STOとICO、投資するならどちらがよりおすすめですか?
STOとICO、投資するならどちらがよりおすすめですか?
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2025/02/01 11:22
男性
30代
不動産STOは法規制が整っている反面、ICOは自由度が高い資金調達方法と聞きます。個人投資家が投資を考える際、どちらを選ぶべきか教えてください。リスクとリターンの違いも知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
不動産STO(Security Token Offering)は、改正金融商品取引法により「電子記録移転有価証券表示権利」として定義され、目論見書の提出や継続開示、分別管理など株式並みの投資家保護が義務づけられています。トークンの裏付けとなるのは不動産ファンド持分や信託受益権といった実物資産で、価格は賃料水準や市況に連動して緩やかに動くため、大幅な値崩れリスクは限定的です。分配金と値上がり益を合わせた想定利回りは年4〜7%程度が目安で、安定した長期運用を望む投資家に向いています。
一方、ICO(Initial Coin Offering)は独自トークンを発行して資金を集める手法で、法的にはユーティリティトークン(利用権)として扱われるケースが大半です。発行そのものに金融規制が及びにくく、資金使途やガバナンスの透明性は案件ごとに大きく異なります。成功すれば数十%から数倍のリターンも期待できますが、ホワイトペーパーだけを頼りに判断するため、発行体の消滅や詐欺、上場後の流動性枯渇といったリスクが常につきまといます。
安定運用を重視する初心者や資産形成期の方には、不動産STOのほうが安心感が高いでしょう。実物資産が担保となり、価格変動も緩やかで、投資家保護の枠組みも整っています。逆に、元本毀損を許容してハイリスク・ハイリターンを狙う投機的スタンスならICOを検討できますが、投入額は余裕資金の範囲にとどめ、発行体の所在地やチーム実績、資金使途と進捗報告の有無を細かく確認する必要があります。
結論として、守りを固めながら着実な利回りを得たい場合は不動産STO、10倍超のアップサイドと同時に元本ゼロ化をも受け入れられる場合はICOが選択肢になります。いずれを選ぶにせよ、ウォレット管理や税務上の取り扱いも含めて事前にシミュレーションを行い、自身のリスク許容度と照らし合わせることが重要です。
関連する専門用語
セキュリティトークンオファリング(STO)
セキュリティトークンオファリング(STO)とは、「Security Token Offering」の略で、ブロックチェーン技術を活用してデジタル化された有価証券(セキュリティトークン)を発行し、資金調達を行う手法です。 例えば、不動産STOとは、不動産を小口化し、「セキュリティトークン」として発行・販売する仕組みです。 ブロックチェーン技術を活用することで、従来の不動産投資よりも透明性が高まり、取引が効率化されます。これにより、少額から不動産投資に参加できる機会が広がっています。
ICO(Initial Coin Offering)
ICO(Initial Coin Offering)とは、企業やプロジェクトが独自の仮想通貨(トークン)を発行し、資金を調達する方法のことです。株式市場のIPO(新規株式公開)に似ていますが、ICOでは株ではなくトークンを販売します。 投資家は、プロジェクトが発行するトークンをビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨で購入します。成功すれば、トークンの価値が上がり利益を得られる可能性があります。しかし、規制が緩いため詐欺や失敗リスクも高いです。 ICOは2017年ごろに流行しましたが、現在は規制が強化され、より信頼性の高い資金調達方法としてIEO(Initial Exchange Offering)やSTO(Security Token Offering)も登場しています。
改正金融商品取引法(金商法)
改正金融商品取引法(以下、金商法)は、金融商品の取引において投資家を保護し、市場の健全性を維持するための法律です。株式や投資信託といった従来型の金融商品に加え、STOや仮想通貨関連の金融商品も規制の対象に含まれます。特に、STOや仮想通貨は新しい技術を活用した投資手法として注目されていますが、複雑さや不正行為のリスクも伴います。そのため、金商法では情報開示義務や業者の登録制を設け、投資家が安心して取引できる環境を提供しています。さらに、インサイダー取引や詐欺的行為に対しても厳しい罰則を設け、公正な市場を確保しています。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、投資案件の詳細を記載した文書で、投資家が案件の信頼性や将来性を判断するための重要な資料です。
電子記録移転有価証券表示権利
電子記録移転有価証券表示権利とは、株式や債券などの有価証券を、実際の紙の証券としてではなく、電子的な記録によって保有・移転できるようにした権利のことです。たとえば、昔は株券という紙が実物として存在していましたが、現在ではそのほとんどが電子化され、証券保管振替機構(ほふり)などの仕組みを通じて、誰がどの証券を持っているのかが記録・管理されています。 このような仕組みによって、証券の売買や移転がよりスムーズに、かつ安全に行えるようになりました。投資家が証券を取引するときに目に見える形でこの権利を意識することはあまりありませんが、証券取引の裏側で機能している非常に重要な制度です。
発行体
発行体とは、債券や株式などの金融商品を市場に出して資金を調達する側のことを指します。債券であれば、お金を借りる側であり、投資家から集めた資金を使って事業活動や設備投資などを行います。発行体には、国や地方自治体、企業、政府機関などさまざまな種類があります。投資家にとっては、発行体の信用力や財務状況がその金融商品の安全性や利回りに大きく影響するため、誰が発行しているのかをしっかりと確認することが重要です。信頼できる発行体であれば、安定した利息や元本の返済が期待できます。
