iDeCoなど確定拠出年金の配分変更とスイッチングにはどんな違いがありますか?
iDeCoなど確定拠出年金の配分変更とスイッチングにはどんな違いがありますか?
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2025/10/08 09:05
男性
30代
確定拠出年金(iDeCo)について勉強しているのですが、資産の運用方法を見直す際に「配分変更」と「スイッチング」という2つの方法があると知りました。どちらも資産を調整するための手段のように思えますが、具体的にどう違うのかがよくわかりません。それぞれの仕組みや目的、利用する際の注意点について詳しく教えていただけますか。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
確定拠出年金の資産調整には「配分変更」と「スイッチング」があります。結論から言えば、配分変更はこれから積み立てる掛金の買い方を変えるだけで、既に持っている資産はそのままです。一方、スイッチングはすでに保有している資産を売却して別の商品を買い直す手続きで、残高そのものを動かします。
配分変更は将来の積立を通じて時間をかけてポートフォリオを修正したいときに有効です。例えば今後は株式と債券を半分ずつ積み立てたい場合、配分変更をしておけば新規の買付からその比率で投資されます。手数料はかからないことが多く、既存の残高には影響しません。
スイッチングは残高が大きく偏っているときや、すぐに資産配分を変えたいときに使います。例えば株式が増えすぎてリスクが高くなったときに、その一部を債券へ移すといった使い方です。ただし売却と購入にタイムラグがあるため、その間に価格が変動するリスクがあります。また一部の投資信託では売却時に信託財産留保額というコストがかかる場合もあります。
実務的には、まずは配分変更で将来の積立を理想の配分に設定し、残高が大きく目標から外れたときにスイッチングを組み合わせるのが基本です。頻繁なスイッチングは相場の上下に振り回されやすいため、年に1〜2回の定期的な見直しで十分です。
つまり、配分変更は「未来に効く調整」、スイッチングは「今ある資産に効く調整」と理解するとわかりやすいでしょう。
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iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
スイッチング
スイッチングとは、確定拠出年金(iDeCoや企業型DC)でよく使われる用語で、すでに保有している運用商品を売却し、その資金で別のファンドに乗り換えることを指します。たとえば、安定重視の債券型ファンドから、成長を狙った株式型ファンドに変更するなど、市場環境やライフプランの変化に応じて資産配分を見直すための重要な手段です。 確定拠出年金の仕組みでは、このスイッチングは同一制度内で完結するため、多くの場合、売却や購入に手数料がかからず、非課税で実行できます。ただし、ファンドによっては信託財産留保額やスプレッドなど、乗り換え時にコストが発生する場合もあるため、注意が必要です。 投資初心者にとっては、「口座の中で資産を入れ替える仕組み」と理解するとイメージしやすく、自分の年齢やリスク許容度に応じて運用を柔軟に調整できる便利な機能です。長期的な資産形成を続けるうえで、定期的な見直しとスイッチングの活用は大きな効果を発揮します。
配分変更
配分変更とは、投資信託や確定拠出年金(iDeCo・企業型DCなど)で、将来の投資先に対する資金の振り分け割合を見直すことを指します。たとえば、株式と債券に半分ずつ投資していたところを、株式を60%、債券を40%に変えるといった調整です。市場環境の変化や自分のリスク許容度の見直し、将来のライフプランの変更などに応じて、資産配分を調整する目的で行われます。配分変更を定期的に見直すことで、リスクを抑えながら長期的に安定した資産運用を目指すことができます。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
信託財産留保額
信託財産留保額とは、投資信託を解約(売却)する際に、投資家が支払うことになる費用の一つで、解約代金から差し引かれてファンド内に留め置かれるお金のことです。 このお金は、運用している信託財産の中に残され、他の投資家に不利益が出ないようにするための調整の役割を持ちます。たとえば、大量の解約が発生すると、ファンドは保有資産を売却して現金化しなければならず、その際に売却コストが発生します。このコストをすべての投資家に負担させると不公平になるため、解約者に信託財産留保額という形で部分的に負担してもらうのです。つまり、長くファンドを保有する投資家の利益を守る仕組みとして設定されています。
アセットアロケーション(資産配分)
アセットアロケーション(Asset allocation)とは、資産配分という意味で、資金を複数のアセットクラス(資産グループ)に投資することで、投資リスクを分散しながらリターンを獲得するための資産運用方法。アセットアロケーションは戦略的アセットアロケーションと戦術的アセットアロケーションの2つを組み合わせることで行われ、前者は中長期的に投資目的・リスク許容度・投資機関に基づいて資産配分を決定し、後者は短期的に投資対象の資産特性に基づいて資産配分を決定する。





