積立NISAの途中解約は可能ですか?
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2025/09/11 08:55
女性
30代
積立NISAは長期的な資産形成を目的とした制度と聞いていますが、もし途中で資金が必要になった場合に解約や引き出しはできるのでしょうか?積立途中で解約すると非課税のメリットがなくなるのか、また再度始める場合はどのような手続きが必要になるのかも気になるので教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
積立NISAには「途中解約」という特別な手続きはありません。実際には、保有している投資信託を必要なときにいつでも一部または全部売却することができます。売却によって得られた利益や分配金は非課税のままなので安心です。ただし、売却後に現金が口座へ振り込まれるまでには数営業日かかる点には注意が必要です。
制度の違いも理解しておくことが大切です。2024年から始まった新NISAでは、売却した金額分だけ「生涯投資枠」が再び利用でき、翌年以降の年間投資枠の範囲で再投資が可能です。
積立額の変更や一時停止も自由に行えます。停止後も保有中の商品は非課税で運用が続きますが、未使用の年間投資枠は翌年に自動で繰り越されません(ただし新NISAの生涯投資枠自体は残ります)。また、売却に手数料はほとんどかかりませんが、一部の商品には「信託財産留保額」というコストが設定されている場合があるため、商品ごとの目論見書で確認することが大切です。
実際に資金が必要な場合は、まず積立を一時停止するか、必要な金額だけ部分的に売却する方法が考えられます。資産配分を見直すために売却と買い直しを組み合わせることも可能です。ただし、NISA口座内で発生した損失は課税口座の利益と相殺できない点に注意してください。急な出費に備える資金は別に現金で用意しておき、NISAはできるだけ長期・分散・積立のメリットを生かす運用に充てることをおすすめします。
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つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を応援するために、国が用意した税制優遇制度のひとつです。正式には「少額投資非課税制度(NISA)」の一種で、一定の条件を満たした投資信託やETFに積立投資をすることで、その運用益や分配金が最長20年間、非課税になります。 対象商品は金融庁が選定した長期投資にふさわしい商品に限られているため、初心者でも安心して始めやすい制度です。毎年の投資上限額が決まっており、計画的に資産を育てていくのに向いています。将来の資産形成を目指す人にとって、つみたてNISAは非常に有効な選択肢のひとつです。
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