振替加算とは?受け取る条件や金額、いつまでもらえるのかをわかりやすく解説

振替加算とは?受け取る条件や金額、いつまでもらえるのかをわかりやすく解説
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公開:
2026.01.29
更新:
2026.01.29
「振替加算」は自分には関係ないと思いがちですが、専業主婦や転職・離婚を経験した人など、多くの人の老後の年金額に影響します。一方で、「いつから・いつまで、いくら増えるのか」「加給年金とどう違うのか」が分かりにくく、もらい漏れの不安を抱える人も少なくありません。この記事では、振替加算の仕組みと受給条件、金額や期間、加給年金との関係、必要な手続き・確認方法まで、わかりやすく整理して解説します。
サクッとわかる!簡単要約
読後には、自分が「振替加算の対象かどうか」を要件(生年月日・配偶者の加入状況・自分の年金加入歴など)で判定でき、対象となる場合に「いつから/どの年金に/どの程度」上乗せされる仕組みを説明できる状態になります。あわせて、手続きの要否や確認先、よくある勘違い(加給年金との違い、65歳前後の切替、繰上げ・繰下げ時の扱い)を踏まえ、受給開始前に何を準備すべきかを整理して判断準備まで整えられます。
振替加算とは?わかりやすく全体像を整理
振替加算とは、老齢基礎年金に上乗せされる年金です。加給年金の対象になっていた配偶者が、老齢基礎年金を受給する資格を得たタイミング(原則65歳)で支給されます。
主に専業主婦(夫)や短期間の就労にとどまった人など、国民年金の加入期間が中心だった人の老齢基礎年金を少しでも増やす役割を担っています。
制度の目的と基本の仕組み
振替加算は、昭和61年(1986年)の年金制度改正で新設された「老齢基礎年金への上乗せ制度」です。
具体的には、配偶者が受け取っていた「加給年金」という年金版の扶養手当が、配偶者本人の65歳到達により支給停止となるタイミングで切り替わります。加給年金が止まる代わりに、今度は配偶者本人の老齢基礎年金に振替加算が上乗せされる流れです。
振替加算は老齢基礎年金と一体として支給されるため、基礎年金と同じ口座に同じタイミングで振り込まれます。
振替加算の3つのポイント
振替加算を理解するうえで、まず押さえておきたいのが「誰に」「いつ」「どこに上乗せされるか」の3点です。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ①誰に上乗せされるか | 大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた人が対象 |
| ②いつ上乗せされるか | 原則として配偶者本人が65歳になり、老齢基礎年金の受給を開始したタイミング |
| ③どこに上乗せされるか | 「老齢基礎年金」に加算 |
この3点を押さえておくと、「夫の年金から妻の年金に切り替わる」というイメージがつかみやすくなります。
加給年金と振替加算の関係
加給年金と振替加算は、名前が似ているため混同されがちですが、支給される対象者も目的も異なります。
| 加給年金(加給年金額) | 振替加算 | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 老齢厚生年金(等)に上乗せされる「家族手当」的な加算 | 配偶者の老齢基礎年金に上乗せされる加算(加給が終わった後に“振り替わる”イメージ) |
| だれの年金に付くか | 原則、厚生年金(等)を受ける本人の年金に付く | 原則、配偶者側の老齢基礎年金に付く |
| 対象になる家族 | 主に 65歳未満の配偶者/一定要件の子(18歳年度末まで等) | 主に配偶者(子への加算ではない) |
| いつから | 本人が老齢厚生年金を受ける段階で、家族要件を満たす間 | 加給の対象だった配偶者が65歳到達し、加給がなくなる局面で配偶者側に加算 |
| いつまで | 配偶者が65歳到達などで終了(要件を満たさなくなると停止/終了) | 原則、配偶者の老齢基礎年金に継続して上乗せ(ただし要件・調整あり) |
| 金額の決まり方 | 年額が定額(例:令和7年4月から配偶者239,300円等。特別加算あり) | 生年月日等に応じた金額が配偶者の基礎年金に加算 |
振替加算の金額は、加給年金よりも少額であるケースがほとんどです。そのため、配偶者が65歳になると世帯全体での年金受給額は減少する傾向にあります。この点を理解しておくと、老後の家計計画を立てる際に役立ちます。
なお、加給年金に関してはこちらの記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。
振替加算の条件(受給要件)をチェック|どんな人が対象になるのか
振替加算を受け取るには、複数の条件をすべて満たす必要があります。生年月日や配偶者の年金加入歴、本人の加入状況など、確認すべきポイントは多岐にわたるため、一つひとつ整理して見ていきましょう。
生年月日による条件
振替加算の対象となる最も基本的な条件が「生年月日」です。大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた人が対象となります。
また、振替加算の金額は生年月日によって異なります。昭和2年4月2日から昭和3年4月1日生まれの人が最も高額で、生年月日が新しくなるほど金額は逓減していく仕組みです。
厚生年金・共済の加入歴などによる条件
生年月日の条件を満たしていても、それだけでは振替加算は受け取れません。配偶者の年金加入状況と、本人の年金加入状況の両方を確認する必要があります。
| 対象 | 条件 |
|---|---|
| 配偶者側の条件 | ①老齢厚生年金または退職共済年金の受給権者であり、その加入期間が20年以上あること ②障害厚生年金または障害共済年金の受給権者であること※つまり、加給年金を受け取っていること |
| 本人側の条件 | ①老齢基礎年金の受給権者であること 原則として厚生年金保険や共済組合の加入期間が20年未満であること |
本人の厚生年金等の加入期間が20年以上ある場合、原則として振替加算の対象外です。これは「本人が自分自身の厚生年金で十分な年金を確保できる」という考え方に基づいています。
これらの条件を総合的に判断する必要があるため、ねんきん定期便や年金事務所での確認が重要です。特に転職が多かった人や、共働き期間がある人は、加入期間の計算が複雑になりやすいため注意が必要です。
振替加算の金額はいくら?生年月日別に解説
振替加算の金額は、受け取る人の生年月日によって大きく異なります。年額で数千円から15万円程度まで幅があり、世代が新しくなるほど金額は少なくなる仕組みです。
「自分はいくらもらえるのか」を知るには、生年月日と対応する金額表を確認する必要があります。
生年月日別の振替加算 金額の目安と計算イメージ
令和7年度の「振替加算(老齢基礎年金に上乗せ)」は、配偶者(振替加算が付く人)の生年月日により、下表のとおり年額・月額が異なります。
| 配偶者の生年月日(生まれ) | 年額(円) | 月額(円) |
|---|---|---|
| 昭和2年4月1日まで | 238,600 | 19,883 |
| 昭和2年4月2日〜昭和3年4月1日 | 232,158 | 19,346 |
| 昭和3年4月2日〜昭和4年4月1日 | 225,954 | 18,829 |
| 昭和4年4月2日〜昭和5年4月1日 | 219,512 | 18,292 |
| 昭和5年4月2日〜昭和6年4月1日 | 213,070 | 17,755 |
| 昭和6年4月2日〜昭和7年4月1日 | 206,866 | 17,238 |
| 昭和7年4月2日〜昭和8年4月1日 | 200,424 | 16,702 |
| 昭和8年4月2日〜昭和9年4月1日 | 193,982 | 16,165 |
| 昭和9年4月2日〜昭和10年4月1日 | 187,778 | 15,648 |
| 昭和10年4月2日〜昭和11年4月1日 | 181,336 | 15,111 |
| 昭和11年4月2日〜昭和12年4月1日 | 174,894 | 14,574 |
| 昭和12年4月2日〜昭和13年4月1日 | 168,690 | 14,057 |
| 昭和13年4月2日〜昭和14年4月1日 | 162,248 | 13,520 |
| 昭和14年4月2日〜昭和15年4月1日 | 155,806 | 12,983 |
| 昭和15年4月2日〜昭和16年4月1日 | 149,602 | 12,466 |
| 昭和16年4月2日〜昭和17年4月1日 | 143,160 | 11,930 |
| 昭和17年4月2日〜昭和18年4月1日 | 136,718 | 11,393 |
| 昭和18年4月2日〜昭和19年4月1日 | 130,514 | 10,876 |
| 昭和19年4月2日〜昭和20年4月1日 | 124,072 | 10,339 |
| 昭和20年4月2日〜昭和21年4月1日 | 117,630 | 9,802 |
| 昭和21年4月2日〜昭和22年4月1日 | 111,426 | 9,285 |
| 昭和22年4月2日〜昭和23年4月1日 | 104,984 | 8,748 |
| 昭和23年4月2日〜昭和24年4月1日 | 98,542 | 8,211 |
| 昭和24年4月2日〜昭和25年4月1日 | 92,338 | 7,694 |
| 昭和25年4月2日〜昭和26年4月1日 | 85,896 | 7,158 |
| 昭和26年4月2日〜昭和27年4月1日 | 79,454 | 6,621 |
| 昭和27年4月2日〜昭和28年4月1日 | 73,250 | 6,104 |
| 昭和28年4月2日〜昭和29年4月1日 | 66,808 | 5,567 |
| 昭和29年4月2日〜昭和30年4月1日 | 60,366 | 5,030 |
| 昭和30年4月2日〜昭和31年4月1日 | 54,162 | 4,513 |
| 昭和31年4月2日〜昭和32年4月1日 | 47,860 | 3,988 |
| 昭和32年4月2日〜昭和33年4月1日 | 41,399 | 3,449 |
| 昭和33年4月2日〜昭和34年4月1日 | 35,177 | 2,931 |
| 昭和34年4月2日〜昭和35年4月1日 | 28,716 | 2,393 |
| 昭和35年4月2日〜昭和36年4月1日 | 22,255 | 1,854 |
| 昭和36年4月2日〜昭和37年4月1日 | 16,033 | 1,336 |
| 昭和37年4月2日〜昭和38年4月1日 | 16,033 | 1,336 |
| 昭和38年4月2日〜昭和39年4月1日 | 16,033 | 1,336 |
| 昭和39年4月2日〜昭和40年4月1日 | 16,033 | 1,336 |
| 昭和40年4月2日〜昭和41年4月1日 | 16,033 | 1,336 |
| 昭和41年4月2日以後 | ー | ー(実質0) |
この金額は物価スライドにより毎年度改定されるため、実際に受給する年度の金額を確認する必要があります。ねんきん定期便には将来の見込み額が記載されていますが、これも物価や賃金の変動により変わる可能性があります。
振替加算はいつから・いつまで支給される?
振替加算の支給期間を理解するには、「個人としていつからいつまで受け取れるか」を押さえる必要があります。
振替加算が始まるタイミングと終わるタイミング、そして制度の終了時期について詳しく見ていきましょう。
振替加算はいつから始まる?加給年金からの切り替えタイミング
振替加算が始まるのは、原則として配偶者本人が65歳に達した月の翌月分からです。より正確には、老齢基礎年金の受給権を取得したタイミングと連動します。
夫が会社員で妻が専業主婦だった家庭を例にします。
ステップ1:夫65歳時点
夫が65歳になり老齢厚生年金の受給を開始すると、妻への加給年金(年額約40万円程度)が夫の年金に上乗せされます。この時点では、妻はまだ加給年金の「対象者」であり、自分の年金に振替加算は付きません。
ステップ2:妻65歳到達
妻が65歳になると、夫への加給年金は支給停止となります。同時に、妻自身の老齢基礎年金の受給が始まり、その年金に振替加算が上乗せされる形になります。切り替わりは65歳到達月の翌月分からです。
たとえば妻の誕生日が4月15日の場合、65歳に達するのは4月15日ですが、年金は4月分までが夫への加給年金、5月分から妻への振替加算に切り替わります。年金の支給は偶数月に前2カ月分がまとめて振り込まれるため、6月の振込から妻の口座に振替加算分を含む年金が入る流れです。
振替加算は一生涯にわたって支給される
振替加算は、一度支給が始まると原則として一生涯にわたって継続されます。老齢基礎年金と一体として支給されるため、基礎年金が続く限り振替加算も受け取れる仕組みです。
これは、老齢基礎年金が「終身年金」であることに基づいています。終身年金とは、受給権者が生きている限り支給される年金のことです。何歳まで生きても支給が続くため、長生きするほど受取総額は増えていきます。
たとえば65歳から振替加算(年額10万円と仮定)を受け取り始めた場合、85歳まで生きれば総額200万円、95歳まで生きれば総額300万円を受け取る計算になります。平均寿命が延びている現代において、この一生涯保障という特徴は大きな意味を持ちます。
振替加算の支給期限に関しては、こちらのQ&Aも参考にしてみてください。
振替加算と繰上げ受給・繰下げ受給の関係
振替加算を受給できる本人が老齢基礎年金を繰上げ受給している場合、振替加算は繰上げされません。原則として、受給権者が65歳に達した日の属する月の翌月から加算されます。
老齢基礎年金を繰下げ受給する場合、振替加算は繰下げ申出のあった日の属する月の翌月から支給開始されます
また、振替加算は繰下げによる増額の対象外です。老齢基礎年金本体は増額されますが、振替加算額は繰下げしても増えません。そのため、繰下げを検討する際は振替加算への影響も考慮する必要があります。
年金の繰上げ受給と繰下げ受給は、損益分岐点が争点になることがあります。詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
振替加算が支給停止となるケース
以下の場合には、振替加算の支給が停止となります。
- 振替加算受給者が障害基礎年金・障害厚生年金など、障害を支給事由とする年金給付(全額支給停止されていないもの)の支給を受けられる場合
- 振替加算受給者が自身の老齢厚生年金(被保険者期間240月以上)の受給権を得た場合
- 年金分割により振替加算受給者の厚生年金被保険者期間が240月以上に達した場合
なお、障害年金を受けられなくなった等で停止事由が消滅した場合、振替加算が再び加算されます。届出が必要になるケースがあるため、必ず年金事務所で相談しましょう。
自分は振替加算の条件を満たしている?自己診断の方法
ここまで振替加算の仕組みや条件を説明してきましたが、「結局、自分は対象になるのか」が最も気になるポイントでしょう。2つのステップで自己診断できるチェック方法を紹介します。
ステップ1:生年月日で大まかに振替加算の対象かどうかを判定
最初のステップは、自分の生年月日が振替加算の対象範囲に入っているかを確認することです。このステップだけで対象外と判明するケースも多くあります。
大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた人が対象です。この範囲外の人は、振替加算は受け取れません。
具体的に確認してみましょう。
- 昭和41年4月2日以降生まれの人→対象外(この時点で確定)
- 大正15年4月1日以前生まれの人→対象外(この時点で確定)
- 大正15年4月2日~昭和41年4月1日生まれの人→対象の可能性あり(次のステップへ)
ステップ2:夫婦の年金加入状況から条件をチェック
生年月日の条件をクリアした人は、次に夫婦の年金加入状況を確認します。配偶者側と本人側の両方をチェックする必要があります。
配偶者(主に夫)側のチェックポイント
- 配偶者が老齢厚生年金または退職共済年金を受給している(または今後受給する予定)
- 配偶者の厚生年金・共済組合の加入期間が20年以上ある
- 配偶者が65歳に達している(または今後65歳になる)配偶者に生計を維持されている(同居または仕送りを受けている)
- 本人の年収が850万円未満(所得655.5万円未満)
すべて当てはまる場合は、配偶者側の条件、つまり加給年金の受給要件を満たしている可能性が高いです。なお、配偶者が老齢厚生年金を繰下げ受給し加給年金を受け取らなかった場合でも、振替加算は原則として支給されます。
次に、自分自身の年金加入状況を確認します。
本人側のチェックポイント
- 老齢基礎年金を受給している(または今後受給する予定)
- 自分の厚生年金・共済組合の加入期間が20年未満である
- 障害基礎年金や障害厚生年金を受給していない
特に重要なのが、2つ目の「厚生年金等の加入期間が20年未満」という条件です。共働きで長年働いていた人や、正社員として20年以上勤務していた人は、この条件に引っかかる可能性があります。
振替加算の申請手続きと確認方法
振替加算は基本的に自動で加算される仕組みですが、状況によっては届出や確認が必要なケースもあります。「手続きなしで自動的に付くと思っていたのに、実は付いていなかった」という事態は避けたいものです。
ねんきん定期便やねんきんネットでの確認方法、もらい漏れを防ぐためのチェックポイントも紹介していきます。
申請手続きが不要なケース
振替加算は、要件を満たしていれば原則として自動的に加算される仕組みです。以下の条件をすべて満たしている場合、特別な手続きなしで振替加算が自動的に加算されます。
- 配偶者が既に老齢厚生年金を受給しており、加給年金が付いている
- 本人が65歳に達し、老齢基礎年金の請求手続きを完了している
- 夫婦の年金記録がすべて日本年金機構に登録されている
- 婚姻関係や生計維持関係に変更がない
このようなケースでは、本人が65歳になって老齢基礎年金の請求書を提出すれば、日本年金機構が自動的に振替加算の要件を確認します。配偶者への加給年金が止まると同時に、本人への振替加算が始まる流れです。
年金請求書には配偶者の情報を記入する欄がありますので、そこに正確に記入することが大切です。特に配偶者の基礎年金番号や生年月日は間違いのないよう注意しましょう。
申請手続きと届出が必要になるケース
一方、以下のような状況では、追加の届出や確認が必要になる場合があります。
- 配偶者が年上の場合
- 裁定請求時に記入漏れがあった場合
- 厚生年金加入期間が短い配偶者の場合
妻が夫より年上で、夫が65歳到達時に加給年金の対象となった妻の老齢基礎年金に振替加算が発生します。妻側で「国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届」を提出しましょう。
年金請求書に振替加算の記載が不足している場合、後から請求する必要があります。振替加算を受け取る側が年上で厚生年金加入が少なく、夫の加給年金対象だったケースにおいても、手続きが必要です。
振替加算のもらい漏れを防ぐチェックリスト
振替加算のもらい漏れを防ぐため、年金受給開始前に確認しておきたいポイントをチェックリスト形式でまとめます。該当する項目があれば、早めに対応しましょう。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 自分の生年月日 | 大正15年4月2日~昭和41年4月1日の範囲内か確認 |
| 配偶者の厚生年金・共済組合の加入期間 | 加入期間が20年以上あるかを、ねんきん定期便や年金手帳で確認(微妙なラインの場合は年金事務所に問い合わせる) |
| 自分の厚生年金・共済組合の加入期間 | 加入期間が20年未満であることを確認(20年以上ある場合、原則として振替加算の対象外) |
| ねんきん定期便の記録 | 年金記録に漏れや誤りがないか確認 |
また、以下のタイミングで確認と相談を行うと、もらい漏れを防ぎやすくなります。
| タイミング | 確認・相談内容 |
|---|---|
| 配偶者が60歳になったとき | 配偶者の年金加入記録を確認 |
| 配偶者が65歳になる3カ月前 | 配偶者の年金請求手続きを確認 |
| 本人が60歳になったとき | 自分の年金記録とねんきん定期便を確認 |
| 本人が65歳になる3カ月前 | 振替加算の要件を満たしているか最終確認 |
| 年金請求書が届いたとき | 記入漏れがないか、配偶者情報が正確か確認 |
| 初回の年金振込後 | 振替加算が実際に加算されているか確認 |
特に重要なのは、年金受給開始の3カ月前です。この時期に年金請求書が送られてきます。この請求書に配偶者の情報を正確に記入し、必要書類を添付して提出することで、振替加算の要件が審査されます。
不明点があれば、年金事務所の窓口やねんきんダイヤル(0570-05-1165)に相談しましょう。予約制の年金相談を利用すれば、じっくりと個別の状況を確認してもらえます。
老後生活におけるマネープランの考え方と相談先
ここまで振替加算の仕組みや受給条件、金額について詳しく見てきました。しかし、振替加算はあくまで年金の上乗せ部分であり、これだけで老後の生活を支えることはできません。
老後の生活を安心して送るには、公的年金全体を把握したうえで、貯蓄や資産運用など複数の収入源を組み合わせることが大切です。
振替加算の金額だけでは足りない?老後資金全体で見る重要性
振替加算の金額は、最も高額な世代でも年額約23万円、昭和36年以降生まれの世代では年額約1.6万円程度です。月額に換算すると、最大でも約2万円弱、少ない世代では約1,300円にすぎません。
老後の生活費をまかなうには、以下のような収入源を組み合わせる必要があります。
- 公的年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金+振替加算)
- 預貯金・退職金
- 資産運用(NISA・iDeCoなど)
- 就労収入
自分の老後にどれくらいの資金が必要かを把握するには、以下の手順で計算します。
- 年金受給見込み額を確認する(ねんきん定期便やねんきんネットで)
- 予想される月々の生活費を算出する(現在の生活費を基準に)
- 年金と生活費の差額(赤字額)を計算する
- 老後の期間を想定する(例:65歳から90歳まで25年間)
- 不足額の総額を算出する(赤字額×12カ月×年数)
たとえば、年金受給額が月額22万円、生活費が月額27万円の場合、毎月5万円の赤字となります。これが25年間続くと、5万円×12カ月×25年=1,500万円の不足額が発生する計算です。
この不足分を、現役時代の貯蓄や退職金、資産運用でどうカバーするかを考える必要があります。振替加算はこの計算に含まれる要素の一つにすぎません。
老後生活を支える軸となる収入は、公的年金です。受給額の目安は、こちらの記事も参考にしてみてください。
NISA・iDeCo・企業年金など他制度との組み合わせで備える
老後資金の準備には、公的年金だけでなく、税制優遇のある制度を活用することが効果的です。ここでは、振替加算を含む公的年金と組み合わせて活用できる主な制度を紹介します。
新NISA(少額投資非課税制度)
2024年1月から始まった新NISAは、投資で得た利益が非課税になる制度です。老後資金の準備に活用できる主な特徴は以下のとおりです。
新NISAの最大のメリットは、運用益が非課税になる点です。通常、株式や投資信託で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内ならこれが一切かかりません。
老後資金の準備として、たとえば50歳から65歳までの15年間、つみたて投資枠で毎月5万円ずつ積み立てた場合を考えてみましょう。元本は900万円ですが、年率3%で運用できれば約1,100万円になる計算です(運用成果は保証されません)。
NISAは、資産寿命を延ばすためにも60代以降でも有効活用すべき制度です。詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、自分で掛金を拠出し、運用方法を選んで老後資金を準備する私的年金制度です。税制面で大きなメリットがあります。
たとえば年収500万円の会社員が毎月2万円をiDeCoに拠出した場合、年間で約4.8万円の税金が軽減されます(所得税・住民税の税率20%として計算)。これが30年間続けば、約144万円の節税効果になります。
ただし、60歳まで引き出せないという制約があるため、老後資金専用の準備手段として位置づける必要があります。急な出費に備える預貯金とは別に、計画的に積み立てることが重要です。
iDeCoに加入できる年齢には制限がありますが、現役の方は有効活用できます。詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。
企業年金(企業型DC・DB)
会社員の場合、勤務先が企業年金制度を導入していることがあります。
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、会社が掛金を拠出し、従業員が運用方法を選ぶ制度です。iDeCoと同様に税制優遇があり、運用益は非課税です。会社によっては、従業員が追加で掛金を拠出できる「マッチング拠出」の制度もあります。
確定給付企業年金(DB)は、会社があらかじめ決められた給付額を保証する制度です。運用は会社が行うため、従業員は運用リスクを負いません。退職時や年金受給時に一定額を受け取れます。
企業年金がある場合、それも含めて老後資金の見込み額を計算する必要があります。退職が近い人は、勤務先の人事部などに確認して、受給見込み額を把握しておきましょう。詳しくは、こちらの記事もご覧ください。
不安が残るときの相談先
振替加算や老後資金について不安が残る場合は、専門家に相談することをおすすめします。振替加算の受給要件や自分の年金記録、具体的な手続きなど、公的年金制度に関する疑問は、日本年金機構や年金事務所に相談するのが確実です。
振替加算を含む公的年金だけでなく、預貯金や資産運用、住宅ローン、保険など、家計全体を見て老後資金を考えたい場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)への相談が有効です。
FPは家計全体を俯瞰して、総合的なアドバイスをしてくれます。年金事務所では公的年金の話しかできませんが、FPなら私的年金や資産運用も含めた包括的な相談が可能です。
投資のコンシェルジュは、資産運用に特化した相談サービスです。新NISAやiDeCoをどう活用すべきか、どんな商品を選べば良いかはもちろん、老後生活のキャッシュフロー表作成も承っております。興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事のまとめ
この記事では、振替加算の基本的な考え方や受給条件、いつから・いつまでいくら上乗せされるのかといった金額・期間の目安、加給年金との違いと切り替わりの仕組み、必要な手続きや確認のポイントを整理してきました。まずはねんきん定期便や年金記録で、自分や配偶者が振替加算の対象かを確認し、不明点があれば年金事務所や勤務先に相談しましょう。老後生活における資産を可視化したい方は、「投資のコンシェルジュ」の無料相談も活用して、家計全体での老後資金プランを一緒に検討してみてはいかがでしょうか。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
関連する専門用語
一時所得
一時所得とは、継続的な収入ではなく、偶発的または一時的に得た所得のことを指す。例えば、懸賞の賞金、生命保険の満期返戻金、競馬の払戻金などが該当する。50万円の特別控除が適用され、課税対象額は控除後の金額の1/2となる。
必要経費
必要経費とは、収入を得るために直接かかった費用のことを指し、確定申告などで所得から差し引くことができる支出です。たとえば、フリーランスや自営業者が事業を行う際に使った交通費、通信費、仕入れ代、人件費、事務所の家賃などが該当します。 これらは税務上、所得を正しく計算するために必要な項目とされており、収入から必要経費を差し引いた残りが「課税所得」となります。必要経費として認められるには、「収入を得るために必要だった」という合理的な理由があり、領収書や記録で裏付けられることが求められます。 正しく計上することで税負担を適正化でき、節税にもつながるため、特に個人事業主や副業をしている人にとっては重要な考え方です。
特別控除
特別控除とは、一定の条件を満たした場合に特別に認められる所得控除のことを指す。例えば、不動産譲渡所得に対する3,000万円特別控除や、住宅ローン控除などが含まれる。通常の控除とは異なり、特定の政策目的のために設けられており、適用を受けるには条件を満たす必要がある。
課税対象額
課税対象額とは、税金の計算の基礎となる金額のことを指す。所得税であれば、総所得から各種控除を差し引いた後の課税所得が該当する。法人税では、益金から損金を差し引いた後の利益が対象となる。課税対象額が増えるほど税負担も増加するため、適切な税務対策を講じることが重要である
総合課税
総合課税は、給与や年金、事業収入、不動産収入、利子、配当など、1年間に得たさまざまな所得を合算し、その合計額に累進税率を適用して所得税を計算する方式です。 所得が増えるほど税率が高くなるため、高所得者ほど税負担が大きくなる点が特徴です。一方、金融所得には総合課税以外の課税方法を選択できる場合があります。 たとえば、株式譲渡益や先物取引益などは「申告分離課税」を選ぶことで、ほかの所得と区分して一律20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)で申告できます。 また、預貯金利息や一部の公社債利子などは、支払元が税金を源泉徴収する「源泉分離課税」となり、原則として確定申告は不要です。配当や利子のように課税方式を選択できるケースでは、ご自身の所得水準や控除の有無、損益通算の可能性を踏まえ、総合課税・申告分離課税・源泉分離課税のどれを採用するかを検討することが、最終的な税負担を抑えるうえで重要になります。
累進課税
累進課税とは、所得が高くなるほど税率が上がる仕組みのことを指します。この制度は、所得の多い人ほど高い税率で税金を負担し、所得の低い人の負担を軽減することで、公平性を確保することを目的としています。 代表的な累進課税制度には、所得税や相続税があります。所得税は、課税所得に応じて税率が変わり、日本では5%から45%までの7段階の税率が設定されています。例えば、課税所得が195万円以下の場合の税率は5%ですが、4,000万円を超えると税率は45%となります。このように、所得が増えるにつれて税負担も増える仕組みになっています。 相続税も同様に累進課税が適用され、相続財産が多いほど高い税率がかかります。たとえば、相続財産が1,000万円以下の場合の税率は10%ですが、6億円を超えると55%の税率が適用されます。 累進課税は、所得の再分配を促し、経済的格差を是正する効果がある一方で、高所得者層の税負担が大きくなりすぎると、節税対策や海外移住の増加につながる可能性も指摘されています。そのため、税率のバランスを保つことが重要とされています。
