子どもの扶養を夫から妻へ移す場合の手続きを教えてください
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2025/09/01 08:31
女性
30代
夫の会社の健康保険で子どもを扶養に入れていますが、今後は妻の勤務先の健康保険に切り替えた方が有利かもしれないと考えています。その場合、子どもの扶養を夫から妻へ移すには具体的にどのような手続きが必要でしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
子どもの扶養を夫から妻へ移す場合には、社会保険上の扶養と税法上の扶養控除の二つの観点から手続きが必要になります。それぞれ流れが異なるため、順を追って確認しましょう。
まず、社会保険の扶養切り替えについてです。夫の勤務先で子どもを扶養に入れている場合、夫は会社に「被扶養者異動届」を提出し、子どもを扶養から外す手続きをします。その後、妻が勤務先の会社へ「被扶養者異動届」や「健康保険被扶養者申請書」を提出して、子どもを新しく妻の扶養に入れます。この際には、子どもの住民票や所得証明、夫側の健康保険証の返却などが必要になることが多いため、事前に各会社の人事や総務担当に確認すると安心です。手続き完了後には、妻名義の健康保険証が新しく発行されます。
次に、税法上の扶養控除についてです。税法では、その年の12月31日時点でどちらが子どもを扶養親族として申告するかが基準となります。夫から妻に切り替える場合は、年末調整や確定申告の際に妻が子どもを扶養控除の対象として申告し、夫は扶養から外した形で処理します。同じ子どもを夫婦それぞれで二重に扶養控除申告することはできない点に注意が必要です。
まとめると、手続きの流れは「夫の会社で扶養削除」→「妻の会社で扶養追加」→「年末調整または確定申告で妻が扶養控除を申告」という順番になります。実際には、社会保険の切り替えを先に行い、その後に税務上の処理をするのが一般的です。必要書類は勤務先ごとに異なるため、事前に確認してから進めるとスムーズに対応できます。
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社会保険
社会保険とは、国民の生活を支えるために設けられた公的な保険制度の総称で、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険などが含まれます。労働者や事業主が保険料を負担し、病気や高齢による収入減少、失業時の経済的支援を受けることができます。社会全体でリスクを分担し、生活の安定を図る仕組みです。 また、社会保険は万が一の備えとして機能し、資産運用においては「公的保障の不足分をどのように補うか」を考える前提となる存在です。
扶養控除
扶養控除とは、所得税や住民税を計算する際に、扶養している家族がいる場合にその人数や年齢に応じて課税対象となる所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。これにより、税金の負担が軽くなります。対象となるのは、16歳以上の子どもや親などで、生計を共にしており、年間の所得が一定額以下であることが条件です。 子どもが16歳未満の場合は扶養控除の対象にはなりませんが、別途「児童手当」などの支援があります。控除額は扶養親族の年齢や学生かどうかなどによって異なり、たとえば「特定扶養親族(19歳以上23歳未満の子ども)」はより大きな控除額が認められています。税負担を軽減し、家族を支える世帯への配慮を目的とした制度です。
被扶養者異動届
被扶養者異動届とは、健康保険における扶養家族の状況に変化があったときに提出する届け出書類です。たとえば、扶養していた家族が就職して収入を得るようになった場合や、結婚や死亡などで扶養関係がなくなった場合に必要になります。また、新たに扶養家族を追加する場合にも、この異動届を使うことがあります。 この届け出をすることで、健康保険の管理機関が正確な加入者情報を把握でき、適正な保険給付の運用が可能になります。提出を忘れると、不要な保険給付を受けてしまい、後から返還を求められることもあるため、変化があったときは速やかに提出することが大切です。
健康保険被扶養者申請書
健康保険被扶養者申請書とは、会社員や公務員などが加入している健康保険において、自分の家族を扶養家族として健康保険に追加したい場合に提出する書類です。この申請書を提出することで、配偶者や子ども、あるいは収入の少ない親などが、本人の健康保険に無料で加入することができるようになります。 扶養に入れるかどうかは、家族の年収や生活状況など一定の条件を満たす必要があります。この制度を活用することで、扶養される側は自分で保険料を支払うことなく、医療を受ける際に保険の適用を受けられるようになります。
年末調整
年末調整とは、会社員や公務員などの給与所得者が1年間に納めるべき所得税の額を、年末に雇用主が計算し直して精算する手続きのことです。通常、毎月の給与からあらかじめ見込みで所得税が源泉徴収されていますが、年末に実際の収入や各種控除(配偶者控除、扶養控除、保険料控除など)を反映させて正確な税額を算出し、過不足を調整します。 税金を払いすぎていた場合には還付され、足りなかった場合は追加で徴収されることがあります。年末調整によって、多くの給与所得者は確定申告をしなくても納税が完結する仕組みになっており、手間の軽減と課税の公平性を両立させる重要な制度です。ただし、自営業者や副業収入がある人、医療費控除や住宅ローン控除を受けたい人などは、年末調整だけでは対応できず、別途確定申告が必要になります。
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。