場合
- 成長投資枠は年間240万円(つみたて枠と合わせても360万円)。売買のたびに枠を消費し、枠が戻るのは翌年。
- 100万円で購入→翌日110万円で利確→残枠140万円。110万円を再投資→100万円で損切り→残枠30万円、というように回転売買を重ねるほど上限にすぐ達します。
- 枠が尽きると利確も損切りも機動的に行えず、短期派には大きなマイナスです。
②一括運用の場合
- 年間投資上限360万円、生涯投資上限1,800万円(成長投資枠1,200万円)が“天井”になるため、数千万円単位の資金を一気に非課税口座へ移せません。
- 特定口座との併用が必須となり管理が煩雑に。
- NISAと他口座の損益通算は不可。たとえばNISAで-10万円、特定口座で+20万円でも+20万円だけに課税されます。
長期・積立におけるメリット
- 非課税期間が無期限化され、時間を味方にして複利成長を享受できる。
- 生涯枠1,800万円は「毎年一定額を積み上げ、老後資金をつくる」という設計思想と相性が良い。
- 税制メリットが確定利回りを底上げし、インフレ耐性も高めます。したがって、NISAは「長期でコツコツ育てる資金」に最適化された制度と割り切るのが合理的で、短期売買や大口一括投資が主目的なら特定口座や他の手段と組み合わせ、長期運用ならNISA枠を最大限活用する――この棲み分けを基準に、自身の投資目的とリスク許容度に沿った運用戦略を設計し、判断に迷う場合はIFAやファイナンシャル・プランナーなど専門家へ相談すると安心です。
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関連する専門用語
NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
簿価
簿価(帳簿価額)とは、資産を取得した時点で会計帳簿に記録した価額、あるいは取得後に減価償却や評価替えを行った後の帳簿上の残存価額を指します。株式や債券の取得原価、不動産や設備の償却後残高など、資産の「会計上の基準点」となる数値であり、企業の財務諸表では貸借対照表(B/S)の資産項目に表示されます。 簿価は取得原価主義を前提とするため、市場価格(時価)とは乖離する場合があります。たとえば100万円で購入した上場株式の帳簿価額がそのまま100万円で残っていても、現在の市場価格が150万円なら50万円の含み益、70万円なら30万円の含み損が生じている計算です。この差は売却して初めて実現損益として確定しますが、運用状況の把握や税務計算の前提として簿価を基準にすることが多い点は押さえておきましょう。 実務上、簿価が変動する代表例は二つあります。一つ目は減価償却で、建物や設備など耐用年数のある固定資産は会計期間ごとに計画的に簿価を減らします。二つ目は簿価切り下げ(評価損)で、時価の大幅下落などによって資産価値の回復が見込めないと判断されると、簿価を減額処理するケースがあります。いずれの場合も、財務指標や利益計算に影響を与えるため、投資家は簿価と時価の双方を意識して企業の財務健全性や投資パフォーマンスを評価する必要があります。 個人投資の観点では、簿価は「取得原価=税務上のコスト」と同義となることが多く、売却益に対する課税額を計算する際のベースになります。長期保有資産ほど時価との乖離が大きくなりやすいことから、簿価と時価の差を定期的に確認し、含み益・含み損の管理やリバランス、損益通算などの税務戦略に生かすと効果的です。