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タンス預金で出てきた現金にはどのように相続税がかかりますか?

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2025/07/31 08:17


男性

30代

question

親の遺品整理をしていたところ、タンスの中からかなりの現金が見つかりました。このような現金も相続財産に含まれると聞いたのですが、相続税の申告や納税の際にどのような扱いになるのでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

タンス預金、つまり自宅で現金を保管していた場合でも、そのお金は相続税の対象になります。相続税法では、被相続人の保有していた「現金・預貯金等」はすべて相続財産とみなされるため、保管場所に関係なく、見つかった現金は額面どおりの評価額(100%)で相続財産に加算されます。

相続税の課税額は、現金を含むすべての相続財産の評価額を合計したうえで、そこから葬式費用や債務などを差し引き、さらに基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引いて算出されます。この控除額を超える部分に対して、10〜55%の累進税率がかかります。

申告と納税には期限があり、相続の開始(通常は被相続人の死亡)を知った日の翌日から10か月以内に、相続人が申告書を税務署へ提出し、原則として現金で納税する必要があります。タンス預金が多額で銀行預金などが不足している場合は、延納(利子税付きの分割払い)や物納(不動産などでの納税)を検討することもあります。

一方で、タンス預金の存在を相続税の申告から除外したままにしておくと、税務調査などで発覚した際にペナルティが科されます。代表的なものに「過少申告加算税(10〜15%)」「重加算税(35〜40%)」「延滞税(年最大14.6%程度)」などがあり、追徴課税が大きな負担になるおそれがあります。税務署は預金履歴や生活費との整合性を調査し、「資金移動分析」によって隠された現金を把握することがあります。

もしタンス預金が被相続人の財産でないと主張する場合、たとえば贈与を受けた現金や家族の生活費だったなどとするなら、その根拠を示す書類が必要です。贈与契約書や贈与税の申告書、領収書、振込記録、家計簿などが証明として有効ですが、証拠がなければ、基本的には被相続人の財産とみなされ、課税対象になります。

実際に現金が見つかった場合は、まず発見日時や場所、金額を記録して相続人全員で共有することが大切です。さらに、通帳に入金して履歴を残すことで、資金の流れを明確にしておくと税務署の疑念を軽減できます。不安がある場合は早めに税理士などの専門家に相談し、延納の計画や証拠書類の整理なども含めて対策をとることが望ましいです。

また、将来に備えて、タンス預金のような現金を自宅に長期保管しておくこと自体が、紛失や盗難のリスクだけでなく、税務調査の対象となるリスクも高めます。生前の段階から預金や資産の出入りを記録し、贈与や資金移転を行う際は必ず証拠書類を残しておくことが、安全で確実な相続対策となります。

以上のように、タンス預金もれなく相続財産に含めて正しく申告しないと、後で大きなリスクや負担を招く可能性があります。現金が出てきた場合はすぐに対応し、相続人間での情報共有と専門家への相談を早めに行うことが重要です。

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相続財産

相続財産とは、被相続人(亡くなった方)が死亡時点で保有していた財産のうち、法律上相続の対象となるものを指します。 具体的には、現金や預貯金、不動産、株式、車、貴金属などのプラスの財産だけでなく、借金やローン、保証債務といったマイナスの財産も含まれます。 相続人は、これらの財産すべてを一括して引き継ぐ「単純承認」だけでなく、財産の範囲内で債務を引き継ぐ「限定承認」や、相続自体を放棄する「相続放棄」などの選択も可能です。 なお、生命保険金や死亡退職金など、一定の財産は「相続財産」に含まれず、相続税の計算上も特別な扱いになることがあります。 相続財産を正しく把握することは、遺産分割協議や相続税申告を円滑に進めるうえで、最初の重要なステップとなります。

相続税

相続税とは、人が亡くなった際に、その人の財産を配偶者や子どもなどの相続人が受け継いだときに課される税金です。対象となる財産には、預貯金や不動産、株式、貴金属、事業用資産などが含まれ、相続財産の合計額が一定の基準額を超えると課税対象となります。 相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除があり、この範囲内であれば原則として税金はかかりません。しかし、資産規模が大きい場合や相続人の数が少ない場合には、課税対象となり、10%〜55%の累進税率が適用されます。 さらに、相続税にはさまざまな非課税枠や控除制度が設けられており、これらを適切に活用することで税負担を抑えることが可能です。代表的な制度には以下のようなものがあります。 - 生命保険金の非課税枠:法定相続人1人あたり500万円まで非課税 - 死亡退職金の非課税枠:生命保険と同様に1人あたり500万円まで非課税 - 債務控除:被相続人に借入金などの債務があった場合、その金額を控除可能 - 葬式費用の控除:通夜・葬儀などにかかった費用は、相続財産から差し引くことができる また、配偶者には配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分まで非課税)が認められており、適切に遺産分割を行えば、税額を大幅に減らすことができます。 相続税は、財産の種類や分割の仕方、受け取る人の立場によって税額が大きく変動するため、生前からの対策が非常に重要です。生命保険や不動産の活用、資産の組み替えなどを通じて、相続税評価額をコントロールすることが、家族への負担を減らし、スムーズな資産承継を実現するための鍵となります。

基礎控除

基礎控除とは、所得税の計算において、すべての納税者に一律で適用される控除のことを指す。一定額の所得については課税対象から除外されるため、納税者の負担を軽減する役割を持つ。所得に応じて控除額が変動する場合もあり、申告不要で自動適用される。

延納

延納とは、相続税や贈与税の納付について、一定の条件を満たした場合に限り、税務署の許可を得て年賦で分割して納めることができる制度です。原則として相続税は相続開始から10か月以内に一括納付する必要がありますが、相続財産の大部分が不動産や非上場株式など換金しづらい資産で占められている場合などには、現金での即時納付が困難なことがあります。こうした場合に、資産の処分を避けながら納税を進める手段として延納が活用されます。 延納が認められるには、納税者が金銭納付を一度に行うことが困難であると税務署に認められる必要があります。具体的には、資産の構成や収支状況、生活費への影響などを示す書類を添付した申請を行い、税務署の審査を経て許可を受ける必要があります。申請期限は、相続税の申告期限である相続開始から10か月以内と定められています。 延納期間は最長20年とされていますが、適用される財産の種類により認められる期間や条件が異なります。たとえば不動産等については20年までの延納が可能な一方で、換金性の高い財産が含まれる場合には延納そのものが認められないこともあります。延納できるのは相続税全額ではなく、延納の対象として認められた金額に限られます。 延納が許可されると、期間中は利子税が課されます。この利子税は毎年変動し、財務省告示により定められています。たとえば2024年時点では、延納期間が5年以内であれば年1.9%、5年超〜10年以内であれば年2.4%、10年超〜15年以内であれば年2.9%、15年超〜20年以内であれば年3.4%といった具合に延納期間に応じて利率が高くなります。なお、不動産など一部の特例財産については年0.9%とする軽減措置が適用されることもあります。 また、延納税額が一定額を超える場合には、原則として担保の提供が求められます。担保には不動産や上場株式などが用いられ、税務署がその価値や換金性を審査します。担保を準備できない場合や担保価値が不足している場合、延納申請が却下されることもあるため注意が必要です。 延納とよく混同される制度に物納がありますが、物納は延納をもってしても金銭納付が困難とされる場合に限って認められるもので、延納の次に検討される制度です。物納は納税資産として国に現物を引き渡す制度であるのに対し、延納はあくまでも金銭納付を分割で行う制度です。 相続税対策においては、納税資金の準備と同時に、延納の利用可能性をあらかじめ想定しておくことが重要です。特に、不動産中心の資産構成である場合や、被相続人の死亡時に手元資金が少ないケースでは、資産の一部を売却するか、延納・物納の制度を活用するかの判断が必要になります。延納は資産を残しつつ納税を可能にする制度ですが、その分、計画性と事前の準備、専門家による支援が不可欠です。

物納

物納とは、本来はお金で納めるべき税金を、現金の代わりに土地や建物、株式などの資産で納めることを指します。主に相続税の支払い時に、どうしても現金が用意できない場合に限って認められる制度です。ただし、物納を希望すれば必ず認められるわけではなく、まずは現金での納付や延納(分割払い)が優先されます。そのうえで、どうしても現金で払えない事情があるときに限り、税務署の審査を経て物納が許可されます。 また、物納に使える資産には順位や条件があり、必ずしもすべての資産が対象となるわけではありません。資産運用の観点では、相続や資産承継の際に現金化の難しい資産が多い場合、物納の可能性を考えておくことがリスク管理のひとつになります。

重加算税

重加算税とは、納税者が意図的に所得を隠したり、虚偽の申告をしたりするなど、特に悪質な税務違反を行った場合に、通常の税金や過少申告加算税などに加えて課される、ペナルティ的な性格を持つ税金です。たとえば、売上の一部を帳簿に記載しなかったり、架空の経費を計上したりといった行為があった場合に、税務署がその事実を確認すると、重加算税が課されることがあります。課税額は本来納めるべき税額に対して原則35%(場合によってはさらに高くなることもあります)が上乗せされるため、非常に重い負担になります。税制の公平性を保つとともに、不正な申告を抑止する役割を果たしており、税務調査などの際には特に注意が必要な制度です。

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