普通のサラリーマンでも、「億り人」になれますか?
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2025/10/17 09:12
男性
最近「億り人」という言葉をよく耳にしますが、普通のサラリーマンでも現実的に目指せるものなのでしょうか。年収も平均的で、特別な投資スキルもない場合、どのような方法や期間を想定すれば達成可能なのか、リスクを抑えた現実的な戦略を知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
普通のサラリーマンでも、計画的に資産形成を続ければ「億り人」になることは十分に可能です。特別な才能や高収入がなくても、毎月の貯蓄率を高め、時間を味方につけて、低コストの分散投資を長期的に続けることができれば、現実的に1億円を目指すことができます。短期間での一発逆転はリスクが高く、再現性が低いため避けるべきです。
まず重要なのは、家計の見直しと貯蓄率の確保です。手取りの20〜40%を投資に回せるように生活費を整え、昇給や副業などで収入を増やすことが、目標達成を大きく早めます。次に時間の活用です。20〜30年以上の長期を前提に、焦らず継続することで複利の効果が最大限に働きます。想定リターンは年3〜7%程度で計画を立てると現実的です。
具体的なシミュレーションでは、毎月10万円を年5%で運用すれば約33年で1億円に到達します。月5万円なら約45年、月15万円なら約27年が目安です。貯蓄率と投資期間が成果を左右するため、短期の値動きよりも継続力のほうが圧倒的に重要です。
運用の基本は、生活防衛資金を確保したうえで、NISAやiDeCoなどの非課税制度を最大限活用し、低コストの全世界株式や米国株式インデックスを中心に積立投資を行うことです。売買のタイミングを気にせず、毎月自動で積み立て続ける仕組みを作れば、感情に左右されずに継続できます。
さらに、収入が増えた分やボーナスを使わずに投資へ回すこと、手数料や税コストを最小限に抑えることが、複利効果を高める重要な要素です。投資の判断をSNSや噂に頼らず、自分のルールを明確にして行動をブレさせないことも成功の条件です。
もし加速を狙うなら、資格取得や転職でキャリア価値を高めて収入を伸ばしたり、勤務先の持株会などを上手に活用するのも選択肢です。ただし不動産投資や起業のようにリスクの高い手段は、余裕資金や経験を踏まえて慎重に取り入れるべきです。
資産形成の進捗を見える化するために、まずは1,000万円、次に3,000万円といったマイルストーンを設定し、毎年の収支や投資割合を見直すことが効果的です。資産が5,000万円を超える頃には複利の力が加速し、1億円が現実的な射程に入ります。
最後に、投資は常にリスクを伴います。為替やインフレ、金利変動によって一時的な損失を経験することもありますが、焦らず継続する姿勢こそが最大の防御です。非課税制度の活用、分散、手数料の抑制、そして「やめないこと」が長期成功の鍵です。
結局、「億り人」への道は運ではなく、日々の家計管理と継続的な投資習慣の積み重ねにあります。収入を増やし、支出を整え、余剰資金を自動的に投資に回す。この3つを10年、20年と継続できれば、普通のサラリーマンでも1億円の資産形成は現実的に達成可能です。
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関連する専門用語
億り人
億り人とは、投資などによって1億円以上の金融資産を築いた個人投資家のことを指す俗語です。特に株式投資や仮想通貨、FXなどで大きな利益を上げた人たちの間で使われる言葉で、もともとは「送り人」という日本語をもじって作られた言葉です。 2000年代以降の株式ブームや、2017年以降の仮想通貨市場の急騰によって多くの億り人が誕生し、メディアなどでも注目されるようになりました。ただし、1億円を超える資産を持っていても、実際の生活が豊かとは限らず、資産運用や税金対策の重要性が増すという点も理解しておくことが大切です。
複利効果
複利効果とは、投資で得られた利益を元本に組み入れて再び運用することにより、利益が利益を生むという仕組みのことを指します。たとえば、最初に100万円を年利5%で運用した場合、1年後には105万円になりますが、その翌年は105万円に対して5%の利息がつくため、さらに増えた金額に利息が上乗せされていきます。このように、運用期間が長くなるほど利益が加速度的に増えていくのが複利効果の特徴です。特に配当再投資や自動積立投資との組み合わせによって、この効果はより強く現れます。短期間では実感しにくいかもしれませんが、10年、20年といった長期で見ると、元本だけで運用する単利に比べて、はるかに大きな資産形成が可能になります。複利効果は「時間を味方につける」資産運用の基本的な考え方として、投資初心者にとっても非常に重要です。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
インデックス投資(指数投資)
インデックス投資(指数投資)とは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して投資する方法のことを指します。たとえば、日経平均株価やS&P500といった市場全体の動きを示す指数に連動するように、同じ銘柄を同じ比率で組み入れることで、指数全体の成績を再現しようとする投資手法です。個別の銘柄を選ぶのではなく、幅広い銘柄に分散して投資するため、リスクが抑えられやすく、長期的な資産形成に向いているとされています。運用コストも比較的低く、初心者にも始めやすいのが特徴です。近年では、ETFやインデックスファンドを通じて指数投資を行う投資家が増えており、資産運用の基本的な選択肢の一つとなっています。