円高で儲かる円高銘柄(株、投資信託、ETF)を教えてください。
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2025/09/17 10:18
女性
30代
円高が株価に与える影響について調べています。特に円高になると利益が増える、いわゆる「円高メリット株」と呼ばれる銘柄にはどのような業種や企業が該当するのかを知りたいです。輸入企業や海外投資を行っている企業など、具体的な特徴や代表例もあわせて教えていただけますか。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
円高のメリットを受けやすいのは、基本的に「国内で売上を得ながら、仕入れやコストを外貨建てで支払っている企業」です。代表的には、輸入依存度が高い小売業や外食産業があります。衣料品や家具、雑貨などを海外から仕入れて国内で販売する企業は、円高になると仕入れコストが下がり、利益率が上がりやすくなります。
次に、航空会社も円高メリットを受ける典型的な業種です。燃料費や機材のリース料がドル建てで支払われるため、円高になればコストが円換算で軽くなります。ただし、燃油サーチャージの減額や航空需要の変化もあるため、必ずしも単純に利益増加につながるわけではありません。
さらに、電力・ガス会社のように燃料を海外から輸入している公益事業者も円高で恩恵を受けます。輸入燃料の価格が円換算で下がるためです。ただし、電気料金やガス料金には制度上の調整が入るため、利益に反映されるまで時間差がある点には注意が必要です。
一方で、輸出依存度の高い自動車や電機、半導体製造装置などの企業は、円高によって海外売上を円換算したときの金額が減ってしまうため、逆に業績の逆風になりやすいです。
投資の実務では、企業の決算資料やIR情報で「為替感応度」を確認するとわかりやすいです。例えば「1円円高になると営業利益が○億円増える(減る)」という形で開示されています。これを見ると、その企業が円高に強いのか弱いのかが具体的に把握できます。
ただし、注意点として、企業は為替ヘッジを行っている場合があり、短期的には為替の変動がすぐに利益に反映されないこともあります。また、円高が起こる背景には景気後退懸念やリスク回避の動きがあることも多く、その場合は株価全体が下落し、円高メリットが打ち消される可能性もあるのです。
まとめると、円高で有利になる銘柄は「輸入コストが減る国内販売企業(小売・外食など)」「燃料輸入が多い航空・電力・ガス」といった業種に多く見られます。ただし、ヘッジや制度、需要動向などによって実際の業績への影響は大きく変わるため、決算資料の為替感応度を確認し、単純に「円高だから有利」と考えずに慎重に判断することが大切です。
ペルソナ
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円高
円高とは、ほかの国の通貨と比べて相対的に日本の円の価値が高くなること。海外から商品を購入すること(輸入)が有利で、海外に商品を販売すること(輸出)が不利になる。 (例) 1ドル=100円が1ドル=50円になる →以前よりも少ない円で1ドルを得ることができるので、円の価値が高くなっており、円高である。
為替ヘッジ
為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。
為替感応度
為替感応度とは、為替レートの変動が自分の資産にどの程度影響を与えるかを示す指標です。たとえば、1ドル=140円から141円に円安が進んだ場合、輸出企業の株を多く持っていれば利益が増えて株価にプラスに働きやすく、逆に輸入依存度の高い企業を多く保有していればコスト増で株価にマイナスの影響が出やすくなります。 企業の決算発表や業績予想で「為替感応度」が示されるのは、こうした影響の大きさを投資家が把握できるようにするためです。初心者にとっても、為替と企業業績の関係を理解する入り口として役立つ重要な情報です。 さらに、自分のポートフォリオ全体が円安・円高にどのくらい影響を受けるのかを意識することが大切です。為替感応度を理解しておけば、自分の資産が円安に偏っていないか、円高リスクを抱えていないかを確認できます。その上で、為替ヘッジ付きの投資信託を取り入れたり、内需型の日本株や国内資産を組み合わせたりすることで、バランスを取った運用やリバランス判断につなげることができます。
営業利益
企業が本業である営業活動によって得た利益を示す指標で、売上高から売上原価や販売費、一般管理費を差し引いたものです。 投資家や経営者にとって、本業の収益力や効率性を把握するうえで最も注目度の高い指標の一つとなります。営業利益率が高い場合はコストコントロールや付加価値創出に優れていると評価され、企業の競争優位性を示す根拠にもなります。
輸入依存度
輸入依存度とは、ある国や地域の消費や供給が、どの程度輸入に頼っているかを示す割合のことです。たとえば、食料やエネルギー、原材料などを国内だけでまかなえず、海外からどれだけ取り入れているかを示す際に使われます。輸入依存度が高いと、海外の価格変動や為替レート、国際的な紛争や貿易摩擦の影響を受けやすくなります。そのため、資産運用や家計管理の観点からも、輸入依存度の高い分野は物価上昇のリスクがあることを理解することが重要です。 投資判断においても、エネルギーや食料関連の市場動向を読む際に輸入依存度を把握しておくことは役立ちます。