準富裕層は日本にどのくらいの割合いますか?また、老後生活の傾向や注意点も教えて下さい。
準富裕層は日本にどのくらいの割合いますか?また、老後生活の傾向や注意点も教えて下さい。
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2025/11/05 09:26
男性
日本全体で「準富裕層」と呼ばれる人がどのくらいの割合を占めているのか知りたいです。具体的な資産額の定義や人数の目安、年代別の傾向を教えてください。また、準富裕層の人が老後にどのような生活を送る傾向があるのか、資産管理で注意すべき点も知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
日本における「準富裕層」とは、純金融資産(預貯金・株式・投資信託・債券・保険などから負債を差し引いた額)が5,000万円以上1億円未満の世帯を指します。野村総合研究所(NRI)の「富裕層ピラミッド」でもこの定義が採用されており、上位には1億〜5億円の「富裕層」、5億円以上の「超富裕層」が位置します。
最新のNRI推計(2025年2月公表)では、富裕層が約153.5万世帯、超富裕層が約11.8万世帯、合計約165.3万世帯に増加しました。2021年比で約11%の増加、資産総額は約469兆円と約29%増えています。準富裕層(5,000万〜1億円)は公表対象外ですが、従来比率を基にすると全世帯の約7%前後、400万世帯規模と推定されます。株高・円安・相続・新NISA拡充を背景に、準富裕層から富裕層に移行する「いつの間にか富裕層」が拡大している点も注目されます。
年代別では40〜50代の会社員・経営者層が中心です。企業型DC・持株会・NISAを活用した長期積立で資産を積み上げるケースが多く、住宅・教育費のピークを越える40代後半から資産形成が加速します。20〜30代では支出負担が重く、投資余力は限定的です。
老後において準富裕層は、公的年金に加え資産を取り崩すことで「ゆとりある生活」が可能な層です。年4%取り崩しを前提にすると、5,000万円で年200万円、1億円で年400万円を上乗せできます。夫婦の年金(月15〜25万円)と合わせれば、趣味や旅行、子や孫への支援も現実的です。ただし、退職直後の相場下落時に取り崩すと資産寿命が短くなるため、数年分の生活費は安全資産で確保しておくのが望ましいでしょう。
資産管理では、ポートフォリオのバランスと税制最適化が要です。株式比率が高すぎると変動リスクが増し、預金偏重ではインフレに負けます。NISAやiDeCoの非課税活用、課税口座の損益通算、退職金・年金課税の調整を行いましょう。不動産は流動性と維持費を確認し、老後のキャッシュフローへの影響を点検。医療・介護費や相続への備えも早期対応が重要です。家族信託や遺言整備など、資産を「守り切る」仕組みを整えることが求められます。
「準富裕層」は資産額の呼称ではなく、運用・支出・承継をどう設計するかが問われるステージです。インフレや税制改正など変化の早い時代だからこそ、年1回の資産棚卸しを習慣化し、数字と目的の両面から戦略を更新していくことが肝要です。
投資のコンシェルジュでは、NISA・iDeCo・退職金・相続を横断的に整理できる無料の資産診断サービスを提供しています。老後の安心を可視化したい方は、まず現状を数字で把握することから始めてみてください。
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純金融資産
純金融資産とは、個人や世帯が保有する金融資産のうち、借金などの負債を差し引いたあとの純粋な資産のことを指します。たとえば、預貯金や株式、投資信託、保険などの「プラスの資産」から、住宅ローンやカードローンなどの「マイナスの資産(負債)」を差し引いた金額が純金融資産です。この数値がプラスであれば、資産が負債を上回っていることを意味し、経済的に安定した状態といえます。 逆にマイナスであれば、借金の方が多いということになります。純金融資産は、家計の健全性を判断するうえで重要な指標とされており、資産運用を考えるうえでもまず自分の純金融資産がどの程度あるのかを把握することが大切です。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
損益通算
投資で発生した利益と損失を相殺することで、課税対象となる利益を減らす仕組みのことです。たとえば、株式投資で50万円の利益が出た一方、別の取引で30万円の損失が発生した場合、損益通算を行うことで、課税対象となる利益は50万円から30万円を引いた20万円になります。この仕組みにより、納める税金を減らすことが可能です。 損益通算が適用されるのは、同じ「所得区分」の中でのみです。たとえば、株式や投資信託の譲渡損益や配当金などは「株式等の譲渡所得等」に分類され、この範囲内で損益通算が可能です。ただし、不動産所得や給与所得など、異なる所得区分間では基本的に通算できません。 さらに、株式投資の損失は、損益通算後も控除しきれない場合、翌年以降最長3年間繰り越して他の利益と相殺できます。これを「繰越控除」と呼び、投資初心者にとっても節税に役立つ重要なポイントです。




