確定拠出年金の資産を移管しないとどのような問題や不利益がありますか?
確定拠出年金の資産を移管しないとどのような問題や不利益がありますか?
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2025/01/24 23:38
男性
確定拠出年金の資産移管手続きが煩雑で後回しにしてしまっていますが、もし移管しなかった場合、将来的にどのようなデメリットがあるのでしょうか?老齢給付金の受取や税制面での影響など、具体的なリスクを教えていただけると助かります。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
確定拠出年金を移管しないまま放置すると、資産は国民年金基金連合会の「特定管理口座」に自動移換され、年0%近い定期預金で保管されながら毎年およそ2,500円の管理手数料だけが引かれます。運用益が出ないうえ元本が少しずつ目減りするため、複利を生かした資産形成の機会を完全に失います。さらに、自動移換期間は確定拠出年金の加入期間に算入されず退職所得控除の勤続年数が短くなるため、一時金受取時の控除枠が縮小し納税額が増えるリスクも高まります。追加拠出やスイッチングも行えず、長期化すれば資産の所在確認や移換時の書類手続きが煩雑化するうえ、5年超の放置で事業主掛金部分の扱いが複雑になる場合もあります。こうした不利益を避け、税優遇と運用を継続するには、退職後6か月以内にiDeCoや新しい企業型DCへ速やかに移管し、早期に運用を再開することが不可欠です。
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企業型確定拠出年金 (企業型DC)
「企業型確定拠出年金(企業型DC:Corporate Defined Contribution Plan)」とは、企業が従業員のために設ける年金制度の一つです。企業が毎月一定額の掛金を拠出し、そのお金を従業員が自分で運用します。運用商品には、投資信託や定期預金などがあり、選び方によって将来の受取額が変わります。 この制度は、老後資金を準備するためのもので、掛金の拠出時に税制優遇があるというメリットがあります。ただし、運用によっては資産が増えることもあれば、減ることもあります。また、個人型確定拠出年金(iDeCo:Individual Defined Contribution Plan)と異なり、掛金は企業が負担します。企業にとっては福利厚生の一環となり、従業員の定着にも役立つ制度です。
国民年金基金連合会
国民年金基金連合会は、国民年金法に基づき設立された公的な年金制度であり、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして、自営業者など国民年金の第1号被保険者の老後の所得保障の役割を担うものです。 国民年金基金連合会は、転居や転職により基金の加入員資格を喪失した中途脱退者に対して、年金や遺族一時金の支給を行っています。また、平成14年からは確定拠出年金の個人型年金の実施主体として、規約の作成や掛け金の収納業務なども行っています。 退職等により加入していた企業型DCを脱退し、6ヶ月以上移管の手続きを行わなかった場合、国民年金基金連合会に自動的に移管されます。その場合、現金で保管されるため追加の積立や運用指図を行うことができず、さらに移管時と保管時に手数料がかかります。
複利
複利とは、利息などの運用成果を元本に加え、その合計額を新たな元本として収益拡大を図る効果。利息が利息を生むメリットがあり、運用成果をその都度受け取る単利に比べ、高い収益を期待できるのが特徴。短期間では両者の差は小さいものの、期間が長くなるほどその差は大きくなる。
退職所得控除
退職所得控除とは、退職金を受け取る際に税金を軽くしてくれる制度です。長く働いた人ほど、退職金のうち税金がかからない金額が大きくなり、結果として納める税金が少なくなります。この制度は、長年の勤続に対する国からの優遇措置として設けられています。 控除額は勤続年数によって決まり、たとえば勤続年数が20年以下の場合は1年あたり40万円、20年を超える部分については1年あたり70万円が控除されます。最低でも80万円は控除される仕組みです。たとえば、30年間勤めた場合、最初の20年で800万円(20年×40万円)、残りの10年で700万円(10年×70万円)、合計で1,500万円が控除されます。この金額以下の退職金であれば、原則として税金がかかりません。 さらに、退職所得控除を差し引いた後の金額についても、全額が課税対象になるわけではありません。実際には、その半分の金額が所得とみなされて、そこに所得税や住民税がかかるため、税負担がさらに抑えられる仕組みになっています。 ただし、この退職所得控除の制度は、将来的に変更される可能性もあります。税制は社会情勢や政策の方向性に応じて見直されることがあるため、現在の内容が今後も続くとは限りません。退職金の受け取り方や老後の資産設計を考える際には、最新の制度を確認することが大切です。


