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火災保険とはどんな保険?保険料の相場、どこまで補償されるか、見落としがちな請求事例を解説

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火災保険とはどんな保険?保険料の相場、どこまで補償されるか、見落としがちな請求事例を解説

難易度:

執筆者:

公開:

2026.06.02

更新:

2026.06.02

損害保険

火災保険は、住宅の購入や賃貸契約時に加入を求められることが多い一方で、「火災だけに備える保険」と誤解されやすい保険です。実際には、台風・水害・落雷・盗難・破損など、住まいに関わる幅広い損害を補償する場合があります。この記事では、火災保険の基本的な仕組み、補償範囲、対象外となるケース、保険料の決まり方、請求方法までを具体的に解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むことで、火災保険が何を補償し、どのような損害が対象外になりやすいのかを体系的に理解できます。また、持ち家と賃貸で必要な補償の違いや、地震保険との役割の違い、保険料を左右する要素も把握できるため、自分の住まいに必要な補償を無駄なく選べるようになります。請求できる可能性がある事例も知ることで、万一の際に適切に保険を活用できます。

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目次

火災保険とは何か

火災保険の定義

どんな時に使う保険か

加入が必要な人は?

火災保険と地震保険の違い

火災保険で補償される内容

建物への補償

家財への補償

補償されないもの

意外と知られていない補償事例

補償されるリスクの種類

火災・落雷・爆発

台風・風災・水害

盗難・破損・その他

火災保険の保険料の仕組み

保険料が決まる5つの要素

費用の目安と相場

火災保険の加入は任意

基本は任意加入

住宅ローンを組む場合

火災保険の選び方

補償範囲の選び方

保険金額の決め方

特約の選び方

賃貸の火災保険を見直す方法

割高かどうかを確認する

契約書の「指定」を確認する

乗り換えの手順

保険金の請求方法

請求までの流れ

必要な書類一覧

火災保険は何回使っても保険料は上がらない

自動車保険との大きな違い

火災保険とは何か

火災保険とは、建物や家財に生じた損害を幅広く補償する損害保険です。「火事のときだけ使う保険」と思われがちですが、台風・水害・盗難など日常のさまざまなリスクにも対応しています。

火災保険の定義

火災保険は、建物・家財を対象に、火災をはじめとする多様なリスクによる経済的損失を補填する「損害保険」です。

「損害保険」とは、実際に生じた損害額を基に保険金が支払われる保険のことで、あらかじめ定額が支払われる生命保険とは仕組みが異なります。

契約の基本構造は、保険契約者(保険料を支払う人)・被保険者(補償を受ける人)・保険会社の三者で成り立っています。

  1. 建物と家財はそれぞれ別々に加入する仕組みで、賃貸住宅では建物はオーナーが加入し、家財については入居者自らが加入する必要があります。補償対象は「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3パターンから選択します。
補償対象主な対象者内容
建物のみ持ち家(戸建て・マンション)建物本体・付属建物
家財のみ賃貸入居者家具・家電・衣類など
建物+家財持ち家(推奨)両方をカバー

どんな時に使う保険か

火災保険が使えるシーンは、「家が全焼した」という大事故だけではありません。日常のちょっとしたトラブルでも保険金を請求できるケースが数多くあります。

代表的な活用シーンを以下にまとめました。

出来事補償の種類
台風で屋根が飛ばされた風災
水道管が破裂して床が水浸しになった水濡れ
落雷でテレビ・エアコンが壊れた落雷
泥棒に入られ家財が盗まれた盗難
ひょうで窓ガラスが割れた風災・ひょう災

ここで重要な知識が一つあります。隣家の火事が燃え移った「もらい火」の場合、「失火責任法」(重大な過失がない失火に対して損害賠償責任を問えないと定めた法律)により、火元の隣家に原則として賠償請求はできません。

自分には責任がなくても、自分の火災保険で対応するほかないのです。これが「火災保険は自分のために入る保険」といわれる理由のひとつです。

加入が必要な人は?

持ち家・賃貸を問わず、多くの人にとって火災保険は検討優先度の高い備えです。

【持ち家(戸建て・マンション)の場合】

建物も家財も自分の所有物であるため、「建物+家財」での契約が基本です。

未加入の状態で火災が発生した場合、再建費用はすべて自己負担となります。木造戸建ての場合、建物の再建費用は一般的に2,000万円以上になることも少なくなく、家財の買い替えまで含めると経済的ダメージは非常に大きくなります。

  1. なお、消防庁によると2024年の総出火件数は3万7,036件で、このうち建物火災は2万878件、住宅火災は1万1,232件です。住宅火災は、建物火災の中でも私たちの暮らしに直結する被害です。火災保険を検討するときは、「火事そのもの」だけでなく、住まいと家財を失った場合の再建・買い替え費用まで想定して補償額を考えることが大切です。

【賃貸の場合】

賃貸住宅では、建物はオーナーの所有物であるため、入居者は「家財のみ」を補償対象とするのが一般的です。

あわせて「借家人賠償責任補償」(うっかり火を出して建物を傷つけた際にオーナーへの賠償金を補償する特約)を付帯するのが実務上のスタンダードです。

火災保険と地震保険の違い

火災保険と地震保険は混同されやすいですが、補償する損害の「原因」がまったく異なります。

地震、噴火、またはこれらによる津波を原因とする損害(火災・損壊・埋没・流失)については、火災保険では補償されません。地震などによる損害に備えるには、地震保険に加入する必要があります。

「地震で家が燃えたのに、火災保険が使えなかった」というケースは実際に多く、知らずにいると大きなリスクを抱えることになります。

項目火災保険地震保険
火災による損害△(地震が起因の場合のみ)
地震・噴火・津波×
単独加入×(火災保険とセット必須)
保険金額の上限再調達価額ベース火災保険金額の30〜50%

地震保険は、火災保険にセットして加入しなければなりません。

地震保険の火災保険付帯率は2024年度で70.4%ですが、世帯加入率は35.4%にとどまっており、加入している方が少ないという現状があります。

出典:日本損害保険協会「グラフで見る!地震保険統計速報」

日本とその周辺は地震活動が活発な地域であり、地震による損害に備える必要性は高いといえます。火災保険の加入と合わせて、地震保険の必要性も検討してください。

なお、地震保険に関してはこちらの記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

火災保険で補償される内容

火災保険の補償対象は「建物」と「家財」の2つに分かれます。何が補償されて何が対象外かを事前に把握しておくことが、いざというときに慌てない備えになります。

建物への補償

建物の補償範囲は、柱・壁・屋根・基礎・床・天井といった建物の骨格を構成する部分が主な対象です。建物本体に加え、門・塀・車庫・カーポート・物置といった付属建物や、建物に固定された設備(キッチン、浴室、エアコンなど)も補償対象となります。

造り付けのクローゼットや給湯器など「取り外せないもの」は建物扱いになる点も覚えておくとよいでしょう。

家財への補償

火災保険における「家財」とは「建物に収容されている動産」を指します。家にある家具や家電、衣類、寝具、日用品などが家財に該当します。

  1. 家財補償は建物補償とは別に選択する仕組みです。賃貸の場合は「家財のみ」で契約するのが基本ですが、持ち家でも「建物のみ」で契約している人は、家財の損害がまるごと自己負担になる点に注意が必要です。

家財一式の再購入費用は、意外と高額になります。家電・家具・衣類をすべて揃え直すと、一般的な世帯でも数百万円になるケースも珍しくありません。

補償されないもの

補償範囲が広い火災保険ですが、以下のものは原則として補償対象外です。あらかじめ把握しておくことで、誤解を防げます。

対象外の例補足
現金・有価証券火災で燃えた場合は補償なし(盗難は限度額内で対象)
自動車・大型バイク車両保険で対応
パソコン内のデータ機器本体は対象だがデータは不可
動物・植物ペットや観葉植物も対象外
貴金属・美術品(30万円超)「明記物件」として契約時に申告が必要

現金は、火事で燃えた場合に火災保険で補償されません。盗難の場合には対象となりますが、通貨・小切手等の補償限度額は20万円に設定されています。

タンス預金を多額に保管している方は特に注意が必要です。火災・地震のいずれにおいても現金は補償されないため、自宅に現金を置きすぎないことがリスク管理の基本になります。

  1. また、貴金属・宝玉・書画・骨董・美術品のうち1個または1組の価額が30万円を超えるものは、保険証券に明記されていなければ補償対象にならない場合があります。これを「明記物件」といい、補償対象にするには契約時に手続きが必要です。

意外と知られていない補償事例

「火災保険は火事のときだけ使うもの」と思っている方が多いですが、実は日常のちょっとしたトラブルでも請求できるケースがあります。

落雷による家電の故障

雷が落ちた際の過電流(サージ電流)でテレビ・冷蔵庫・エアコンが故障するケースは、落雷補償の対象になります。停電後に家電が動かなくなったら、まず保険会社に確認しましょう。

台風・ひょうによる窓ガラスの破損

強風や飛来物で窓ガラスが割れた場合も、風災補償で対応できます。火災については、消防活動による水漏れの被害なども補償範囲に含まれます。

鳥や飛来物による破損

自動車が建物に飛び込んできて建物が壊されるケースや、泥棒によって窓ガラスが割られてしまったケースなど、日常のハプニングによる損害を補償する商品もあります。鳥が衝突して窓ガラスが割れた場合も、破損・汚損補償の対象になることがあります。

ただし、破損・汚損補償はプランによって付帯していない場合があります。契約内容を一度確認し、必要であればオプションの追加を検討しましょう。

補償されるリスクの種類

火災保険は「火事のときだけ使う保険」ではありません。補償対象となるリスクは大きく3つに分類でき、日常生活の幅広いトラブルに対応しています。

火災・落雷・爆発

火災・落雷・破裂・爆発は、ほぼすべての火災保険で基本補償として含まれています。この4つは「セット必須」の補償と考えてよいでしょう。

特に見落としがちなのが落雷です。落雷により家電製品が壊れた場合や、スプレー缶に引火して爆発事故が起きた場合なども補償対象になります。

落雷の際に発生するサージ電流(急激な過電流)は、直撃を受けた建物だけでなく、電線を通じて広範囲に影響を及ぼすことがあります。停電が回復したあとにテレビやエアコンが動かなくなった場合も、落雷補償の対象になる可能性があるため、修理前に保険会社へ確認するのが賢明です。

また、火災については自分の過失による失火だけでなく、隣家からのもらい火も補償されます。消防活動による水漏れの被害も補償範囲に含まれます。

台風・風災・水害

台風による損害は、被害の「原因」によって適用される補償が変わります。ここを理解していないと、いざというときに補償を受け損なう可能性があります。

被害の種類適用される補償具体例
強風による建物の損壊風災屋根瓦が飛ぶ、カーポートが変形
飛来物による窓ガラス破損風災小石・看板が窓に当たる
河川氾濫による床上浸水水災洪水・高潮・土砂崩れ
大雪による屋根の損傷雪災雪の重みで軒が歪む

水災補償の対象となるのは、台風・暴風雨・豪雨などによる洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石などの損害です。

重要な点が一つあります。2024年10月以降、火災保険の水災料率は市区町村ごとに5段階に細分化され、地域のリスクに応じて保険料が変動するようになりました。

  1. つまり、水災等のリスクが高い地域では、所在地による保険料差が生じやすくなっています。逆に言えば、ハザードマップで水害リスクが低い地域であれば、水災補償を外して保険料を抑える選択肢も合理的です。

盗難・破損・その他

盗難・水濡れ・破損汚損など、日常的なトラブルも火災保険の対象になるケースがあります。ただし、これらはプランや特約の有無によって補償の可否が分かれます。

盗難補償では、実際に物が盗まれなくても(未遂であっても)、犯人に壊されたものや汚されたものがあった場合に保険を適用できます。空き巣が侵入時に割った窓ガラスやこじ開けたドアの錠前交換費用も、盗難補償の対象です。

破損・汚損補償(不測かつ突発的な事故への補償)では、以下のような日常トラブルが対象になります。

  • 鳥が飛んできて窓ガラスが割れた
  • 子どもがおもちゃを投げてテレビの液晶が割れた
  • 家具を運ぶ際に壁に穴を開けてしまった

ただし「保険の対象が通常有しうる擦り傷・かき傷・塗料のはがれ落ち・ゆがみ・たわみ・へこみ」などは免責となっており、機能に影響しない外観上の傷では補償を受けられません。

  1. また、水濡れ補償については注意が必要です。「水漏れ(水濡れ)」補償は自身の財産を守るもので、自分の専有部分の修理費用に対して保険金が支払われます。自宅からの水漏れで階下の住人に損害が生じた場合は、火災保険ではなく個人賠償責任保険の適用になります。

火災保険の保険料の仕組み

保険料の決まり方を知らずに加入すると、補償が過不足になったり、割高な契約を続けてしまうことがあります。仕組みを理解しておけば、適切な補償を適正な価格で選ぶ判断軸が身につきます。

保険料が決まる5つの要素

火災保険の保険料は、主に以下の5つの要素によって決まります。

要素内容
①建物の構造木造(H構造)・鉄骨造(T構造)・RC造(M構造)の3分類
②所在地都道府県・市区町村ごとの災害リスク区分
③補償範囲水災・盗難・破損汚損などのオプション有無
④保険金額建物・家財それぞれの再調達価額をベースに設定
⑤契約期間長期一括払いほど割安になる

なかでも建物の構造は保険料に最も大きく影響します。燃えにくい構造であるほど保険料は安くなり、燃えにくいのはM構造(マンション等)・T構造(鉄骨・ツーバイフォー造)・H構造(木造)の順です。

また、2024年10月以降、多くの保険会社で水災リスクに応じた水災料率の細分化が実施されました。これまで全国一律だった水災料率が市区町村別に5段階に区分され、地域による保険料の差がより明確になっています。水害リスクが高い地域に住む人は、今後さらに保険料が上昇する可能性があります。

  1. さらに、損害保険料率算出機構は2023年6月に個人向け火災保険料の目安となる「参考純率」を全国平均で13%引き上げると発表し、2024年10月より各社が改定を実施しました。これは自然災害の多発による保険金支払い急増と、資材・人件費上昇による修理費高騰を反映したもので、引き上げは直近6年間で4度目となり引き上げ幅は過去最大となります。

費用の目安と相場

火災保険料は条件によって大きく異なるため「一律の相場」はありませんが、住宅形態別のおおよその目安を把握しておくことは有効です。

戸建ての相場

東京都・木造戸建て・築浅・建物2,000万円・家財500万円の条件の場合、火災保険料の相場は地震保険ありで年間約9〜11万円、地震保険なしで年間約3〜5万円程度になります。

木造(H構造)はRC造やツーバイフォー造と比べて火災リスクが高いため、保険料は割高になる傾向があります。構造区分を変えられるわけではありませんが、補償内容の見直しや長期一括払いへの切り替えで保険料を抑える余地はあります。

なお、複数社で同条件の見積もりを比較すると、保険会社によって数万円単位の差が生じることもめずらしくありません。必ず複数社を比較しましょう。

マンションの相場

マンション(RC造・M構造)は耐火性能が高く火災リスクが低いため、同条件の木造戸建てと比較して保険料は大幅に安くなります。

マンション(RC造・M構造)は、一般に木造戸建てより火災リスクが低く、同条件なら保険料は抑えられる傾向があります。地震保険なしであれば、年間数千円〜1万円台となるケースもあります。

  1. ただし、マンションでも低層階や河川・海岸に近い立地は水災リスクが高く、保険料も上がります。ご自宅が損害を受ける可能性の高い自然災害をハザードマップ等で調べ、必要な補償を設定することが重要です。

出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト」

火災保険の加入は任意

火災保険は法律上の義務ではありません。ただし、未加入のリスクは大きく、住宅形態によっては事実上の加入必須となるケースがほとんどです。

基本は任意加入

火災保険の加入は、法律上義務付けられていません。自動車保険の自賠責保険(強制加入)とは異なり、加入しなくても法的なペナルティは生じません。

ただし、未加入の状態で火災や水害が発生した場合、損害はすべて自己負担となります。木造戸建ての場合、建物の再建費用だけで2,000万円以上かかるケースも珍しくありません。「法律上は任意」であっても、現実的に「加入しない選択肢はない」保険といえます。

住宅ローンを組む場合

住宅ローンを借りる際に、銀行から火災保険の契約を求められることがほとんどです。これは法的な義務ではなく、金融機関が融資条件として設定しているものです。

金融機関が火災保険への加入を求める理由は、債権保全(貸し付けたお金を確実に回収するための担保保護)にあります。火災被害にあって家に住めなくなったとしても、住宅ローンの返済義務はなくならないからです。建物が焼失して担保価値がゼロになっても、残債の返済は続きます。これは借り手にとっても深刻なリスクです。

  1. なお、銀行が住宅ローン契約時に保険商品を提案することは問題ありませんが、住宅ローンを提供する立場を不当に利用して保険を販売することは禁止されています。金融機関から提携保険会社の火災保険を勧められても、加入する火災保険は一般的に自分で選ぶことができます。

火災保険の選び方

火災保険は商品によって補償内容・保険料が異なります。「なんとなく勧められたものに入った」では、肝心な場面で補償が足りないこともあります。3つのポイントを軸に整理しましょう。

補償範囲の選び方

補償範囲は「広いほど安心」ではなく、「自分のリスクに合っているかどうか」が重要です。

まず、住んでいる地域のハザードマップを確認しましょう。居住地のハザードマップを確認し、災害リスクや被害の可能性を踏まえたうえで、補償を慎重に検討することが大切です。

水害リスクが低い地域に住んでいる場合、水災補償を外すことで保険料を抑えられます。一方、河川沿いや低地に住んでいる場合は水災補償は必須です。「保険料が高いから」という理由だけで外すのは危険です。

補償範囲の選び方の目安をまとめると、以下のとおりです。

チェックポイント推奨する対応
ハザードマップで洪水リスクあり水災補償を付帯する
台風が多い地域(九州・沖縄など)風災・水災ともに付帯する
賃貸住まい借家人賠償責任補償を必ず付帯する
子どもがいる家庭破損・汚損補償を付帯する

保険金額の決め方

保険金額(損害が発生したときに受け取れる保険金の上限額)を誤って設定すると、いざというときに補償が不足します。

「再調達価額」とは、保険の対象となる財物と同等のものを現時点で再築または再購入するために必要な金額をベースとした評価額です。「時価額」とは、再調達価額から経年・使用による消耗分を差し引いた金額をベースとした評価額です。

評価額の種類定義算定方法の考え方
再調達価額保険の対象となる財物と同等のものを現時点で再築または再購入するために必要な金額をベースとした評価額現在の価格水準で新しく取得する場合の費用を基準に算定
時価額再調達価額から経年・使用による消耗分を差し引いた金額をベースとした評価額再調達価額 − 減価(経年劣化・使用損耗)で算定
  1. な現在の主流は再調達価額(新価)での設定です。時価で設定すると、古い建物ほど評価額が低くなり、保険金だけでは建て直しができないリスクがあります。

具体例を挙げると、20年前に3,000万円で新築した家が全焼した場合、同等の家を建てるために3,500万円必要だとすると、この3,500万円が再調達価額です。時価(例えば1,500万円)で設定してしまうと、同等の家を建て直すために2,000万円を自己負担しなければなりません。

また、物価上昇に伴い建築費が上昇した場合、受け取れる保険金に不足が生じる可能性があるため、契約後5年ごとを目安に保険金額を見直すとよいでしょう。

特約の選び方

特約とは、基本補償に上乗せする追加の補償です。代表的な特約と、必要な人・不要な人の判断基準を整理します。

特約必要な人不要な人の目安
地震保険持ち家に住んでいる方賃貸で暮らしている方・地震被災後に生活を立て直す貯金がある人
個人賠償責任特約自転車に乗る人・子どもがいる家庭など他の保険で補償済みの場合
借家人賠償責任特約賃貸入居者全員持ち家の場合は不要
破損・汚損補償小さな子どもがいる家庭独身・高齢世帯など

特約を追加するほど保険料は上がります。「万が一に備えてすべて付帯する」という考え方は必ずしも正解ではありません。自分のライフスタイルと照らし合わせ、本当に必要なものだけを選ぶのがコストパフォーマンスの高い選び方です。

賃貸の火災保険を見直す方法

賃貸入居者の多くは、入居時に管理会社や仲介業者から勧められた保険にそのまま加入し続けています。しかし、その保険が割高である可能性は十分あります。正しく見直せば、保険料を大幅に節約できます。

割高かどうかを確認する

まず、現在の年間保険料を確認しましょう。

賃貸向け火災保険の年間保険料の相場は、家財100〜200万円・借家人賠償責任補償・個人賠償責任補償をセットにした一般的な構成で、年間4,000〜7,000円程度が目安です。

一方、管理会社や仲介業者経由で契約している場合、2年契約で2万〜2万5,000円程度になるケースが多いです。これは年間換算で1万〜1万2,500円となり、相場の2倍前後になる計算です。

  1. 管理会社経由の保険が割高になりやすい理由は、代理店手数料が保険料に上乗せされているためです。保険会社によっても、同じ補償内容でも20%程度の保険料差が出てきます。現在の年間保険料が1万円を超えているなら、一度見直しを検討する価値があります。

契約書の「指定」を確認する

見直しを進める前に、賃貸借契約書に「保険の指定」があるかどうかを必ず確認しましょう。

物件のオーナーや管理会社によっては、賃貸借契約上で火災保険の加入や補償内容などのルールが指定されることがあります。契約書を読んで、「指定保険会社への加入」という文言があるかどうかを確認してください。

契約書の記載対応方針
指定の記載なし自由に乗り換え可能
補償内容の指定のみ条件を満たす保険なら自由に選択可
保険会社の指定あり更新タイミングで交渉・変更を検討する

賃貸物件の火災保険を見直す際は、事前に不動産会社や大家さんに確認したうえで進めることが大切です。ただし、指定がなければ自分で選んだ保険に乗り換えても問題ありません。

乗り換えの手順

乗り換えは、以下の手順で進めます。

①現在の年間保険料と補償内容を確認する

保険証券を引き出して、保険料・補償範囲・満期日を把握します。

②賃貸契約書の「指定」有無を確認する

上記の通り、乗り換えの可否を先に確認しましょう。

③新しい保険に申し込む

ネット系損保の賃貸向け保険は年間4,000〜7,000円前後から加入でき、補償内容の比較も簡単にできます。借家人賠償責任補償・個人賠償責任補償が含まれているかを必ず確認してください。

④旧保険を解約する

一般的には未経過期間に応じた保険料が解約返戻金として戻ってきます。途中解約でも先払い分が戻るため、早めに動くほど節約額は大きくなります。自分から保険会社に連絡しなければ返金されないので注意しましょう。

保険金の請求方法

損害が発生してからの動き方を知っておくと、いざという場面で慌てずに対応できます。請求は自動ではなく、契約者自身が手続きをしなければ保険金は支払われません。

請求までの流れ

保険金請求の基本的な流れは以下のとおりです。

①損害発生・証拠写真の撮影

損害を確認したら、片付けや修理の前に必ず被害箇所を写真で記録しましょう。修理後に請求する場合、損害が火災や自然災害によるものであることを証明する必要があります。証拠写真がなければ、審査が通らないケースもあります。

②保険会社へ連絡

保険証券に記載の事故受付窓口に電話、またはウェブで報告します。事故報告後、保険会社から保険金請求書などの必要書類が送られてきます。

③修理業者から見積書を取得

損害の修理費用を算出するために、工務店や修理業者へ見積もりを依頼します。

④必要書類を提出・現地調査

書類を保険会社に送付すると、状況によっては損害保険登録鑑定人(保険会社が派遣する損害調査の専門家)が現地調査を行う場合があります。大規模な自然災害が発生した場合は、現地調査が遅れ、保険金支払いに時間がかかることもあります。

⑤保険金の受け取り

審査が完了すると、指定口座に保険金が振り込まれます。

なお、火災保険の申請には「事故の発生から3年以内」という時効があります。「請求できるか微妙」と感じた場合でも、まず保険会社に相談することをおすすめします。

必要な書類一覧

請求に必要な書類を事前に把握しておくと、手続きがスムーズになります。

書類内容
保険金請求書保険会社の所定様式
事故状況説明書発生日時・原因・状況の記載
修理見積書施工業者が作成したもの
被害箇所の写真全体・損傷部位の両方
罹災証明書火災は消防署、水災は市区町村が発行

書類に不備があると支払いが遅れることがあります。不明点は保険会社に直接確認しながら進めましょう。

また、近年は「火災保険を使えば無料で修理できる」と謳う悪質な業者が増えています。申請代行を謳う業者によるトラブルが増加しているため、手続きは必ず契約者本人が保険会社と直接やり取りをして進めましょう。

火災保険は何回使っても保険料は上がらない

火災保険は「使うと損をする」という思い込みから、請求を躊躇する方が少なくありません。火災保険は自動車保険のような等級制度がなく、請求しても直ちに翌年の保険料が上がる仕組みではありません。

自動車保険との大きな違い

自動車保険では事故を起こして保険金を受け取ると、次年度以降の保険料が上がることがあります。これは、保険事故の実績などで保険料の割引・割増が決まる「ノンフリート等級制度」が導入されているためです。事故で保険を使うと、翌年の契約のノンフリート等級が原則として事故1回につき3等級下がります。

一方、個人向けの火災保険にはこうした仕組みはありません。火災保険料は建物の所在地や構造などをベースに算出され、保険金を受け取ったことが保険料の決定要素にはなりません。保険金を請求しても、次年度の保険料の増加を心配する必要はないのです。

つまり、台風で屋根が壊れた、落雷で家電が故障したといった場面で保険金を請求しても、翌年の保険料はまったく変わりません。

比較項目火災保険自動車保険
等級制度なしあり(1〜20等級)
請求後の保険料変わらない原則上がる
複数回請求何回でも可使うたびに等級ダウン

また、火災保険には「保険金額自動復元方式」という仕組みがあります。2回目以降の事故の際も保険金額が減額されることはなく、契約時の保険金額がそのまま維持されます。

  1. 「使わないと損」という意識を持ち、補償対象になりうる損害が発生したら、まず保険会社に確認する習慣をつけることが、火災保険を賢く活用するうえで重要です。

この記事のまとめ

この記事では、火災保険の仕組みや補償範囲、保険料の決まり方、請求時の流れを学びました。火災保険は火事だけでなく、台風・水害・破損など住まいのさまざまなリスクに備える保険ですが、地震による損害など対象外となるケースもあります。契約前や見直し時には、持ち家か賃貸か、自宅の立地や建物の条件、家財の補償が必要かを確認し、自分に合った補償内容を選びましょう。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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契約者とは、保険や投資信託などの金融商品において契約を締結する当事者のことを指す。契約者は契約の内容を決定し、保険料や掛金の支払い義務を負う。生命保険では、契約者と被保険者が異なる場合もあり、この場合、契約者が保険金の受取人を指定できる。投資信託では、契約者が運用を委託し、受益者として利益を得る。契約内容によっては、解約や変更の権限を有するため、慎重な契約の選択が求められる。

被保険者

被保険者とは、保険の保障対象となる人物。生命保険では被保険者の生存・死亡に関して保険金が支払われる。医療保険では被保険者の入院や手術に対して給付金が支払われる。損害保険では、被保険者は保険の対象物(自動車など)の所有者や使用者となる。被保険者の同意(被保険者同意)は、第三者を被保険者とする生命保険契約において不可欠な要素で、モラルリスク防止の観点から法律で義務付けられている。

借家人賠償責任補償

借家人賠償責任補償とは、賃貸住宅に住んでいる人(借家人)が、誤って部屋や建物を損傷させてしまった場合に、その修理費用などを補償してくれる保険のことです。たとえば、キッチンでの火の不始末による火災で部屋を焦がしてしまったり、水漏れを起こして下の階の部屋に損害を与えてしまったりした場合などに適用されます。この補償は、賃貸契約で借主に加入を求められることが多く、火災保険の特約として付けられているケースが一般的です。大家(貸主)に対して法的な賠償責任が生じたときに、経済的な負担を軽減できる重要な補償です。

再調達価額

再調達価額とは、ある資産を現在の時点で新しく購入または再び取得するとした場合に必要となる金額のことを指します。たとえば、企業が保有している建物や設備が老朽化した場合、それと同等の性能や機能を持つものを新たに購入するのにどれくらいの費用がかかるかを示します。この概念は、資産の現在価値をより現実的に評価する際に用いられ、特に保険や会計の分野で重要です。たとえば、火災保険では、事故発生時に同等の建物を再び建てるための金額を補償する目的で、再調達価額が基準として使われます。つまり、再調達価額は資産の「今の価値」を示すものであり、取得当時の価格とは異なる点が特徴です。

個人賠償責任保険

個人賠償責任保険とは、日常生活の中で他人にけがをさせたり、他人の物を壊したりして損害を与えてしまった場合に、その賠償金を保険会社が代わりに支払ってくれる保険です。たとえば、自転車で人にぶつかってけがをさせてしまったり、子どもが遊んでいて他人の家の窓ガラスを割ってしまったような場合が該当します。自分の過失によって発生した損害について、相手に賠償する責任を補償するため、家計を守る役割も果たします。自動車保険や火災保険、共済などに特約として付けるケースが多く、家族全体をカバーするタイプもあります。

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