TSMCの熊本工場の稼働によって、注目される日本企業や関連銘柄にはどのようなものがありますか?
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2025/10/30 09:14
男性
40代
TSMCが熊本に建設している半導体工場に影響される、日本企業の関連銘柄があるのではないかと期待してます。どのような企業の業績に追い風が期待できるのか、素材・装置・建設など分野別に代表的な銘柄を教えて下さい
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
TSMCの熊本工場(JASM)の稼働によって最も恩恵を受けるのは、日本の半導体製造装置、材料、インフラ関連の企業です。
熊本第1工場は2024年末に稼働し、40nm〜12nmプロセスを中心に量産を開始しています。さらに第2工場では6nmや7nmといった先端プロセスの導入も計画されており、両工場合わせて月産10万枚を超える規模が見込まれています。これにより、日本の半導体関連企業には中長期的な需要拡大が期待されています。
なお、代表的な企業の一例は以下のとおりです。
| 関連事業 | 企業 | 
|---|---|
| 装置関連 | 東京エレクトロン(成膜・エッチング装置) SCREENホールディングス(洗浄装置) ディスコ(ダイシングソー) アドバンテスト(検査計測) レーザーテック(マスク欠陥検査) | 
| 材料関連 | 信越化学工業(シリコンウェーハ) SUMCO(シリコンウェーハ) 東京応化工業(フォトレジスト) HOYA(マスクブランクス) レゾナック(CMP材や高純度ガス) | 
日本は半導体材料の世界シェアが高く、熊本工場の量産拡大に伴って歩留まり改善や安定供給のニーズが高まるため、恩恵を受けやすい構造です。
鹿島建設が主要設備棟の建設を担当し、今後の増設案件にも関与する可能性があります。また、電力供給を担う九州電力、水処理装置の栗田工業やオルガノ、高純度ガスの日本酸素HDやエア・ウォーターなども、工場稼働とともに需要が継続的に発生しています。さらに、クリーンルームや空調関連ではSMCやアズビル、ダイキンなども関連企業として注目されます。
地域経済にも波及効果が大きく、今後10年で11兆円規模の経済波及が見込まれるとの試算もあります。関連する金融、不動産、建設、物流分野でも活発な投資が続く見通しです。
一方で、投資判断においては注意点もあります。第2工場の立ち上げ時期やノード構成はインフラ整備や補助金動向に左右されるため、関連企業の業績寄与には時間差が生じる可能性があります。したがって、短期的な期待でなく、中長期的な受注残や保守サービスの拡大に注目する視点が重要です。
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