エンジェル税制を利用するための投資家の要件は何ですか?
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2025/03/21 19:48
男性
30代
エンジェル税制を利用するために、投資家としてどのような要件を満たす必要があるのか知りたいです。特に、所得や投資額の条件、法人での利用が可能かどうかについて詳しく教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
エンジェル税制を使えるのは「日本に居住する個人投資家」に限られ、法人名義・ファンド・合同会社などは一切対象外です。対象となる投資は①スタートアップが新たに発行する普通株式への現金払い込み、または②令和6年度改正で追加された有償新株予約権(J-KISS等)への払い込みに限定され、既発行株や親族・第三者からの株式譲受は認められません。
投資家本人・二親等以内の親族が投資先の役員・従業員・大株主(発行済株式の50%超を保有)である場合、原則として適用外ですが、創業時の発起人など一部は要件を満たせば例外扱いになります。
所得金額や投資額に上限・下限は設けられていませんが、優遇A(所得控除型)は年収が高いほど控除メリットが大きく、優遇B(譲渡益課税の全額控除型)は5年以上の保有が前提のため、中長期で出口を設計できる投資家ほど恩恵が大きくなります。
その他の主なルール
- 出資は払込期日までに完了し、確定申告で優遇を申請すること
- 持株の短期売却や配当目的投資は想定されておらず、短期で手放すと優遇が無効になる場合がある
- 制度改正が頻繁なため、投資前に最新の経産省ガイドラインや税理士の確認が必須
要するに、「個人が現金で新株を引き受け、5年以上の成長支援を覚悟できるか」がエンジェル税制の利用条件です。制度の細則は改正ごとに変わるため、投資を決める前に最新版をチェックしてください。
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関連する専門用語
エンジェル税制
エンジェル税制とは、個人投資家が投資時・株式売却時に受けることができる税制上の優遇措置を定めた税制。ベンチャー企業に対する投資の促進を図る観点から国税庁によって定められている。ベンチャー企業に投資した年、未上場ベンチャー企業株式を売却して売却損益が発生した年にそれぞれ優遇措置を受けることができる。
新株発行
新株発行とは、企業が新たに株式を発行して資金を調達する行為です。通常、既存株主への影響を最小限に抑えるために、時価近くの価格で発行されます。発行された株式は既存株主の持ち分を希薄化させる可能性がありますが、調達した資金は事業拡大や債務返済などに活用されます。
所得控除
所得控除とは、個人の所得にかかる税金を計算する際に、特定の支出や条件に基づいて課税対象となる所得額を減らす仕組みである。日本では、医療費控除や生命保険料控除、扶養控除などがあり、納税者の生活状況に応じて税負担を軽減する役割を果たす。これにより、所得が同じでも控除を活用することで実際の税額が変わることがある。控除額が大きいほど課税所得が減少し、納税者の手取り額が増えるため、適切な活用が重要である。