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利回り安定重視とはどういう意味ですか?

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2025/08/15 08:42

株式
株式

男性

60代

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投資や資産運用の説明で「利回り安定重視」という言葉をよく耳にしますが、これは具体的にどういうことを意味するのでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

「利回り安定重視」とは、年間の収益のブレ幅や元本の大きな目減りを抑え、再現性の高い利回りを優先する運用姿勢を指します。高い利回りよりも、値動きの小ささや最大下落幅の浅さ、そして現金化のしやすさを重視するのが特徴です。

安定性は感覚ではなく、年率ボラティリティ(リターンのブレ幅)、最大ドローダウン(ピークからの下落幅)、ダウンサイド偏差(マイナス側の変動度合い)などの定量的な指標で評価します。実務的には、3年程度の期間で年率リターンが±数%の範囲に収まり、最大下落幅が浅いことを「安定」とみなします。

この運用姿勢では、ブレの小ささや元本毀損リスクの低さを優先する一方で、相場が大きく上昇した局面での利益や高配当・高利回りの魅力はある程度諦める必要があります。安定を求めるということは、上振れも下振れも抑える設計になるため、収益の天井も低くなる傾向があります。

利回りを見る際は、名目利回りではなく税金や手数料を差し引いたネット利回り、さらにインフレ率を考慮した実質利回りで判断することが重要です。たとえば名目で3%の利回りでも、コストや税で1%弱、インフレ率が2%なら実質的にはほぼゼロに近くなる場合があります。

利回りの安定を実現しやすい手段としては、現金や短期預金、高格付の短中期国債や公社債、債券の満期を分散するラダー運用、為替ヘッジ付きの外債、ディフェンシブ株や低ボラティリティ株、株式20〜40%程度を組み入れたバランス型運用などがあります。初心者は、短中期の高格付債と現金を中心に、必要に応じて株を少量組み入れるのが一般的です。

運用設計の際は、目的(生活費補填か将来積立か)、運用期間(最低3〜5年で評価)、許容下落幅、流動性、通貨、コスト、税効率(NISAなど)、分散の度合い、リバランスのルール、過去データによるシミュレーションなどを事前に確認しておくことが大切です。

安定の目安としては、現金や超短期債で年率ボラ0〜2%・最大下落ほぼゼロ、短中期の高格付債中心でボラ2〜5%・最大下落一桁%、株式20〜40%のバランス型でボラ6〜10%・最大下落二桁%程度が参考になります。

よくある勘違いとして、「安定=元本保証」ではないこと、「高配当=安定」ではないこと、利回りだけで判断するのは危険なこと、分散は銘柄数だけでなく相関の低い組み合わせが必要なことが挙げられます。

初心者向けの一例としては、現金・短期預金15%、国内短中期国債・公社債45%、為替ヘッジ付き外債20%、投資適格社債10%、ディフェンシブ株10%といった配分が考えられます。年1回のリバランスや為替ヘッジ、ネット利回りでの管理が前提です。

まとめると、「利回り安定重視」は増える金額よりもブレの少なさに価値を置く運用設計です。数値指標で安定性を管理し、ネット・実質利回りで意思決定を行い、短中期の高格付債と現金を土台に通貨管理・分散・リバランスで安定性を高めます。この方針は、取り崩しニーズがある人や価格変動に不安を感じやすい人に向いており、長期で高成長を優先する人には株式比率を高めた設計のほうが適しています。

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利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。

ボラティリティ

ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。

ドローダウン(最大許容下落率)

ドローダウン(最大許容下落率)とは、投資家が精神的・資金的に「これ以上下がると耐えられない」と感じる資産価格の下落幅(%)の上限のことを指します。たとえば、「30%までの損失なら我慢できるが、それ以上は無理」と考える場合、その人の最大許容下落率は30%です。 これは実際の相場変動とは別に、投資家自身があらかじめ設定するリスク許容度であり、長期運用の設計やポートフォリオ構築時に非常に重要な指標です。最大許容下落率を超えるような損失が出ると、冷静な判断ができず、パニック売りなど非合理な行動につながる可能性が高まります。 そのため、自分の最大許容下落率を正しく把握しておくことで、リスクとリターンのバランスが取れた資産運用を実現しやすくなります。金融アドバイザーとの面談やリスク診断でも、この考え方が活用されます。

ネット利回り

ネット利回りとは、投資によって得られる収益から、税金や手数料、維持管理費などの必要経費を差し引いた後の実質的な利回りのことです。例えば、不動産投資であれば家賃収入から固定資産税や管理費、修繕費などを差し引いた金額を基に算出します。 債券や投資信託でも同様に、源泉徴収税や運用管理費用を控除して計算します。ネット利回りは、投資家が最終的に手元に残すことができる利益の割合を示すため、実際の投資パフォーマンスを評価するうえで重要な指標です。名目上の利回り(グロス利回り)と比較することで、コストや税金が投資収益に与える影響を把握できます。

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実質利回りとは、資産運用において、名目上の利回りから運用コストや税金、インフレの影響を差し引いた後の、実際に得られる利益率を示す指標です。金融資産や不動産など、さまざまな資産運用の分野で活用され、投資の収益性をより正確に評価するために重要な役割を持ちます。 金融資産においては、債券や定期預金などの固定利回りの金融商品では、インフレ率が名目利回りを上回ると実質利回りがマイナスになり、資産価値が目減りするリスクがあります。そのため、投資家は名目利回りだけでなく、インフレ調整後の実質利回りを確認することで、資産の購買力を維持しながら運用することができます。 不動産投資では、実質利回りは単なる表面利回りとは異なり、賃貸収入から管理費、修繕費、固定資産税、ローンの利息などのコストを差し引いた後の利益をもとに算出されます。さらに、インフレによって家賃が上昇すれば実質利回りが向上する一方で、維持費の増加によって利回りが低下する可能性もあります。そのため、不動産投資では、地域の経済成長や賃料の上昇余地を考慮しながら、実質利回りを長期的に評価することが求められます。 資産運用全体において、実質利回りを考慮することで、単なる表面上の収益ではなく、実際に資産を増やすための正確な指標を得ることができます。運用コストや税金、インフレといった要素を踏まえて投資判断を行うことが、資産の成長と保全のために不可欠です。

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分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。

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