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年金から天引きされるもの(税金や保険料)があり、額面通りには受け取れないというのは本当ですか?

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2025/09/22 09:25

公的年金
公的年金

男性

60代

question

年金を受け取る際に、実際に手元に振り込まれる金額は額面通りではなく、税金や社会保険料などが差し引かれていると聞きました。具体的にどのような項目が引かれるのか、またそれぞれの金額はどのように決まるのか教えて下さい。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

公的年金の「老齢年金」は原則として課税対象となり、年金支払者である日本年金機構などが所得税(復興特別所得税を含む)を源泉徴収します。一方で、障害年金や遺族年金は非課税扱いとなるため、これらから所得税が差し引かれることはありません。老齢年金の源泉徴収額を少なくするには、毎年「扶養親族等申告書」を提出し、各種控除を反映させることが大切です。

税金や保険料は「特別徴収」と呼ばれる仕組みで天引きされます。主な項目は、介護保険料、国民健康保険料(税)、後期高齢者医療保険料、そして住民税(市民税・県民税)と森林環境税です。これらはお住まいの自治体が決定し、日本年金機構が依頼を受けて年金から差し引きます。

具体的には、介護保険料は65歳以上で公的年金の年額が18万円以上の方が対象となります。国民健康保険料は65歳から74歳までの国保加入者で一定の条件を満たす場合に天引きされます。後期高齢者医療保険料は75歳以上、または条件を満たす65~74歳の方が対象です。さらに「1/2ルール」と呼ばれる仕組みがあり、介護保険料と医療保険料(または国保料)の合計がその支給期の年金額の半分を超える場合、医療分の天引きは行われません。

住民税と森林環境税も年金から差し引かれることがあります。住民税は年金所得に対応する部分が特別徴収され、給与や事業所得など他の所得に関する住民税は別途納付する場合があります。森林環境税は全国一律で年間1,000円が課され、住民税とあわせて徴収されます。

差し引かれるタイミングは、年金支給月(年6回)に合わせて行われます。4月・6月・8月は「仮徴収」と呼ばれ前年実績をもとに概算で差し引かれ、10月・12月・翌年2月は「本徴収」として確定額に基づいて調整されます。

所得税の計算は、公的年金等控除や基礎控除などを差し引いた課税対象額に対して税率5.105%をかけるのが基本です。年末の12月支給時には、その年の所得に応じて精算されるため、還付や追加徴収が発生する場合もあります。年金以外に所得がある人は、確定申告で正しく調整する必要があります。

なお、原則として年金からの特別徴収は本人の希望でやめることはできません。ただし、一部の保険料については自治体の手続きで口座振替に切り替えられる場合もあります。また、扶養控除や社会保険料控除、生命保険料控除、寄附金控除などを適切に申告しておくことは、手取り額を確保するうえで重要です。

まとめると、老齢年金の場合は「所得税の源泉徴収」と「条件に応じた介護保険料や医療保険料、住民税などの特別徴収」が行われます。年金の種類や年齢、ほかの所得状況によって差し引かれる内容は異なるため、届いた「源泉徴収票」や「特別徴収の通知」を必ず確認し、不明点があれば早めに自治体や年金事務所へ相談することが安心につながります。

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老齢年金

老齢年金とは、一定の年齢に達した人が、現役時代に納めた年金保険料に基づいて受け取ることができる公的年金のことをいいます。基本的には、日本の年金制度における「老後の生活を支えるための給付」であり、国民年金から支給される老齢基礎年金と、厚生年金から支給される老齢厚生年金の2つがあります。 国民年金に加入していたすべての人が対象となるのが老齢基礎年金で、会社員や公務員など厚生年金に加入していた人は、基礎年金に加えて老齢厚生年金も受け取ることができます。原則として65歳から支給されますが、繰上げや繰下げ制度を利用することで、受け取り開始年齢を60歳から75歳まで調整することも可能です。老齢年金は、長年の働きと保険料の積み重ねに対して支払われる、生活設計の中心となる制度です。

源泉徴収

源泉徴収とは、給与や報酬、利子、配当などの支払いを受ける人に代わって、支払者があらかじめ所得税を差し引き、税務署に納付する制度です。特に給与所得者の場合、会社が毎月の給与から所得税を控除し、年末調整で過不足を精算します。 この制度の目的は、税金の徴収を確実に行い、納税者の負担を軽減することです。例えば、会社員は確定申告を行わずに納税が完了するケースが多くなります。ただし、個人事業主や一定の副収入がある人は、源泉徴収された金額を基に確定申告が必要になることがあります。 また、配当金や利子の源泉徴収税率は原則20.315%(所得税15.315%+住民税5%)ですが、金融商品によって異なる場合があるため、事前に確認が必要です。

特別徴収

特別徴収とは、主に所得税や住民税などを、会社や事業主が従業員の給与から天引きし、代わりに自治体や税務署へ納める仕組みのことです。従業員が自分で税金を計算して納める「普通徴収」とは異なり、給与支払いの際に自動的に差し引かれるため、納税の手間が省けるというメリットがあります。 特に住民税では、毎年6月から翌年5月までの12か月間、毎月の給与から一定額が引かれて納付されます。会社員や公務員のほとんどはこの特別徴収の仕組みによって住民税を支払っています。なお、年末調整もこの仕組みの一部として行われ、1年間の所得と控除を反映して税額が調整されます。

公的年金等控除

公的年金等控除とは、年金を受け取っている人の所得税や住民税を計算する際に、年金収入から一定額を差し引ける控除制度です。これにより課税対象となる金額が減り、税負担を軽減できます。 対象となるのは、国民年金・厚生年金・共済年金などの「公的年金」に限られます。これらは所得税法上の「公的年金等」に分類され、控除の対象となります。 一方で、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC、個人年金保険などは、たとえ年金形式で受け取ったとしても税法上は「公的年金等」に該当せず、公的年金等控除の対象外です。これらは「雑所得(その他)」として課税されます。 控除額は受給者の年齢と年金収入の額に応じて異なり、特に65歳以上の高齢者には手厚い控除が設けられています。 | 年齢 | 公的年金等の収入額 | 控除額 | | --- | --- | --- | | 65歳未満 | 130万円以下 | 60万円 | | | 130万円超〜410万円以下 | 収入額 × 25% + 37.5万円 | | | 410万円超〜770万円以下 | 収入額 × 15% + 78.5万円 | | | 770万円超 | 一律195.5万円 | | 65歳以上 | 330万円以下 | 110万円 | | | 330万円超〜410万円以下 | 収入額 × 25% + 27.5万円 | | | 410万円超〜770万円以下 | 収入額 × 15% + 68.5万円 | | | 770万円超 | 一律195.5万円 | たとえば、65歳以上で年金収入が250万円であれば、110万円の控除が適用され、課税対象となる所得は140万円に圧縮されます。

基礎控除

基礎控除とは、所得税の計算において、すべての納税者に一律で適用される控除のことを指す。一定額の所得については課税対象から除外されるため、納税者の負担を軽減する役割を持つ。所得に応じて控除額が変動する場合もあり、申告不要で自動適用される。

確定申告

確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。

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