加給年金はいくらもらえますか?
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2025/08/12 10:49
男性
50代
現在、老齢厚生年金の受給が間近に控えています。配偶者が65歳未満で収入も少ないため、加給年金がもらえると聞きました。具体的にいくら支給されるのか、またどのような条件で支給されるのかを詳しく教えていただけますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
加給年金とは、老齢厚生年金を受け取る方に対して、一定の条件を満たす配偶者や子どもがいる場合に支給される「家族手当」のような年金の上乗せ給付です。特に配偶者が65歳未満である場合に支給され、配偶者が65歳になると支給は終了し、その代わりに配偶者自身の年金に「振替加算」として上乗せされる仕組みです。
2025年時点での加給年金の支給額は、配偶者1人あたり年間239,300円(1か月あたり約19,942円)です。さらに、受給者の生年月日によって異なる「特別加算」が加わり、最大176,600円が上乗せされることもあります。たとえば、1960年生まれの方であれば78,900円の特別加算があり、合計で年間318,200円(月額約26,500円程度)が加給年金として支給されることになります。
支給を受けるにはいくつかの条件があります。まず、老齢厚生年金の受給資格として、厚生年金の加入期間が240か月(20年)以上必要です。そして、加算対象となる配偶者が65歳未満であること、またその配偶者の年収が850万円未満であることが求められます。また、配偶者自身が他の年金(老齢年金や障害年金など)を受給していないことも条件となります。手続きの際には、家族関係や所得状況を証明する書類を日本年金機構へ提出する必要があります。
受給中も状況に応じて加給年金が停止・終了する場合があります。配偶者が65歳になった時点で加給年金は終了し、その後は振替加算として配偶者本人の年金に移行します。子どもについては、18歳の年度末まで(または障害がある場合は20歳未満)支給されます。また、配偶者の就労により年収が850万円を超えると支給が停止される可能性があるため、注意が必要です。
なお、加給年金は老齢年金の一部として扱われるため、税制上は公的年金等控除の対象になります。加給年金単体で課税されることはなく、課税所得の計算上も有利です。ライフプラン上では、配偶者が65歳になるまでの「一時的な上乗せ収入」としてキャッシュフローに組み込むと、生活設計が現実的になります。資産運用の観点からは、この加給年金分を医療費や介護費用の備えに充てたり、つみたてNISAなどで将来の資金に回すと効果的です。
相談の際には、まずご自身のねんきん定期便や「ねんきんネット」で加入期間が240か月あるかどうかを確認しましょう。あと少しで240か月に届く場合、60歳以降に厚生年金付きの再雇用をすることで条件を満たすことも可能です。また、配偶者の収入が将来増えた場合に加給年金が停止されることもあるため、家計全体の見通しと合わせて働き方を検討することが大切です。
加給年金は一時的な制度ではありますが、数年間にわたって数十万円単位で支給されるため、老後の生活設計においては意外と大きな影響を与えます。制度の最新情報は日本年金機構の公式サイトで随時確認しつつ、不明点がある場合は社会保険労務士やファイナンシャルプランナーに相談すると、より確実な対策が立てられるでしょう。
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関連する専門用語
加給年金
加給年金とは、厚生年金に加入していた人が老齢厚生年金を受け取る際に、一定の条件を満たしていれば上乗せして支給される年金のことです。主に、年金を受け取る人に扶養している配偶者や子どもがいる場合に支給されます。この制度は、家族の生活を支えることを目的としており、会社員などが退職後に受け取る厚生年金にプラスされるかたちで支給されます。 ただし、配偶者や子どもが一定の年齢や収入要件を超えていると対象外になることがあります。つまり、定年後の生活を家族と一緒に支えていく仕組みの一つといえます。
老齢厚生年金
老齢厚生年金とは、会社員や公務員などが厚生年金保険に加入していた期間に応じて、原則65歳から受け取ることができる公的年金です。この年金は、基礎年金である「老齢基礎年金」に上乗せされる形で支給され、収入に比例して金額が決まる仕組みになっています。つまり、働いていたときの給与が高く、加入期間が長いほど受け取れる年金額も多くなります。また、一定の要件を満たせば、配偶者などに加算される「加給年金」も含まれることがあります。老後の生活をより安定させるための重要な柱となる年金です。
振替加算
振替加算とは、国民年金の制度において、老齢厚生年金を受け取る配偶者に対して加算される年金の一部です。具体的には、配偶者が一定の要件を満たし、かつ自分自身の基礎年金を満額もらえない(たとえば国民年金の加入期間が短い)場合に、老齢厚生年金に上乗せして支給されるものです。この制度は、年金制度が整備される以前に結婚・子育てをしていた専業主婦(主夫)などが不利にならないように設けられました。受給の条件には、生年月日や配偶者との関係、国民年金の納付状況などが関係します。資産運用や老後の生活設計においては、年金収入の見込みを正しく把握するために、振替加算の有無は重要な確認ポイントの一つです。
特別加算
特別加算とは、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給者のうち、特定の要件を満たす人に対して支給される、定額の上乗せ支給分のことです。主に、長期間にわたって厚生年金に加入していた方や、昭和生まれの年金制度移行期に該当する方などが対象になります。この加算は年金の受給額を少しでも手厚くするために設けられており、通常の年金額に追加して支給されます。特別加算は、年金制度が整備される前から長く保険料を支払ってきた方々の貢献に報いる意味もあります。ただし、全員が対象となるわけではなく、生年月日や加入期間など、国が定めた条件に基づいて判断されます。
公的年金等控除
公的年金等控除とは、年金を受け取っている人の所得税や住民税を計算する際に、年金収入から一定額を差し引ける控除制度です。これにより課税対象となる金額が減り、税負担を軽減できます。 対象となるのは、国民年金・厚生年金・共済年金などの「公的年金」に限られます。これらは所得税法上の「公的年金等」に分類され、控除の対象となります。 一方で、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC、個人年金保険などは、たとえ年金形式で受け取ったとしても税法上は「公的年金等」に該当せず、公的年金等控除の対象外です。これらは「雑所得(その他)」として課税されます。 控除額は受給者の年齢と年金収入の額に応じて異なり、特に65歳以上の高齢者には手厚い控除が設けられています。 | 年齢 | 公的年金等の収入額 | 控除額 | | --- | --- | --- | | 65歳未満 | 130万円以下 | 60万円 | | | 130万円超〜410万円以下 | 収入額 × 25% + 37.5万円 | | | 410万円超〜770万円以下 | 収入額 × 15% + 78.5万円 | | | 770万円超 | 一律195.5万円 | | 65歳以上 | 330万円以下 | 110万円 | | | 330万円超〜410万円以下 | 収入額 × 25% + 27.5万円 | | | 410万円超〜770万円以下 | 収入額 × 15% + 68.5万円 | | | 770万円超 | 一律195.5万円 | たとえば、65歳以上で年金収入が250万円であれば、110万円の控除が適用され、課税対象となる所得は140万円に圧縮されます。