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ブラックロックとは?世界最大の資産運用会社を解剖する

ブラックロックとは?世界最大の資産運用会社を解剖する

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公開:

2025.07.22

更新:

2025.07.22

世界の投資マネーを預かるブラックロックは、2025年3月末時点の運用資産残高が約11.6兆ドルに達し、規模・技術・リスク管理で突出した存在です。本記事では創業背景からアラディンのIT基盤、バンガードとのシェア競争、議決権行使を巡る賛否までを網羅し、日本の個人投資家が低コストETFや公募投信をどう使い分けるかを具体的に解説します。ESG批判や倒産時の資産保全など誤解されがちな論点も整理し、新NISAで非課税投資枠が拡大する今こそ必読の内容です。この記事を読めば、巨人ブラックロックと安全に付き合うための視点が一気に手に入ります。

サクッとわかる!簡単要約

ブラックロックの規模と歴史を概観し、アラディンが保証する高度なリスク管理と年0.05%台の信託報酬が両立する理由を理解できます。さらに新NISAで拡充された成長投資枠360万円を最大限に生かすETF組み込みシミュレーション、公募投信を用いたテーマ投資の位置づけ、倒産時にも顧客資産が保全されるスキームまで整理。ESGを巡る賛否や議決権行使の実態も確認できるため、読み終えるころには「世界最大の運用会社を安全かつ戦略的に味方に付けるロードマップ」と、具体的な投資行動へ踏み出す自信が手元に残ります。日々の運用判断にすぐ活かせる知識が凝縮されています。

目次

ブラックロックの歴史と現在地

収益モデルとテクノロジー

元社員の視点

iShares ETF・公募投信の比較

競合との比較

ブラックロックの強み

リスクと誤解の解消

日本の個人投資家にとってのブラックロック活用法

NISAで低コストETFを活用

公募投信でテーマ投資にもアクセス

ロボアド・年金制度経由でも間接的に恩恵

情報発信も投資判断に役立つ

ブラックロックは、世界最大の資産運用会社です。その運用資産残高(AUM)は2025年3月末時点で約11.6兆米ドル(約1,732兆円)に達し、名実ともにグローバル金融業界を代表する存在となっています。本記事では、NISA初心者からETF中級者の方に向けて、この巨大運用会社ブラックロックの歴史やビジネスモデル、強み、そして日本の個人投資家がどのように活用できるかを専門家の視点でわかりやすく解説します。

ブラックロックの歴史と現在地

ブラックロックは1988年、アメリカ・ニューヨークで8人のパートナーによって設立されました。創業者の一人で現在もCEOを務めるラリー・フィンク氏は、以前勤務していた投資銀行で約1億ドルの損失を出した経験から、「徹底したリスク管理に基づく運用」を志し、この理念がブラックロックの原点となりました。創業当初は債券運用の小さな会社でしたが、リスク管理の技術を武器に着実に成長し、1999年にニューヨーク証券取引所に株式を上場します。

2006年にはメリルリンチ投資顧問(MLIM)との統合により運用資産が倍増し、さらに2009年にはバークレイズ・グローバル・インベスターズ(BGI)を買収してETFブランド「iシェアーズ」を獲得しました。これらの大型買収によりブラックロックは株式・債券・オルタナティブなどあらゆる資産クラスを扱う真のグローバル運用会社へと飛躍します。

現在ブラックロックは世界30か国以上に約70の拠点と18,000人超の従業員を擁し、年金基金や政府系ファンド、金融機関から個人まで幅広い顧客の資産を預かっています。2021年末にはAUMが初めて10兆ドルを突破し日本のGDPの2倍に相当する規模に達したことも話題になりました。このようにブラックロックは「世界最大の資産運用会社」として揺るぎない地位を築いており、まさにその規模と影響力は「桁違い」と言えるでしょう。「ブラックロックとは何か?」と問われれば、「世界中の投資マネーを預かる巨大運用プラットフォーム」であると端的に説明できます。

収益モデルとテクノロジー

ブラックロックの収益モデルは大きく二本柱があります。一つは運用手数料収入、もう一つは独自の金融テクノロジー提供です。まず運用手数料については、顧客から預かった資産を運用することで得られる投資顧問料(信託報酬)や、機関投資家向けファンドの運用報酬が中心です。例えば投資信託やETFでは残高に対して年率〇%の信託報酬がブラックロックの収入となります。

ブラックロックの場合、この運用関連収入が全体の8割以上を占め圧倒的な収益源となっています。加えて、一部のアクティブ運用商品では運用成績に応じた成功報酬(パフォーマンスフィー)も得ています。

もう一つの柱がブラックロックの強みであるテクノロジーサービス収入です。その代表が社内開発した統合運用管理システム「アラディン(Aladdin)」です。アラディンは「Asset, Liability, Debt and Derivative Investment Network」の略称で、投資ポートフォリオの解析・リスク管理・取引執行まで一元管理できるプラットフォームとして1990年代に社内で開発されました。

元々ブラックロック社内のリスク管理ツールとして生まれましたが、その精度と使い勝手の良さから外部にも提供されるようになり、現在では世界で200以上の金融機関(中央銀行や年金基金を含む)がこのシステムを利用していると言われます。アラディン上で管理・分析されている資産規模は実に21兆ドルにも上り、「金融業界のOS」とも称される存在です。

ブラックロックはこのアラディンを中核としたリスク管理・ITソリューション事業でも収益を上げています。たとえば2024年にはテクノロジーサービス部門だけで約16億ドルの収入を計上しており、全収入の約8%に達しています。運用会社がITサービスでこれほど収益を上げているのは極めてユニークで、ブラックロックのフィンテック企業としての一面を示しています。

元社員の視点

ブラックロックではあらゆる運用業務がアラディンに乗っているのが特徴です。ファンドマネージャーがポートフォリオを組成・調整するとき、必ずアラディンでリアルタイムのリスク分析やシミュレーションを行い、許容リスク範囲を超えるようなポジションは事前に是正されます。リスク管理チームもアラディンから全ファンドのポートフォリオ情報をチェックし、グローバルで統一された基準で管理しています。このようにブラックロック社内では「テクノロジーと運用」が一体となっており、テクノロジーが運用成績と顧客保護の両面を支える文化が根付いています。アラディンは単なる収益源に留まらず、ブラックロックの企業文化そのものと言えるでしょう。

iShares ETF・公募投信の比較

ブラックロックが個人投資家向けに提供する代表的な商品がiシェアーズ(iShares)と呼ばれるETFです。ETF(上場投資信託)とは、取引所に上場している投資信託のことで、株式のように市場の取引時間中いつでも売買できる一方、投資信託のように複数の銘柄に分散投資できる商品です。

ETFの基本は以下の記事で詳しく解説しています。

要するにETFは「株式」と「投信」の長所を併せ持つ仕組みと言えます。例えば流動性の面では、市場価格でリアルタイムに売買できるETFは、公募投信(通常の投資信託)のように注文から約定(基準価額確定)までタイムラグがある商品に比べて機動的です。またコストの面でも、一般にETFの信託報酬は同じ対象に投資する公募投信より低めに設定される傾向があります。

ブラックロックは2009年のBGI買収でこのETFブランド「iシェアーズ」を手に入れて以来、ETF業界でトップクラスの地位を占めています。全世界のETF市場におけるシェアは約4割にも達し、市場のマーケットリーダーです。運用残高ベースでもiシェアーズETFは合計で1兆2,934億ドル(約150兆円)規模に上り、世界中の機関投資家・個人投資家に利用されています。ラインナップも豊富で、米国株や先進国株式、新興国株式、債券、コモディティ、REITなど600本以上のETFを提供し、それぞれ低コストで市場全体への分散投資を可能にしています。

債券ETFの特徴についてはこちらのQ&Aもご参照ください。

一方、公募投信の分野でもブラックロックはアクティブ運用商品を含め多数のファンドを運用しています。

日本の投資家に身近な例では「ブラックロック・ゴールド・ファンド」があります。これは南アフリカや北米、豪州などの金鉱株に投資するアクティブ投信で、「金価格連動株式ファンド」として長年運用されています。他にも「世界株式インデックスファンド」「グローバルバランスファンド」など公募投信も揃えており、ETFと投信の双方で幅広いニーズに対応しています。ただし一般にアクティブ型の公募投信は信託報酬が年2%前後と高めなので、低コスト重視ならETF、テーマ投資やアクティブ戦略を求めるなら公募投信という使い分けが考えられるでしょう。

まとめると、iシェアーズETFは低コスト・高流動性が魅力で、長期分散投資のコアに適しています。一方、公募投信は積立NISA対応商品やブラックロック独自のテーマ・アクティブ運用商品もあり、投資目的に応じて選択肢が広がります。それぞれの特徴を理解し、上手に使い分けることが大切です。

アクティブとパッシブの違いについてはこちらのQ&Aもご参照ください。

競合との比較

ブラックロックの主要競合としては、バンガード(Vanguard)やステートストリート(State Street)といった米国の大手運用会社が挙げられます。特にバンガードは個人向けインデックスファンド・ETFで有名で、運用資産は約8兆ドル超とブラックロックに次ぐ世界2位の規模です。

バンガードはユニークな顧客保有構造(同社のファンド出資者が会社の出資者でもある)により利益を投資家に還元し、徹底的な低コスト運用を追求している点が特徴です。その結果、米国ETF市場ではバンガードが個人投資家を中心に支持を集め、シェアを年々伸ばしています。米国ETF市場シェアを見るとブラックロック(主にiシェアーズ)は約32.5%で首位ですが、バンガードが約29.5%まで迫ってきています。ブラックロックが2000年代に一時60%近いシェアを誇っていたことを考えると、競合の追い上げにより寡占状態から「2強時代」へ移行しつつあると言えるでしょう。

もう一社の競合であるステートストリートは、世界初のETF(SPDRシリーズ)を提供したことで知られる運用会社です。運用資産規模は約4兆ドル台で世界3位クラス。同社もインデックス運用が強みですが、ブラックロックと比べると事業の多角化やテクノロジー展開ではやや見劣りします。この他、フィデリティやジュピターなど世界には有力な運用会社が多数存在しますが、ブラックロックほど全方位に事業展開し巨大化した例は他にありません。多くの競合が特定分野(例えばバンガードはインデックス運用、ブラックストーンはオルタナティブ資産など)に強みを持つのに対し、ブラックロックはインデックス・アクティブ・オルタナ・テクノロジーまで総合力で勝負できる点が際立っています。

トラッキングエラーについてはこちらのQ&Aもご参照ください。

日本国内に目を向けると、野村アセットマネジメントや日興アセットマネジメントといった運用会社が個人には馴染み深いでしょう。国内資産運用業界では野村アセットが最大手で運用資産約70兆円規模ですが、これはブラックロックのわずか数%程度に過ぎません。ブラックロックはそうした日本の運用各社とも提携関係を築いており、例えば「野村ブラックロック循環経済関連株投信」のようにブラックロックの運用ノウハウを活かしたファンドを野村が設定するケースもあります。世界規模では競合ひしめく中、ブラックロックはその規模と多様性で一歩リードしており、「運用業界の王者」として君臨しているのが現状です。

ブラックロックの強み

これだけの巨大企業に成長したブラックロックには、いくつか際立った強み(競争優位)があります。

規模の経済

運用資産規模が桁違いに大きいことで、各ファンドの経費率を引き下げるメリットがあります。実際、ブラックロックはその規模を活かし主要ETFの信託報酬を業界最低水準まで引き下げています(例:東証上場のiシェアーズ日本株ETF3銘柄は信託報酬年0.0495%と国内最低水準)。巨額のAUMはまた、安定した運用報酬収入をもたらし、景気変動にも比較的強い財務基盤につながっています。

商品の多様性

株式・債券・不動産・コモディティ・オルタナティブ(未公開株やインフラ)まで網羅する運用ラインナップを持ち、インデックス運用からアクティブ運用まであらゆる戦略を提供できるのはブラックロックの大きな強みです。顧客はブラックロック一社でポートフォリオの包括的なソリューションを得ることができ、ライフサイクルに合わせた商品提案(例えばターゲットイヤーファンドで老後資金準備など)も容易です。また世界各地の現地事情に通じたチームがいるため、グローバル展開力も他社に勝る点です。

テクノロジーとリスク管理

前述のアラディンに象徴されるように、ブラックロックはフィンテック企業顔負けのテクノロジー力を持ちます。膨大な市場データと独自モデルによるリスク分析力は業界随一であり、運用担当者は常に高度なリスクコントロールの下で業務を行っています。2008年の金融危機時や2020年のコロナショック時には、米連邦準備制度(FRB)や各国政府がブラックロックに市場安定化のための資産買入れ業務を委託したこともあり、その信頼性と専門性は公的機関のお墨付きと言えるでしょう。

スチュワードシップ(投資先への関与)

ブラックロックは株主としての議決権行使や企業との対話(エンゲージメント)にも積極的です。世界中の上場企業の大株主となっている立場から、企業の長期的な価値向上を促すべくガバナンス改善やサステナビリティ施策を働きかけています。特に気候変動や多様性の分野では業界をリードする発信を行ってきました。もっとも近年はESG(環境・社会・ガバナンス)投資に逆風も吹いており、一部では「行き過ぎた株主介入ではないか」との批判もありますが、長期目線で顧客の資産価値を守るという受託者責任(フィデューシャリー・デューティ)に基づく活動であるとブラックロックは強調しています。

経営陣と企業文化

創業者ラリー・フィンク氏を筆頭に、ブラックロックの経営陣は長年にわたり同社を率いてきたベテラン揃いです。創業パートナーのうち4名は現在も経営に関与しているという継続性もあり、One BlackRock(ワン・ブラックロック)という企業文化の下、全社一丸となって顧客本位のビジネスモデルを追求しています。部署横断的にリソースを共有し最良のソリューションを提供する体制は、多くの金融機関が縦割りなのと対照的で、これがお客様からの高い信頼につながっています。

以上のような強みにより、ブラックロックは総合力で他社を凌駕し続けています。ただし完璧に見えるブラックロックにも課題や外部からの誤解は存在します。次の章ではリスク要因や世間の誤解について触れてみましょう。

リスクと誤解の解消

巨大なブラックロックに対しては、その影響力の大きさゆえに様々なリスク指摘や誤解も生まれています。ここでは代表的なポイントを整理し、正しい理解の助けとします。

「ブラックロック=世界を支配?」という誤解

インターネット上では「ブラックロックとバンガードが全ての大企業の株主で陰で世界を牛耳っている」といった陰謀論的な内容が語られることがあります。確かにブラックロックはS&P500企業の80%以上で筆頭株主の上位3位以内に入っているとのデータもあり、市場全体に巨大な存在感を持つのは事実です。しかし、重要なのは**「誰のために株主になっているのか」という点です。ブラックロックが保有する株式はあくまで顧客(ファンド出資者)の資産であり、ブラックロック自身の裁量で企業支配に利用できるものではありません。同社は受託者(信託)として顧客に代わり株式を保有・議決権行使しているに過ぎず、その責任は顧客利益の最大化に限定されています。実際、ブラックロックは自社の議決権行使が不安視される声に対応し、一部の機関投資家顧客が自分の出資分の議決権を直接行使できる「パススルー型」サービスも導入し始めました。要するに、ブラックロックは巨大ではありますが「勝手に世の中を動かせる存在」ではなく、法規制と受託者責任の枠内で行動する極めて公共的な資産管理者**なのです。

運用会社としての倒産リスク

では仮にブラックロックという会社自体が経営危機に陥ったら、預けた資産はどうなるのでしょうか? 結論から言えば、仮にブラックロックが倒産しても顧客資産は法的に保全されます。投資信託やETFの資産は受託銀行(カストディアン)に分別管理されており、運用会社の財産とは切り離されています。極端な話、ブラックロック社が無くなっても信託財産としてのファンド資産は守られ、他の運用会社が引き継ぐ形になります。したがって「ブラックロックがやばい(危ない)らしいから資金を引き上げなければ…」といった心配は基本的に無用です。むしろ現実的なリスクは、市場環境の変動による投資商品の評価損や、ブラックロックが提供するETF・ファンド自体の価格変動リスクです。ブラックロックは銀行のようにレバレッジをかけて自己勘定取引をしているわけではないため、金融システム上のリスク(システミックリスク)は相対的に低いと評価されています。

議決権行使やESGを巡る批判

前述の通り、ブラックロックは投資先企業への関与を強めていますが、この姿勢に対して政治的な反発が生じるケースもあります。米国では「ESG重視は政治的アジェンダだ」との批判から、一部の州がブラックロックに公的資金運用の委託を取りやめる動きもありました。またブラックロック自身も政治的中立性を確保するため、2023年に気候変動対策の国際イニシアチブ(NZAM:Net Zero Asset Managers)から離脱したことが報じられています。フィンクCEOも「ESGという言葉はもはや汚染され誤解を生んでいる」と述べ、論調を改める考えを示しました。このように巨大すぎるがゆえに様々な批判の矢面に立たされるリスクはありますが、ブラックロック自体が急激に経営危機に陥る可能性は低いと見られます。むしろ投資家としては、市場動向や規制環境の変化がブラックロックの商品にどう影響するか(例:ESG離脱で関連ETFの方針変更は?など)を注視すべきでしょう。

総じて、ブラックロックにまつわる「やばい」「怪しい」といった噂の多くは誤解や極論と言えます。実態は規制当局の監督下にある堅実な受託者であり、私たち個人もそのサービスを安心して活用することが可能です。ただし投資商品のリスク自体は免れませんので、ブラックロックの商品だから絶対安心というわけではなく、商品ごとの中身やリスクはしっかり理解した上で投資判断することが重要です。

日本の個人投資家にとってのブラックロック活用法

「世界最大の資産運用会社」と聞くと遠い存在に思えるかもしれませんが、ブラックロックは日本の個人投資家にとっても、日々の資産運用に活用できる身近な存在です。ここでは、具体的な活用方法を整理してご紹介します。

NISAで低コストETFを活用

新NISA制度の拡充により、ETFを含む上場商品に年間360万円まで投資できるようになりました。なかでもブラックロックが展開する「iシェアーズETF」は、有力な選択肢のひとつです。

たとえば、

「iシェアーズ・コア S&P500 ETF(2569)」

「iシェアーズ・コア MSCI先進国株 ETF(1657)」

などは、グローバルな株式市場への分散投資を可能にし、信託報酬も年0.05〜0.1%台と非常に低コストです。これらの商品をNISA枠で購入すれば、配当や売却益が非課税となり、長期資産形成の効率が格段に高まります。

NISA活用時の注意点については以下の記事で詳しく解説しています。

公募投信でテーマ投資にもアクセス

ブラックロックはETFだけでなく、国内向けの公募投信も提供しています。たとえば、

「ブラックロック・ゴールド・ファンド(=金鉱株に投資)」

「ブラックロック・世界テクノロジー株ファンド(=世界のIT株)」

といったテーマ型ファンドがあり、加えて野村アセットなど他社との提携商品を通じて、「循環経済」「インド株」「天然資源株」などユニークなテーマにも投資できます。

これらはアクティブ運用型で信託報酬がやや高めですが、ポートフォリオの一部としてテーマ投資を楽しむには好適です。多くは証券会社や銀行経由で購入可能で、つみたてNISA対象のものも含まれます。

ロボアド・年金制度経由でも間接的に恩恵

ロボアドバイザーや確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)にも、ブラックロックのファンドが組み込まれているケースが増えています。

例えば「WealthNavi」ではポートフォリオにiシェアーズETFを採用しており、企業年金でも外国株部分をブラックロックが運用している例があります。気づかないうちに、自身の資産形成にブラックロックの運用力が活かされている可能性もあるのです。

お使いの金融商品・サービスの運用先を確認してみると、「このファンド、実はブラックロックだったのか」という発見があるかもしれません。

情報発信も投資判断に役立つ

ブラックロックは投資家向けの情報発信にも力を入れています。日本法人の公式サイトでは、

「マーケットアウトルック」

「ETF活用ガイド」

など、実務に役立つレポートが定期的に掲載されており、米国本社が発行するラリー・フィンクCEOの年次書簡は、グローバルな投資視点からの示唆に富んでいます。こうした情報を投資判断に取り入れることも、賢い資産運用の一助となるでしょう。

この記事のまとめ

ブラックロックは規模の経済、商品多様性、テクノロジーを兼ね備えた総合運用プラットフォームです。低コストETFで長期の核を固め、興味に応じてテーマ型公募投信を組み合わせることで、新NISAや確定拠出年金の非課税メリットを最大化できます。ESG批判や倒産リスクは誤解が多く、実際には受託者責任と分別管理が投資家資産を守ります。利用前に信託報酬、対象指数、流動性を確認し、自身のリスク許容度と投資目的を照らし合わせたうえで、金融機関の相談窓口やブラックロック公式レポートを活用し、戦略的な資産形成に踏み出しましょう。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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ラリー・フィンク

ラリー・フィンクとは、世界最大の資産運用会社であるブラックロックの共同創業者であり、現在の会長兼CEO(最高経営責任者)を務める人物です。資産運用業界における最も影響力のあるリーダーの一人とされており、世界経済や金融市場に対して強い発言力を持っています。特にESG(環境・社会・ガバナンス)投資に対する積極的な姿勢が注目されており、毎年発表される「CEOレター」では、企業の長期的価値創造や社会的責任に対する考え方を明確に打ち出しています。その発言は多くの企業や投資家に影響を与え、世界的な投資の潮流を方向づける存在となっています。投資の専門知識だけでなく、リスク管理やサステナビリティに関するビジョンも評価されています。

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リスク管理とは、資産運用において損失のリスクを抑えながら安定したリターンを得るための戦略や手法を指します。市場の変動や経済環境の変化により、投資資産の価値は常に変動するため、適切なリスク管理を行うことが重要です。具体的には、異なる資産クラスに分散投資することでリスクを分散させる、投資対象の信用力や市場環境を定期的に見直す、ストップロス(損切り)ルールを設定するなどの方法があります。また、長期的な視点でリスク許容度を考慮しながらポートフォリオを調整することも有効です。適切なリスク管理を行うことで、市場の急変動時にも冷静に対応し、資産の保全と成長のバランスを取ることが可能になります。

メリルリンチ投資顧問 (MLIM)

メリルリンチ投資顧問(MLIM)とは、かつて存在したアメリカの大手証券会社メリルリンチの資産運用部門の名称です。個人投資家や機関投資家向けに、株式・債券・マルチアセットなどさまざまな資産運用サービスを提供していました。運用スタイルはアクティブ型・パッシブ型の両方を扱っており、グローバルに展開する大規模な投資顧問会社として知られていました。2006年に世界最大級の資産運用会社であるブラックロックと合併し、MLIMの資産運用業務はブラックロックに統合されました。この合併により、ブラックロックは一気に世界最大規模の資産運用会社へと成長することになります。現在ではMLIMという名称は使われていませんが、ブラックロックの中にその経験と運用ノウハウが受け継がれています。

iシェアーズ

iシェアーズとは、世界最大の資産運用会社ブラックロックが提供しているETF(上場投資信託)のブランド名です。ETFとは、株式のように証券取引所で売買できる投資信託のことで、iシェアーズはその中でも種類が豊富で、世界中の株式・債券・セクター・地域などさまざまな資産クラスに分散投資ができる商品を揃えています。特にインデックスに連動したパッシブ運用型のETFが多く、手数料が低く、透明性が高いという特徴があります。個人投資家でも少額から分散投資が可能であり、長期的な資産形成の手段として広く利用されています。また、ブラックロックの運用ノウハウが反映されており、信頼性の高いETFブランドとして世界中の投資家に支持されています。

アラディン

アラディンとは、ブラックロックが自社で開発・運用している高度な投資管理・リスク管理プラットフォームの名称です。正式には「Asset, Liability, Debt and Derivative Investment Network」の頭文字を取って名付けられており、世界中の資産運用会社、保険会社、年金基金、政府機関などがこのシステムを活用しています。アラディンは、膨大な市場データをリアルタイムで分析し、ポートフォリオのリスクや収益性を可視化することで、投資判断の精度を高めます。特に金融危機などの不透明な相場環境でも、リスクを適切に把握して資産を守るための重要なツールとして位置づけられています。また、ブラックロックだけでなく、世界中の多くの大手金融機関もアラディンを導入しており、その信頼性と影響力は非常に高いです。

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フィンテックとは、「ファイナンス(金融)」と「テクノロジー(技術)」を組み合わせた造語で、IT技術を活用して金融サービスを革新する分野のことを指します。たとえば、スマートフォンで送金や資産管理ができるアプリ、AIを使った投資アドバイス、ブロックチェーンによる取引の自動化などがその代表例です。 従来は銀行や証券会社が提供していたサービスが、より低コストで利便性の高い形で個人にも提供されるようになり、金融の在り方を大きく変えています。投資初心者にとっても、フィンテックを活用することで簡単に資産運用を始められる環境が整ってきています。

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バンガードとは、アメリカに本社を置く世界有数の資産運用会社であり、特にインデックスファンドの普及に大きく貢献した存在として知られています。1975年に創業者のジョン・C・ボーグル氏が世界初の個人向けインデックスファンドを提供したことがきっかけで、「低コスト・長期・分散」の投資哲学が広まりました。バンガードの特徴は、投資家がファンドの“実質的な所有者”であるという独自の構造で、利益を投資家に還元する形で運用コストを抑える仕組みを持っています。また、ETF市場でも「VTI」や「VOO」などの人気商品を展開しており、個人投資家から機関投資家まで幅広く利用されています。長期的で安定した資産形成を支援する運用方針により、初心者にも安心して利用されている運用会社のひとつです。

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スチュワードシップ・コードとは、機関投資家が企業に対して建設的な関与を行い、企業価値の向上や持続的な成長を促すための行動指針のことをいいます。「スチュワードシップ」とは本来「受託者責任」を意味し、ここでは投資家が顧客や受益者から託された資金を運用するうえで、単に株を保有するだけでなく、投資先企業の経営に対して対話(エンゲージメント)や議決権行使などを通じて責任ある行動をとるべきだという考え方が含まれます。 日本では2014年に金融庁が導入を推進し、多くの国内外の機関投資家が受け入れています。このコードの目的は、企業の短期的な利益ではなく、中長期的な成長を支援することにあり、投資先企業と投資家がともに価値を高めていくという「持続可能な資本市場」の実現に貢献します。

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ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素を考慮して行う投資のことです。従来、企業の投資価値は主にキャッシュフローや利益率などの財務情報を基に判断されてきましたが、近年は、環境負荷の低減、社会的責任の遂行、健全な経営体制といった非財務情報も投資判断の重要な指標となっています。 ESGの概念は、2006年に国連が機関投資家向けに「責任投資原則(PRI)」を提唱したことをきっかけに広まりました。ESG要素を投資プロセスに組み込むことで、長期的なリスクを抑えながら持続可能なリターンの向上が期待されます。特に、ESGに積極的に取り組む企業は、規制対応力やブランド価値の向上につながるため、将来的な成長性や安定性の面で投資家の関心を集めています。

フィデューシャリー・デューティー(fiduciary duty/受託者責任)

フィデューシャリー・デューティーとは、資産を預かる立場にある金融機関やアドバイザーが、顧客の利益を最優先に考えて行動する責任のことをいいます。日本語では「受託者責任」とも訳されます。 たとえば、投資信託を運用する会社や、資産運用の助言を行う人は、顧客にとって最も適した選択をする義務があり、自分たちの利益を優先してはならないとされています。この考え方は、投資初心者にとっても非常に重要です。なぜなら、誰かに相談して資産運用を行うとき、その人が本当に自分のためを思って提案しているかを見極める基準になるからです。信頼できる金融パートナーを選ぶうえで、フィデューシャリー・デューティーの有無は大きな判断材料となります。

NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

成長投資枠

新NISAにおける成長投資枠とは、個別株や投資信託などの成長性の高い投資商品を購入できる非課税枠のことです。2024年に始まった新NISA制度では、年間最大240万円、累計1,200万円まで投資が可能で、売却しても枠が復活しない「一生涯の上限額」が設定されています。 成長投資枠では、主に上場株式やETF、アクティブ型の投資信託などが対象となり、比較的リスクを取りながら資産を増やしたい投資家向けの仕組みになっています。一方で、レバレッジ型や一部の毎月分配型投資信託など、一部のリスクが高い商品は対象外となるため注意が必要です。 つみたて投資枠と併用でき、両方を活用すれば年間最大360万円の投資が可能です。成長投資枠を活用することで、中長期的な資産形成を非課税で行うことができ、売却益や配当金に税金がかからないため、資産を効率的に増やす手段となります。

カストディアン

カストディアンとは、投資家や資産運用会社などが保有する有価証券や資金を安全に保管・管理する専門機関のことです。日本語では「資産管理機関」や「保管機関」と訳されることがあります。主に信託銀行や大手金融機関がその役割を担い、証券の保管、配当や利息の受け取り、売買決済の代行などを行います。これにより、投資家は安心して運用に専念することができます。また、カストディアンは自己の利益のためではなく、顧客の資産を厳格に分離して管理する必要があるため、高度な信頼性と受託者責任が求められます。特に国際的な投資では、各国の法制度や決済インフラに精通したカストディアンの存在が不可欠です。

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