
米国株・ETF配当の二重課税に対する外国税額控除の仕組みと確定申告の方法を徹底解説
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公開:
2025.09.08
更新:
2025.09.08
外国株や海外ETFの配当を受け取ると、日本だけでなく現地国でも税金が引かれるため、放置すれば「二重課税」となります。この負担を調整できるのが「外国税額控除」です。しかし対象範囲や限度額の仕組み、NISAで使えない点など、理解しづらい側面も多い制度です。
本記事では米国株配当の源泉10%を例に、控除の計算方法や申告の流れを整理し、今から知っておくべき実務上の注意点を解説します。
サクッとわかる!簡単要約
この記事を読むと、米国株や海外ETFの配当で現地10%と日本20.315%の二重課税がどう調整されるのかが理解できます。控除限度額の計算式「所得税額×国外所得比」を具体例で学び、特定口座でも申告が必要な理由や総合課税・申告分離の選び方、住民税への控除移行や3年繰越、さらにNISAで使えない制約まで整理できます。
結果として、確定申告で還付を逃さないための判断軸と実務的な手順が明確になります。
外国税額控除とは?海外での税金を取り戻す「二重課税調整」の仕組み
海外の配当金などを受け取ると、現地と日本の両方で課税される「二重課税」が発生します。この払い過ぎた税金を取り戻すための制度が「外国税額控除」です。ここでは、その基本的な仕組みと目的をわかりやすく解説します。
海外所得の二重課税については以下Q&Aでも説明しています。
外国税額控除の仕組みと目的をわかりやすく解説
外国税額控除は、同じ所得に日本と海外の両方で税金がかかる「二重課税」を解消するための制度です。日本に住んでいる人が海外で所得税を支払った場合、その金額を上限付きで日本の所得税から差し引く(控除)できます。この手続きによって、海外で支払った税金分が実質的に戻ってくる仕組みです。
この制度は、国同士の取り決め(租税条約)に基づいて、国際的な二重課税を防ぐことを目的としています。結果として、投資家などの税負担が最終的に一つの国で課税された場合と同程度になるよう調整されます。
ただし、この控除を受けるには必ず確定申告が必要です。申告をしないと、海外で支払った税金は戻らず、二重課税のままになってしまうので注意しましょう。
なぜ「二重課税」は起こる?米国株を例とした全世界所得課税の基本
海外の資産から得た所得には、現地の国と日本の両方から課税される場合があります。この「二重課税」の状態を解消するのが外国税額控除です。ここでは米国株の配当を例に、具体的な仕組みと控除の効果を見ていきましょう。
例えば、日本の投資家が米国株の配当金を受け取ると、まず米国で10%が源泉徴収されます。さらに、残った金額に対して日本でも20.315%(所得税15.315%と住民税5%)が課税されます。何もしなければ、税金の合計は約28%にもなり、配当金の手取りは7割程度に減ってしまいます。
そこで確定申告で外国税額控除を適用すると、米国で支払った10%分を日本の所得税から差し引けます。これにより、最終的な税負担は日本で通常かかる20.315%程度に抑えられます。つまり、米国で支払った税金分、日本の税金が安くなることで、払い過ぎた分を取り戻せるのです。
適用範囲:外国税額控除の対象者と対象となる税金
外国税額控除は、誰でもどんな海外の税金でも使えるわけではありません。この制度を利用できるのは「日本の居住者」であり、対象となる税金にも条件があります。ここでは、あなたが控除の対象になるかどうか、そしてどんな所得や税金が対象になるのかを具体的に解説します。
対象者は「日本の居住者」-年の途中で海外移住した場合の注意点
外国税額控除を利用できるのは、原則として「日本の居住者」です。居住者とは、日本国内に住所があるか、1年以上滞在している個人のことを指します。
日本は居住者の国内外すべての所得に課税するため、海外で得た所得にも日本の税金がかかります。この二重課税を解消するために、本制度が適用されます。
一方で、海外に住む「非居住者」は、そもそも日本の課税対象が国内所得に限られるため、外国税額控除の対象にはなりません。
対象となる税金の種類と注意点
控除の対象となるのは、海外で所得に対して課された税金で、日本の所得税や住民税にあたるものです。例えば、米国株の配当金に対して現地で源泉徴収される連邦税は、この対象に含まれます。
ただし、海外の税金なら何でも対象になるわけではなく、以下のようなものは控除できません。
任意に還付請求ができる税金
現地の制度で申請すれば返してもらえる税金は、最終的な税負担ではないため対象外です。
加算税や延滞税などの附帯税
納税の遅れに対するペナルティなどは、所得そのものへの課税ではないため対象外となります。
租税条約で課税が免除・軽減されるはずの額
日本と各国の租税条約で定められた税率を超える部分は控除できません。例えば、日米租税条約では米国株配当への課税は10%が上限ですが、手続きの不備(W-8BENフォームの未提出など)で30%の税率が適用された場合、上限を超えた20%分は外国税額控除の対象にできません。この超過分は、米国へ直接還付請求をしない限り取り戻せません。
要するに、「その国で正当に課された所得税」であることが条件です。米国株やETFの配当金にかかる10%の源泉徴収税は、この条件を満たすため、問題なく外国税額控除の対象となります。
外国税額控除でいくら戻る?控除限度額の計算式と3つのポイント
外国税額控除で戻ってくる金額は、必ずしも海外で支払った税金の全額ではありません。日本での所得や納税額に応じて「控除限度額」が設定されるためです。ここでは、控除限度額の基本的な計算式と考え方を、具体例を交えながら解説します。
控除限度額の計算方法と具体例
控除できる金額の上限(控除限度額)は、以下の計算式で算出されます。
所得税の控除限度額=その年の所得税額×(その年の国外所得金額÷その年の所得総額)
この計算式は、「あなたの所得全体のうち、海外での所得が占める割合」を算出し、その割合分だけ日本の所得税から控除を認める、という考え方に基づいています。
なお、所得税から控除しきれない場合は、復興特別所得税からも同様の計算で控除が可能です。
なぜ全額控除できないケースがあるのか
外国税額控除は、あくまで日本で納める税金の範囲内で調整する制度です。そのため、支払った外国税の全額が戻ってくるとは限りません。以下の2つのケースで比較してみましょう。
項目 | ケースA(全額控除できる) | ケースB(一部しか控除できない) |
---|---|---|
日本の所得総額 | 1,000万円 | 300万円 |
うち国外所得 | 100万円(10%) | 100万円(33.3%) |
日本の所得税額 | 150万円 | 15万円 |
控除限度額 | 15万円(150万円×10%) | 5万円(15万円×33.3%) |
外国で支払った税額 | 10万円 | 10万円 |
日本で控除できる額 | 10万円(支払額が限度内) | 5万円(限度額まで) |
控除しきれない外国税 | 0円 | 5万円 |
ケースAのように、日本で納める所得税額が大きく控除限度額に余裕がある場合は、海外で支払った10万円の全額を控除できます。
一方、ケースBのように、日本での所得税額が少ないと控除限度額も低くなります。この場合、海外で10万円を支払っていても、日本では限度額である5万円までしか控除できません。残りの5万円は控除しきれず、二重課税が完全には解消されないことになります。
ただし、ケースBのように控除しきれなかった外国税額は、翌年以降3年間にわたって繰り越して控除を申請することが可能です。
外国税額はどこで確認する?
実際に外国でいくら税金が源泉徴収されたかは、証券会社から発行される「特定口座年間取引報告書」や「外国株式等配当金等のご案内」といった書類で確認できます。
これらの書類には「外国源泉徴収税額」などの項目名で、円換算された金額が明記されています。確定申告の際には、この金額をもとに手続きを進めます。
確定申告のやり方:外国税額控除の手続きを5ステップで解説
外国税額控除を受けるには、年に一度の確定申告が必須です。特に、普段は申告不要の「特定口座(源泉徴収あり)」で配当金を受け取っている方も、この控除を利用するためにはご自身で申告手続きを行う必要があります。
米国株の確定申告については以下Q&Aでも説明しています。
Step1.申告に必要な書類一覧と入手方法
まず、申告に使用する書類を準備します。主に必要となるのは、控除額の計算を記載する「明細書」と、外国で税金を納めたことを証明する「証明書類」の2種類です。
外国税額控除に関する明細書
控除額の計算過程などをまとめた「外国税額控除に関する明細書」を作成し、確定申告書に添付します。この書類は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
外国所得税を課されたことを証する書類(年間取引報告書など)
証明書類は、利用している証券口座の種類によって異なります。
- 特定口座(源泉徴収あり)の場合:証券会社から交付される「特定口座年間取引報告書」を使います。年間の配当総額や外国所得税額などがまとめて記載されています。
- 特定口座(源泉徴収なし)や一般口座の場合:「上場株式配当等の支払通知書」など、配当の都度発行される通知書を使います。
これらの書類を紛失した場合は、証券会社に再発行を依頼しましょう。
Step2.e-Taxでの入力手順と画面の見方
e-Tax(電子申告)を利用すると、手続きがスムーズでおすすめです。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に従って金額などを入力するだけで、控除額が自動で計算されます。証明書類も画像データで添付できるため、郵送の手間が省けるメリットがあります。
Step3.手書き申告書の記入例と注意点
手書きで申告書を作成する場合、まず「外国税額控除に関する明細書」で控除額を計算します。その後、確定申告書第一表の「税額控除」欄にある「外国税額控除」の項目に、計算した金額を転記します。提出の際は、作成した申告書と明細書、証明書類のコピーをまとめて税務署に提出します。
Step4.国別・所得別に情報を整理する際のコツ
「外国税額控除に関する明細書」には、国別・所得別に詳細な情報を記入する必要があります。特に以下の項目を整理しておきましょう。
- 国名(例:アメリカ合衆国)
- 所得の種類(例:配当所得)
- 外国で課税された所得の額(外貨と円換算の両方)
- 外国税の額(外貨と円換算の両方)
円換算に使う為替レートは、証券会社の通知書に記載されています。
Step5.申告書の提出と還付金の受け取りまでの流れ
確定申告期間内に申告書を提出すると、税務署による内容の審査が行われます。申告が適切に受理されると、後日、指定した銀行口座に還付金が振り込まれます。
この還付金は、実質的に海外で源泉徴収された税金が、日本で納めるべき所得税から差し引かれて戻ってくるものです。
米国株・ETFの配当金にかかる税金を取り戻すための重要ポイント
米国株やETFへの投資で利益を最大化するには、税金の仕組みを理解することが不可欠です。この章では、配当金にかかる二重課税の基本から、NISAや特定口座といった口座ごとの扱いの違い、そして払い過ぎた税金を取り戻すための申告のポイントまで、投資家が知っておくべき重要点を解説します。
米国株の配当金は確定申告すべき?二重課税と還付の仕組み
日本の投資家が米国株や米国籍ETFの配当金を受け取る際には、まず米国で10%の税金が源泉徴収されます。これは日米租税条約に基づく軽減税率で、事前の届出(W-8BENフォームの提出)により適用されます。
その後、米国で税引きされた残りの金額に対し、日本国内でさらに20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)が課税されます。つまり、何もしなければ「米国10%+日本20.315%」の二重課税となり、手取りが大きく減ってしまうのです。
この二重課税を解消し、米国で支払った10%分を取り戻すために、確定申告での外国税額控除の申請が必要になります。
注意:NISA口座の配当金に外国税額控除は使えない理由
NISA口座で受け取った配当金は、日本では非課税です。しかし、米国での源泉徴収10%は行われます。
外国税額控除は、日本で納める税金から海外の税金を差し引く制度です。NISAでは日本で納める税金自体がゼロのため、差し引く対象がありません。したがって、NISA口座の米国株配当で源泉徴収された10%の税金は、取り戻すことができないので注意しましょう。
特定口座(源泉徴収あり/なし)での最適な申告方法は?
特定口座の「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」では、外国税額控除の申告手続きが異なります。特に「源泉徴収あり」の方は申告不要と思いがちですが、還付を受けるには申告が必須です。ここでは口座ごとの違いと、有利な申告方法を解説します。
源泉徴収あり口座:申告しないと損!還付を受ける流れ
「特定口座(源泉徴収あり)」は、通常、確定申告が不要で便利な口座です。しかし、外国税額控除を受けるためには、あえて確定申告をする必要があります。
この口座では、配当金受け取り時に日本の税金(20.315%)が自動で源泉徴-収されていますが、米国の税金(10%)は引かれたままです。確定申告をすることで、この米国で支払った税金分が、日本で源泉徴-収された所得税から還付されます。
一方、「特定口座(源泉徴収なし)」や「一般口座」の場合は、もともと自身で確定申告が必要なため、その申告手続きの中で忘れずに外国税額控除を申請しましょう。
総合課税vs申告分離課税:どちらが有利か判断するポイント
外国税額控除を申請する際、配当所得の課税方法を「総合課税」か「申告分離課税」から選択します。ここで注意したいのは、申告する配当すべて(国内株・外国株含む)を同じ課税方法に統一しなければならない点です。「外国株は総合課税、国内株は申告分離課税」といった分け方はできません。ご自身の所得状況に合わせて、より有利な方法を選択しましょう。
海外ETF・投資信託の分配金も外国税額控除の対象になる?
海外の資産に投資する一部の投資信託には、分配時に二重課税が自動で調整される仕組みがあります。
しかし、これは投資信託特有の制度です。投資家が直接保有する海外株式や海外ETFの配当金は、この自動調整の対象外です。必ずご自身で確定申告を行い、外国税額控除を申請する必要があることを覚えておきましょう。
主要ネット証券・ロボアド別|外国税額控除の申告実務ガイド
外国税額控除の基本的な手続きは同じですが、使用する書類の名称や税額の確認方法は金融機関によって異なります。ここでは主要なネット証券やロボアドバイザーごとに、確定申告で必要となる金額がどの書類に記載されているかを具体的に解説します。
楽天証券:年間取引報告書で確認すべき項目と確定申告のやり方
楽天証券では、確定申告に使う情報は主に「特定口座年間取引報告書」で確認できます。この報告書には、一年間の配当所得の合計額と共に、源泉徴収された外国所得税(外国源泉徴収税額)と国内の所得税・住民税の合計額がまとめて記載されています。
配当ごとの詳細な内訳が必要な場合は、都度電子交付される「外国証券に関するご案内(権利配当等)」で確認すると良いでしょう。
SBI証券:必要書類と外国源泉徴収税額の確認方法
SBI証券でも、年間の取引内容は「特定口座年間取引報告書」にまとめられています。しかし、外国税額控除の申告で重要となる外国源泉徴収税額の内訳は、この報告書とは別に発行される「外国株式等配当金等のご案内(兼支払通知書)」で確認する必要があります。
確定申告の際は、これら両方の書類を手元に準備して、必要な数値を転記するようにしましょう。
ウェルスナビ(WealthNavi)などロボアド利用時の注意点
ウェルスナビなどのロボアドバイザーを利用している場合も、外国税額控除の対象となります。年に一度交付される年間取引報告書や配当の支払通知書で、外国で源泉徴収された税額を確認できます。手続きの基本は証券会社の場合と同じです。
ただし、多くの国へ分散投資されている可能性があるため、「外国税額控除に関する明細書」を作成する際は、国ごとに所得と税額を正確に分けて記入するよう注意しましょう。
投資に限らず海外勤務の給与や海外年金も外国税額控除の対象
外国税額控除は、株式投資だけでなく、海外で得た給与や年金にも適用できます。海外勤務経験のある方や、外国の年金制度から受給している方は、確定申告をすることで払い過ぎた税金が戻ってくる可能性があります。ここでは、投資以外のケースについて解説します。
海外赴任や駐在の際の資産運用の注意点は以下記事で詳しく解説しています。
海外勤務者の給与:年の途中の出入国や非居住者期間の扱い
海外赴任などで得た給与も、外国税額控除の対象です。現地で給与から所得税が源泉徴収されており、かつ日本でも居住者として課税対象となる場合に、二重課税を避けるために利用できます。
特に注意が必要なのは、年の途中で海外から帰国、または海外へ赴任した場合です。外国税額控除は、あくまで日本の「居住者」であった期間の所得が対象となります。例えば、4月1日に帰国して日本の居住者となった場合、4月1日から12月31日までに海外で得た給与が控除の対象となります。1月1日から3月31日までの「非居住者」であった期間の給与は対象外です。
申告の際には、現地での納税額を証明するために、給与明細や現地の税務当局が発行する納税証明書などが必要となります。
海外年金の受給:確定申告で必要な書類と手続きのポイント
海外の年金(米国のソーシャルセキュリティなど)を受け取っている場合も、外国税額控除を適用できる可能性があります。年金の支払時に現地で税金が源泉徴収されていれば、日本での確定申告時にその分を控除できます。
ただし、年金の扱いは国同士の租税条約によって異なるため、そもそも海外で課税されないケースもあります。ご自身の年金が源泉徴収されているかを確認することが第一歩です。
確定申告で必要となる主な書類は、年金の支払機関から送付される年間取引報告書(米国の年金の場合は「Form1042-S」など)です。この書類で年間の受給総額と源泉徴-収された税額を確認し、「外国税額控除に関する明細書」に記入します。なお、海外年金は原則として「雑所得」として申告します。
所得税で控除しきれない場合は「住民税」からも控除される
外国税額控除は、まず所得税(国税)から差し引かれますが、それでも控除しきれない金額が残った場合は、住民税(地方税)からも差し引くことができます。ここでは、その仕組みと順序、手続きについて解説します。
所得税から住民税へ、控除の順番と仕組み
外国で支払った税額が、日本で納めるべき所得税よりも大きい場合など、所得税だけでは控除しきれないケースがあります。
その場合、控除しきれなかった金額は、以下の順番で住民税の所得割額から控除されます。
- 都道府県民税
- 市区町村民税
このように、国税である所得税で始まった控除が、地方税である住民税へと引き継がれる仕組みになっています。
ほとんどの投資家は所得税だけで控除が完了する
住民税からの控除は少し複雑に聞こえるかもしれませんが、実際にはこの仕組みを使うケースは稀です。
特に、米国株の配当金にかかる外国税(税率10%)は、日本の所得税率(最低でも15.315%)より低いため、ほとんどの場合、所得税の範囲内ですべて控除が完了します。まずは所得税での控除を正しく理解することが重要です。
住民税での控除手続きと繰越控除について
住民税からの控除手続きは、別途申請する必要はありません。確定申告で外国税額控除を申請すれば、その情報が自動的にお住まいの自治体に連携され、住民税の計算に反映されます。
なお、所得税と住民税の両方から控除しても、なお控除しきれない金額が残った場合は、その金額を翌年以降3年間にわたって繰り越して控除を申請することが可能です。
外国税額控除でよくある3つの誤解と失敗しないための4つの注意点
外国税額控除はメリットの大きい制度ですが、いくつか勘違いされやすい点や、申告時に陥りがちな落とし穴があります。手続きをスムーズに進め、確実に税金の還付を受けるために、最後によくある誤解と注意点を確認しておきましょう。
誤解1:「NISAなら外国税も非課税で戻ってくる」
これはよくある誤解です。NISA口座の非課税対象は、あくまで日本の所得税と住民税です。海外で源泉徴収された税金は非課税にならず、NISA口座で受け取った米国株配当から引かれる10%の税金は、外国税額控除を使っても取り戻すことはできません。
誤解2:「特定口座(源泉徴収あり)だから何もしなくていい」
「特定口座(源泉徴収あり)」は、通常は確定申告が不要です。しかし、外国税額控除の適用を受けるためには、ご自身で確定申告を行う必要があります。申告をしなければ、海外で徴収された税金は戻ってこず、二重課税のままになってしまうので注意が必要です。
誤解3:「投資信託は自動調整されるから個別株も不要」
一部の投資信託には、分配金にかかる二重課税を自動で調整してくれる仕組みがあります。しかし、この仕組みは投資信託特有のものです。ご自身で直接保有している海外の個別株やETFには適用されませんので、必ず確定申告で外国税額控除を申請しましょう。
注意点1:証明書類の添付漏れ・証憑不足
外国税額控除を申請する際には、海外で税金を納めたことを証明する書類(証券会社の年間取引報告書など)の添付が必須です。もし添付を忘れると、税務署から問い合わせが来たり、控除が認められなかったりする可能性があるため、忘れずに準備しましょう。
注意点2:国別・所得別の内訳を記載していない
申告の際には、「外国税額控除に関する明細書」に、所得を得た国ごと、所得の種類ごとに金額を分けて記入する必要があります。複数の国の株式に投資している場合でも、合計額だけを記入することはできません。国ごとに正確に分けて記載してください。
注意点3:配当所得の申告方法(総合/分離)を間違える
配当所得を申告する場合、「総合課税」か「申告分離課税」のどちらかを選択しますが、この選択は申告する全ての配当所得に適用されます。例えば、「外国株の配当は総合課税、国内株の配当は申告分離課税」のように、有利な方だけを個別に選ぶことはできないルールになっています。
注意点4:租税条約の上限を超えた税額は控除できない
外国税額控除の対象となるのは、租税条約に基づいて正当に課された税額までです。例えば、日米租税条約で定められた米国株配当の税率は10%ですが、手続き不備で30%課税された場合、控除の対象となるのは10%分のみです。上限を超えて課税された20%分は、日本の確定申告では取り戻せません。
この記事のまとめ
外国税額控除は、海外で課された税金を一定の限度内で日本の所得税から差し引く仕組みで、二重課税を調整する重要な制度です。米国株配当の源泉10%やNISA非対象など、知っておかないと損をするポイントも多くあります。申告には年間取引報告書や控除明細の添付が必須で、住民税への移行や3年繰越も可能です。還付を受けるためには確定申告で正しく入力することが大切で、計算や判断に不安があれば税理士へ早めに相談することが安心につながります。

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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外国税額控除
外国税額控除とは、日本に住んでいる個人や法人が、海外で所得を得てその国で税金を支払った場合に、同じ所得に対して日本でも課税される「二重課税」を避けるために、日本で支払う税金からその分を差し引くことができる制度のことをいいます。たとえば、外国株式の配当金を受け取った際に、外国で源泉徴収された税金がある場合、その金額を一定の計算に基づいて日本の所得税や法人税から控除することができます。この制度を利用することで、国際的な投資やビジネスを行う際の税負担を適正に調整できるようになります。ただし、控除できる金額には上限があり、正確な申告と証明書類の提出が必要です。資産運用や海外取引を行ううえで、知っておきたい重要な税務上の仕組みです。
二重課税
二重課税とは、同じ所得や資産に対して、二つ以上の国や課税主体から重ねて税金が課されることを指します。たとえば、外国の株式や債券に投資して得た利息や配当金に対して、まず現地の国で源泉徴収され、その後に日本でも課税されるというケースがあります。このような状況では、同じ収益に対して二重に税金がかかってしまい、実質的な手取りが減ることになります。ただし、日本では外国で課税された分を日本の税額から差し引く「外国税額控除」という制度があり、一定の条件を満たせば二重課税の負担を軽減することができます。海外投資を行う際は、このような税制のしくみにも目を向けることが重要です。
源泉徴収
源泉徴収とは、給与や報酬、利子、配当などの支払いを受ける人に代わって、支払者があらかじめ所得税を差し引き、税務署に納付する制度です。特に給与所得者の場合、会社が毎月の給与から所得税を控除し、年末調整で過不足を精算します。 この制度の目的は、税金の徴収を確実に行い、納税者の負担を軽減することです。例えば、会社員は確定申告を行わずに納税が完了するケースが多くなります。ただし、個人事業主や一定の副収入がある人は、源泉徴収された金額を基に確定申告が必要になることがあります。 また、配当金や利子の源泉徴収税率は原則20.315%(所得税15.315%+住民税5%)ですが、金融商品によって異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
居住者
居住者とは、日本の税法や外為法などにおいて、日本国内に住所があるか、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人を指します。つまり、生活の本拠地が日本にある人や、長期的に日本に滞在している人が「居住者」として扱われます。 これに対して、日本に住んでいない、または一時的な滞在でしかない人は「非居住者」とされます。税務上の居住者になると、日本国内外の所得すべてが課税対象となり、国外で得た収入にも日本の所得税がかかることがあります。金融取引や資産運用においても、居住者か非居住者かによって課税の扱いや手続きが大きく異なるため、自分の居住者区分を正確に理解しておくことは非常に重要です。
非居住者
非居住者とは、所得税法第2条第1項第5号に基づき、「国内に住所を有さず、かつ1年以上引き続いて居所を有しない個人」を指します。一般には、海外に生活の拠点を移して1年以上継続して滞在している方、特に海外赴任や永住を前提とした移住者などが該当します。 非居住者になると、日本の税制や金融制度上の取扱いが大きく変わります。税務上、日本は非居住者に対して「国内源泉所得」のみ課税権を持ちます。たとえば、日本国内勤務に対応する給与や賞与は国内源泉所得とされ、15.315%の税率で源泉徴収されます。非居住者は住民税や累進課税の対象外であるため、金額にかかわらずこの定率で課税が完結し、原則として確定申告も不要です。 この仕組みを活用すれば、高額報酬を受け取る場合でも、居住者の最大55%課税に比べて大幅に税負担を抑えられる可能性があります。ただし、非居住者として認められるには、住民票の除票だけでなく、生活拠点・勤務実態・業務の指示系統などから総合的に実態が判断されます。租税回避とみなされないよう、恒久的施設(PE)課税や居住国側での課税リスクにも留意が必要です。 一方、海外勤務に対応する給与・賞与は国外源泉所得とされ、日本では非課税です。報酬の支払元や雇用契約の内容によっては判断が分かれるため、租税条約の有無や適用範囲の確認も重要です。 退職金については、従業員の場合は国内勤務に対応する部分が、役員の場合は全額が国内源泉所得とみなされ、20.42%で源泉徴収されます。なお、退職所得の選択課税制度を使えば、居住者と同様に退職所得控除や1/2課税が適用され、還付を受けられることがあります。 金融面では、非居住者になることで日本の銀行口座や証券口座に制限がかかることがあります。多くの銀行では非居住者の口座維持に制限があり、住民票を除票後に届け出を行っていないと口座凍結のリスクもあります。証券口座の特定口座も廃止され、一般口座への移管が必要になります。 NISA口座も非居住者になると原則利用できなくなります。ただし、会社都合による海外赴任で「非課税口座継続適用届出書」を提出すれば、最長5年間は非課税枠を維持可能です。この場合でも、新規買付や積立は停止され、自己都合による移住では口座の廃止が必要です。 また、日本と非居住者の居住国との間に租税条約がある場合、課税が軽減または免除されるケースもあります。たとえば、台湾との間では、国外勤務に対応する退職手当の一部が日本で非課税となる取り扱いがあります。 このように、非居住者となることで税制・金融制度の適用が大きく変わります。とくに高額所得者や国際的な勤務を行う方にとっては、非居住者ステータスの活用が節税につながる一方で、税務リスクや手続き上の注意点も少なくありません。実態に基づいた制度設計と事前の準備が不可欠です。
租税条約
租税条約とは、国と国との間で取り決められる「税金に関する国際的な協定」です。たとえば、日本に住む人が外国の株式などに投資したとき、利益に対して日本とその国の両方で税金を取られてしまう可能性があります。これを「二重課税」と言います。 租税条約があると、この二重課税を防ぐ仕組みが整えられていたり、源泉徴収税率(配当や利子にかかる税率)が軽減されたりします。こうした仕組みにより、国際的な投資がしやすくなるため、資産運用においてとても重要な存在です。
控除限度額(控除上限額)
控除限度額とは、税金を計算するときに所得から差し引くことができる金額の上限のことをいいます。たとえば、確定拠出年金や医療費控除などで使われる制度には、「この金額までなら控除できます」という決まりがあり、その上限が控除限度額です。 この仕組みにより、一定の範囲内で税金の負担を軽くすることができますが、限度額を超えた部分については控除の対象にならないので、利用する際には注意が必要です。投資や資産運用においても、節税を考えるうえでとても重要なポイントになります。
国外所得金額
国外所得金額とは、日本に住んでいる人が海外で得た所得の金額を指します。具体的には、海外の銀行預金の利子、外国株式の配当、不動産収入、海外勤務による給与などが含まれます。日本の税制では、居住者は国内外すべての所得に課税されるため、国外所得金額も確定申告で申告しなければなりません。 ただし、外国で課税された分については外国税額控除を利用することで二重課税を避けられる仕組みがあります。資産運用を行ううえで、海外投資をする人にとって国外所得金額の扱いを正しく理解しておくことは、税金対策や手取り収入を守るためにとても重要です。
総所得金額
総所得金額とは、その年1年間に得た給与や事業収入、年金、利子・配当など、所得税の対象となるすべての所得を合計した金額のことです。 まだ控除や経費を差し引く前の“入り口”の数字であり、この金額を基に各種控除を差し引いていくことで課税所得が計算されます。資産運用を行ううえで、自分の投資利益がどれだけ全体の所得に影響するかを把握する第一歩となる概念です。
復興特別所得税
復興特別所得税は、2011 年の東日本大震災からの復興財源を確保するために創設された上乗せ課税で、正式名称は「所得税に対する復興特別所得税」です。2013 年1月以降の各年分の所得税額に対し 2.1% を乗じて計算され、課税期間は現行法では 2037 年(令和 19 年)までと定められています。適用対象は給与・事業・年金などの総合課税所得だけでなく、株式譲渡益や配当・利子といった申告分離課税の金融所得も含まれ、源泉徴収時には所得税 15%と合わせて 0.315%(15×2.1%)が控除されるため、住民税 5%と合算した実効税率は 20.315% となります。たとえば所得税額が 10 万円なら復興特別所得税は 2,100 円、金融所得 100 万円であれば 20 万 3,150 円が源泉徴収される計算です。投資の損益計算やキャッシュフローを見積もる際は、この上乗せ分も含めた手取り利回りを把握しておくことが重要です。
特定口座
特定口座とは、投資家の税金計算を簡便にするための口座形式です。証券会社が運用益や損益を自動計算し、年間取引報告書を発行します。特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があり、「源泉徴収あり」を選択すれば、税金が取引時点で自動的に納付されます。これにより、確定申告が不要になるため、多くの投資家に利用されています。ただし、損益通算や損失の繰越控除を行う場合は確定申告が必要です。
一般口座
一般口座とは、証券会社で株式や投資信託などの金融商品を取引する際に利用する口座の一つで、税金の計算や納付を投資家自身が行う必要がある口座です。取引によって得られた利益や損失については、年間の取引履歴をもとに自分で損益を計算し、確定申告を通じて税務署に申告することになります。 証券会社による税務処理の代行がないため、特定口座に比べて手間がかかりますが、自由な取引記録管理ができるというメリットもあります。投資初心者の場合は、損益通算や源泉徴収の仕組みを自分で理解・対応する必要があるため、一般口座を利用する際には注意が必要です。
NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
総合課税
総合課税は、給与や年金、事業収入、不動産収入、利子、配当など、1年間に得たさまざまな所得を合算し、その合計額に累進税率を適用して所得税を計算する方式です。 所得が増えるほど税率が高くなるため、高所得者ほど税負担が大きくなる点が特徴です。一方、金融所得には総合課税以外の課税方法を選択できる場合があります。 たとえば、株式譲渡益や先物取引益などは「申告分離課税」を選ぶことで、ほかの所得と区分して一律20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)で申告できます。 また、預貯金利息や一部の公社債利子などは、支払元が税金を源泉徴収する「源泉分離課税」となり、原則として確定申告は不要です。配当や利子のように課税方式を選択できるケースでは、ご自身の所得水準や控除の有無、損益通算の可能性を踏まえ、総合課税・申告分離課税・源泉分離課税のどれを採用するかを検討することが、最終的な税負担を抑えるうえで重要になります。
申告分離課税
申告分離課税とは、特定の所得について他の所得と分離して税額を計算し、確定申告を通じて納税する方式です。 主な対象となる所得は以下の通りです: - 譲渡所得: 土地や建物、株式などの譲渡による所得。 - 山林所得: 山林の伐採や譲渡による所得。 - 先物取引による所得: FXや商品先物取引による所得。 例えば、株式の譲渡所得については、他の所得と合算せずに分離して課税されます。また、上場株式等の配当所得についても、申告分離課税を選択することができます。
年間取引報告書
年間取引報告書とは、証券会社がその年における投資家の取引内容をまとめて記載し、年に一度発行する報告書のことをいいます。株式や投資信託、債券などの売買による損益、配当金や分配金の受け取り、源泉徴収された税金の額などが記載されており、確定申告の際に必要な重要な書類です。 特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、年間取引報告書を提出するだけで、原則として自分で計算することなく申告が完了します。投資家にとっては、年間の収支を把握し、税務処理や今後の投資戦略の見直しに役立てる資料となるため、大切に保管しておく必要があります。
配当(配当金)
配当とは、会社が得た利益の一部を株主に分配するお金のことをいいます。企業は利益を出したあと、その一部を将来の投資に使い、残った分を株主に還元することがあります。このときに支払われるお金が配当金です。株を持っていると、持ち株数に応じて定期的に配当金を受け取ることができます。多くの場合、年に1回または2回支払われ、企業によって金額や支払い時期は異なります。配当は企業からの「お礼」のようなもので、株を長く持ち続ける理由の一つになることがあります。
e-Tax
e-Taxとは、国税庁が運営するインターネット上の税務手続きシステムで、所得税の確定申告や源泉所得税の納付などを自宅や職場からオンラインで行えるサービスです。 紙の申告書を税務署へ持参・郵送する必要がなくなり、24時間いつでも送信できるうえ、申告ミスの自動チェックや過去データの再利用といった利便性があり、手続き時間の短縮や控除額の自動計算による精度向上に役立ちます。 また、電子納税と連携すれば振替納税の手数料が不要となり、税金の支払いもスムーズになります。マイナンバーカードとICカードリーダー、あるいはスマートフォンの対応アプリを利用して本人認証を行うため、セキュリティ面でも高い安全性が確保されています。
繰越控除
繰越控除とは、特定の損失や控除額を翌年度以降に持ち越し、将来の所得から控除できる税制上の仕組みを指す。代表的なものとして、青色申告の純損失の繰越控除があり、一定期間内に発生した損失を翌年以降の利益から差し引くことができる。これにより、赤字企業でも将来の黒字化に伴い税負担を軽減できるメリットがある。ただし、適用には一定の要件があり、期限内に申告する必要がある。
住民税
住民税は、居住地の自治体(市区町村および都道府県)に納める地方税で、地域の行政サービスを賄うために使われます。住民税は「所得割」と「均等割」の2つで構成されます。 所得割は、前年の所得に基づき一律の税率(多くの場合10%)で計算されます。一方、均等割は所得に関わらず一律の金額(全国基準では年額5,000円程度)を納める部分です。 住民税は、所得税のような累進課税ではなく比例課税が基本で、納税額は所得や扶養状況などにより異なります。また、住民税は原則として前年の所得に基づき計算されるため、納税は翌年度に行われます。これにより、地域社会の運営を支える重要な財源となっています。
雑所得
雑所得(ざつしょとく)とは、所得税法において定められた10種類の所得のうち、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得を指します。具体的には、公的年金や副業による収入、仮想通貨の売却益、FXの利益、非営業用貸金の利子などが該当します。 経費を差し引いた金額が課税対象となり、総合課税の対象となります。また、雑所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。