知人から「ソーシャルレンディングはおすすめ」と言われましたが、本当ですか?リスクはないのでしょうか。
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2025/10/03 09:04
男性
30代
知人からソーシャルレンディングを勧められたのですが、本当に安全なのか疑問に思っています。年利4〜7%程度の利回りが期待できると聞きましたが、貸し倒れや元本割れなどのリスクはないのでしょうか。また、過去に行政処分を受けた事例があるとも聞き、不安を感じています。初心者でも取り組んで良い投資なのか、専門家の立場から詳しく教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ソーシャルレンディングは利回りが高い一方で、元本保証のない投資商品です。したがって初心者に無条件でおすすめできるものではありません。まずは生活費や安定した資産形成の基盤を整えたうえで、余裕資金の一部を慎重に割り当てるのが現実的です。
仕組みは、事業者が投資家から集めた資金を借り手に貸し付け、その返済から分配金を受け取る形です。信用リスクや貸し倒れの可能性が常にあり、担保や保証があっても必ず回収できるわけではありません。また、過去には事業者の不正や説明不足で行政処分を受けた事例もあります。
もう一つの大きな特徴は、流動性の低さです。基本的に途中解約はできず、満期まで資金が拘束されます。表面的な利回りは回収が完全に行われた場合の想定値であり、延滞や手数料などで実際の利回りは下がることも珍しくありません。
税制面では、分配金が雑所得として課税され、損失が発生しても株式などと損益通算できないケースが多い点に注意が必要です。源泉徴収の有無や確定申告の要否は投資家の状況や事業者によって変わります。
初心者が取り組むなら、全資産の一部、たとえば5%程度までといった上限を設けると安心です。生活資金や近い将来に使う予定のあるお金は絶対に投じないことが重要です。そのうえで事業者の登録状況、過去の行政処分歴、貸付先や担保、延滞率などの開示情報を自ら確認し、納得できる場合のみ参加するのが安全です。
結論として、ソーシャルレンディングは「高い利回りの裏側に貸し倒れや事業者リスクといった不確実性が潜む投資」です。資産形成の王道である長期・分散・低コスト投資を優先し、取り入れる場合は小規模かつ慎重に活用するのが望ましいと言えます。
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信用リスク(クレジットリスク)
信用リスクとは、貸し付けた資金や投資した債券について、契約どおりに元本や利息の支払いを受けられなくなる可能性を指します。具体的には、(1)企業の倒産や国家の債務不履行(いわゆるデフォルト)、(2)利払いや元本返済の遅延、(3)返済条件の不利な変更(債務再編=デット・リストラクチャリング)などが該当します。これらはいずれも投資元本の毀損や収益の減少につながるため、信用リスクの管理は債券投資の基礎として非常に重要です。 この信用リスクを定量的に評価する手段のひとつが、格付会社による信用格付けです。格付は通常、AAA(最上位)からD(デフォルト)までの等級で示され、投資家にとってのリスク水準をわかりやすく表します。たとえば、BBB格付けの5年債であれば、過去の統計に基づく累積デフォルト率はおおよそ1.5%前後とされています(S&Pグローバルのデータより)。ただし、格付はあくまで過去の情報に基づいた「静的な指標」であり、市場環境の急変に即応しにくい側面があります。 そのため、市場ではよりリアルタイムなリスク指標として、同年限の国債利回りとの差であるクレジットスプレッドが重視されます。これは「市場に織り込まれた信用リスク」として機能し、スプレッドが拡大している局面では、投資家がより高いリスクプレミアムを求めていることを意味します。さらに、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保険料率は、債務不履行リスクに加え、流動性やマクロ経済環境を反映した即時性の高い指標として、機関投資家の間で広く活用されています。 こうしたリスクに備えるうえでの基本は、ポートフォリオ全体の分散です。業種や地域、格付けの異なる債券を組み合わせることで、特定の発行体の信用悪化がポートフォリオ全体に与える影響を抑えることができます。なかでも、ハイイールド債や新興国債は高利回りで魅力的に見える一方で、信用力が低いため、景気後退時などには価格が大きく下落するリスクを抱えています。リスクを抑えたい局面では、投資適格債へのシフトやデュレーションの短縮、さらにCDSなどを活用した部分的なヘッジといった対策が有効です。 投資判断においては、「高い利回りは信用リスクの対価である」という原則を常に意識する必要があります。期待されるリターンが、想定される損失(デフォルト確率×損失率)や価格変動リスクに見合っているかどうか。こうした視点で冷静に比較検討を行うことが、長期的に安定した債券運用につながる第一歩となります。
貸し倒れ
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流動性
流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。
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雑所得(ざつしょとく)とは、所得税法において定められた10種類の所得のうち、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得を指します。具体的には、公的年金や副業による収入、仮想通貨の売却益、FXの利益、非営業用貸金の利子などが該当します。 経費を差し引いた金額が課税対象となり、総合課税の対象となります。また、雑所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。
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